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平成26年5月26日 定例記者会見 フルテキスト版

皇太子殿下の行啓を終えて(説明)

(幹事社:司会)
 おはようございます。よろしくお願いします。

(知事)
 おはようございます。
 まず、私の方からは発表事項に先駆けまして、「皇太子殿下の行啓を終えて」ということで申し上げたいと思います。
 5月24日まで、皇太子殿下の御行啓をいただいたところでありまして、皇太子殿下におかれましては、(5月)23日金曜日ですね、そして、24日土曜日の二日間にわたりまして、「全国『みどりの愛護』のつどい」への御臨席、そして、地方事情の御視察のために御来県をいただいたところであります。
 皇太子殿下の御来県につきましては、平成24年度の第27回国民文化祭、つまり2度目の国民文化祭ですね、に引き続き8回目となるところでありまして、県民の皆様方とともに心から歓迎を申し上げたところであります。
 今回の行啓では、鳴門・大塚スポーツパークにおきまして、ちょうど大きな節目となります「第25回全国『みどりの愛護』のつどい」に御臨席をいただきますとともに、初日の23日には「松茂町津波防災センター」、そして、24日には小松島市の「(徳島県立)みなと高等学園」を御視察をいただいたところであります。
 まず、「全国『みどりの愛護』のつどい」につきましては、県営の都市公園での開催は、四国初となるものでありまして、全国からお越しをいただきました皆様方を全国初2度の国民文化祭を開催をした徳島ならではの歓迎を申し上げたところであります。
 御視察をいただきました松茂町津波防災センターでは、喫緊の課題であります「南海トラフ巨大地震」に備えた施設と地元長原小学校の皆さん方のお取組みを、また、みなと高等学園では、発達障がいのある生徒さん達に社会的、また職業的自立のための教育を行います全国初の特別支援学校の取組みをそれぞれ御覧をいただいたところであります。
 皇太子殿下におかれましては、こうした徳島ならではの取組みに対しまして、御覧をいただく、そして、本県に対しての御理解をより一層深めていただいたのではないかとこのように思うところであります。
 また、それぞれの訪問先におきまして、御尽力をされている皆様方や徳島の未来を担う若い世代の皆さん方に温かい励ましのお言葉を多く頂戴をいたしたところであります。こうした殿下の優しく、そして、温かいお人柄に触れまして、毎回のことではありますが、大変感銘を受けたところであります。一生懸命に取り組んでいる関係者の皆様方にとりましても、この上ない大きな励みになったのではないかと、このようにも思うところであります。
 今後におきましては、皇太子殿下から24日の式典においていただきましたお言葉にもありましたように、今回の「全国『みどりの愛護』のつどい」の開催を契機といたしまして、本県といたしましても緑豊かな環境づくりを一層発展をするとともに、これからも県内隅々はもとより、全国にも発信をしていければと考えております。

 それでは次に発表事項に移らさせていただきます。
 今日は2点、発表をさせていただきます。

「陸こう閉鎖方法・新技術提案事業」自動閉鎖の確認試験について(説明)

 まず、1番目、「『陸こう閉鎖方法・新技術提案事業』自動閉鎖の確認試験について」であります。
 東日本大震災では、巨大地震津波によりまして、「陸こう」などの閉鎖作業に従事をされた皆様方、多くの操作人の方々の尊い命が、実は失われたところであります。これを大きな教訓といたしまして、津波の到達時間が特に短い箇所におきましては、「陸こう」の自動閉鎖の必要性が改めて認識をされたところであります。
 こうした中、この課題を解決をするために徳島県では、平成25年度から自ら管理をする「陸こう」を実証フィールドとして提供させていただきまして、自動閉鎖の新技術の実証実験を行う「陸こう閉鎖方法・新技術提案事業」を実施をしているところであります。
 この度、実証実験の参加者であります日立造船株式会社が、海部郡美波町の日和佐港におきまして、「陸こう」の設置工事を完了をし、来たる5月30日、金曜日となりますが、「陸こう」の自動閉鎖の確認試験を行うこととなりました。ということでね、(パネル「①新技術の特徴」を提示して)これが閉まり方の模式図、これが「陸こう」、立ち上がると止める。普段は開いてるわけですね。
 ということで、まず、この新技術の特徴といたしましては、「陸こう」が津波の浸水時に動力、あるいは人力ですね、ここを持って立ち上げるとかね、という形ではなくて浮力、つまり津波が押し寄せてくるわけですから、その浮力によって、ゲートが自動閉鎖する構造となっておりまして、公共施設として設置をするのは全国初のものとなるところであります。そこで、(パネル「②自動閉鎖試験」を提示して)湛水による動作確認の関係ということでね、これが水が流れ込んだ状態、つまり湛水をされた状態ですね、による動作確認のイメージとなるところであります。
 ということで、当日現地では水を貯めて、湛水をさせてということですね、浮力によってゲートが起き上がる自動閉鎖の確認を行いますとともに、デモンストレーション機において、流水によるゲート作動における状況につきましても、御覧をいただく予定としております。
 今後は、台風時期が過ぎる秋頃までに車両が通過する時の走行性ですとか、手動操作による開閉の確認などの実証実験を引き続き行って参りまして、早期のデータ収集に努め、年内にも評価委員会における最終評価を行いたいとこのように考えております。
 この実証実験によりまして、新技術の有効性が確認をされた場合には、津波の到達時間が短く、そして、閉鎖作業が困難な箇所に順次活用をして参りたいと考えております。
 今後とも尊い命を必ず守るとの気概のもとに、本県が「課題解決先進県」となりまして、防災・減災対策に結びつく施策に積極的に取り組んで参りまして、県民の皆様方の安全・安心の確保にしっかり努め、この「南海トラフの巨大地震」を迎え撃つ態勢を着実に進めて参りたいと考えております。

