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平成27年7月6日 定例記者会見 項目別

高齢者の移住について(質疑)

(時事通信社)
 よろしいでしょうか。地方へ高齢者を移住するということを日本創成会議の方でも発表があって、国の地方創生の基本方針の方にも明記されて、来年度の交付金の対象になるということもあって、徳島県はもともとゆかりの徳島という形で推進をすることも表明されてたと思うんですけど、一方で医療費がかかるとかですね、担い手が不足しているであるとか懸念する声も多いんです。
 知事として改めて徳島県に都市部の方から高齢者を受け入れる、高齢者と言っていいのか分からないんですけど、その前の段階の人でもいいんですけど、メリットをどういうふうに考えているんでしょうか。

(知事)
 はい。今回、日本創成会議がね、我々が長らく提案をしてきたゆかりの、いわゆる高齢者の皆さん方、どちらかというと元気なうちにということなんですがね、その地方回帰に対して具体的なデータを出して、やはりもうそうしないと東京をはじめとする千葉、神奈川、埼玉、1都3県、よく東京圏と言ってますがね、とてもじゃないけどこれから2040年にもってって医療、介護、もう破綻をすると。
 こうした話が出て、比較的余裕のあるところ41、これ医療圏単位であります。うちは東部医療圏と。つまり、徳島市を中心とすると。そうしたところに移ってもらうような形を考えていこうじゃないかと。こうした発表がなされたんですね。
 ただ我々徳島が今まで提唱してきたっていうのは、単純にその高齢者を移すということではなくて、例えば徳島ご出身、あるいは徳島ゆかり、御両親が徳島であるとかね、あるいは徳島で長年ずっと仕事をしていたんだけど、最終的に自分の生まれ育ったところへお帰りになられたとか、子どもさんのいるところへ、今人口的に見ると多くはいわゆる東京圏に多くの人がいますんで、そちらに移っていると。
 そうした皆さんにこの機会に徳島に戻ってきていただいたらどうだろうかと。できれば介護状態とかになる前の元気なうちにね。実は、その皆さん方の生まれた家だとか住んでいた家といったものが空き家になっているんですね。
 そうすると、今度は空き家対策にも繋がってくるし、この皆さん方っていうのは地域コミュニティがなかったわけじゃないんですね。逆にいうとどちらかというと地域コミュニティは東京あるいは東京圏よりも徳島の中にこそある皆さん方であるんで、「いやー、帰ってきてくれたんだね、久しぶりだね、あの時こうだったね」って。
 そうやって地域にも貢献をしていただいて、仮にその後介護状態になった場合に、そうした比較的、東京圏に比べると、いい状態の徳島でそういうサービスを受けていただくと。
 こうした点を徳島ゆかりね、徳島ゆかりの皆さん方の徳島回帰と、このように提唱した。
 ただし、大きな懸念、これは県内の市町村長さんにもあるわけです。これはなぜかというと国民健康保険であったり、あるいは介護保険、こうした点で、多くの負担が引き受ける市町村側に発生をしてしまうということでね。介護保険が民間の保険であればこうしたことはないわけですが、ドイツではなくて日本の場合にはこれを正に、市町村が保険者となる、こうした制度。そして国、県が財政支援をするという制度にしてしまった。
 これ法案出した関係者の一人は私でもあるんで、その点についてはね、これが問題があるといった点については甘受するわけなんですが、そうした制度を創り上げたその張本人である一人であるだけにね、それはやはりその解を当然、早晩こういうことが起こるというのは当時からもう想定はされていた、これは人口推計を見れば明らか。
 だから、本当であればそうした制度というものをもっともっとね、作っておけば良かった。決してこれないわけじゃないんですよ。これはまあ特交制度というね、調整交付金制度、こうしたものをこの中に入れ込んでいるんですけどね。しかし、それだけれはなかなか全部を賄いきれないであろうと。
 いろんな今、介護もあるいは国保も市町村の超過負担がすごいんですよね。だから、当時から町村会は特に大反対。この場にも私行きましたから、その2トップのところにね。この法案を出す介護保険法案、だからその気持ちもよく分かる。ということで、早い段階からこの住所地特例、元々例えば世田谷区に住まれていたということであれば、世田谷区はそうした負担が解放されるわけなんで、世田谷区がその分を持ってもらったり、その代わり世田谷区は新たに老健施設、これを作る必要がないわけで、これに対しては世田谷区も助かるし、あるいは国もそこに補助金を出しますから国も助かる。今ある施設を活用したらどうだろうか。
