文字サイズ

やさしいブラウザ・クラウド版はこちらからご利用下さい

平成26年5月19日 定例記者会見 項目別

県内業者への木材供給不足の懸念について(質疑)

(徳島新聞社)
 すいません。ちょっと林業の話が出ましたので、徳島新聞のほうで日曜日の朝刊に書かせてもらったんですが。あえて、企業名出さないんですが、ちょっと。小松島の方に新しい大手の製材工場ができまして、県西部の製材業者さん、複数社から苦情がありまして、私の方で取材したんですが、美馬の木材市場の方にですね、新規の大手工場が、製材で使われるA材がほとんど流れていなかったと、私も市場に行って森林組合に行って取材して、実際流れていなかったと。こういう実態があるということで記事にした訳ですけど、その新規の需要、新規の会社はともかくとして、あの、県議会で去年の12月4日、本議会で当時の農林水産部長が「新規の業者は増産分で対応する。既存の需要者、県内業者さんには影響与えない」と、答弁しているんです。地域限定とはいえ、そういう影響があったんです。というのが、分かったんです。そのことについて、知事の御見解を御説明いただきたいんですけど。

(知事)
 もちろん先ほど、そうした現象も捕まえての上で「極点社会」の話で申し上げたところなんですね。もともと林業については、なかなか難しいと、もう日本で林業無理だと、これが、例えば私が知事就任した平成15年5月の段階では、そんな情勢だったんです。
 でも私は、それは違う。逆に林業は、もともと徳島はじめ、日本を支えた底力のあるもので、「WOOD JOB!」映画の中でもありますように、要は、三世代をかけてやっていく息の長い業。そうなってくると、三世代前の時、日本、徳島がどうだったかというと、徳島すごかったんですね。つまり、それほど、しっかりとした財産があった。ただその財産を使い切れないシステムになっている、もうシステムが崩壊していたわけですから、しかし、これをしっかり構築し直す絶好の機会が来るんじゃないかと、全国に先駆けて。最初言われましたよ。徳島の知事、変わっとるなと。でも、いやそれは違う、絶対にこの日がくるんだと、そういうことで、実は、「林業再生プロジェクト」をスタートさせた、もちろん、そのときは、県内だって皆さんに言われましたよ、「無理、無理」って。「いやそんなことはない」ということを言って、ようやく。でも2年でスタートできたね。2年間、もう言い続けた。ただこのときにも、さっき申し上げた、木を伐り出していく「川上」、そしてこれを製材をしていただく「川中」、そして、最終的には、これを消費をする、例えば「杉材でもってね、徳島で家を作ろう。」こういったもの、あるいは、我々、公共施設を木材どんどん活用する、「川下」に分かれる訳ですけど、これをすべて動かすのはかなり時間がかかる。
 そして、今、材の話が出ましたが、材を大きく分けると、今はA、B、C材と3つに、3種類に分かれる。A材は、これでもって家を建てると、梁に使うとか、あるいは、床柱に使って、いい材。だからA材。そして、B材というのは、合板に使っていく、これは加工していくわけね。そしてC材、チップにして圧縮ボードにして、MDFとか、まあこういうやつ、更には、最近はやってきてるバイオマス、発電にしていこうとか、ボイラーに使っていこうという。まあチップで。今後こういったC材、とバイオマスのところ切り分けて、D(材)というところ、つくろうかというのも、出てきてるくらいなんですけどね。
 実は、なかなか、このA材を(大量に)取ってもらえるところがなかった、しょうがないんで最初は、間伐からいこうと。従来の徳島も、日本もそうですけど。もう植えた人工林、うちは杉が多いんですけど、ひょろひょろひょろひょろ、もやしのようになると、なぜかというと、これも「WOOD JOB!」見てもらいたいんだけど、間をきれいに間伐をしていって、栄養を与える、太陽がたくさん入ると、そうすることによって、いい木がどんどん育つというね、まあ剪定なんていうのもよくやりますよね、あれと同じですよね。ところが、従来そんな(搬出する)ことなかなかできないと、バッサバッサ、伐ってね、もう切捨間伐、ところが山で切り捨てるもんだから、どんどんこれが台風などで流れて川をせき止めてね、二次災害を起こす、あるいは、ひょろひょろしたものばっかりだから、根を張ってないから、表層崩壊を起こしちゃう、だらーっと土砂崩れ、これがまた川をせき止めちゃって大変な災害になる、こりゃ大変だってことがあったんで、どんどん間伐、伐り捨てるだけじゃなくて、これを使っていこうと、ただ使うためには、これを伐り出すための路網を整備しなくちゃならない、という形で、こうした対策を全部セットで、やっていったんですね。