高齢者の見守り体制の充実・強化について(説明)

 次に2番目、「高齢者の見守り体制の充実・強化について」であります。
 高齢化、あるいは過疎化の進行に伴いまして、ひとり暮らしの高齢者世帯の増加、また地域における見守り機能の低下などが進む中、ひとり暮らしの高齢者の皆さん方は、不安感ですとか、あるいは孤独感を抱えておられます。
 また、昨今、自殺者の増加、あるいは消費者被害の多発、災害時の孤立化など、多くの課題が実は顕在化もしてきているところであります。ひとり暮らし高齢者の孤立化を何としても防ぎ、介護サービスや生活支援サービスなどの支援を繋げていくためには、官民一体の見守り体制を県下全域で、より充実・強化をさせることによりまして、高齢者の皆様方が住み慣れた地域で生きがいを持って、安心して暮らし続けられることのできる環境づくりを進めていくことが極めて重要と考えております。
 そこで、「高齢者の見守り体制の充実・強化」を行っていきますため、次の3項目を実施することといたしました。
 まず、第1点目につきましては、「友愛訪問活動の充実」であります。高齢者のお宅を戸別訪問し、見守り活動を行っていただいております老人クラブの友愛訪問員の皆様方は、崇高なボランティア精神のもと、地道に地域の絆づくりに努めていただいているところであります。この友愛訪問活動の重要性を再認識し、御功績を称え、更なるモチベーション、意欲の向上と活動の充実に繋げていきますため、年度始めの活動実施にあたりまして、5月28日、水曜日となりますが、友愛訪問員の代表の皆様方に対しまして、私から直接、激励の言葉をおかけをしたいと考えております。
 また、新たに表彰制度を設けまして、こちらは9月3日、水曜日の「徳島県敬老県民のつどい」におきまして、表彰をさせいただきたいと考えております。
 2点目、こちらは「『高齢者等の見守り活動に関する協定』締結団体の拡充について」であります。日常業務の中で、高齢者の方々などと接する機会の多い民間団体とは、既に、10団体と協定を締結をさせていただきまして、日々、高齢者の皆様方の安全・安心の確保に御尽力をいただいているところであります。
 高齢者の方々にとりましては、地域の実状に応じたきめ細やかな見守り活動、これは大変頼もしく感じていただいているのではないのかな、このように考えておりまして、こうした取組みを全県的に広がっていく、広げていくよう、さらに拡充を図って参りたいと考えております。
 第3点目は、「『高齢者見守りポータルサイト』の開設について」であります。見守り協定や見守り活動の状況などの情報を一元的に取りまとめ、そして積極的に情報発信を行っていくことによりまして、様々な支援策を周知をいたしまして、高齢者の皆様方の安心、また見守り活動への参加団体の増加に繋げていくため、5月26日の午後から、県のホームページ上におきまして、ポータルサイトをスタートをしたいと、このように考えております。
 なお、高齢者の中にはインターネットに慣れていない、徳島県の高齢者の皆さんは比較的と言いますか、全国でも一番ICTには強いという評価をいただいているところでありますが、そうは言っても全員ではありませんので、インターネットに慣れていない方もおられますので、友愛訪問員や民生委員の皆様方が各家庭を訪問をする際に、直接ペーパー、つまり紙媒体ですね、これをお渡しすることによりまして、デイサービスなどの介護事業所において配布をするなど、広くお知らせをして参りたいと考えております。
 こうした取組みを一体的、かつ戦略的に講じていくことによりまして、高齢者の皆様方が「徳島に住んでいて良かったな」とこのように心から実感をしていただけますよう、高齢者の皆様方の見守り体制の充実・強化に鋭意努めて参りたいと考えております。

