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(徳島新聞社)
少し前の話になるんですけども、ふるさと納税についてなんですが、高額な返礼品の問題を受けて、野田前大臣が制度の見直しを表明されましたが、これについての受け止めをお願いします。
(知事)
これは既に、こうした動きが、総務省から出たときに申し上げたのは、本当は残念な話。つまりこれはあくまでも、地方税の話ですし、いわゆる地方の独立税の話ですから、地方がしっかりとその制度を決めて、それを運用していく。しかしその運用の中で、ふるさと納税。あくまでも、ふるさと寄付ではないわけでして。あるいは、ふるさとの品物を買うという通信販売でもない訳なんで、あくまでも、税制度であるということを逸脱してしまうということは、やはりまずいんではないか。ただ単に、よそからその税金を自分のところにたくさん引っ張ってくるんだと。あるいは自分の所の商品はある程度、意味は分かるんですけど、その産品を買ってもらおう。それをふるさと納税に使うということで。しかも、ネット上でも、あるいは、紙媒体でも全国一覧でどこに、ふるさと納税したら得か、お得感。こうしたものも出ているんですよ。そうなってくると税制じゃなくなっちゃう。
当然それに対して制度を持っている、総務省の方から、まずは、警鐘が出た訳です。ちょっと、おかしいんじゃないの。例えば、金券であったり、宝石であったり。ただ、宝石であったとしても、これが三重県鳥羽の真珠だとか、地場産ということだから、それを分からないんじゃないですけど。どこでもここでもとか。あるいは海外製の性能が良いというのがよくテレビの通販で出てる、掃除機とか、電化製品とか、これはちょっとおかしいんじゃないの。少し逸脱をしてしまった点について、警鐘が鳴らされたんだけど、それでも気づきを持てなかった。こういうところは、やむ得ないかな。こうしたところについては、やはり、国が乗り出してくる。
本当はその手前でね、だから、総務省もいきなり、これ駄目だ、規制をしたわけではなくて、一回イエローカードを出した。ところがイエローカードに従わないで、何が問題があるんだとやって、イエローカード2枚でレッドカードになった。退場だというような、今回は、意味合いではなかったのか。
ということで、徳島県は、昔から、すだち1kgをずっと出して、さすがに言われましたけど。ケチでないかと。ただ、我々としては、すだちは、関西でももっと、東日本にいったら、高価に思われますからね。すだち一箱、例えば、山梨の人に送ったら、桃6個と、それからあとは、昔だったらピオーネ、今シャインマスカットを1kg送ってきてくれますからね。そのぐらい高価なんだけどケチだと言われて。それで今はカタログ式の、これもちゃんと、特選ブランドで選んだ、ブランド商品をそれぞれに応じて、でも余り華美にならないような形でお返しをさせていただいてるんですけどね。
というのは私、提唱者の一人だから、その提唱者のところが崩してしまったら、国の信用がなくなっちゃうんだよね。ケチだケチだとは言われましたけど。今は結構おしゃれになったとは思ってるんですよ。当然、徳島県、県はね、警鐘ないんですけど。市町村のところで少し、誤解があって、総務省の方から指摘を受けた町もあるわけなんですけどね。ここのところは地元の産品というものについての国の考えと、そしてその町の考えというものが違ったというところがあってね。そうした意味では、このふるさと納税、地方がどういうふうに税制を独自に作ってくか、地方独立税といったものについての考え方をみんなで考える、いい機会になったんじゃないのかなと思ってます。
(徳島新聞社)
今、知事がおっしゃったように、制度を逸脱しているのはマズいという声がある一方で、地方の主体性というか、国が押しつけているのではないかということも指摘もあるんですけども、そこら辺についてはどうですか。
(知事)
これは、私はそうは思わないです。つまり、税制度っていうものがどういうものか。みんなが分かっててくれればいいんですけどね。だからこれは、押しつけじゃないかと言う前に、そこがやっているものについて、それが税なのかと。税制度なのか、寄付なのか。単なる地域の商品の販売なのかをしっかりと理解した上で、おかしいと言うんであれば、これは、国、地方協議の場にのせる必要のあるものと、いうふうに考えるんですけど。誰が見ても寄付でもないし、物販だということになってしまうと、それは違う制度が当然あり得る訳なんで。そうすると、他の所が真面目にやってるところが非常に迷惑をする。
もちろんこれは、ゼロサムゲームなんですよね。つまり、どこかの自治体の税がなくなって、そして違うところの商品に変わるというね。独自の所で稼いだものに対してどうと、これは別にいいと思うんですけどね。そうではないという税制。この制度というもの、そしてふるさと納税をどうして作ったのか。
これは、例えば高等学校まではそれぞれの地方というところで、それぞれ、手塩にかけて、お金を出して、そして大学ぐらいからいわゆる東京とか大阪に行って、そのままそこで就職をする。就職したら税金を納めますよね。それをその地域で収めてしまう。これちょっとおかしいんじゃない。やはり地方がそこまで手塩にかけて、お金もかけて、そこまで育ってもらったんだから、それが地方に戻ってきてもいい。また、そうした気持ちを持ってると、ふるさとに対してね。
でも、当時の税制としては、それはいやいや、あんた、世田谷区にいるんだ、世田谷区に税金を納めなさい、東京都に住んでいるから東京都に納めなさいと。でも、それを徳島に納めたいな。あるいは、那賀町の納めたいなと思った場合にできなかった。寄付はできたんですけどね。それを税制でやはりスムーズに行うべきじゃないかという声が大合唱になって。ただもちろん、そのときの東京都知事さん、大阪府知事さん、愛知県知事さん、神奈川県知事さんとは、大激論になった。特に東京は、石原慎太郎さんだった。公開討論会をしようと。私は申し入れましたけど、全国知事会の場で。そこまでは言ってないよと石原さんが言われて。私からの案で国税も入れましょう。所得税もかました。いや、それなら分かったと。東京都の税金だけを取ろうとしてるわけじゃないなということになって、東京都も頑張ってくださいと。
そういう形になってスタートを切ったという経緯がありますので、この最初の原点を皆さん、忘れないでいただきたい。そして我々地方公共団体というのはあくまでも法の執行者でもあるわけでありますのでね。これは地方税法に定められているものですから。それをしっかりと執行していただきたい。その一点ですよね。私の方から、それがいいだ、悪いだと言う立場には、それぞれ皆独立ですから、ない訳ですけど。