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平成25年11月11日 定例記者会見 項目別

教育委員会制度等のあり方について(質疑)

(時事通信社)
 教育委員会の組織についてなんですけれども、首長部局のほうに教育に関する執行機関としての役割を担うというのもよいのではないかという方向性も出ているようなんですけど、このことについての考え、受け止めと、ちょっと前の話なんですけど、全国学力テストの公表の方法について、学校別の成績も公表したほうがいいんじゃないかという話が出ているんですが、このことについてはどのようなお考えでしょうか。

(知事)
 まず、前段の「教育委員会制度」これをどうしていくのか。そろそろ戦後行ってきた教育委員会制度について、いじめの問題とかいろいろあって機能していないんじゃないかとこうした点もあり、その前の段階からもそろそろ体制を変えたらどうだろうか、元々この「教育委員会」というのが「地教行法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)」という法律の下に作られていまして、首長から独立をされている。知事にしても市町村長にしても、そこと別の組織の「教育委員会」という独立の機関でこれを行う。
 しかし、この機関ていうのは、実は直結しているのは「文部科学省」なんですよね、国と直結するという形になっていまして、知事とか市町村長の権限ていうのは、その事務のトップである教育長さんを選ぶというのがひとつある、これが当初。
 実は、地方分権の流れの中で、教育長は国の承認制だったんですよね、任命制みたいな、許認可みたいな形がありまして、同意を求めなければならなかったんですが、それが無くなった替わりに教育長さんを特別職として、いわゆる教育委員の一人とする。教育委員はもちろん全員「議会同意案件」ということでしたので、今までは首長がこの教育長さんを、文部科学省の協議があったんですけどね、議会にかけることなく決めることができた。それが議会の同意人事になった。そして、その教育委員さんが集まって互選で決めると、これが今の体制ということなんですね。
 ということで、そろそろ知事部局の中に、あるいは市町村長部局の中に、「教育委員会」をはめこんでもいいんじゃないのかと。つまり、そうすることによって、県民あるいは市町村住民の皆さん方の意見が、直接教育にも反映をされる、ワンクッションを置くことがないというのが、今、御質問のあった「これを首長部局に入れたらどうか」という一番強い理由なんですね。
 確かに、昔は首長さん達が、校長先生とかいろんなところの人事に口を出して、それが選挙に使われる、これはいかんということで、教育は政治から中立させるんだ、こうしたことで独立機関としての法律も作られたといった点は歴史的にあるわけなんですけれどね。
やはり、今の時代、そうしたことが行われる、全く無いとは言えないんでしょうけどね。
 しかし、そうしたことは逆に言うと4年に1度首長さんを替えることは住民の皆さんができるわけですから、そうした成果の中で、それは指摘をされることとなりますのでね。これからどうしていくのか、二方向あるわけですが、やはり首長の意見といったものが教育行政の中にもっともっと反映をされるべきであるといった点については、どういう意見についても共通と思っています。
 そして、この中で教育委員会が首長さんに対しての、教育についてのいわゆる牽制機関といいますか、第三者機関としていろいろな提言をしていくとか、まずい点については、「これはおかしいではないか」と指摘をする審査機関とか、いろんな呼び方があるかと思うんですが、そうしたあり方というのは確かにあるであろうと。今後、どういう方向になっていくのか知事会の中でも非常に今議論になっている。
 ただ、大きな方向としては知事会も中教審も皆同じだと思うのですが、やはり、首長さん達、住民から直接選ばれる首長さん達が教育に対してはっきり意見を出していくということが必要であろうと。ただ、体制として「教育委員会」という独立機関を持つのか持たないのか、「教育委員会」という事務局を首長部局に持ってくるのか持ってこないのかといった点は、もう少し議論が必要になってくるのではないのかな、このように思っています。