 私の方からは以上です。よろしくお願いをいたします。

(幹事社:司会)
 質問のある社がありましたら、お願いします。

高齢者の見守り体制の充実・強化について(その1)(質疑)

(読売新聞社)
 読売新聞の苅田です。この見守り体制の充実強化の表彰制度ということですけども、これはどういった方が表彰されるものなのでしょうか。

(知事)
 もちろんこれまでの活動歴ですとか、こうしたものに基づいて表彰させていただく。
 初めての取組みということになります。

(読売新聞社)
 特にその活動が顕著な方という。

(知事)
 そういうことです。

「陸こう閉鎖方法・新技術提案事業」自動閉鎖の確認試験について(質疑)

(朝日新聞社)
 すみません、よろしいですか。朝日新聞社の山崎です。「陸こう」の件なんですけど、これ実証企業を募集している時に、3月から実証実験を行う予定となっていたんですけども、これ一応5月末から実証実験開始と2か月遅れたんですけが、なにか技術的に困難なものがあったとか、なにか遅れた理由とかってあるんですか。

(知事)
 はい。やっぱり初めてのことでありますので、初の技術をということですから、当然のことながら、なかなかみんな言ってみても、そう「はいはいはいはい」ということになかなかならないということがありますから、そんなところを慌ててもしょうがありませんので、じっくりと考えていただいて、やっていただくということなんですね。
 やはり、新技術ということですから、最初が肝心と、このように考えています。

(朝日新聞社)
 こう技術的に困難なことがあって、上手くこう解決できないとそういうことではない。

(知事)
 もちろん、いろいろな点が企業の皆さんとしてはあると思うんですけどね、その辺りはじっくりとそれを咀嚼していただいて、万全の体制で今回臨んでいただけたと、いうことだと思います。それぐらい確かになんか難しいことだということですね。

(NHK)
 すいません、同じ「陸こう」の件なんですが、高知県では似たような、でもちょっと違う形式とはいうことですが、コストがかかるとか、技術的な面かもしれないですが、取り止めたということを聞くんですが、コストかかるというところ気になるんですが、県としては今後どんなふうに広げていくっていう予定でしょうか。

(知事)
 はい。これは最初、冒頭の発表の時にも申し上げましたように、全県でやるということではもちろんないんですね。東日本大震災のやはり教訓として、津波、これ皆さん最後までがんばっちゃったというところがあるわけなんですけどね。
 やはり守れるところを守ろう。とにかく、早く津波が到達をする、うちの場合には海部郡に来るわけですから、今回もですから日和佐港で行う、美波町ですよね。一番高い津波が来る、これは日和佐ではなくて由岐のエリアになるわけですけど。
 そうした意味で、やはりできうる限り、そうした当然コストのことはあるわけなんですけどね、まずは速やかに閉めれるような、そして、速やかな体制が求められる所にやっていこうと。やはり、命にはなかなか代え難いといった点はありますね。

高齢者の見守り体制の充実・強化について(その2)(質疑)

(NHK)
 あともう一つの件です。高齢者の見守り体制、激励、表彰、協定といろいろあります。そのいろいろな策を練られた中で、特にこのことをっていう、この中の特に力入れられる点っていうのはありますか。

(知事)
 もちろん、激励というのは、直接知事として「よろしくお願いします。」と、その活動に対して、御評価させていただくとともに、やはり直接生の言葉として、感謝をお伝えすると。これは重要なことだろうと思います。
 そして、表彰については、当然のことながら、これまで御尽力を頂いた点について、感謝申し上げるということですから、これまでと、これからと、こうした意味ではこの両方は意味があるんではないかな、大変ですね。そう考えています。

(幹事社)
 ほかに質問のある方、いらっしゃいますか。
 いらっしゃらなければ、発表事項以外で質問がある方お願いいたします。

産業競争力会議における農業改革について(質疑)

(徳島新聞社)
 政府の産業競争力会議の方で、農業改革が案で出てると思うんですが、農協制度とか、あと企業の参入の緩和っていうのが柱になると思うんですけど、それに対して知事の見解はどのようなものでしょうか。

