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平成26年5月19日 定例記者会見 項目別

法人税改革について(質疑)

(時事通信社)
 法人実効税率の引き下げについて議論されてると思うんですけど、知事としてこの法人実効税率の引き下げについて、必要性について知事はどういうふうに考えているかということと、それから財源の穴埋めに中小企業で、今まで赤字で、免税、税払わなくてよかった所からも一部課税した方がいいんじゃないかという、そういう議論があって、もめてるようなんですけれども、知事としてこのあたりどういうふうにお考えでしょうか。

(知事)
 はい。まず、法人税ね、実効税率を下げよう、これもう昔からの話ね。日本は確かに法人税っていうのが、諸外国に比べると高い。だから、例えば、東南アジアであるとか、これからいわゆる成長していこうという国々はね、どういう整理をするかといえば、日本の名だたる企業の所に行って、「うちに本社を移してくださいと、そしたらこんだけ得します。」という形で、税金でもって勝負されるわけね。そうした話がどんどんこう流布される。ていうことで、歴代政権の中で、必ずこの実効税率を落としていこうということは言われてきたんですね。で、そうすることによって、日本の企業が海外へ出ていくのをこの防がなければいけないと、いう形なんですね。だから、どちらかというと、攻めの話じゃなくてね、守りの話になってくるんですよね。で、今回の場合に、もういよいよ抜き差しならなくなったと、もうよその国と比べると、本当に確かに日本の法人税の実効税率は高くなっちゃったんですよ。10ポイント以上差がある。じゃ、これをまず下げていかなければいけない。
 しかし、当然のことながら、これを下げるということになると、この間、消費税上げたばっかりですよね。それも、日本の財政が厳しいから上げたんだと。で、その一方で、法人税をがばっと落とすということは、税収が落ちるわけですよね。これ下手すると消費税を上げた分以上にマイナスになるかもしれない。これからどんどん景気が良くなりますからね。だから、そうなった場合に、じゃ地方も含めて、国だけじゃなくてね、どっかでこれを穴埋めしなければいけない。まさか、それが故にね、消費税をまた上げるんだと、これは理屈にならないわけだから。やはり、税の中立性ということを考えると、法人税のなかで、それは勝負をしていこうということで、今御質問2点目にあった、いわゆる外形標準っていうね、例えば、その企業が持っている土地、この資産価値であるとか、あるいは、従業員数ね、これは変わらないわけなんで、これを外形標準という形で、こうしたところに課税をかける。今、日本の法人税っていうのは、赤字の企業はゼロね。例えば、ボンっと10億、20億払っていた所が、決算赤字になったらゼロになるんだよね。ていうことで、この外形標準課税を導入をした時の議論というのが、おかしいじゃないかと、日本で当時、黒字の企業って4分の1しかなかった。つまり、4分の3の企業は赤字なの、有名な会社でもね。だから、法人税を払ってないわけよ、法人事業税も払っていないわけ。4分の1の企業が、その日本全体の法人税を賄うってこれおかしいじゃないと、やはり、薄く広く賄っていただこうということで、この外形標準課税、これを導入した。しかも、どこで線引きするのかっていうのがありましてね、資本がね1億円を超える企業にかける、つまり、1億円以下の企業はかからない、こうなっていた。つまり、だから、中小企業は助かるわけね。
 しかし、今回は、その穴埋めとして、もう少しこれを下げたらどうだろうかと、つまり、中小企業も含めて外形標準課税をかけていこうと。しかも、外形標準課税、今全体の4分の1しかかかってない。これフルに今かけてないわけなんですよね。法人事業税のなかであれば。これ法人事業税なんでね。こういう形で、我々としては、確かに痛しかゆしの部分ね、日本の企業が海外へどんどん本社を移して税収が上がらない、あるいは、そうなると本社機能が海外に行ってしまうと、当然のことながら採用もそこ中心に採用なってきますからね。これ大変だ。かと言って、でも、税収が落ちる分を、外形標準課税を中小企業にまでかけていくと、これせっかくアベノミクス3本の矢のその効果といったものがね、大企業にはもう及んでいる。しかし、中小・小規模事業者の所にはまだ来ていないというなかで、で税金上げちゃうのかって、これ死活問題になりますよね。だから、非常にここは判断が難しいところになるんですね。