 それから、日本創成会議が地方消滅と言ったね、つまり高齢者が地方から減って、東京圏がどんどん増える。それに合わせて介護需要、あるいは個々、医療需要が東京圏に増えるんであれば、そちらへどんどん若い人が吸い取られていくではないか、それによって地方から若い女性がいなくなってしまう、これが実は地方消滅のシミュレーションなんですね。これも防ぐことができる。
 ということで、この住所地特例、この制度改正を行うべきだ、場合によってはこれを特区を徳島が引き受けるよと。こうした点も散々言ってきた。で、地方創生特区が第1号、3つ出たわけですけど、その時にもうちの特区はその時選ばれなかった。民間委員から「なんで徳島の特区提案を国は認めないんだ」と。これは全国のマスコミに報道されましたけどね。
 そのくらい実は危機的な状況がこれから先に来ると。今じゃないですよ。だから、こうした点をこれもギリシャを例えに出しますけどね、そうならないためには、これをやはりやっていくしかない。ただし、一部で言われているように「平成の姥捨て山」かと、年寄りのね高齢者の皆さんの強制移住かと。
 昔は実はこうしたものを国でも考えたことがあって、スペインにそうした所行こうかとか、オーストラリアに作ろうか、でもこれも昭和の姥捨て山かということで立ち消えになったんですよね。
 でもそうじゃないんですよね。ゆかりの人たちにそれぞれにお戻りをいただく、希望者にそれを募ればいいではないかと。強制移住では決してない。
 そういう形で我々はずっと、私としては介護保険制度を世に出したその責任者の一人でもあるんで、これは早晩来る、それに対してやはり次の解を見いだす。それはもう責任だと思っていますんでね。長らく言ってきた。これがようやく日本創成会議の場でも出た。
 既に国の制度としては今年の4月、サ高住っていうね、サービス(付き)高齢者住宅、ここの住所地特例が実は緩和をされたと。すでに穴は空いてきたわけなんですよね。ということで、この制度改正といったもの、これをあわせて、国全体ができないんであれば、徳島を特区として既にまた第2弾を申請をしていますんでね、これを選んでいただいて、そしてこの住所地特例、大胆にこれも変えていかなければとてもじゃないですけど今出ている高齢者の地方への強制移住じゃないかとこうした声をね、解消することは難しい。
 多くの皆さん方は、そうした徳島の提案もあまりご存じない部分があるんでね。ポーンと高齢者をもうとにかく地方に移住するんだと、いや受け入れる側だって住所地特例の問題があるからとてもじゃない、財政破綻になるよ。また、今だけでも決してね、介護待機がゼロというわけではないわけですから、それどうなるんだっていうね。
 確かに今、東京が最悪で43,000(人)、徳島が日本で一番少なくてそれでも2,000(人)弱、介護の待機者がいるわけですから、現状ではね。こうした点をしっかりと考えて対応していくべきじゃないかと。いろんな課題の点も全部提案をしていますんでね。
 だから、こうした点を逆にこれもね、さっきの教育予算における人件費の問題と同様にね、今、対応しておく、あるいは今現場の人、あるいは国民の皆さんが知っておかないと破綻をきたしたときに、さあ、また国民投票、ギリシャみたいにやるんですかと、こうなってしまう。今やらなきゃ、これは。確かに今すぐの問題じゃない。2040年かもしれない。2060年かもしれない。でも今やらないと。
 もうおそらくでも、2040年には早晩、東京圏は破綻きたしますんでね。私は元埼玉県の財政課長やってましたからね。当時は絶対ノーガードでしたからね、もう若い県です。「高齢者対策、ん?」の世界ね。
 だから、そうした点について、私としても自分のあらゆるそのキャリアっていうか、経験のもとで、今回の制度も提唱、長らくしてきている。決して無責任で言ってるわけでも何でもない。そうしてなかったら、本当にこの国倒れてしまうから。これは逆に高齢者福祉に対して、あるいは若い皆さん方のね、雇用といった観点からの大きな課題。
 そして地方が本当に地方という所、中山間地域が生き残れるか、正にその崖っぷち。追い込まれてからやるんではなくて、追い込まれそうになるではないかと、その前に手を打つと。これが重要ね。もう球は投げられようとしている、ここを投げさせちゃいけない訳だから。

