文字サイズ

やさしいブラウザ・クラウド版はこちらからご利用下さい

平成30年7月30日 定例記者会見 項目別

全国知事会議での「防災省(仮称)」創設の緊急提言について(質疑)

(徳島新聞社)
 先週開かれました全国知事会の関連でお伺いします。防災省の創設を求める緊急提言が採択されましたが、これについての受け止めをお願いします。

(知事)
 実は、防災省という考えは、今回初めて出たことではないんです。かつては、国土庁という、ここに防災局というのがあって阪神淡路大震災が起こったときに、なかなか機能しなかった。こうしたようないろいろな話がありました。そうした意味でやはり、強烈な防災省的なものを横断的に作ろう。つまり、国土庁の防災局、あるいは、消防庁、そして、警察庁、様々な分野に分かれていたんですよね。だから一つの防災省というものを創って、そして国家的な災害に対応していこうと。
 実はアメリカにFEMA(フィーマ)っていう緊急事態管理庁がありましてね。我々も当時から研究していて、こうしたものがアメリカにあるんだから、日本にあったっておかしくないんじゃないかという話があったんですが、結果としてね、喉元すぎれば熱さを忘れると。実は私もその論議の中心にいたんです。阪神淡路大震災の時には、自治省の官房企画室にいたんですが、その発災の夜から消防庁長官付を命ぜられてしまいまして1週間寝ずに長官について、官邸だ、自民党の部会だといろんな所に行ってたんです。
 また、神戸の方にも人を派遣して。当時は、携帯電話が出たばっかりで、こんなに大きかった。ほとんどがバッテリーね。上の所にガチャって電話があるの。それを持って行ってもらってね、やったんですけど。そうした時代でしたけどね。結果的にその後、この防災省を創ろうという熱は冷めてしまいましてね。その後、全く議論がなくなっちゃった。
 しかし、その後、例えば、中越、中越沖、大きな震災が起こるんですよね。そして、なんと東日本大震災が起こるということで、この一連の流れの中で、例えば、消防庁の中に、省庁再編で国土庁がなくなっちゃったんですけどね。消防庁の中に、いわゆる国民保護法を持つということで部を創るとか。あるいは、内閣官房、こうした中に、こうした機能を全部集約しようとか、そうした動きはそれぞれありましたし、例えば、旧建設省の中っていいますか、こうしたものの構え、こうしたものの中の発展をとそれぞれ省の中で充実、農林水産省もそうなんです。やってきてるんですが、やっぱりこれだけ立て続けて国家的な災害が起こる。決して地震だけではなく、風水害でも起こるということになってくれば、やはり防災というものを束ねて、常に、平時から災害に備えると。私は、たまたま阪神淡路の経験を自治省の時代に経験して、その陣頭指揮を一緒にとることになる。そうした経験から、徳島県知事になるその前からなんですけど。
 当時の徳島県、平成14年度。私が県民環境部長の時には、防災というのは、例えば消防とかを束ねてるのは副理事といって、今でいうと、局長級ね。ここのところで一つの組織になってなかった。部長が陣頭指揮とることになるんですけどね。一回防災訓練やったことがあったんですよね。机上のいわゆる図上訓練なるもの。図上訓練という言葉があったかどうかのまだ時代だったんですけど。そしたら、こんなレジメがある訳。これいちいち30秒に一回読んでくわけね。これは本番はとてもじゃないけどできないだろうって。だいたいそのペーパーがどこにあるのか、その時はわからないわけでしょ。これを本当は全部頭の中に入れとかないとダメなんじゃない。これとっても無理だよ。しかもその時に、お互い市町村と連絡ね。当時まだ50市町村が徳島県にはあったから。全部と電話連絡するとなってたんですよ。ところがね、最後まで電話がかかってこない市があったわけ。どないなってんのと電話をこっちからかけた。今日やってましたっけ?ってね。当時そんな意識よ。
 それで翌年知事に当選させていただいて。当時はまだ、南海トラフっていう言葉はなくて、東海、東南海、とかあるいは、東南海、南海、のね2連動とか。せめて、3連動までいってなかった。そういう時代だったんですが、これにしっかり備える先端組織を常に考える。平時から災害時を、災害時に平時を考える、組織がいるだろうということで、防災局というものを創ったんです。選挙の公約にもしてましたし。そしてそれを束ねる特別職として政策監を新たに創ったと。そして自衛隊であるとか。消防、警察との横横の連絡をきっちりとれる。しかも部長ではなくて特別職。いわゆる今では3役と呼ばれています、を置くようにしたんですよね。
 ということで今では、どこの都道府県でもそうした部みたいなのができあがったじゃないですか。だから、最先端で徳島がやってきたと。実はそうした意識が、徳島県としては、常にあったということでこの世界の最先端をずっと行っていると。今日もある新聞にね、出てましたでしょ。必ず徳島県と出るわけよね。
