〒770-8570
徳島県徳島市万代町1丁目1番地
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- 4000020360007
(知事)
はい、それではよろしくお願いいたします。平成30年度当初予算の概要につきまして、発表させていただきたいと思います。記者の皆様方には、お手元の方に平成30年度当初予算案の特色一枚目を御覧いただきながら、お聞きをいただければと思います。
まずは、編成方針ということであります。
我が国にとって待ったなしの最重要課題とは一体何なのか。これは言うまでもなく「人口減少の克服」、本格的な人口減少局面となったということと、平成27年度の国勢調査、またこの1月に総務省から発表されました平成29年「住基台帳人口の移動状況」ですね。これらあわせて東京の一極集中がより加速化している、こうしたものが発表されているところであります。
そうした意味で、これを解決する処方箋がまさに地方創生なのだ。地方創生待ったなしとなるところであります。
そこで、徳島におきましてはこうした国の方針と当然呼応する中で、平成27年度につきましては、「地方創生元年」予算と、また平成28年度については、「地方創生本格展開」。そして平成29年度、丁度この予算のバックボーンとなりますのが、5か年の計画期間となる「vs東京『とくしま回帰』総合戦略」ということで、平成29年度が3年次目、中間年に当たるということもありますので、この29年度については、「本格展開・加速」予算とこのように銘打って行ってきたところであります。
そうしたこともありまして、「地方創生の旗手・徳島」とこのように言っていただき、様々なモデル事業に注目もいただいてきているところでありました。我々としても国の進める「一億総活躍社会」の実現、ひいては「日本創成」をしっかりとリードをしていければと、こうした気持ちで臨んできているところであります。
そこで平成30年度ということになります。今申し上げた5か年計画「vs東京『とくしま回帰』総合戦略」の折り返しが過ぎ、いよいよ後半2か年のスタートの年となるわけでありまして、これまで展開をしてきた取組みの成果を県民の皆様方にしっかりと実感していただく必要があるのではないだろうか、大変重要な2か年の最初の年ということになります。
特に南海トラフ巨大地震はもとよりのことでありますが、一昨年は発生確率が低い低いと言われてきた活断層直下型地震が4月の熊本、そして10月の鳥取県中部と相次いで起きるということになると、日本最大級の活断層「中央構造線活断層地震」に備えなければならないということで、昨年の7月には被害想定も発表させていただいたところでありました。これを受け各市町村の皆様方には、防災計画、あるいは避難所の耐震化に対しての見直しを行っていただいているところであります。
また、こうした巨大地震というだけではなくて、昨年は、初めて聞く気象用語「線状降水帯」ということで、7月に「九州北部豪雨」が起こったところでありまして、そうした意味ではこれがいつ何時徳島で起こるかわからない。起こっても不思議ではない。しかしこうした大きな自然災害を迎え撃つ必要があるのではないか。まさに、「県土強靱化」をさらに加速をしていく必要がある。県民の皆さん方の「生命・財産」をしっかりと守っていくのだと、こうした点が重要になってくるのではないかと思っております。
そこで、平成30年度予算については、「『地方創生・実感』予算」と銘打ちまして、特に総選挙が10月にあったということがあり、政権与党をはじめとして、各政党の皆さん方がそれぞれ政権公約を出された。その実行をということで、特に大型な補正予算が国の平成30年度当初予算とあわせて閣議決定を年末にされることがありましたので、我々としては、しっかりとこの補正予算を取って行こうと。特に閣議決定の後、御用納めまでの間、国土交通省をはじめ、しっかりと事業についての提言、そしてこれを徳島が引きつけるよと、こうした点も強く申し上げてきたところでもありました。今回はこの平成29年度国の補正予算と、そして(平成)30年度予算をしっかりと受け止める。我々としても切れ目のない14か月予算、このような形で編成をさせていただいたところであり、徹底した「県民目線」・「現場主義」のもと、全庁一丸となって、「県土強靱化」をはじめ、様々な諸課題に「迅速」かつ「切れ目のない」施策を展開していきたいと考えております。
そこで、編成をした予算の規模について、以下お話をしていきたいと思います。
予算規模14か月予算と申し上げたところでありまして、5000億を少し切る4978億円となり、平成29年度は14か月予算ではありませんでしたので、当初予算対比という形では、102.4パーセント118億円の増という形になりました。