(時事通信社)
 日本創成会議の提言もそうですし、国の方の動きも私の勘違いだったら指摘をしてほしいんですけど、ある程度地域を限って「ここに集まってください。」とかっていう感じで、例えば、徳島県であれば県内全域に自由に戻ってきてくださいということではなくて、東部圏域にそういう場所を作るんでそこに戻ってきてください、そういうふうなイメージで国の方は制度設計しようとしてるんじゃないかなと思うんですけど、そのあたり、今先程知事がおっしゃった「ゆかりの地に戻ってきてください」というのは若干、離れていくところがあるかなと思うんですが、そのあたりはどうですか。

(知事)
 ここはつまり日本創成会議の立場と徳島県の立場とちょっと違う。我々は、どちらかと実行主体として受け皿になる。で、日本創成会議っていうのはプランナーね、プランナーとしては、例えば我々が言っているような徳島ゆかりの皆さん方に、昔からコミュニティのある皆さん方にね是非元気なうちにお戻りください、これは普通だとこう理解してもらえる。日本創成会議がもし同じこと言ったら、例えば厚生労働省がそんな緩いことで制度できるわけないでしょと言われてしまう。私も制度作る側から言えばね、それは緩いでしょって。
 だから、逆に彼らとしてはもう少し客観的なデータに基づいて、いわゆる東京圏の医療、介護、このニーズと、そして今ある受入れ状況と、これを具体的な数値として見せたらこんなに差が開いてしまう。これを埋めるためには新たに作る。人は地方から経験のある人を吸収するしかない。というのを具体的に出していく。これを突きつけられると、さすがの厚生労働省も、「うっ」とこうなる。
 でもその後にすぐ出したのが、地方における医療、介護の削減なのよね。いや、これどういうあれで出したのかなって思うんだけどね、地方は益々受け皿としてそれじゃ自己防衛に入るじゃない。
 あるいは、一番良い方に見た場合にね、いや、それを受けなかったら削減されるから受けるように動いたのかなあ、こうも裏読みができるんだけど、でも、多くの人たちはそんな裏読みしないから、これだったらとてもって自己防衛入るから。県内だって大変なんだからって、もうよそから受けられませんよって。おそらくそれが今回のアンケート結果になったんじゃないのかなって。ちょっとあのあたり下手よね、私だったらそうはしないけどね。