 でもこの、間伐材って、なかなか育ちが、全部、充分、成熟してるもんではないもんですから、当然なかなかA材って出て行かないし、またA材を使ってくれるところもなかなかなかった。というのが、まず第一なんですね。なんとか、このA、B、C、各伐り出した皆さんね、A、B、C、そろって使って欲しい、BとCはそうした企業も誘致してたし、県内の製材の皆さんもやってもらって良かったと、なかなかA材伐り出せない、しかしこのA材を使う会社を今度、小松島に、これを誘致をさせていただいた。もちろん、高知には、また別のA材を使う会社があるんですけどね。これは、岡山の会社なんですけど。うちは神奈川の会社、呼んだんですけど。こうすることによって、A、B、C、すべてが使える、まず体制ができたと。
 これだったら、山の皆さん方もどんどん伐り出そうと、そして、これからはいよいよ次世代林業になって、間伐だけじゃなくて、今度は主伐の時代になったと、育った木を、本当に伐っていこうと、だいたい杉は50年木、50年を超えたものが、ちょうど伐っていける、そうすると今度は皆伐っていうことでね、山を全部伐ってね、そこに今度、新しく苗を植えて、そして、(針広)混合林を作っていこうと、そうすることによって、鳥獣害対策を進めようと、なんといっても今は、山に実のなるものは全然なくなっちゃったと、ということでドングリがないもんだから、どんどんどんどん下に降りてきて、サルも、イノシシも、シカも、そして食い荒らすという食害が起こっているということなんですね。これらは少し息の長い話ではあるんですけど。
 ということで、この今、具体的に名前の出た美馬の木材市場、ここの所は、従来、どちらかというと間伐を中心に出していたということで、9割までが、B材、C材ということだったんですね。で、A材があんまりなかったと、今回は新しくA材を使うところができたので、そこからどんどんそっちへ出してもらおうと、いうことになった、ということで、そこに期待のあった部分が、入ってこないじゃないかと、いうのが今回の現象と、しかも、もうひとつタイミングが悪く、先ほど端境期と申し上げた梅雨時までの間、ちょうど今の時期なんですよね、ここはなかなか伐り出さない時期になりますので、そういうところで、材がなかなか出なかった。そういうまずい環境がすべて重なって、今おっしゃるように、これが少ないとはいいながら、そうしたものが「出ない」と、「従来の期待と違うじゃないか」と、こうしたね、御意見が出たと。もちろんそうした御意見については、我々しっかりと受け止めて。これはもちろん伐り出していただく山側、これ森林組合の皆さん、あるいは、今度、私が理事長、拝命した森林づくり推進機構、こうしたところから出て行く話になっているんだけど、そうした全体の需給バランス、これをしっかりと取っていく。
 しかし、我々としてはとにかく、これは山側の人が言われたのは、ともかくA材を取ってもらわないと困るじゃないか、それも大量にね、それについてはようやくそれが実ったということですので。確かに当面、そうした御迷惑をかけたという声があるのは事実なんでしょうから、そうした点については、時期、もうじきその端境期が解けると、山のほうからもそうやってどんどん使ってもらえるということであれば、伐り出していくということに、特にA材をね、なりますので、今回はこのような一つの現象が確かに出たと、だから県議会のほうの答弁でも農林水産部長も「迷惑はかけない」と、それは私としても、山の皆さん方にもね、そうしたことにならないようにしっかりと伐り出してくれと。でも、山の皆さんにとっては、本当に取ってくれるのと、なんせ、取ってくれなかった時代が長かったですから、だから、今回のことも、「じゃあ、もっと出そうじゃないか」ということにも繋がってくると思いますので、川上、川中、この皆さん方にも、それぞれの本当に声を出していっていただきたい。我々としては、ようやく林業・木材産業の時代が、ましてや日本の成長産業にしようと、言うぐらいにまでなってきたところですから、その一番の着眼といいますか、きっかけを作ったのは徳島ということですから、そうした努力をしてきた皆さん方、しっかりとここは守っていきたいと思っています。今回も一つの事象として、山の皆さん方にも切り出していただく、もちろんそのための支援、こういったことも必要となります。しっかりとバックアップしていきたい。こう思っております。