また、当初予算対比といたしましても、平成30年度の当初予算4871億円ということで、平成29年度の当初予算との対比では、11億円増、9年連続の増額予算とさせていただいたところであります。
次に施策の体系について、以下3本柱に沿ってお話を申し上げていきたいと思います。
まず一番目は、何と言っても「経済・雇用対策の推進」についてであります。こちらでは、「経済加速とくしまづくり」を進展させていくために、本県の誇る二つのブルー「LEDと藍」をはじめとします徳島の強みを活かした成長産業の強化を行うこと。また大きな今特に中小企業小規模事業者の皆さん方の課題となっている「事業承継」の促進や創業支援といった中小企業を応援するための「融資制度の拡充」など、地域経済の「持続的な発展」に向けた取組みの強化を図っていきたいと考えております。
また、第4次産業革命、インダストリー4.0、世界中がという中で、なかなか県民の皆さん方にも「なんだこれ」というようなところがあるかと思うわけでして、しかし、これに乗り遅れるわけにはいかないところでありますので、第4次産業革命の要素となっているIoT、ビッグデータ、AI、こうした革新的な技術がもたらす、第4次産業革命、国の成長戦略を推進していく最大の鍵となっているわけでありまして、生産性革命の実現による経済成長はもとより、地域課題の解決にこれらを使っていくことはできないだろうか。そして、「住民サービス」の充実向上に結びつけていきたいと考えるところであります。
本県におきましては、すでにAIを活用させていただき、昨年の阿波おどり関係の時には「FAQサービス」を設け、70パーセントを超える満足度が表明をされたところでもあります。
また、今もそうなのですが、定例記者会見などでの発表、従来は取りまとめが大体4日間ぐらいかかっていたのですね。それを即日にさらには、県民の皆さん方にこれだけたくさんの文字ってなかなか読みづらいよねっていう場合に「要約サービス」を行う。ただし、10文字でということになると、NGも出てしまうので、こういったところもその正確を期すということになっているわけでありまして、この定例会見の会見録はもとより、もっともっと字数の多い、でも重要な審議を行っていただいている県の審議会、その会議録の要約サービス、徳島をまさに「実証フィールド」とした取組みを進めているところであります。
新たに官民が共同で利用することのできるデータの蓄積、多角的な分析が可能となる「IoT・AIプラットフォーム」の構築をしていきたいと考えております。
また、この第4次産業革命の中には、ドローンも入るわけでありまして、AIやドローンを活用した農業の超省力化、また高品質化、いわゆる「スマート農業」の展開やまた土木施設の効率的な維持管理手法の構築など、あらゆる分野での第4次産業革命の「社会実装」に向けた取組みをより一層、加速をしていきたいと考えております。
さらに本県の基幹産業であります国内外における競争力強化を図るべきものが、農林水産業ということで、去る2月4日グランドオープンをいたしました「ターンテーブル」など、本県独自ツールをフル活用したターゲット市場ごとの「戦略的なプロモーション」の展開、また「新規マーケットの開拓」や「新たな物流ルートの構築」など、「海外輸出戦略」のさらなる推進。東京オリンピック・パラリンピックへの食材の供給はもとより、さらにその先を見据えた「GAP・HACCP」認証取得支援など、「生産体制の強化」など、「経済・雇用対策」の積極的な展開を図ることによりまして、地域経済の成長を実感していただけるよう、こちらの分野には778億円の予算額を確保したところであります。
次に2番目の柱「安全・安心対策の推進」についてであります。
昨年の7月に公表させていただいた「中央構造線活断層地震・被害想定」では、特に揺れや火災による甚大な被害が想定される一方、建物の耐震化を100パーセントにすることにより死者を9割以上減ずることができるとされておりまして、昨年の11月定例会におきまして「震災に強い社会づくり条例」の改正を行い、建物の耐震化の加速について、明確な方向性をお示ししたところであります。
このたび、この「具現化策」といたしまして、木造住宅の耐震改修支援のうち、「本格改修」につきまして、補助率を現行の「3分の2」から「5分の4」に引き上げるとともに、「火災予防対策」という本県独自の新たな要素を加えまして、「補助限度額」を60万(円)から110万(円)へと大幅に引き上げ、全国トップクラスの支援制度へと拡充し、「建物の耐震化」を大きく加速をしたいと考えております。
また、切迫する「南海トラフ巨大地震」をはじめとするあらゆる大規模自然災害に備えた「防災・減災対策」を強力に加速していくために、広域応援・受援体制の確立など、あらゆる危機事象を迎え撃つ「災害対応力」の確保。