 ところで、この外形標準課税、世に出したのは私が税務企画官の時でしたからね。総務省っていうか自治省の。自分が作った税でもありますんで、非常に辛いものがある。これが脚光を浴びるっていうのは非常に嬉しいんだけど、当時のその考え方っていうのは、あくまでも、やはり日本の企業全体で税負担っていうのはすべきじゃないかと、4分の1がするっていうのはいかがなものかというので、国会議員さんであるとか、当時の知事さんたちとかに理解を求めましたよ。もう行脚しました。結局はもうこれが導入することにこうなったんですけどね。
 だから、ここのところ、本当に国策としてやっていくんであれば、法人実効税率は下げるべきだし、しかし、その穴埋めをするに当たってどうするか。これをほかの税に求めるっていうことは、これはあり得ない。税の中立からいくと。ましてや、それでもって消費税を上げるなんてことになったら、もうこれは国民の皆さんに理解を求めるのは難しい。ここをどうするかですね。しかし、少なくとも赤字の企業が税を払わない、ということについてはどうなのかと。確かに、その企業の皆さん方も、外形標準課税を導入をするという話をね、世に出した時には、「いや、うちは固定資産税を払ってるからいいじゃないか。」とかね、「いや従業員に対しての分については、ちゃんと所得税を払ってるんだよ。」って皆さん必ず言うよね。いや、そうとは違うでしょって。皆さん方、法人税、法人事業税、赤字になったら出さないでしょ、それおかしいでしょって。いう形でこう言ってきて、最終的には納得をしてもらったところもある。
 でも、フルに入れなかったというのは、十分納得はしてくれてないのよ。ていうことで、本当は税の論理からいくと、薄く広く、赤字であっても、まあしっかりと払っていただくといった点は必要なんじゃないのかなと。しかし、一番難しいのはどこで線を引くかっていうね、今の1億円超といったものをどうやっていくのか。こうした点は非常に大きな課題になってくるんじゃないかと。実は、この外形標準課税を入れる時っていうのは、企業間の不公平感、これも一つあったんですけどね、これを是正すべきだと。もう一つは実効税率を落とそうといった意味でもあったんですよね、当時。確かに実効税率は落ちるんです。実効税率っていう観点からいくとね。しかし、少しなんですけどね。しかし、今回はもう国をあげて大胆に法人税の実効税率を落としていこうと、こうした話になってきましたのでね。いや、繰り返しになりますけど、難しい、悩ましい問題ではある。でも、多くの企業全体に薄く広く負担をしていただく。これは正しいんではないかと。しかし、これも景気の底上げとの問題、どうしていくのか。この二律背反するものをどう成立をさせるかっていうことが一番のポイントと。今日の段階としては、この難しさと、その着眼点、どこに課題があるのか、ここを申し上げるに留めるしか今の段階ではないですけどね。
 おそらく、政府税調の中でもこれを今後議論をしっかりしていくということになっていますから、こうした点については我々も直に関わりがありますので、全国知事会の中でも今日ちょうど、税財源の小委員会が開かれてますのでね。そうしたものの中の議論といったものがどういう形になっていくのか。私も今日記者会見がなければ、そっちに行っててもよかったんですけどね。まあまずは記者会見ありますんで。今日は、富山の石井知事と鳥取の平井知事にお任せをしているところなんですけどね。まあ、こういう形でこれから確かにこれは大きな日本の国策をどう決めるか、ここの点になってくるかと思いますね。

(幹事社)
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