(知事)
 はい。この農業については、今TPPの問題でね、大きく日本の将来、農業どうなっていくんだろうかといった点が、これは期待の部分と危惧の部分と、これが織り交ぜられているわけですね。
 こうした中で、当然のことながら今ある体制でどう迎え撃っていくのか、こうした点をしっかりと考えていく。これは重要なことだと思いますし、特に若手の皆さん方、これからどんどん農業に参入をしたい、やっていきたい、という皆さん方にとってみると、今の日本の中だけということでは、人口減少時代、あるいは少子高齢化といった中で、市場としての期待というのが、あまり魅力的でない。
 やはり、広い世界に打って出たい。でも、打って出るためには、国と国との間の、いわゆる植物検疫とか、こうした障壁が厳然としてあるんですね。例えば、徳島のすだちだとかゆず、こうした柑橘系を国内ではもう皆さんよく知られているわけなんですけど、じゃあどんどん海外に売っていこうっていった場合、じゃあ簡単にヨーロッパ持っていけんのかというと、そうではなかなかないんですよね。そうしたことから、逆にこの機会に競争力を高めていく、現にあるんですけどね、ただそれが政府間の取り決めによって道が開かれてないと、こうした点をしっかりと開いてもらうと。こうした点は攻めとして大変重要。
 じゃあ、もう一方で、今度は守りの点ですよね。特に、畜産。安い牛肉、あるいは豚肉、こうしたものがどんどん入ってくる。じゃあ、それをどう迎え撃っていくのか。
 これは豚と牛だけの問題じゃないんですね。牛が安い、だいたい日本の国民の皆さんっていうのは、牛肉が一番高くて、次が豚肉で、鶏肉って。でも、徳島の阿波尾鶏ってそうでもないですよね。結構高級な肉として、日本全体でも言われて。となってくると、今回は当面、鶏は影響はない、ところが、そうじゃないんですよね。鶏を食べてた人たちが、じゃあ安くなった牛肉食べようとかね、いや豚にしようとか。でも、国の体制っていうのは、実はそうなってない。牛と豚に対しては割と所得補償制度になって、しかし、鶏(採卵鶏)に対しては価格補填制度になってるとかね、結構ちぐはぐはあるんですよね。
 こうしたことから、攻めと守り、この両方をやるに当たって、制度として本当にこれでいいのか、あるいは、それを実行していく組織ですね、これはJA中央会があったり、あるいは、全農ですよね、あるいは信用組織、金融と、本当に多くフルセットで農業関係っていうのはあるんですね。農林水産って言ってもいいかもしれませんけど。そうした体制がこれを守り迎え撃っていくのに、十分なのかどうなのか。そうした点をやはりこの機会に考えていこうと。だから、当然政府としてもいろんな案が出るでしょうし、あるいは、農業サイドの方からもね、「いやここは、でもこうであるべきじゃないか。」と、「べき論」っていうのもあるでしょうしね。この機会に徹底的にそうしたものをお互い出し合っていく。そして、最終的にどう日本の農業を始めとする農林水産業、これを発展をさせていくのか、そうした道筋をやはり出していく、こうしないことには、確かに今、農業の従事者の平均年齢って65をもう超えちゃってるんですよね。
 だって、10年後経ったらこれ75歳になるわけなんだから。やはり、これでは、なかなか迎え撃つことも、守ることも難しいでしょうと。じゃあどうやって若い皆さん方に、あるいは、今別の業をやっている皆さん方にこの世界に入ってきてもらうのか。6次産業化なんていうのは、正にその典型っていうことですよね。ただ単に、物を作ればいいってことではなくて、その管理から、あるいは流通、また海外へどう売っていくのかと。あるいは、新しい産品をどう作っていくのか、また、それをどう加工するのかと。本当にあらゆる知見がこれいるんですよね。しかし、そうした6次産業化に備えるキャリアアップシステムですよね、例えば、高校あるいは大学、あるいはその途中に農大のようないわゆる技術を身に付けていくとかね、そうした実習の場とか、もうバラバラになってる、みんなね。そうしたものもどう作っていくのかと、これはもう日本全体の国策としてどうするかということですから、ここは本当にガラガラポンとして、最終的にどういう形になるかって、これからだとは思うんですけどね、これはTPPの交渉の答え、これにも関わってくるとは思うんですけど。
 でも、答えを待ってから動いたんでは間に合わない。やはり、同時並行か、それを想定をして、そのヒントとなるのは、これ畜産ですけど、オーストラリアとのEPA、こうしたものは一つの方向は出てるわけですから。こうしたものから、だいたい答えを見出していく中で、じゃあどうやって攻め守っていくのか、新しい体制はどうあるのか。そして、何よりも農業を始めとする第一次産業が魅力的な、これから将来にもって、夢と希望が持てる業なんだということを多くの国民の皆さんに知ってもらうと、これが一番重要ということだと思いますね。
 ということで、ここは本当にそれぞれ国としての英知、また、農業団体の皆さん方の今までの経験、あるいは、これからこうありたいというね、こうした点をしっかりと出し合って、そして、新しいと言いますかね、こうした今グローバルな中での日本の農業と、あるいは農林水産業というものを確立をしていくべきだと、こう考えていますね。