また、防災人材の育成確保によります「地域防災力」の充実など、「災害に強い地域づくり」に向けた取組みを積極的に展開して参りたいと考えております。
さらには、国の「消費者行政新未来創造オフィス」と連携いたしました新次元の「消費者行政・消費者教育」徳島モデルの充実と成果の全国発信。
また県北部の中核的病院であります「徳島県鳴門病院」の機能強化や、都道府県が「財政運営の責任主体」となります「国民健康保険」の円滑な新制度移行に向けました「本県独自の財政支援制度」の創設など、「安全・安心な地域医療体制」の充実・確保、またアクティブシニア、どんどん増えてこられますよね。アクティブシニアの皆さん方や障害者の皆様方が、地域でもしっかりと支えられる存在から支える存在へと活躍できる環境づくりなど、「誰もが輝き活躍する地域づくり」の加速などの取組みを強力に推進することによりまして、県民の皆様方に「安全・安心」を実感していただけるよう769億円の予算額を確保したところであります。
そして、3番目の柱「大胆素敵とくしまの実現」であります。
平成30年の夏開催「アジア初」、「第30回記念大会」となります「ウェイクボード世界選手権大会」、そしてその後にラグビーから始まり「東京オリ・パラ」、「ワールドマスターズゲームズ」、「三大国際スポーツ大会」と4年連続で、本当のところをいうと昨年10月の「ラフティング」、日本初の世界選手権から数えると5年連続で国際スポーツ大会、徳島で開催され、キャンプ地になる、これが予定されているところでありまして、インバウンドをはじめとする交流人口の拡大、また地域活力の向上はもとより、本県のスポーツ、また文化振興にとって大変重要な時期を迎えることとなります。
そこで、スポーツと文化の祭典である「東京オリンピック・パラリンピック」など、国際的なスポーツ大会を見据えた「着実な事業展開」を図りますために、新たに条例設置の「東京オリンピック・パラリンピック徳島未来創造基金」を創設することとし、県民の皆様方とともに、次代に継承する「とくしまレガシー」の創出に向けた取組みを進めて参ります。
具体的に少し申し上げて参りますと、世界トップレベルのプレーを間近に体感できる「キャンプ地誘致」の実現に向けた「受入環境の整備」。県内選手の「競技力向上」に向けた支援体制の強化など、「スポーツ王国とくしま」の実現に向け、「ハード・ソフト」一体となった取組みを推進して参ります。
また、文化事業につきましては、「阿波人形浄瑠璃」や「阿波藍」をはじめとした本県が有する「芸術文化」の魅力を、国内外に強力に発信するとともに、「クラシック」のみならず「邦楽」や「ジャズ」を含めた「あわ三大音楽」にさらに磨きをかけるなど、県民主役の文化活動を促進し、次代に誇る「あわ文化」を創造して参りたいと考えております。
さらには官民一体となった「移住交流」施策や地域活性化に向けた取組みによります「とくしま回帰」のさらなる加速、今後、4年連続で開催される「国際スポーツ大会」や徳島阿波おどり空港の機能強化を契機といたしました戦略的な外国人誘客の促進、インバウンドの促進ですね。地球温暖化対策の切り札となります「水素エネルギー」の普及など、水素グリッドということで、「脱炭素社会」の実現に向けた取組み。また、安心して子どもを産み育てられる徳島の実現に向けた、「結婚から子育て」まで切れ目ない施策の展開など、「全国モデル」を大胆に創出することによりまして、「一歩先の未来」を実感していただけるよう150億円を確保いたしたところであります。
次に、「地方創生関連予算」について申し上げたいと存じます。
「地方創生の実現」のさらなる加速、その「推進エンジン」となる何と言っても先立つもの、財源の確保について、国に対し、積極的に政策提言を行ってきたところであり、国の平成30年度予算案では、「地方創生推進交付金」が平成29年度と同額の1000億円計上されるとともに、補正予算におきましても、「生産性革命」につながる「先導的な施設」の整備を支援する「地方創生拠点整備交付金」が600億円計上されたところであります。
こうした財源を積極的に活用することによりまして、施策の3本柱を横断する形で、「地方創生関連予算」として取りまとめ、平成30年度当初予算で486億円、平成29年度2月補正予算では3億円、あわせて総額489億円確保し、「地方創生の実現」ひいては、「一億総活躍社会の実現」を徳島がしっかりとリードして参りたいと考えております。
次に、「公共事業」とその枠外となっております「県単維持補修費」についてであります。