 ということで、後段の今度は「全国学力テスト」、学校別に公表する、しない、静岡県が一つの事例として少し物議を醸し出していましたけれど、やはり、何のために学力テストをやるのか。この原点に立ち返る必要があると思います。
 やはり、この「ゆとり制度」ということで、「ゆとり学習」ということで一時期は非常にもてはやされた。我々が子どもの時というか、勉強してた時から比べると「ゆとり、わー羨ましいな」ってね、我々は「詰め込み教育」とも揶揄されましたけど、しかし、それも非常に良い点があったし、でも、それが「勉強しなさい。しなさい」言われて、それが故にかえって時間を大切に使うと。いや、勉強もしなきゃいけない、でもねスポーツもしたい、音楽もしたい、遊びもしたい、それによって、時間をいろいろ考える、節約をする、あるいは集中力を高める大きな効果はあったわけなんですけれどね。「ゆとり教育」というものに大きく舵をこの日本の教育はとってしまった。
 しかし、その結果、何が出たのかというと、我々の時は大体、数学でも算数でも学力のいろんな点については、世界で一番、これは皆さんの世代でも同じだと思うんですけどね。昨今では見る影ないですよね。ということで、各学校でしっかりと「学力テスト」を行って、本当にいいのかどうなのか、こうした点をチェックをしていこうと、そして、それを教育現場にまたフィードバックして、そしてもう一度、直すべき点は直していく、伸ばす点は伸ばしていく、こうした形に使われるということだったですね。
 ということで、ただ単に学校間の競争のためにこれを使うとか、都道府県間の競争のために使うっていうことにはあんまりなかった。後段の都道府県間の競争は、これは一応、都道府県別には発表ランキングがされますんでね、競争にはなるんですけどね。学校の中では、それは敢えてしないということになっていたんですね。
 しかし、各都道府県の中には、例えば、都道府県ランキングとして非常に低い位置をひいてしまうと「この責任は教育現場にあるんではないか」ということで、お隣っていうか近いところでもありましたよね、「全部発表するんだ」みたいなね。しかし、本来あるべき姿っていうのは、そういった学力テストのために勉強をしてもらうということではないはずだったわけですからね。もちろん、そうしたことが競争を煽って、競争することによって更に切磋琢磨になる、こうした意見があることは敢えて否定はしないわけですけど、やはり、本来あるべき姿、これをしっかりと考え、これをデータとして今後の子どもさん達の学力を推進をする、そして、ただ単に我々の時のようにテストで良い点をとれるということではなく、「本当の教養を身につける」これが今、日本の国に一番求められる点、やはり、海外といろいろなことで対応してくる場合の歴史認識にしてもそうだし、歴史観にしてもそうだし、アイデンティティーにしてもそうだし、こうした点について残念ながら、我々の世代もそうした教育を受けてこなかったといった点がありましてね。今、国際関係がいろいろ複雑になってきた時に、やっぱりそこの点、もう少し教育のあり方を考える必要がある、これは私も本当にそう思っています。
 やはり、「学力」というだけではなくて「教養」、本当の「教養」を身に付ける、これをもう一度日本は考えるべきだと、これは自分がそういう世界を歩んできた時にも如実に感じるものでありますんでね。本末転倒にならないように。また、目的と手段を誤らないように、これだけは各方面にお願いをしておきたいなと思います。

(時事通信社)
 つまり、学校別に公表することに関しては否定的な。

(知事)
 敢えてそうする必要はないと。もちろん、そうした点を必ずフィードバックをして自分のところがどうであるといった点は、もし、良いならば伸ばせば良いし、まずいならばまずいなりにしっかりと教育の中でそれは対応していくべきだ。やたらどの学校がどうで、ランキングがどうでと、そうしたものは一番の本質を見失うということですね。競争することは良いことなんですよ。ただ、競争が目的になってしまったら終わってしまうということなんですね。競争はあくまでも手段。教育を向上させる、そのための参考として使う、これは意味があるということですね。

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