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平成31年1月28日 定例記者会見 項目別

毎月勤労統計調査について(質疑)

(徳島新聞社)
 厚生労働省の勤労統計の不正問題についての受け止めをお願いできますか。

(知事)
 はい。まず、毎月勤労統計調査について、非常に不手際が厚生労働省の方であった。もちろん、統計調査というのは各省庁それぞれやっている。その中でこの毎月勤労統計という、例えば、これは、雇用、給与、さらには労働時間。こうしたものを明らかにしていく目的で行う調査ということで、まさに国の基幹統計。大変重要な統計に位置づけをされております。そうした中で少し中身を触れてみた方がいいのかもしれませんけど、今回その調査方法が不適切であったというのが一番の課題ということで、例えば基幹統計調査、毎月勤労統計、まさにそういうことなんですけどね。調査方法を変更する場合、あらかじめ統計の主務大臣である総務大臣の方に承認を得なければいけない。それで本当にそういう変えることがいいのかどうかというものの判断を総務省がするということなんです。
 ところが、厚生労働省におきましては500人以上の事業所について、総務大臣のいわゆる、承認申請における調査計画、あるいは公表資料では、全数調査というふうになっていた。にもかかわらず、東京都分については平成16年から約3分の1に抽出をした名簿を東京都の方に送付いたしまして、その名簿に基づいた抽出調査。つまり全数だとなっていたのに、東京都分については、平成16年から抽出調査に切り替えていた。しかしそれが協議なされていなかった。本当にそれで適切だったんだろうかどうかと、そこが大きな問題ということになりました。
 そこで、500人以上ということを今申し上げたんですが、この毎月勤労統計調査、どんな形になっているのかを少し知っていただいた方がわかりやすいかと思います。実はこの調査区分。これが大きく3つにまず分かれているんです。例えば、第一種の事業所は一番大きいところという取扱いなんですが、ここは30人以上の事業所ということになっています。第二種事業所は常用雇用が5人から29人。つまり5人以上30人未満ということです。そして、特別調査が一番小さいところなんですが、常用雇用者が4人以下と、つまり5人未満ということで、5人から30人ということで大きく区分が分かれているんです。
 そして今回ポイントになったのはこの第一種事業所での選定方法ということですけど、これについては国が、総務省の「事業所母集団データベース」というのがありまして、その中から指定予定事業所名簿を作って都道府県の方に送付して、これに基づいて調査をしてもらう。そして今申し上げた第一種事業所については30人から二つに区分が分かれるんです、さらに。30人から499人までは無作為に抽出ということになっています。しかし、規模500人以上、ここで出てくるんですね。第一種事業所のうちで、規模500人以上のものについては全数調査というふうに定められているということで、各都道府県、我々もそうなんですが、指定予定事業所の名簿に記載されている事業所の名称であるとか、あるいは常用雇用労働者数、また産業分類などを直接事業所に確認をさせていただきまして、そして結果を国へ報告をする。こういう流れになっている。そして、この確認の結果を受けて国が調査対象とする事業所を指定して、都道府県の方に通知がなされてくる。こういう手順で調査がされるということなんです。
 これに関わる影響、どうしてこれが大きな問題になるのか。統計じゃないかと思われるかもしれないんですが、実は非常に大きな影響が出てくるんです。これは、国がこの調査結果に基づきまして、経済指標のその一つとなります、景気判断。あるいは雇用保険、労災保険、その給付額、その改定をする際の資料に幅広く、実は利用しているんです。つまり、景気判断で景気が良くなったとかあるいは横ばいだとか、こういう判断でやるとか。あるいは雇用保険、労災保険、その給付額の決定って非常に大きいわけですよね。こうした意味で幅広く利用されているものが、実際に認められたものと違う形をしたんだ。
 では、これでどんな影響になってくるのか。別に抽出調査をしても全数と同じであれば別に構わないわけですよね。ところが今回の件で平均の給与額が高めに出てしまったということになった結果、平成16年以降、いわゆる抽出に変わってますので、雇用保険、あるいは、労災保険などの給付額、給付者に対しまして、過小給付。つまり、少なく給付がされたということが実際に起こるということで、現に追加給付実施することとなったということです。さらに大事となったのが、史上初といわれる、平成31年度の国の当初予算が閣議決定を一回出されたにも関わらず、予算案が修正された。そして、改めて1月18日に閣議決定をし直すということになりました。
 では、例えば、県としてどうなんだろうか。今は雇用されている労働者の皆様方のあるいは、世の中の景気判断という大きな話だったんですが、実は本県としても、間もなく公表する予定でありました本県の「県民経済計算」。もちろんこれによって大学の皆さんであるとか、各経済研究所であるとかあるいは、企業の皆様方が様々な判断をなされる基となる統計であります。この県民経済計算を修正しなければならないということになりまして、そうした意味では本県においても、実は、具体的な影響が県行政としても出ているということでありまして、今、マスコミの皆さん方はもとよりのことですが大きな問題と。原因の究明はもとよりのこと今後の対策対応に実は追われているということであります。
 もちろん今お話を申し上げたように、この毎月勤労統計というのは、全ての事業所に対して全数調査を行っているものではないです。しかし今申し上げたように、非常に大きい規模の事業所については、全数調査をやっていこうということ。つまり大企業の皆さんということがありまして、そうしたものの中からやはり、しっかりと、それが東京都の分だけであったとしても、と言っても東京都は非常に大きいですから、それを抽出がいいのか、あるいは全数がいいのか。こうしたものは普通は緻密なシミュレーション、過去からの。それを行ってみて、例えば、過去5年とか、過去10年行って、結果としてほとんど変わらない。であれば例えば企業の皆さん方の手間を省く、あるいは、行政側の手間を省くということ、例えば、働き方改革ということも出ているわけですから、そうしたものの一環としてより簡易な形で、でも結果は変わらない。ほぼニアリィイコールというものをきっちりとシミュレーションした上で、そして今度は総務省の方にこういう結果だから、こういうふうに変えたいと届け出る。そして、総務省の方でも、総務省として他の統計などとの判断とか、こうしたものを比較衡量した上で、それでいきましょうというのが普通。それでも場合によっては、多分、3ヶ年ぐらいは、ずれないかということで、両方やってみるとか。こうしたこともあり得るんです、大変重要な調査のとき。特に今回のように個人に給付されるお金に差が出るという場合については、慎重にも慎重を期さなければならない。
 そしてもっと大きい話というのは、過去から綿々とやってきている調査とそこでバタンと断層ができてしまう。そしたらこれはこの調査にならなくなっちゃう。そこから新たな調査をするということであれば、それはいい。もちろん。さらにもう一つこういうのをやるんです、特に大都市部の企業がどうかっていうのを加えますというのだったらいいんだけど。過去からの綿々ときた流れをここでブチッと切ってしまう。いやほぼニアリィイコールということだったそれを繋げるということになるんですけど。
 そういったことで行政として我々もそういう統計、国の役人として、あるいは、県の役人として携わってきましたので。非常にこうしたものについては慎重に、そして調査に協力をいただく皆さん方にも、ご理解をしっかりといただく、感謝の念を持ってということがありますので。これ本当に非常に大きな問題であります。やはりこの統計というものを少し軽く見る風潮があるんじゃないのかなとその背景に。どうせ毎年やってるじゃないか。手間を省こうと。でもこれ全然違う、そうした意味ではなくて。この国の歴史であり、この後の先を見通す。そうした意味でも大変重要なもの。しかも基幹統計でこれだけの問題になっているということです。中身を県民の皆さんにご理解いただいた方がいいかなと思いまして、少し詳細に申し上げました。