去る1月12日県議会の皆様方の全ての会派、つまり県議会の総意として頂戴いたしました御要望をしっかりと受け止め、平成30年度は「『県土強靭化』加速化予算」といたしまして、「公共事業」と「県単維持補修費」を合わせ、14か月予算として、前年度当初予算から「128億円」の大幅増となる総額「773億円」を確保いたしたところであります。
まず公共事業については、国の補正予算の積極的な獲得を図ることによりまして、前年当初比でプラス20.1パーセント、121億円の増となる総額「723億円」を確保し、「エポックメイク第2弾」、ちょうど平成31年度、32年度、徳島東インターチェンジ、あるいは津田の地域活性化インターチェンジ、県が造るものですね、これらの供用開始年次、ここを「エポックメイク第2弾」と銘打つわけでありますが、その具現化や本県の基幹産業である「農林水産業の競争力強化」など、本県経済を支える「社会基盤の整備」はもとより、深刻化・頻発化する「あらゆる大規模災害」の脅威を迎え撃つ「県土強靭化」を強力に推し進めてまいりたいと考えております。
また、「県単維持補修費」につきましては、前年度当初予算対比「プラス16.9パーセント」の「7億円」の増と、これまでの「40億円台」が最高であったものが、史上初となる「50億円台」、つまり「50億円」へと最大を大幅更新する予算額を確保し、特に、地域に密着した諸課題にきめ細やかに対応することはもとより、災害予防、特に線状降水帯、いきなり川があふれてしまう。でも、今至る所の川の河床が砂利や何か、場合によっては木が生えて河床が上がってしまっている。こうしたものの対策の観点からは「災害予防」の視点に立った「戦略的な維持管理」によりまして、県民の皆様方の「安全・安心」の確保、またその実感を大きく加速して参りたいと考えております。
では、これだけの積極予算をした場合、財政構造は傷んだのではないかということで、次に、「財政構造改革の着実な推進」についてお話を申し上げて行きたいと思います。
「財政構造改革の基本方針」の策定をいたしまして、「強靱でしなやかな財政基盤」の確立に向けた取組みを着実に今進めているところであります。そこでまず、義務的経費の代表例である「公債費」、これまでの借金の返済あるいは利払いこうした点です。この公債費につきましては、実質的な地方交付税である「臨時財政対策債」いわゆる臨財債の関連分を除き、「11年連続の減」となる、「501億円」といたしまして、ちなみに財政構造改革の目標は、平成31年度末までに500億円(未満)、ほぼこれが射程圏内に入ったということであります。
また今度は県債残高といった点でも、臨財債を除く平成30年度末の県債残高は、5050億円程度と14年連続の減と、財政構造改革の目標は31年度末までに5000億円未満、こちらも射程圏内に入ってくると。
そして財政調整的な基金、こちらについては、さらに安定的な財政運営の基盤になるわけでありますので、平成30年度末までに770億円プラスα(アルファ)と、改革目標では平成31年度末までに800億円と、大分近づいたということです。改革目標の達成に向け、「財政健全化」を着実に推進する予算としているところであります。今後とも「歳出の中から歳入を生み出す取組み」や「とくしま“実になる”事業」など、徳島発の新たな行政手法の積極展開、クラウドファンディングをはじめとする新たな歳入確保手法など、これまで以上に知恵と工夫を凝らした財政運営に努めて参りたいと考えております。
最後、結びとなりますが、平成30年度は、夢と希望があふれる徳島、何といっても戊戌(つちのえいぬ)の干支でありますので、夢と希望が重要になってくる夢と希望があふれる徳島の新未来の創造に向けた「新未来『創造』とくしま行動計画」の最終年度ともなる年でもあります。これまで「地方創生モデル」として、様々まいてきた「種」をしっかりと実らせ、その成果をしっかりと県民の皆様方に実感をしていただく。そのためにも、ただ単に予算を作っていくということだけではなくて、その執行におきましても、徹底した「県民目線・現場主義」のもと、「一歩先の未来」の具現化、そして実感、さらには、次世代に誇る「とくしまレガシー」の創造に向けて、しっかりと取り組んで参りたいと考えております。
私の方からは以上です。よろしくお願いいたします。
(幹事社)
質問のある社は、挙手をお願いします。
(徳島新聞社)
このたび、公共事業の予算、飛躍的に伸ばしたっていうことなんですけれども、これまでにも防災対策とかずっと多額の予算を積んでこられたと思うのですけれども、今回これだけ確保できて、もしくは確保した、そこはなんで今回これだけ伸ばしたのか、改めてちょっと。
(知事)
我々、今まで南海トラフ巨大地震これを迎え撃つと、このように言って参りました。
