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平成30年8月9日 臨時記者会見 項目別

徳島県勝浦町における「国内最古級の恐竜化石含有層(ボーン・ベッド)」と「新たな恐竜化石等」の発見について(説明)

(司会)
 それでは、ただ今から、徳島県勝浦町における「国内最古級の恐竜化石含有層」と「新たな恐竜化石等」の発見について、共同記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表者を紹介させていただきます。
 飯泉嘉門徳島県知事でございます。

(知事)
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(司会)
 野上武典(のがみたけのり)勝浦町長でございます。

(町長)
 よろしくお願いします。

(司会)
 また、本日は専門的な見地からご説明をいただくため、東洋一(あずまよういち)福井県立恐竜博物館特別館長にもご同席をいただいております。

(特別館長)
 よろしくお願いします。

(司会)
 それでは、まず飯泉知事からコメントをよろしくお願いします。

(知事)
 今日はこの度、徳島県勝浦町で発見されました国内最古級の恐竜化石含有層と新たな恐竜化石などについて発表いたしたいと存じます。本県では平成6年4月になりますが、勝浦町におきまして四国で初めてとなる恐竜の歯の化石が発見をされました。その後平成28年7月には、同じく勝浦町から県内2例目となる恐竜の歯の化石が発見されたところであります。
 1例目は、カモノハシのような口を持つ草食の鳥脚類と呼んでおりますが、その恐竜の歯。そして2例目は首や尾が長く大型で草食の竜脚類の恐竜の歯ということで、種類は異なるところでありますが、このうちの2例目の恐竜化石の発見を機に、県立博物館では、福井県立恐竜博物館や県内の化石愛好家の皆様方のご協力を得まして、継続的に現地調査を行ってきたところであります。これまで、発見されました1例目、そして2例目の恐竜化石は、転石と呼ばれる地層から抜け落ちた岩石の中から見つかったものでありましたが今回の調査では、これまで特定できていなかったボーンべッドいわゆる恐竜化石を含む地層を発見することができました。しかもこのボーンべッドは、約1億3000万年前の白亜紀前期のものであり、恐竜の歯や骨の化石を含む地層としては、国内でも最古級に相当するものであります。
 そしてさらに、そこから新たな恐竜化石などを複数発見したところであります。今回新たに発見されました恐竜化石は、全部で5点あります。
<職員が、展示箱の目隠し布を外す>
今少し覆いが取られました。まず、記者の皆様方からご覧いただいて、最前列の3点、どうぞお立ちになってご覧いただければと思いますが、県内3、4、5例目となります、恐竜の歯の化石となります。いずれも竜脚類と呼ばれる恐竜のもので平成28年に発見された県内2例目の恐竜化石と同じ種類のものとなります。このうち真ん中のものは歯冠のサイズが約3.8センチと、この時代のものとしては、国内最大級の大きさとなります。
 次の列の2点は、恐竜の骨質化した腱化石、ちょうど骨と筋肉をつなぐ部分でありますが、腱化石は、もう一度申し上げますと筋肉と骨をつなぐ腱が骨のようになった化石ということであります。こちらは1例目に発見された鳥脚類と同じ種類のものではないかと言われておりまして、中四国では初めての発見となるものであります。さらにこの恐竜化石を含む地層からは、これも中四国初となります白亜紀のワニの歯の化石2点をはじめ、カメの甲羅の化石など合わせて45点の脊椎動物の化石を発見することができました。
 これら今回発見をした地層及び恐竜化石などの詳細につきましては、今回の調査にも様々な形でご協力をいただいております福井県立恐竜博物館の東特別館長さんにお越しいただいておりますので、後ほど詳しくご紹介をいただければと思います。
 また今回の発見を受けまして、地元勝浦町の野上町長さんにもお越しいただいているところでありますので、地元を代表をしていただきまして今回の発見に伴う感想であるとか、あるいは今後の取組みなどについて、コメントをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今回の発見は、調査協力者である県内の化石愛好家の皆様方の貢献が何よりも大きいところであります。特に今回の調査で複数の恐竜化石を発見をされました奥平耕右(おくひらこうすけ)さん、そして恐竜化石を含む地層の探索に協力をしていただきました田上浩久(たがみひろひさ)さん、竜熙(りゅうき)君親子、また徳島県化石同好会の皆様方にもこの場をお借りしまして、厚く御礼を申し上げたいと存じます。本当にどうもありがとうございます。
 結びとなりますが、このたびの発見につきましては、とりわけ日本最古級の恐竜化石含有層を発見できたということ、今後の発掘次第では「勝浦竜」、勝浦の名前を命名した竜でありますが、あるいは徳島ザウルスと呼ばれるようなさらに希少な恐竜化石の発見も期待されるところであります。今後県といたしましても発掘調査の加速化はもとよりでありますが、地元勝浦町とも連携いたしまして、発掘現場一帯の保護対策また地域活性化にもしっかりと役立てていければと。何と言っても地方創生第4年次目となったところでありますので、恐竜が織りなすまさに地方創生という形になってくれればうれしいなというところであります。私の方からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします

(司会)
 続きまして、「勝浦町野上町長」から、コメントをよろしくお願いします。

(勝浦町長)
 勝浦町長の野上武典でございます。平成28年7月に、今日おいでの田上さん親子によりまして、竜脚類ティタノサウルス形類の歯化石の発見がなされて以降、今飯泉県知事からご紹介がありましたように、多くの関係者の皆様のご尽力によりまして、今回国内最古級の恐竜化石含有層と、また新たな恐竜化石等が発見されました。このことは地元にとっても非常に喜ばしいことと、関係者の皆様に心からお礼を申し上げたいというふうに思っております。勝浦町といたしましても、さらに貴重な恐竜化石が発見されることを大いに期待するところでありまして、今後とも徳島県とも密接な連携のもとに現地の保存対策について取り組んで参りたいというふうに思っております。恐竜化石を活かした地域の活性化についてということでございますが、実は勝浦町は6月に子ども議会というのを開催いたしております。その時に、小学生また中学生から、「化石が発見されたのだから化石にちなんだまちづくり活性化についてもっとすすめてはどうか」というような子ども議員からの質問がございました。こういった子どもの思いは非常に純粋なものもあり、町といたしましても、真摯に取り組んで参りたいというふうに考えております。
 地域活性化にしっかりと結びつけていきたいと思っておりますので、引き続き徳島県また関係者の皆様のご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。コメントといたします。

(司会)
 続きまして、福井県立恐竜博物館東特別館長から今回発見化石等の学術的な内容や意義についてご説明をいただきます。

(特別館長)
 福井県立恐竜博物館の東と申します。約10分ほどで、今回発見の概要についてご説明したいと思います。
<スクリーンに情報を表示して>
 今回はですね、これまで特定できていなかったいわゆるボーンベッド、恐竜化石包含層を発見することができたということは、一番の重要な点かと思います。次にですね徳島県で3、4、5例目となる恐竜の歯の化石3点を発見できたこと。そのうちの竜脚類の歯なんですけど、歯冠の高さが3.8センチメートルとして、国内でも最大級のものとなります。
 それから、恐竜の骨のようになった腱の化石ですね、これが2点見つかりまして、これは中四国で初めて発見となります。
 それから、上の物にあわせまして、ワニの歯の化石、よく恐竜と一緒に発見されるんですけども、これも見つかりまして中四国では初めてでございます。およびカメの甲羅など合わせて計「45点」の恐竜を含めた脊椎動物の化石を発見することができました。

 場所につきましては、勝浦町なんですけども、詳細な場所につきましては化石保護のためにここら辺でとどめさせていただきたいと思います。

 これが今回の主な発見された恐竜化石等でございます。この3点、1、2、3が竜脚類の歯の化石でございます。この真ん中の1、2が骨質化した腱でございますけども、それが2点見つかりました。これが見つかりますとわりかし他の骨が見つかるのではないかということに結びついていくものでございます。それからワニの歯の2点とか、あと写真はないんですけども、カメの甲羅とか魚のウロコなどが見つかりました。

 主に竜脚類の歯について説明を続けていきたいと思うんですけども、これらの現在竜脚類の化石の見つかった産地でございます。最初に見つかったのは、岩手県の岩泉町でございますけども、北陸とか太平洋側に広がって見つかっていますけども、今回勝浦町で見つかりました。

 これが日本で見つかった竜脚類の歯なんですけども、福井を除いたものでございます。

 その歯の化石につきまして説明しますと、これ歯冠の特徴なんですけども、ヘラ状であること、断面を切りますとD型の断面をしております。この辺り見えますけども、しわ状のエナメルを持っていること、ここ咬耗面と言いまして、かみ合うことによってすり減ったことにより出来る咬耗面なんですけども、V字型をしている。それから、この辺りに小さな鋸歯(きょし)、のこぎり状の歯があることというのが、大体原始的なティタノサウルス形類の歯の特徴でございます。