(徳島新聞社)
 先ほど、県民経済計算で修正しなければならないというふうなことをおっしゃってましたけれども、具体的にどの部分で修正が必要なのかというのと、公表に遅れが出るのがどうかというのは。

(知事)
 これは元々その県民経済計算ですから、景気動向ということが一番大きい話になってきたり、あるいは、給与所得ですね。こうしたものが当然、大きなポイントになってきますので、当然、全国平均というものがぶれてくるわけですから、比較がずれてくるということになります。そこで実は1月の下旬を目途に、(国は)再集計をされているということで、当然のことながら、そうした点について、遅れが出る可能性があるということでして。極力そうしたものを当然期待をしている皆さん方もたくさんおられますから。何とかそうしたものについての遅れを最小限にしていければなと考えています。

(徳島新聞社)
 今回、厚労省の勤労統計は東京都の問題がありましたけれども、この問題を受けて他省庁でも統計の調査があって、そこでも不適切な処理がされていたということなんですけども、中には都道府県の抽出作業に国が示す方法とちょっと違っているようなやり方があったりとかっていうこともあったようなんですけども、徳島県でそういう抽出作業とかでですね、不適切というか国の方針と違うようなやり方でやっていたというような事例はありますでしょうか。

(知事)
 というよりもまず、今申し上げたこの「県民経済計算」について、(国は)29年分を今公表しようとしてたものを再集計してるんですが、28年分については、都道府県に対して国の方から数値の見直しを既に求めてきてるということで、どんどん過去、何せその平成16年からずっとということですからね。そうしたものの対象をしっかりとやり直さなきゃならないということに、まず当面なっているところです。
 また、それぞれの統計の中身についても、当然、各国の方から出てくると思いますので、そうしたものには極力、当然協力していかなきゃならない。既に県民経済計算については28年分の見直しというものが国の方から話が来ているということになります。

(徳島新聞社)
 県の方で抽出作業をする際に、不適切なやり方をしていたとかいう事例はないということでよろしいですか。

(知事)
 県の場合には、ほとんど国の仕事となっていますから、当然その国の言われた形でしっかりやる。当然国の方はそのチェックをかけてきますので、普通それが例えば県が独自に、今回のようにやってしまうと、それは普通はありえないだろう。もちろんその100パーセントありえないかどうかというのは、分からない部分あるんですけど。でも普通その国の仕事として県がやる。県の独自だと県の判断が入る余地があるんですけど。基幹統計の場合は、まずそれは全くない。ですので、普通それは考えられないということです。