しかし、なかなか例えば耐震化、進まないといった点もありましたし、その一方で、例えば河川整備という形、維持管理のお金、これは100%県単であったわけで、この財源をもって、逆に交付金事業であれば倍の事業ができる、国費が半分入る。そういう形で、維持管理を極力抑えてきた。こうした点もあって、まさに県土強靱化という観点では、少し脆弱になってきた点がある。
そこへ、一昨年は活断層型の直下型地震、これはもう発生確率1%未満なんていわれてきたんですね。それが、相次いで熊本、鳥取で起こった。これは現実のものだ、となると、中央構造線は日本最大級の活断層、これが動いたらということをしっかりと考え、これも迎え撃たなければならない。
さらに、昨年の7月にその被害想定を出させていただいたんですね。
これによって、市町村はそれぞれの防災計画、地域防災計画であるとか、避難所の安全度の確認あるいは強化、こうしたものを行っていかなければならなくなるのですね。もちろんそれをバックアップする県、県としても行うべきものが多々あるわけです。
さらに、これに昨年の7月は線状降水帯ということで、九州北部豪雨ということで、41名の尊い命を失う、しかも一瞬にしてということでね。これはいつ何時徳島に起こっても不思議ではない。川がいきなりあふれてしまう。じゃあ、今の川の安全度、これでいいのか。こうした点を全て考えると、当然県民の皆さん方の不安を大きく実は、これは煽る形になるのですよね。
これはやはり、実感として安全度が高まっていくのだということであれば、やはりここで一度公共事業、カンフルしっかり打っていく必要があるのではないだろうか。そうした思いはこれまでも国に対してもしっかりしてきたところ、総選挙の選挙公約の中にも入ってきた。
これは、全国知事会を代表して総合戦略政権評価特別委員長として、ほとんどの政党に提言行ったわけでしてね。こうしたものの中に、国土強靭化この話はしっかりと入れ、ほとんどの政党が反対するところはなかったのですよね。
ということで、今回政権与党の皆さん方も、新たな平成30年度の予算、あるいは平成29年度の補正予算として、大型の補正予算を組む。また、14か月予算としての切れ目のない予算という形で来ると。当然これをしっかりと活用する、しない手はないだろうと。これはもう閣議決定12月行われましたが、その後の御用納めまでの12月27日に、しっかりとこういった点についての提言と徳島が引き受ける旨、これらは国土交通省をはじめ、お話をさせて頂いてきた。
こうした形で、国にせっかくその思いが届いたわけですから、これをしっかりと使わない手はないだろうと。
そして県単維持、こちらについても実は起債制度がなかなかはまらなかった。特に河川とかですね。道路とか一部の農業基盤にはあったわけですが、河川とか港湾とかこうしたものには対象にならないということがあった。
こうした点については、国土交通省と総務省両方に提言を行う形で、平成30年度からそうした新しい起債制度が盛り込まれることになったところでありまして、こうした政策提言の成果もしっかりと受け止めるなかで、これは財源の平準化という観点から、逆に県単維持、こうした点について積極的に対応することができるということで、これまでにはなかった50億円台をいよいよ切り開くということになります。
もちろんこれらについては、きめ細やかな事業ということでありますので、それぞれの公共的施設である河川などの安全度を高めるだけではなくて、地域経済の活性化にも大きくこれは寄与するものであると考えております。
ということで、我々がこれまで政策提言これは全国知事会で、あるいは徳島県で様々行ってきたその成果をしっかりと取っていく絶好の環境が訪れた。
また、県議会の皆さん方もしっかりとこうした点をやるべきじゃないか。県議会からも100億の対前年増を提言いただいたわけで、しかも全ての会派というまさに県議会の総意と。
そうした点で、これはまさに千載一遇のチャンスが来たのではないか。こうした形で積極的な、そして県土強靭化加速化の予算という形をとらせていただきました。以上です。
(徳島新聞社)
文化事業に関してなんですけれども、先ほど説明された中で、県民主役・県民主体ということも強調されていたようですけれども、今年度の予算そういう編成になったのは、やっぱり今年度、とくしま記念オーケストラ事業で、県の文化事業が音楽に偏っているだとか、クラッシック事業に偏っているっていうような指摘が色々県議会とかからあったかと思うんですけれども、ここら辺はやはり踏まえてというか、それを意識されての編成だということでしょうか。
(知事)