 ということで、今回の全国知事会議におきましても、これは、ほとんど全ての知事の意識として、やはり防災省を作るべきだと。従来は割と徳島県であるとか、お隣の兵庫県ね。阪神淡路大震災を経験したということで、関西広域連合の中でも広域防災局を担っていると。兵庫県も早くから防災省といいますかね、防災庁というか。こうしたものを作るべきだという意見は出ていたんですがね。その後、三重とか至るところで、この必要性をということで、今回も立て続いて毎年のように新たな気象用語であったり、数十年に一度の危機が訪れますというが、各テレビ局のアナウンサーの皆さん方の判で押したような報道で、これを受けてすぐ避難して下さいと。次にこれが来ると。こういうことであれば、そうした専担組織がいるんじゃないんだろか。こうした思いで満場一致で防災省をということになったと。
 ですから今回単なる思いつきとかそんなことではなくて、長い歴史の中で、また、各都道府県のそれぞれ当初は温度差があったものが、徐々に被災を受けるたびにやはりそこの意識が高まってくると。本当であれば、被災を受ける前に知識、意識が高くなってくれるっていうのが一番いいんですけどね。でも、当然被災を受ければ、より高くなる。そして鉄は熱いうちに打てを忘れてしまわないように、かつての国において、せっかく阪神淡路大震災があって、危機意識が高まったんだけど、熱が冷めちゃったという、この轍を踏まないとした意味があって、今こそということで今回、そうした決議を取りまとめたということです。
 そして今回は、様々な災害対応ということで、北海道宣言を出させていただきましてね。特に、この中からは、徳島から出させていただいた案がたくさん入ってるんです。かつては、全国防災という災害に対応する枠があったんですが、平成27年度をもって終了してしまった。徳島はこの発案者であったので、これによって例えば旧吉野川、今切川、あるいは吉野川本川、那賀川と、こうした時に、毎年100億以上予算がついてきたんですけどね。そうした特別枠というものがないんです。
 でも、その後、国土強靱化という言葉が出て参りましてね。国を挙げて国土強靱化。我々としては、県土強靱化を進めていこうということで、例えば今回広島で、大きな土砂災害。実は平成26年の時にも大きな土砂災害が広島であったんです。実はその前にもあった。広島、真砂土というね、花崗岩、これが砕けた細かい砂があって崩れやすいんですよね。水を含むとということで、土砂災害の防止法ですね。これも、広島の前の前の災害がきっかけとなって、そして法律が制定をされて、土砂災害の警戒区域の指定をと。指定になるとその地域は危ないよということでの公表がなされる。しかしその前の危険であるという箇所として明示され、調査をしていく段階では、そこが危険だという表示がされていない。だからそこに開発が行われて、人が住んでしまう。そして、土砂災害が起こるというね、悪い循環。
 ただ確かにこの指定をして公表してしまうと、地価が暴落するということで、実は、土砂災害の警戒区域に指定する前には、市町村へ照会する必要がある。こういう趣旨になってる。でも平成26年のあの広島の災害、二度目被ったわけなんで、徳島から政策提言をさせていただいて、調査の段階でこれは危ない、調査を終えてこれは危ないエリアだと決まった場合には、公表すべきだ。それは、公表する制度になった。それと同時に調査を国土交通省の方から平成31年度までに全部、全都道府県が終えるようにとこうした話があったんですね。
 でも、徳島の場合には、やはりそうした提案をしたところであるので、13,001カ所あったんですけどね。これを平成28年度に全部終了する。3年前倒しでこれをやったと。そうするかたちによって、その危機意識を住民の皆さん方にも持っていただくと。当然それに対して我々行政も責任を持つ、対策を打たなきゃいけないと。こうした体制も取らせていただいたということで、こうした予算の特別枠といったものを作るべきというのも入れさせていただいているんです。
 ということで、今回、北海道で行われた全国知事会。非常に防災意識。我々としてはただ災害を受けて国民の生命財産を失ってから対策するということではなくて、徳島が平成16年、災いの年に全国知事会議で提唱した災害予防、まずこれが第一。それで、復旧、復興するに当たっても、よく業務継続のBCPというね。これも行政として都道府県レベルでは、徳島が最初にこれを作り、市町村に、あるいは商工業者の皆さん方に、漁業に、農業にと広げてきているんですけどね。それだけではなくて、やはり事前にそれが起こることが分かってるわけなんで、事前復興の概念が重要だと。これも実は今回の中に入れさせていただいているということで、ただ単に災害復旧をちゃんとやるというだけではなく、災害予防、そして、復旧、復興を想定してのBCPと事前復興と。こうした流れを作ろうと。これが今回の北海道宣言を含め全国知事会議においての大きな成果の一つではないかと思っています。