(徳島新聞社)
 失礼ながら、知事が今、おっしゃったことは私も全部、承知しております。それで、当然、徳島の林業を活性化すること、必要なことだと思っております。小松島に大きな製材工場ができたこと、これは全体の底上げというので、非常に有意義なことだと思っております。ただ、今のこのお言葉を伺っていますと、県の想定があまりにも甘すぎたんじゃないかと、そもそもこの時期は、5月から8月くらいの時期っていうのは、例年、木の伐り出しが少ないと聞きました森林組合、もう皆さん、森林組合、各地の取材しましたけど、聞きました、であの、A材、今回、中目のA材、特にいい部分ですね、これが小松島の製材工場さん、需要が多いと。これに関しても、ある那賀川筋の業者さんに複数聞く中で、小松島の製材工場ができたのは、喜ばしいと言っている業者さんでも、そもそも県内で、中目のA材っていうのは、3万、4万立米しかないと、これに関しては、そもそも県内業者だけで全部消費してしまう量であって、そもそもが足りないというのが一点。
 それと増産の部分ですけど、これもある森林組合に聞いたら、そうそう簡単にA材を増産できないと、だからこれから少ない時期が来ると、今現在、この森林組合は県森連さんからの要請があっても、ちょっと出せないということで、まあ出してないんだけど、これから少ない時期、8月までの少ない時期が来ると、増産分出なくても供給せざるを得ないんじゃないかなと、そういう懸念を抱いているところがあるんです。
 そうなると、今は美馬だけの現象でしょうけど、今後、影響が広がる可能性もあるわけです。まあ、担当課とも週末話させていただきましたけど、高知に大きな製材業者ができて、それで徳島の業者が、高知で買ってた業者が徳島にも流れてくるようになったと言う現象はあったみたいですけど、実際ありました。そういうの県であれば常にアンテナを高くとおっしゃっているのであれば、そういったこと折り込み済みで施策を打つべきなんではないでしょうか。その点、どう思われますか。