それはもちろん、県議会でのご論議こうした点踏まえてですね、やっぱり今回大きな目標であるベートーヴェン「第九」アジア初演100周年、この事業をまずは達成をすることができるということがあれば、当然次への展開と。当然、それだけクラシックをはじめとする音楽さらには文化事業に対して県民の皆さん方が関心を持っていただけるということになれば、やはりただ単にお客さんとして聴くというものから、やはり今度は自分たちでやってみようよ、あるいはやっている人を応援しようよと、こういう新しいフェーズに入ってくる。
実はこれ、文化とスポーツって全く双子なんですよね。よくスポーツが、今までは例えばプロの試合を観戦することが主だ。野球もサッカーもね。しかしそれだけじゃ、やっぱりまずいじゃないかって。やはりそれに対して、応援をする。様々なボランティアか何かですね。あるいはDO、してみようって。自分たちもやるのだ。
だから、実は同じことなのですよね。少し文化の方が周回遅れているっていうかね。タイミングが遅れているっていうのはあるわけなのですけどね。しかしそれだけスポーツの方が今まで身近だったということもある。これは、例えば糖尿病対策とか、様々な観点で運動しようと。とくしまマラソンまで作ったわけですからね。そうした意味では、スポーツがちょっと先行したと。
そういう中で、二度の国民文化祭を経て、ベートーヴェン第九アジア初演100周年これも迎えると。
しかも、これが国家的な行事として、安倍総理がドイツの大統領とも会見をして、日独双方でね、このベートーヴェン第九アジア初演にまつわる事業、これを外務省がロゴマークを作るとか、そうしたものに対して応援しようPRしようということまでなってきたわけですんで、そうした意味では我々が今まで色々な形で、例えば平成19年度、平成24年度、二度の国民文化祭で「あわ文化4大モチーフ」、「阿波藍」、その富で築かれた「阿波おどり」、「阿波人形浄瑠璃」、そしてベートーヴェン「第九」アジア初演の4大モチーフをずっとやってきたわけですよね。そしていよいよ100周年、こちらが訪れてくると。
そして国も動く。ニーダーザクセン州と徳島県、鳴門市とリューネブルクと。この形で板東俘虜収容所、ベートーヴェン「第九」アジア初演の舞台となった、その奇跡の収容所の史実を今は、例えばアメリカが典型ですけどね、どこどこファーストと。やっぱり自分の国だけよければいいということではなくて、やはり今こそ地域紛争だ、第三次世界大戦だっていうのではなくて、世界平和、これをやはり象徴として、今回のこのベートーヴェン「第九」アジア初演、こうしたものをしっかりと印象づけ、その意味でユネスコの今回「世界の記憶」にチャレンジをしていこうという話にも日独双方で決まったところでありますんでね、我々としてそうした次のフェーズにやはり文化も、少しスポーツと比べるとでも遅れている部分はありますのでね、そうした点、東京オリンピック・パラリンピック、オリンピック憲章にある世界最高峰のスポーツと文化の祭典だ、ここに向けてしっかりとレガシーも作っていければな、このように考えています。
(徳島新聞社)
新しく作られた基金、今回5億円積まれていると思うのですけれども、基金の規模については、次年度以降の話とか補正とかの話になってくるかもしれませんけれども、その見通しとしては、今後5億円規模で今後もやっていくのか、さらに増やすとかもう少し、減らすということがあるのかどうかわかりませんけれども、そこら辺のお考えはありますか。
(知事)
当面はこの5億、議会の方にまずはご理解をいただいてね、通していただくと。当然どういうふうに使っていくのだというところからの規模感が出てくると思いますんで、まずは我々としては5億ということでやっていければと。
もちろんその中で、県民世論であるとか、さらに加速をすべきだとか、様々なことがあれば、当然その逆があるかもしれませんしね。
そうした点について、当然それは予算ですので、これは変更していくってこともあり得る。ただ、今のうちから5億変更ありき、なんていうことはあり得ない話ですんでね。まずはこの5億円でしっかりとお認めをいただければ、これを有効に活用していければとこのように考えています。
(徳島新聞社)
公共事業予算に関してなんですが、最初のご答弁にもしかしたら重なるかもしれないのですけれども、この128億円大幅増でかなり確保するのに苦労されたかと思うのですが、どういう点に苦労されて、確保する上でどういう点で工夫されたかっていうのを、ちょっと教えてください。
(知事)
やはり、今もおっしゃっていただいたように、こう被る部分っておっしゃられたように、やはりこれが必要だということは、これだけ巨大災害、そして局地的な豪雨、地球温暖化がなせるわざともいわれるわけで、これは国土強靭化という名で今、国も一生懸命やってこうとしているのですが、なかなか財源が伴ってこなかったのですよね。
実は、今の二階幹事長さんが、国土強靭化の命名者でもあるわけですが、これを作られ発表する前にお話をいただいて、実はこれ知事のために作ったのだからなっていうような冗談半分本気半分と。