 これは、竜脚類の歯の変遷を簡単に示したものなんですけども、左ほど原始的なものなんですね。この竜脚類の進化の一番最後のグループとしまして、ティタノサウルス形類というのがあります。その中でも、ティタノサウルス類というのがあるのですけども、こういう、一言で言いますと鉛筆型の歯をしておりますけども、こちらの原始的な方によく見られるのですけども、スプーン型をした歯となっております。今回の徳島県で見つかった歯もこのスプーン型でこざいます。

 これはですね、これまで見つかりました日本の竜脚類の歯の歯冠の測定値なんです。最大、高さと幅を取っております。この四角いオレンジが兵庫県の丹波の物なんですけども、形状の違うグループの歯でございます。残りの物が全てスプーン型で今回勝浦町で見つかった物と類似の形をしております。
 これがですね、2年前に見つかりました徳島で最初の竜脚類の歯でございます。(福井県)勝山では100個ほど見つかっているんですけども、この3つがフクイティタンと学名をつけたタイプ標本の歯でございまして、大きな物から小さな物までございます。
 今回徳島の3つを加えますとこうなりまして、ほぼ丸の緑色をしました福井の歯のほぼ全域に広がっている。特にこの物につきましては、我が国最大級の竜脚類の歯と言ってもいいと思います。

 ただ、中国四川省のジュラ紀後期のマメンチサウルスという竜脚類の頭の骨なんですけども、上と下の歯がありますが、どっちかというと上の方が大きくて下の方が小さいですね。生えてる場所によりまして、後ろの方がですね比較的小さくなって、形も少し変わってきますということでこれらの歯がどこらへんの歯かというのは、ちょっともう少し研究を進めないとわからないのですけども、咬合面なんかを手がかかりに、上下の歯、あるいは前の方か後ろの方かというようなことを今後検討していきたいというふうに思っております。

 このティタノサウルス形類なんですけども、福井にあるカマラサウルスの仲間のものなんですけども、ほかの竜脚類に比べまして、身体の割に頭が小さい訳ですね。歯がスプーン型をしておりまして、鼻のところの骨が隆起しているのが特徴でございます。骨盤は他のものと似ているんですけども、胸というか胴の部分が幅が広くて簡単に一言で言うとおなかのでかいタイプの絶滅期の恐竜ということが言えます。このおなかがでかいというのはですね、大きなおなかの中に消化器官がたくさん入っているということにつながるわけなんです。一般的に前肢は後ろ脚より低いんですけども、このティタノサウルス形類の中には、前肢の方が後ろよりも高い位置にきているものも含まれております。

 ブラキオサウルスというふうに言ってたんですが、これの頭が、ドイツにある本物の頭なんですけども、さっき言いましたこれ鼻腔ですね、これが眼下で、これが鼻腔になるんですけども、これがこういうふうに盛り上がっているのが特徴なんです。この歯を見ますと比較的今回の勝浦から見つかった物によく似ているものでございます。

 今度は時代の問題なんです。これ非常に重要な問題でございます。これは白亜紀前期の日本の竜脚類化石の見つかった時代を表しております。下のが古くて上のが新しくなります。大体この辺りが1億4千万年で、この辺りが1億3千万年ぐらい前になります。ここが1億年前になりますけども、これは兵庫県、福井県、お隣の石川県、それから群馬県の瀬林層、それから今回の徳島県の立川層、三重県に松尾層群というのがあるのですけども、ちょっとこれ年代決定の幅が広くてレンジが長くなっておりますけども、いずれにしても徳島立川層とほぼ同じ年代の物でございます。
 ということでですね、全体を見ますと、この松尾層群と立川層で出てきた物が、我が国で最古級、古い物であるということはこの図でおわかりになると思います。