(幹事社)
 ほか御質問のある方、いらっしゃいますか。

学校給食における牛乳の入札制度について(質疑)

(時事通信社)
 鳥取県での学校給食の牛乳に対して、地産地消を進めようと思ってるんだけども、入札制度にした方が補助金が出るからという理由で、ほかの県の牛乳、入札が通過してしまったということで、県の方から今の入札を優遇する、入札をする方がいいというような制度は地産地消の足かせになっているというような批判を展開しているようなんですけども、その件に関して知事の見解みたいなものがあればお聞かせください。

(知事)
 はい。まずは、総論として、私もこのTPPの問題を契機として、農業をはじめとする農林水産業、大変国民の皆さんに注目をされている。最初、TPPに日本が入ろうと、交渉を始めようといった時に、アメリカからゴーンと言われてね、日本の食物の規制、これが厳しすぎると。例えば、遺伝子組換、よくトウモロコシの問題出てくるんですけどね、こんなんだって厳しすぎるじゃないかとかね、いわゆる食の安全安心に対して、日本の消費者の皆さんの信頼をこう揺るがすような話がボーンと政府高官から出たんですよね。で、これは必ずその輸入の食べ物を入れようと、輸入していこうと、海外の物を、これは出てくる。
 ということで、今後そのTPP、これの交渉が進んでいくに当たって、どうやっていくべきか。もちろん、農業、農林水産業っていうことを考えるの重要なんですけど、もう一つは食ですからこれ。だから、消費者の皆さん方の考えというものも、しっかりとこれ反映していかないと、とんでもないことになりますよということで。これについては、農林水産省であるとか、文部科学省であるとか、あるいは、自民党であるとか、こうした所に政策提言、何度も繰り返し言ってきた。この中の一つに、地産地消の学校給食、これを進めようという提案をしたんですね。今、日本全体で地産地消の学校給食、だいたいそのエリアとして、例えば県として考えた場合、25パーセントぐらいなんですよね。
 で、私の場合は、知事就任以来、教育委員会の皆様方にも是非この地域で取れた物、この完熟の物をね、で、こうした物っていうのは輸送に適さない。完熟してるとグジュグジュになっちゃうんでね、輸送してると。やはり、近場に持っていく。そうすることによって、今まで商品価値のなかった物は、商品価値が出、そして、なによりも滋味豊富な物をこれからの徳島、あるいは日本をしょってくれるね、子どもさん達に食べてもらえる。こうした点進めてきた、そんな徳島でも32パーセントぐらい。っていうことはこれからまだ伸びしろがあるってことね。
 そして、もう一つは同時に、安全で安心な顔の見える物を食べたいという、これは学校給食だけではなくて、多くの消費者の皆さん方の声ね。となってくると、産直市、こうしたものをもっともっと大きく、そして、システマティックにしていく、コストの面なんかもありますからね。こうした点を合わせて国の方に提案をしたところ、もう早速これは、自民党においても、あるいは政府においても、それを進めようと。で、これ目標数値、私の方としては、いきなり100っていうのは、ちょっとあれだから、せめてまずは半分、50パーセントね。それから、できればそれよりもどんどん伸ばしていって欲しいと、こう提案をしたところ、いや80パーセントにしようとか、こうした議論になってきた。
 ということで、まずこの地産地消の学校給食、ただこれについては、東京とか大阪とか、当然そこでは賄えないという所があるんですよね。でも、そうした場合には、例えば、大阪は関西広域連合の一員ですから、関西広域連合の中から取り寄せればいいではないか、あるいは徳島の物、現に徳島の物が大半行ってるわけだから。そうした考えは当然いるでしょうね、ということを申し上げてきたところなんですね。