つまり、当時は南海トラフ巨大地震を迎え撃たなければならないのだと。そのために、あまりにも財源、国の支援が少なすぎるということを、機会あるごとに様々な場で提言をさせていただき、当然二階先生にもお話をさせていただいた。だから、国も本腰でこれやるからと。
実は、災害予防も同じだったのですね。これも全国知事会の場で、災害予防という言葉、これは全国知事会で大折衝になりましてね。私は全国知事会裏切るのかって、三位一体改革の時に、公共事業予算を一般財源化の対象にするのだっていうのが、当時の全国知事会長さん、岐阜の梶原、当時は会長さんだったですけれどね。それと、後に総務大臣になる増田副会長さん。そして今は参議院議員をやられている、岡山の石井知事さん。この方が、総務委員長さんだったのね。この皆さん方が、やはり公共事業も例外なく、このときは義務教(育費)の経費ですね、この国の負担金、これを削減の対象にしようとしていたのですが、これに公共事業も加えようと。
そうなった時に、当時ちょうど災いの年と言われた年だったのですね。平成16年。もう立て続けに台風が来たということで、徳島の方としては逆にこれを一般財源化すると例えば税収になりますので、人口の多いところに行っちゃうとかね。じゃあ東京都がそれだけしょっちゅう集中豪雨を受けるかっていうとそうじゃないのですよね。やはり地方というところが多いわけなので、それはやはり国の方でプールをしといてもらって、そして必要なところへ出していくと。こういった形を提言させていただいて、当時概念のなかった災害予防っていうことを言ったのですね。
そしたらこれに対して、今言った3名の方から、徳島県知事は知事会の方向性を裏切るのかっていう話、きつい言葉言われましてね。いや結構だと。そうしたら実は九州の知事さん方がもうどんどん席を立つ。台風が近づいてくる、戻ってくれという中で、彼らが我々は徳島の知事に賛成だと災害予防賛成とみんな言って帰ってくれて、三位一体改革で実は公共事業予算を一般財源化することを、知事会はそのときに止めたのです。
その代わりに決議をした。これが、災害予防という概念をやっぱりやるのだと。今までのように災害を受けた後に、災害復旧でやる。そりゃまずいじゃないかと。国民の生命財産を失ってから、そして税金でそれをまたカバーすると。そうじゃなくて、税金で先に安全度を高めて、国民の生命財産をしっかり守るのが本来だ。
そして、初めて国がその年度中に災害予防名目で国土交通省あるいは農林水産省補正予算を組んだのですね。これが、国の当初予算の制度化になるのはしばらく時間がかかるわけなのですけどね。
こうした長年の徳島の取り組みといったもの、これらもひとつが今回の形に出たと。もちろん10月の総選挙、ここに向けて10の提言を全国知事会が取りまとめて各政党にさせていただき、私が全部持って行ったのですけどね、委員長として。このときにもはっきり国土強靭化の話、そしていわゆる災害予防ですね。こうした点も強く言って、どの政党も皆、そらそうだという中で、今回大幅な補正が組まれた。
ですから、国土交通省の局長の皆さん方にも言われたのは、そうした形で知事会はじめ徳島県が、非常に世論をきっちりと均しといてくれた。その必要性について強く訴えかけてくれた。これが、予算を取りやすかったよと。
当然霞ヶ関っていうのは、井戸を掘ったところを大切にしますから、そういった点について、我々もすぐさまだから年明けてから普通はみんな行くのですけどね。それじゃ遅いと。もう閣議決定されたらすぐに、そして御用納めまでに行くということで、12月27日に局長たちを訪ねた、こういうことなのですね。
実は、昨日も各局長たちを回ってきたら、今回、お礼に行ってきた部分もあって、次の提言もさせていただいたのですけどね。いやもう本当に環境が良く整ってありがたいと。これからそうした国土強靭化についての予算といったものをどんどん言いやすくなった環境にあると。これは財務省もそうですし、あるいは世論といったことね。これだけもう激甚災害が毎年起こるわけで、しかも毎年違う災害が起きるわけだから、当然国土強靭化についての国民の皆さんの関心は高いと。そうしたものの井戸を最初から掘ってきた。平成16年から掘ってきたのだから徳島は。当然ね、そうしたものについて苦労はあるわけなのだけど、当然その実りといったものも得られると。やはり、苦労ないところに実りはないということは事実だなと。そう実感をしたところですね。私が実感していてもだめなのですけどね。県民の皆さんに実感してもらわんとだめなので。あとは県議会の皆さん方にご理解をいただくということが重要と思っています。
(読売新聞社)