(徳島新聞社)
 今、県民経済計算で修正をしなきゃいけないと話があったんですけども、過去の分も少しずつブレがあるということで、実際に県民とか県内企業とかが、これによって不利益とか影響っていうのは、過去にあったとか、これからあるとかいうことが考えられるんでしょうか。

(知事)
 県民経済計算の場合にはもちろんこの統計の数値として、例えば全国と比べて本県の経済が、より良くなっているのか、あるいは全国と同じ傾向なのか、全国に比べるとより悪いのか。あるいは給与所得がいったいどうなんだろうか。企業全体を含めたものが一体どうなんだろうか。そうした数値に出てくるものでありますのでね。例えばそれを基にして様々な研究がなされる。企業において、給与水準を定めていくといった点は当然ありますので、そうしたものがどのように判断がなされてくるのか。我々としては国の基幹統計を受けた県民経済計算という形で、より精度を期すということで国に協力して、そして、県としてもそれを公表していくという形をとっておりますので、当然そうした給与の点について全体の平均がブレる。つまり高めに出てしまったということから、どういう影響が出てくるのかなといった点は当然考えるということです。

(朝日新聞社)
 先ほどの徳島新聞さんの質問で、国の統計を受けて県が統計作業をするというふうなものについて、国が判断するものを受けてのことなので不正とかがまずなかろうということなんですけども、そもそも、県が独自に行うような統計があるのかということと、そちらについては県が判断できるものですから、不正があるのかどうか、若しくは不正の有無を調査するような指示をされているのかどうかということを教えてください。

(知事)
 はい。この統計というのはほとんど基幹統計ということで、国が一律的にやっている。我々都道府県としてはそれにしっかりと従って正しくやっていくという形でなってるので、いわゆるその統計と言われる、厳密な意味の統計というのはほとんど国が出している。つまり日本全体でやっている。
 逆にこれを基にして、県が独自に分析をしていくとか。あるいは県内の経済研究所みたいなところが、あるいは、シンクタンクが独自の数字を出していくことは、当然あり得るということなんですが、それは決して基幹統計とは呼ばれない。あくまでも参考として、みんながそれを研究の材料にしていく。
 ただ今は、EBPMということで、根拠に基づく統計をどんどん利活用していこう。というのは、地方創生の一環として本県の場合には、消費者庁「消費者行政新未来創造オフィス」がこの10階に3年間とりあえずは、今来ているわけなんです。お隣の和歌山県にいわゆるそうしたいろいろな統計のデータを「統計データ利活用センター」ということで、いわゆる本省機能が一部新たに来ているということがあって、同じ関西広域連合ということがありますから、根拠に基づくそうした政策を作っていく。PM、Policy Making(ポリシー・メーキング)ということで、政策を作っていくということを国全体でも推奨しているということですから、そのうちの毎月勤労統計という基幹統計がこんなことになる。あるいは他の省庁にもそうしたものがあるだろうということになってくると、そもそも根拠に基づくのその根拠ですよね。Evidence based(エビデンス・ベースト)、ここのところが飛んでしまうということになるので、我々としても今後そのどういう対応をしていくのか。
 あるいは今、ご質問があるように過去をもう公表しているそうしたもの。例えば、県民経済計算が変わっていくということですよね。まず、少なくとも(国が)29年は修正をして出しますけど。28年は変えるっていうことになるわけでしてね。だからそうしたものはどこまで広がっていくのか。ここは確かに大きな課題になってくるんじゃないのかなと思っています。

(朝日新聞社)
 今ですね、基幹統計というものについて国が所管されているという話で、県がやっているのは、基幹統計を基にしてという話なんですけど、県が独自に調査票を配ったりとかですね、基幹統計とは別の形の統計として県が独自にやってる統計というのはあるんですか。また、そちらについて不正がなかったかどうかの検討、調査をされる予定などあるんでしょうか。

(知事)
 県として独自にっていうものが全くないかと言うと、様々な調査をするのにある程度、短期間でもって傾向を見るということはあり得るんですけどね。しかし全体的に県独自として、国の基幹統計のように出していくというものがそうあるわけではなくて、逆に国の基幹統計をベースとしてそこから派生をさせて、独自のものを作っていこう。これは昨今そうしたものを国がどんどん推奨するということもありまして。例えばRESAS(リーサス)っていう特に経済の話なんですが、このRESASを活用することによって、これは各市町村にまで行くんですけど、これによって様々な自分の置かれた状況を見た上で政策を作っていくということがあって、どちらかというと統計調査をとっていくというよりも、アンケート調査とかそういうのはあるんですけど。しかしそれ以外は、逆にこの基幹統計、あるいはそうしたアンケート調査も加味する中で、政策をどう作っていくのか。特に地方創生ということで、それぞれの地域の特色に応じた政策を作っていく。ただそうしたものにあらゆる基幹統計が関わってくるということになりますから、当然その影響っていうのは大きいかなと思っています。

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