(徳島新聞社)
 提言書でも地域が消滅しかねないと、地方の危機感のようなものがにじんでますけども。一方で政府は防災省の創設に消極的なのかなというふうな感じで受け止められるんですが、そこら辺についてはどのようにお考えですか。

(知事)
 そうですね。確かに今回は、総理が広島にしても、あるいは被災地愛媛にしても、直接入ると。従来に比べるとかなり早く入るといった点がこれありましたので。トップの人がそうやって動いていただければ、どの省も、それは真剣になると。
 確かに、あるところで防災省が仮にできたとした場合、それは防災省の仕事でしょと。こうなるっていうのも確かにまずいと言えばまずい点があるんですよね。やはり常にトップが意識を持ってもらって、真っ先に現場を見てくれて、そして対応してもらうと。もちろんトップが早く行きすぎると、東日本大震災の時のようにね、非常に混乱を来すと。原発の問題ですよね。こうしたこともあるので、そのタイミングっていうのも難しいところではあるんですが。
 あるところに専担組織ができてしまうとそこがもうやるんだと、他の省も、あるいは組織のトップもね、安心してしまうと。これは確かに問題があるかも知れないので、そうしたところをどう兼ね合わせていくのか。ただ我々は現場を預かる者として、国にそうした先端組織があってくれるとワンストップサービスとして、そこに言えばいいと。そこから各省庁に対して対応が示されてくると。我々としてはそれがありがたい。ただ、国としては国の考え方がもちろんあるでしょうから、今回は我々地方を現場を預かるものとしては、極力、ワンストップサービスの窓口を作ってもらいたい。これがみんなの考えと。それが防災省という形がいいのか、それはまた国がこの玉を受けてもらって考えていただくということになるかと思います。
 現に7月西日本豪雨の時には、愛媛、高知などいわゆる当初四国の窓口は徳島と。そして岡山、広島、この窓口は同じ中国地方の鳥取と。これはまず関西広域連合がそのように定めて、そして関西広域連合の総力をそこに入れると同時に、今度は全国知事会の窓口もそのようになり、今度は総務省の窓口もそのようになるという形になりましたんでね。最初はまあ徳島にとっても、鳥取にとっても状況が分からない中で、特に鳥取は大変だったですよね。岡山、広島の両方を持ったから。鳥取もそうだし、うちもそうだし、やはり一部被災をしているところがあって、それへの対応をしながらのということなんでね。
 しかし、そうした地方の窓口にしても、国の窓口にしても、どこか一つあるというのは、非常にありがたい。このカウンターパートは、東日本大震災で関西広域連合が、「関西広域連合っていうのは機能しているよ」と言われたのが、まさにこのカウンターパート制度だったわけですからね。ぜひこうした点をこれからもこの防災、災害予防を含めてですけどね。これからの日本の常識にして行ってもらえればなと思っています。

このページに関するお問い合わせ
徳島県 知事戦略公室
電話番号:088-621-2015
FAX番号:088-621-2820
メールアドレス:chijisenryakukoushitsu@pref.tokushima.lg.jp
 
知事からのご挨拶
知事の活動記録
写真で見る知事の動き
知事発言集
交際費執行状況
記者会見・庁議