 ということで、政府全体としては、この地産地消の学校給食を進めようと、まずこういう方向になってきた。これが総論。そこで、今度は各論となって、じゃあこれをどう具体的に動かしていくのか、あるいは、地産地消の学校給食を進めようという旗振りの前、つまり現体制のところでは、やはりこれは学校給食はコストだと。だから、私が教育委員会の皆さんに最初、「徳島で取れた物、地域で取れた物を学校給食にどんどん使ってね。」って言った時に、まず言われたのは二つ。一つは品目が揃わない、もう一つは高い、いやそれはやりようでしょうって、さっき申し上げたようにね、完熟で流通にのらないもの、今は商品価値がない、産直市に持っていくぐらいしかなかったものを、それを使うってことはね、そんな高い物ではないわけだし、まあ手間がかかるっていうのはあるかもしれない。なぜかと言うと、例えば、市場にのせるものって規格を皆決めている。一番典型はきゅうり。まっすぐでないといかん。でも、完熟して普通のお父さん、お母さんたち作ってると、曲がったきゅうりなんかあるじゃないですか。昔、曲がってたよね。これはね、今こう包丁じゃなくて、カッターで切るのね。切りづらいわけ、こう曲がったきゅうりって。手間がものすごくかかるんですよって。それは愛情込めてやってくださいよって、子どもさん達に対してのことなんだからと。でも、それがつまりコストに繋がってくるわけね。
 だから、こうした点について、今の確かに鳥取の事例も一つ、これはもう現行のまずい点、それは地産地消の学校給食を国として進めようとしていなかったから。やはり、今言うように、品数がどうだとか、あるいはコストがどうだ、手間がどうだって、そうしたことから、もう入札するのが一番だろうって。だから、なんでもかんでも、こうコスト主義っていうかね、「安かろう悪かろう」なんて昔よく言ったもんですよね。だから、そうした点もこれからしっかりと考えて、何が一番いいのか、まず、総論としてはそういう方向になったわけだから。じゃあ、この総論を実行していくためには、どういう制度がいいのか。今度は制度論になってくるわけね。
 だから、逆に鳥取としてそういう話をどんどん出していっていただくと。おそらく、全国の皆さん方、あるいは学校現場でも多くの皆さん方知らないと思うのね、そういうことは。で、鳥取、どうして訴えなかったのかって、鳥取って牛乳の産地なのね、うちもそうなんだけど。そこでさえ、よそから入るってことは、よそはほとんどそうなってるってこと。ていうことは、まず牛乳ってものに対して、なかなか地産地消がやりづらいということでもあるわけでね。でも、牛乳の場合には、どこでもここでもが産地ではないのでね、もう少しエリアを広げて、ただ鳥取の場合は、その生産をしている、多くの生産をしている所なのに、よそから入れなきゃなんないと、こうしたところに矛盾がある、ということだと思うんですね。それよりも、安全で安心な牛乳をいかに子どもさん達に飲んでもらうのか。確かに、牛乳っていうのは一番安価で、そして、バランスが非常に取れた食品だと昔からよく言われてきているんでね。私なんか典型よ。昔からずっと、両親1m52(cm)と1m60(cm)しかないのだけど、私175(cm)もある。昔からよく1日3合飲むのね、育った時に。だから、牛乳の早飲み競争1リットルで一番早いからね。みんなの前でやって、飲み慣れてるから。でもそうなると、こんだけ大きくなるわけ。これ別に、机上の空論で言ってるわけじゃない。私は歩く牛乳みたいなもんだからね。今もって好きですよ。牛乳は、結構造詣深いんですけどね。
 ということで、この鳥取の話っていうのは、正にどんどんこうした話を、各県同じようなことがあると思うんです。今回、牛乳の話だと思うんですけどね。例えば、米飯給食進める、じゃあその米はどうだとか、いやいやうちは小麦作ってるから、いやパンなんだとかね。こうしたことがこれからどんどんどんどん出されてくる中で、今の制度といった点の不備、あるいは、今現状に合わなくなってきたとかね、そうした点をしっかりと考える大きな契機になると思いますのでね。各都道府県、どんどんそうしたものを出していってもらいたい。そして、子どもさんたちに安全で安心なこうしたものをどう食べてもらうのか、非常にいい機会だと思っていますね。

(幹事社)
 ほかに質問のある方いらっしゃいますか。

DV被害者等の住民基本台帳の閲覧制限制度について(質疑)

(徳島新聞社)
 よろしいですか。DV被害者が申請できる住民基本台帳の閲覧制限で、県内の自治体でその運用に差異が生じていることが分かったんですけど、当然市町村が取り組むべき課題だとは思うんですけど、徳島でも過去に女性が痛ましい事件が起こっていますし、いつこう痛ましい事件が起きるかも分からない状況で、県として各自治体に対して、指導ないし働きかけるようなことはないでしょうか。