(知事)
 当然のことながら、我々としてもそういった点を想定して、しかし、徳島でもってA材を挽いてくれる事業者、しかも大量に、これというのはやはり必要、そういうことがなければ、山のほうとしても伐り出していけないと、あるいは価格が上がらないと、もちろんその川中の人にとってみれば、安い方がいいんですよ、ところが川上の人にとってみれば高い方がいいと。だから、先ほどの受給バランスが難しいというのはそこなんですよ、もちろん県内の川中の皆さん方は、当然、生活かかってますしね。これまで長らく頑張ってきていただいたわけですから、我々としてもバックアップしたい。でもそのためには、多くの材が伐り出される、つまり山に希望がないことには難しい訳です。だから、その点ばっかりを言ってしまったら、でも結局のとこ、じゃまあ無理だと、やめようかと。そうなっちゃったら、もう、ご破算になっちゃう訳ですよ。逆に徳島でそれだけやってくれる業者がでるということであれば別に徳島の材だけでやる必要はないですよ。四国4県あるわけだから、先ほどの高知には、もうひとつ国の営林署っていうか、森林(管理)局があるわけだから、そういった国有林、これをどうするか、これもあるんです。もちろん。これは、我々のお互いの協定っていうか、足りない場合には、そっちから伐り出してほしいとか、高知にA材を挽くその会社が来たときにも、当然その話はある訳です。
 それから、あと愛媛、これも大きな森林の、伐り出すところがありますのでね。だから、これはもちろん徳島ってのはあるんだけど、四国全体で林業を活性化する、そうすることによって今度はその周辺、「WOOD JOB!」の場合、三重県が舞台でしたけど、近畿の方はそういうとこから持ってくる、近いですから、そういったものをどんどん挽ける工場ができるということは、そこに雇用が生まれるということですから、もちろんそうしたことは、当然起こりうることと、我々は。ただそこに、とにかく最小限に食い止めるんだと、もちろん出さなければ一番いい訳、迷惑をね。
 しかし、そういうシステムやってかないと、もちろん川上の人と、川中の人と、合わない、それは「ハモ」のときもそうでした、「ハモ」をブランド化したって、漁業者は喜んでくれましたよ、でも、県内で料理をする人には言われました、おかげでね、「ハモ」が高くなったじゃないかってね、地鶏ナンバーワンの「阿波尾鶏」も同じこと、これをどんどん養鶏で広げていく、付加価値を高めようブランドだって、県内で使えないじゃないかということが、常に起こりうる世界なんですよね、だから、今回、そうした形で御迷惑がかかった、しかもその端境期にあたっちゃったじゃないかと、その工場のオープンがね。工場のオープンも何時は、やめてくれって言いにくいじゃないですか、そういうことが実はあったということなんですね。
 今後ですからね、こういったことが、我々としては起こりうるということはあるわけなんで、国との関わり、そして他の地域からどう持ってくるのか、当然ですから、小松島に誘致した企業にしてみても全部が県産材ではないわけです。県外からも持ってくる。だからその比率をどうするかと、もちろんコストの点から言ったら、徳島から採ってもらったら我々もありがたいし、そこのところ微妙なバランスをどう取っていくか、だから先ほど「極点社会」でもあえて、これについて、社会現象でそこは、新聞に書かれていましたから、あえて私から申し上げた、需給バランスが難しい、だからそれが難しいんだとダメじゃないかとなったら、そもそも経済論理は成り立たなくなっちゃう訳だから、全体として木材の需要を高めて行こう、そうすることに山も希望を持って、じゃあどんどん切り出す、また人もどんどん集まってね、今は確かにまだ、人の点でもまだ足りない訳ですよ、でも今まで、山で雇用するのが足りないなんてあり得なかった訳だから、山で雇用、みたいなね。
 だから、そうした点についての過渡期として、そうした御迷惑はかけないと、そうしたことを県議会でも部長答弁とはいえ、言わせていただいてるということについてはね、我々としてもしっかりと守っていかなければならない、そうした御迷惑がこれからかからないようにいろんな工夫をする、これは我々としても最大限にやっていく、そうした決意表明であったと、このように少し長い目でも見ていただきたいと、もちろん川中の人にとってみれば明日、明後日の問題じゃないかと、これも良く分かるところですので、そうした対策をしっかりと取っていきたいと思っております。

(徳島新聞社)
 最後に、長い目とおっしゃられて。実は県森連の連合会の専務理事にも同じことを言われました。ただその、これは、県森連サイドの話になってしまうんですけど、県森連、まあ今の専務理事、この間まで林業戦略局長だった方ですし、県の現職の方も行かれてたっていうんで、あえて言わせていただくんですけど、県森連の特定の森林組合から今回、ごそっと出してるんですよね、もう少しちょっと全体的なバランスというのを取っていればこうはならなかったんじゃないかと、私思うんですよ。だから美馬だけでごそっと出したので、そうした地場の市場で購入してる小さい製材業者さんは困るんであって、やはりそういうのがいかがなもんかな。だから知事の方から、県森連さんにその旨お伝えいただけたらと思うんですね。だから、その点だけ。

(知事)
 ええ、もちろんこれは、当初から言ってるようにしっかりと需給バランスを取って、川上の皆さんにとっては希望を持って、どんどん出していこうと、これからも人を雇える、機械を持ってきてもいいよねと、だからもうひとつ、川中の人にとってみれば、大丈夫かっていうとこありますから、これがしっかりとできるよっていう、ピンチをチャンスに切り替えるということを今まで言ってきましたけど、そうした意味での需給バランス、今回そうしたことが起こったと、たまたまおそらく今まではA材を出してこなかったところが故にね、出せるんだったらそこから出させてあげたらというのもあったのかもしれないんですけどね。結果としてそういう現象を起こしてしまったということですから、おそらくこれを機としてね、需給バランスあるいはどういうところからしっかりと供給できるかというね、そうしたものが確立される、このピンチをチャンスに切り替えないといけないとそう思ってます。

(幹事社)
 ほかに御質問のある方いらっしゃいますか。

 
知事からのご挨拶
知事の活動記録
写真で見る知事の動き
知事発言集
交際費執行状況
記者会見・庁議