 さらに、これちょっと詳しくしたものなんですけど、竜脚類のこれが原始的なもので、段々進化して参りまして、ここにティタノサウルス形類というのがありますけども、これがティタノサウルス形類のグルーブなんです。ずうっと段々下にいくほど進化していくんですけども、実はこの色なんですが、産出した大陸の色で色分けしております。このアジアはですね、赤色なんです。これはですね、タイで見つかりましたプゥイアンゴサウルスというものを示しているのですけども、ちょうど出現時期なんですが、ちょうどここになります。ちょうど今の立川層なり、松尾層群と同じ時代になるんですね。
 ですから、アジアで最も早く出現したタイのプゥイアンゴサウルスとほぼ同じ時代に、徳島県に同じティタノサウルス形類が住んでいた、現れたということを意味します。

 これはですね、発見の順番なんですけども、この赤色で示したものは西暦2000年以前のものなんです。あとのものは、2000年以降アジアで見つかったティタノサウルス形類なんですね。福井県のフクイティタンと兵庫県のタンバティタニスいうのがあります。うまいこといけばですね、今後の発掘の成果いかんではここに徳島県からの、多分徳島の名前のついた恐竜が加わるのではないかと思います。

 この場所の問題なんですけど、恐竜時代の古い古地理を表しております。ここは太平洋側でございまして、1番が徳島県の勝浦、2番が三重県の鳥羽市、ここがですね群馬県の神流町(かんなまち)というとこなんです。福井県は、この当時で言えば内陸にあたりまして、その中間に兵庫県の恐竜があります。簡単に言いますと、こちらの方は内陸部に入った竜脚類なんですけども、徳島県勝浦から出てきたものは海岸地帯に住んでいた恐竜ということになります。さっきも言いましたように、この海岸伝いにいたもの太平洋側にいたものが、我が国で1番、最も古い時期の竜脚類恐竜の化石の出現ということになります。
 今問題は、なぜ日本で最も古い恐竜がこの海岸の方に現れたのか。こっちの方が大陸の内部とつながってるんですけども、そうじゃなくてなぜこちらの方に最古のですね恐竜が住み始めたのかというのが、今後の研究の課題でございます。これは今後発掘を進めていって、まだまだ別の種類の恐竜を発見することによってその意義がわかってくると思います。ひとつ考えられるのは、この中央構造線というのがありますけども、これは横滑り断層でございまして、この全体がもう少し南の方にあって中国大陸に近くなっていたんではないかということがひとつの予想として考えられます。

 引き続きまして、今後の発掘の成果の予測でございますけども、これは福井県の恐竜化石の発掘現場でございます。この崖の1番下側のここに赤い線を引っ張っていますけども、フクイラプトルという肉食恐竜とフクイサウルスという草食の恐竜が見つかって、骨がたくさん入っている地層、ボーンベッドなんです。2007年に新しくこの上からもフクイベナートルとフクイティタン、コシサウルスという3つの学名のついた恐竜の新しいボーンベッドが見つかりました。今掘っているのは、もっと下の3番目のボーンベッドを掘っています。このボーンベッドというのは、恐竜化石でもいいんですけど、骨化石包含層といいます。だからボーンベッドと認められる地層、要するに豊富に骨の化石を含んだ地層かどうかというのが問題なんですよね。今回のはもう50点近く出ていますので、もうボーンベッドと呼んで差し支えない地層だと思いますので、今後発掘をすることによって、もっともっと多くの動物の化石が見つかると思います。

 例えば、現在までに福井県の勝山市で見つかっている動物化石なんですけども、獣脚類、肉食恐竜、鳥、竜脚類、鳥脚類、去年ですけどヨロイ竜が見つかりまして、そのほかワニ、カメ、魚、ほ乳類、翼竜、昆虫、植物は抜けているんですけど、たくさんの植物の化石も見つかっております。
 現在までに、これにあわせて見てみると、徳島からこの赤く塗ったものは出てきておりますので、もうかなり、動物多様性ということでは、北陸の手取層群に似てきているということで、ただまだ全然掘られていないわけなんで、この崖は約30年かけて掘った崖なんですけども、そういう地道な発掘作業を始められて、続けられることによって、太平洋側でまだ不明な中生代、白亜紀前期の恐竜動物群といいますか、そういったものが明らかになって、日本の恐竜時代の新たな全貌というものが明らかになると思いますので、是非、発掘等よろしくお願いします。以上です。

(司会)
 発表は、以上でございます。これより、幹事社さんの進行で質疑をお受けしたいと思います。なお、記者会見終了後も東特別館長並び発見者の皆さまには、少しお時間いただけるということで、お残りいただけることになっていますので、それでは、幹事社さんよろしくお願いします。

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