(知事)
 今のお話しのとおり、このDV防止法とかね、いろんな形が出てきて、このDV、人権侵害であり、場合によっては命が奪われると。今もってそうした事件が絶えないですよね。しかもその接近禁止命令を出されて、第一号の被害者がなんと徳島県だったということがありましてね、あの事件が起こった時にもなんとしてもこれを防がなければならない。
 ということで、当時はそのDVに対して、これはもう人権侵害なんだ、ということまではあまり言われてなかった。でも、徳島からはそれを強く言わしていただくとともに、いろいろなシェルター制度ですね。例えば、公営住宅、これも先程の入札の話じゃないんですけど、普通はもうみな抽選で希望者の皆さんで選ばせていただくところなんですが、ちゃんとそうしたシェルターとして、これも公表をしない中でしっかりと。場合によっては、県外にシェルターで行っていただくと、これも協定になってくるんですけどね。こうしたこともどんどん進めていった徳島ということでありますのでね。
 昨今、特に情報漏洩、場合によっては警察の所で、もう何度も言ってたのにって、警察の方から情報が漏れちゃったとか、こうして殺されてしまうということで、被害者の人がなるということもありますので、やはり情報管理、これは本当に徹底しなけりゃいけない。その一方で、一般的には、普通の顔を出してきた場合には、閲覧できるということがある。これをどう行政現場で均衡をとっていくかといった点なんですよね。
 だから、確かにDV被害、これを防ぐんだということになったら、もう「閲覧させません。させません。」こうなってしまうと。でも、それは一方で、「閲覧、自由にするとなったじゃないか。」みたいなね、そことの間が難しい。だから、そこをどう見抜いていくのかと、あるいは、どう情報を提供していくのかと。こうした点は非常にこれ難しいところなんですが、今御質問があったように、何と言ってもその被害者の第一号が徳島だったということからあると、少し厳しいなと、閲覧に対して、そういう指摘があったとしてもね、そこは私としてはやるべきじゃないかと。もう現にそれは起こったことですからね。その少なくとも、犠牲者の人に対しての、御冥福を何とか形にすると、お祈りするに当たってね、これも重要なことだと思っていますから、少し厳しすぎるよねという声が出てくるぐらいが徳島としてはいいんではないか。失われた命は二度と帰ってきませんのでね。
 そうした点に対しては、やはり毅然としてやっていくべきだと私は思っています。てことで、ここはあくまで市町村の皆さんの行政になりますんで、そうした点を是非御理解をいただいて、それに対して「おかしいではないか。」っていう、また逆の人もいるわけだけど、そういう場合は知事もこう言っているんだと、これはおっしゃっていただいて進めていただくということかと思います。

(幹事社)
 ほか、御質問ある方、いらっしゃいますか。

徳島大学の学部再編について(質疑)

(NHK)
 すいません、徳島大学が学部再編の改革の中で、生物資源産業学部の検討をしていることが分かったんですが、それについては知事としてはどうお考えで、これからどういうふうに取り組んでいかれますか。