(時事通信社)
 その後にすぐ厚生労働省の方で、病床数の削減が出てきたという。それについて、ちぐはぐな感じがするという。

(知事)
 そうそう、だから普通一般にはじゃあ地方全部減らそうとしたでしょ。それだったら地方だって今決して余裕があるわけではないわけだから、当然、全部自己防衛入るじゃない。これまず、県民の皆さん方のニーズから優先するわけだから。
 ところが、でももう一つの考え方としてはね、そういう減らされる、でも我々は引き受ける以上、ニーズが増えるわけだから、そしたらこの減らすのは無理だよっていうね、そのためにはまず減らすぞということを言っておいて、我々頑張るから減らすなと。頑張った所は減らされない、頑張らなかったところは一気に減らされると。ほら見て見ろと。引き受けなかった所はね、減らされたじゃないかと。こういうやり方もあるわけね。ベースを落としておく。そういうふうにもとれるなと。
 ただ、これっていうのは制度を知っている人は分かるんだけど、分からない人にとってみたら、こんなん大変大変、そんなんとてもとても受けられませんよって。まずは、我が県民の皆さんのニーズだけって、それでも減らされたら大変、減らすの反対、こうなる。
 だから、さっき申し上げたようにちょっと下手だよねって。引き受けていただくんであれば今の維持することもできますと。ただ、人口減少の、地方の人口減少のトレンド見てるとこんなには病床いらないでしょ、で今や国是として社会保障費全体を減らそうと、そうしなかったらギリシャになりますよっていうことを言ってるわけだから。
 だから、気持ちは分かるんだけど、やっぱり打ち出し方といったものが国から目線っていうかね、霞ヶ関目線。もっともっとやっぱり地方目線、現場主義、こうした点をとらないから、こんなちぐはぐになってしまう。このままいくとせっかく日本創成会議も我々が言い続けたことを理解をして、でそれを取り上げてね、国に対してプレッシャーかけてと。
 でも、多くのところがいやいやNOだNOだってなってしまったら、そもそもこれがこの段階、今年来年の間にバツになってしまったら、おそらくそう遠くなく破綻しますね、日本は。だって崖っぷちなんだから。誰もがそれ分かってるはず。今からどんどん東京、千葉、埼玉、神奈川に病院とそれから介護施設をどんどん作って、それで早晩、地方の介護施設と病院が誰も患者さんも入所者もいなくなると。
 そういうことをだって想像したら、本当は今タイムマシーンが一番欲しいところよね、未来に行ってみてどうなったか、こんな未来になってはいかんでないかって言って、それがないから、みんな分からない、目の前しかないから。
 私が今回、一歩先の未来、もっと考えようって言うのもね、できないであろうということが徳島今できてきた。高速の料金だって最初あれ、本四高速全国共通でないとおかしいでないかといったとき、みんな気でも狂ったのかと思ったかも知れないけど、10年後、でもできた。
 地デジもね、テレビが見えない、そんなことないよ、今見えてる。でもアナログだから見えてる。それがデジタルになったら見えるか見えないか、3チャンネルしか見えなくなるんよって。暴れん坊将軍見えなくなったら高齢者の皆さん暴れちゃうでしょって。ね、おもしろおかしく分かりやすくずっと言ってきた。
 でも10年かけて全県各家庭をケーブルテレビで、しかも後発の利で光ファイバで結んだからこそ、東日本大震災以降のICTの面々がサテライトオフィス来るようになる。これも一朝一夕でできるもんじゃない。
 やはり少しでも先を見て。でもそのリスクもありますよ。阿呆かと皆に言われるんだから。さっきの教育の人件費の問題だってそうでしょ、何か言えば当然けしからんってね、知事として何だ、その資質は何だって言ってもらっていいのよ、それをきっかけとして議論が広がるわけ。それがなかったらみんな理解しようとしないじゃない、何だって。
 でも、この国はもう危機的状況になってるんだから。だからいいタイミングでギリシャがなったわけ。早晩、日本はね、ああいう状況に、もしその前に首都直下型だとか南海トラフ来たらそれこそもっと早くなってしまう。でも、それを迎え撃たなきゃなんないんだから、来るぞっていわれてるんだから。だったら今ちゃんとやらなきゃ。
 我々皆は、我々その政治という面々は、札を頂かなきゃなんない立場だから、耳障りのいいこと言ってたら一番いいのよ、ラクなのよ、でもそれをやったら、なんだあのとき飯泉がちゃんとやらんからこんなことになったじゃないかって。それは言われたくない。少なくとも制度を知ってこの立場になっている以上はね。
 だから、今回のこの高齢者の問題というのは、昔から言われてきた、私も霞ヶ関にいたときやりましたよ、でもできない。これは政治家という人たちが、だって、当時はそんなん選挙落ちるってすぐ言うもん。国会議員さんたちもね。それを霞ヶ関がなんとかやってくれとは言えない、法律通してもらわないかんのやから。
 でもここまで来たらもうなんとしてもでもそれはやりぬかなきゃ。ただし、高齢者の人たちを強制移住させるとか、そんなことではないっていうことだけはまず分かっておいていただく。一番の基礎だから。
 高齢者の皆さん方が、しっかりと医療と介護これを受けれるようにするには、そして社会保障費の問題、また若い人たちの雇用、地方から引きはがすことにならないようにするには、これだけの課題を一発で解消しなけりゃいけない。その制度構築、そういうことなんですね。

(幹事社)
 ほかいかがでしょうか。よろしいですかね。
 ありがとうございました。

(知事)
 はいどうも。よろしくお願いします。

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