入ってくるお金が、人口が減って限られてくる中で、公共事業とか今回維持補修でお金を増やしましたと。で、公共事業とか維持補修ってこれからも当然発生してくるお金で、ずっと、今回過去最大ですけれどその規模でやっていくわけでもないのでしょうけどね、継続してかかっていくお金っていうのがあって、どっちかに力を入れると、どこかを削らないといけないというか、配分するのが知事のお仕事だと思うのですけれどね、そこの難しさみたいなこと、今回、あとこれからについてどうお考えなのかなっていうのをちょっと聞きたいのですけれど。
(知事)
まず二点ですね。
一つは、例えば典型的なのが県単の維持補修費。これを一回ある川の河床を全部さらえましたと。それ一年で終わりかと、効果が。これしばらくもつのですよね。でも放っとくと、どんどんどんどん嵩張って、今までも高くなる、一年だけでも、より危険度が増してくると。そうすると被害が大きい。それで被害が出た場合に、災害復旧でものすごく膨大なお金をかけるわけですね。
だから、災害予防の大きいところはそこのところで、我々が言って、国土交通省が検証して、だいたい100倍の比があると。災害予防でかけるお金、災害予防しなくて災害復旧でかけるお金、これを比べると100倍ある。ということを考えると、長いスパンで考えると、ここを増やすというのは非常に財政的な効率は高まるということなのですね。
昔のように、例えば農道林道を100年かけて造っていくと。こうするといわゆる食べるためのこれ公共事業じゃないかっていって、批判をだいぶんされたのですね。つまり、それを要望した時にいた人たちはもうほとんど完成の時いないと。場合によっては、それが災害を招くということもあった。だから、そこのところはやっぱり変える必要があるだろうということで、公共事業の検証システムも作り上げたわけなのですよね。
だから我々は、災害予防という案を平成16年度知事会に出し、国の方もそれで補正予算を打った。このときから、大きく日本の公共事業の在り方は変わってきた。ただ、これが当初予算の制度となるのはまたしばらく数年かかったのですよね。
そういう形で、この公共事業の在り方。たくさんこれを増やしたら後々大変なのだということがだいぶ変わってくる。
そして二点目、これはじゃあ、そうはいっても財源はいるでしょということについては、いよいよ消費税が来年上がってくるのですよね。
今は例えば少子化対策、今その分の財源がないのだけど、他を工面してそうした少子化対策に向けているわけですよね。ところがこの財源が今度出てくる。となると、ここが浮くということが考えられるわけですよね。
だから、そうした点も当然、今先取りして少子化対策、ほかの分を圧縮している。これはかなりの額っていうことになりますので、我々としては常に先取りをするもの、そして後年度負担がなくなったのだったら、じゃ次のものをそこに考えると。これが実は財政の一番の要諦なのですよね。
つまり、いつまでもだらだらだらだらかかるもの、昔の公共事業のような。これはやはり構造を変えなきゃならない。そして先取りをして、より効果を出す。災害予防ってまさにその典型。あるいは少子化対策がそうですよね。今のうちに打たないと。そして人口が増えることによって、財政構造も変わってくるということになりますのでね。
しかし、これについての財源が来年、これは来ることがわかっている。であればと、今少し公共事業を。今ずっと我慢したその分を少子化に向け、でも今度は少しそこを出していくと。そして来年この分についての少子化の先取り分っていうのが無くなる。
こういう財政構造っていうのは今年だけ考えるのではなくて、次年度、あるいは5年先くらいを考えてフィードバックしていくと。その意味では、先ほど維持管理の部分について、河川などについて起債が無かったという話申し上げましたよね。本来は6年、7年、10年ぐらい保つのであれば、起債をはめて平準化をすると。10年間効果があるわけなのだから、10年分割でいいはずだよね。ところが今単年で行かなきゃならない。となると当然規模を10分の1にしなきゃならない。
だから、こうした点についても、制度要望というものをし、実ったわけなので、いよいよ発動することができると。
だから常にやはり財政発動の部分と後年度負担、それに対しての財源、この3つを考えマトリクスとして、そしてじゃあいつ何時これを打つのか。できれば効果的なものであれば少し先取り、他を我慢して圧縮してでも出していく。このことの方が、効果が高かった。
今回は、まさにそのちょうど特異点に達したと。これは国も我々提言してきた地方としても、ぴったり期を一にするということになるのではないか、このように思っています。
(幹事社)
他ありますでしょうか。無いようでしたらこれで終了いたします。
(知事)
はい、よろしくお願いします。