(知事)
 はい。私としては大変大賛成と。元々この話についてはね、徳島県ていうのは農業大県だという形、また、関西の台所、長年にして、そして今や、東日本大震災以降は、正に日本の台所(として)、期待をされているわけでしてね。新しい作物を作っていく、あるいは、植物工場始めね、新しい作り方、こうしたものも考えていくと。その意味では、農学系っていうのはどうしても必要になってくる。
 しかし、中四国9県、これを見た時に大学に農学部がないのは、なんと徳島県だけとね。で、その後必ずやるギャグとしてね、「オーノー」って言っててもしょうがないって言ってね。
 それで、じゃあ、ピンチをチャンスに切り替えていこうと、これは、農・工・商を連携をさせるということから6次産業になってくるんですけど、優秀なこの中四国でも一番と言われる徳大工学部があるわけですから、じゃあ工学系で一番農業に近いところから迎えにきてもらおうじゃないかということで、提案をさせていただいて、ここは徳島大学と協定を結ばさせていただいた。工学系の中の生物工学科、これに「農工連携スタディーズ」っていうのを作っていただいたと。当然ここの教授陣っていうのは、徳大の先生、あるいは、県の農林水産部の技術のスペシャリストとか、あるいは、商工労働部の商の部分とか工の部分とか、こうしたところを先生に送り込む。また、食品加工事業者、これは民間の企業の皆さん、こうした所から寄附講座をもらおうと、この三位一体で実際に進めてきた。
 そして、ここへじゃあ、これ大学なんで、どう人材を供給するか、大学だけ作っても、学部だけ作ってもしょうがない、コースだけのね。ということで、昨年100年を迎えたね、農大、これ2年間行くわけなんで。で、実地をいろいろ勉強すると。実地のスペシャリスト。じゃ、そこに専修学校化を図りまして、この2年を、専修学校を卒業すると、今度は大学の3年生を編入試験を受けられる資格ができる。
 ということで、昨今では、農大の方でも英語とか、その編入試験に備える学科っていうものも、先生を揃えて対応していると。じゃあ、これでまず一つできたと。しかし、もう一つあるね。高校生の段階でしっかりとそうしたものを学んでいただこうと。実は今、学校再編ということで、学校がどんどん統合されていくと、「ピンチだ」って。自分の母校がなくなっちゃうんじゃないのって。
 しかし、これをピンチをチャンスに切り替えていこうと。例えば、吉野川高校。ここは、農業高校と商業高校が一緒になった。いわゆる農商連携。そこに農と商の学科だけ作るんじゃなくて、この食品加工のね、一つのコースを作っていこうと、まさに6次産業化のね。今度は、つるぎ高校が出来上がった。これは工業高校と商業高校が一緒になった。そしたら、工業・ビジネスの新たなものも作っていこうと。まあこういう形で、この6次産業化に当たっていく人材を高校の段階から、しかも、学校を統合していかなきゃなんないという、どちらかというとピンチを逆に新たな可能性に切り替える。そして、その受け皿として、私はまず実地やりたい、じゃ農大行ってみよう、いやもういきなり大学行って教養から行こう1年2年やると、でも、3年では試験受けるのと同じになるのね。そして、今度は徳島大学の方で更にこれを新たな学部に繋げていこうではないかということで「農工商連携センター」こちらを作っていただいた。
 そして、私の方からも、少なくとも昨年度、ここはもうどんどん6次産業化っていうことを国が閣議決定した、日本再興戦略の中で。で、昨年の時点で1兆円の市場規模、これを2020年に10兆円に、10倍にするってわけね。なのに、その人材育成のキャリアアップシステムっていうのができてないわけ、日本は。6次産業学部とか、農工連携学部なんていうのは、どこにもないわけだから。「これじゃだめでしょう」っていうことをこれは、政府主催の全国知事会でも言わせていただきましたし、あるいは農林水産省、それから文部科学省にもそれぞれ、特に、農林水産省林大臣にも直接言わせていただいてね。農林水産省としても「預からせて欲しい」と、「是非我々もやっていこう」と。
 つまり、国としてやって欲しいと。もう一つ手掛けられていなかったのが、高等高専。国立高等専門学校ってあるでしょ、うち阿南高専がある。あれどういうわけか、みんな工学だけなんよね、ロボコンやったりするんだけど、もったいないじゃない、なんでここに、農工の連携の高専ないのって。これも言わせていただいている、政策提言として。これも今は国の流れとしていろいろ考えていこうと。その実証やっているのが徳島やってるじゃないって。じゃ、そこのてこ入れしてみようかとか、いう動きも出てきているんでね。そうしたものに香川学長さんはじめ、徳島大学で総力をあげて取り組んでいただいていると。
 ということで、2代目になりますけど、理事副学長にうちからも一人、これ地域連携っていうこと、(大学)COC(事業)ですね、の関係でもあるんですけど、前農林水産部長が行ってるわけだから。これでも、やはり徳大と徳島県と、あるいは県内の大学と、みんなで、企業の皆さんも組んで、新しい日本のモデルを徳島から作っていく、そしてそれを正に日本の基準、ジャパンスタンダードにしていただこうと。それを最大限に受け止めていただいての今回のね、なかなかおもしろいですよね。今回の2つの学部を3つにしようという非常に分かりやすい、産業学部って最後に付くのがやっぱり分かりやすいよね。これからそいうのをやっていこう、今までの工学の今言う生物工学科をベースにしてるのでね、生物っていう名前出てくるし。それから、今言うこの総合科学部、こうした中にも環境系やってるところがあるわけだから、そうしたところをくっつける。さらには、理工学部って、なんだか皆さんが優秀になった感じがするじゃない、「利口ね。みんなね。」そして、ベースの総合科学部が新たな形で残ると。前向きというか攻めの新しい学部の再編、そして、時代の流れ、国としての国策に合わせると、こうした意味でも時代の最先端を行っていただいていると、こうした御尽力には心から感謝をするとともに、全面的にこれについてはバックアップを徳島県としてもしていきたいと思ってます。

(幹事社)
 ほかに質問のある方いらっしゃいますか。なければ、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

(知事)
 はい。ありがとうございました。よろしくお願いします。

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