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平成27年7月27日 定例記者会見 項目別

台風11号について (質疑)

(NHK)
 すいません、続けざまで。台風11号のことなんですけど、那賀川流域でかなり大きな被害が出ていてですね、住民の方もかなり落ち込んでいる方もいらっしゃるかと思うんですけど、県として、2年連続で被害が出てしまったことについてどう受け止めているのかということと、今後の対応について短期的な対応と、あと長期的な対応それぞれ教えてください。

(知事)
 はい。今回の台風11号、特に徳島が全国の中でも一番大きな被害を受けるという状況となりました。その意味で、今回この台風の進路が、前回の台風11号と大変よく似ていると、昨年のですね。県としては、台風が最接近をするもっと前に、待受け災害対策本部という形で、7月16日の午後4時から災害対策本部、こちらを設けさせていただいたところであります。
 そして、小康状態になる翌日の17日の午後3時まで災対本部を開いたという形をとらせていただきました。
 そして、この間に様々な雨量情報であるとか、あるいは国の方との連携という形で、特にはっきり那賀川筋と、それからあと吉野川筋とで、状況が違ったんですね。ちょうど台風の中心がこの中間を通っていくということで、吉野川の一番の水瓶である高知県の早明浦の所ですね、ここはほとんど雨が降らなかった。逆に、那賀川筋、また勝浦川筋ですね、こちらについては台風のちょうど東側、真東ということで、しかも7月の台風独特の遅いということですね、スピードが。
 これによって、大きな影響を受けるであろうということもありましたので、この災害対策本部、始まるその直前ですね、だいたいどれぐらいの雨量、そして最終的に那賀川でどのぐらい放水していくのかと、こうした報告も国の方から受けさせていただきまして、しかしこれだと、最大流量として放出する分として、3,300トンぐらい、こうすると、少しこの浸水が始まりそうだと。
 でも、2年続けて、しかも同じ台風11号で、浸水が予測を想定からされていると、これはやはりまずいだろうということで、国としては予備放流っていう形でね、このぎりぎりの所まで落としてはいたんですが、更にもうそこから落としてくれと。ここは強力に要請をさせていただいて、更にそこから1.2メートル。
 しかし、雨が降り始めるということになりますので、そうした形で、おそらくこれはNHKのデータ放送、全てこれダムがどのぐらい水が長安に入って、どのぐらい放流をする、それが川口ではどうなっているのか、早明浦がどうか、あるいは池田ダムがどうかっていうのが全部データ放送でこれ見ることが出来るんですよね。
 よそのダムがどんどんどんどん水が貯まる、あるいはどんどん流入が増えて、出てくる量も増えるというところが逆に、ここだけダムがどんどん、ダムの長安の貯水が落ちるという現象を皆さん御覧いただいたと思うんですが、ぎりぎりまでまずダムの水位を落としてもらったということがありました。
 ただし、結果として、特に旧鷲敷地区、また阿南市の加茂谷地区ですね、ここに被害が集まってしまったと。前回もそうだったわけでありますけどね。その意味では、今回、確かに戦後、長安口ダムが出来てから昨年が一番の実は流入量、今回はそれにほぼ匹敵する2番目の流入量となったところでありまして、その意味では最終的にこの床上浸水を防ぐことが出来なかった。そのために、2年続けて、しかも同じ台風11号で被害を受けたということでね、その意味では、この被災を受けた皆さん方には本当に心からお見舞いを申し上げたいと。
 我々としても、例えばこの1年間でどれだけ(対策が)違ったのかということでいくと、那賀川本川でいきますと、ここには深瀬の地区に直轄で、国が直接、直轄で堤防を造ってもらってるんですけどね、ここを閉め切ることが出来たという形で、吉井地区などこのあたりを持ち堪えることが出来た。
 でも、そこからの支川の部分がいよいよこれから実は堤防を造ることが始まるところでしてね、ここが出来きらないと、内水が溢れるという形がありまして、加茂谷の所に水が
流れてしまうと。元々、加茂谷中学校の所の1階が高床になって、グラウンドになってる。で、2階から出入りをする。1階には教室がないというのを昔からの知恵、つまりそこに水を集めてその周辺の住家を守ると、こうした形だったんですね。
 ですから、報道としてあそこに最高3メートル水が来た。でも、前回とは違って2階が浸水することはなかったっていうのは、そうした調整がそこで図られる。もちろん、グラウンドを後で直さなきゃいけない。大変なことになる。あるいは、その周辺の農家では、家は例えば助かったとしても、農機具あるいはビニールハウス、こうしたところに被害が出るという形になるわけなんですがね。
 ですから、最終的にはこの堤防で閉め切らない限りはそこがなかなか難しいということにこれなるということで、少なくとも2年連続で昨年と同じただし書き操作になるということだけは、とにかく回避をしようよと。流入量がどのぐらい来るかっていうのは、なかなかどのコースを通るか、またどのぐらいのスピードになるかによって、これ大きく変わる。
 ですから、国の方の管理としては、あくまでも予備放流ぎりぎりのところ、それ以上いって過去のように、もし台風の西側、台風が来たとしても早明浦で分かるように、台風の西側になるとほとんど雨が降らないんですよね。そうすると、落とした、もっとダム空っぽにしたらいいんじゃないかというね御意見もあるんですが、そしたら全然貯まんなくて、今度は大渇水になって、今度は企業に、過去1回あるということがありましてね。
 だから、今回については仮にそうした影響になっても、極力そこはもう県の方として責任をとらしてもらうと、そうした話も言わせていただいたところではあるんですけどね。
 しかし、如何せんこの流入量っていうのが、戦後2番目、そして昨年とほぼ同等入ってきてしまったといったことが、今回の浸水の要因ということになるかと思います。
 ということで、一晩中ここはその流入量あるいは出方、あるいは直轄の方とのいろいろなやり取りという形で対応させていただき、そして翌朝、そのまま今度は9時に、今度はまずこれは正木ダムは県で管理しているんですが、勝浦川もここ警戒水位を越えた、避難水位も越えておりましたんでね、横瀬の所をまず見て、それから(勝浦町)役場に行き、そしてその後、今度は加茂谷地区を見て、そして周辺の状況についても少しお話をお聞きをして、そのまま今度は鷲敷地区に行き、実際にもう浸水をした所、ここのお店なども少し訪問させていただきまして、それから、今度は那賀町の役場に行って、それぞれ町長さんとも話をさせていただいたという形で、今度は(県庁に)戻り、今度は災対本部での対応と。このようにさせていただいたところでもあります。
 今後、対応としては、まずはそうした堤防や何か、これを着実に国と共に進めていくということ。それから、少し最近では詳しい県民の皆さん方がね、やはり河床が上がりすぎているんではないかということがあるので、やはり長安口ダム、この機能を最大限に利かすためには、堆砂をどんどん除去をする。県が国にこれ直接管理をしてもらう、なかなかこうした前例は実はないんですよね。
 国のダムを県が払下げを受けて管理する、これはよくある話なんですが、県で造ったダムを国に管理をしてもらう。しかし、これも何とかお願いをして、引き取っていただいて、これを一番は堆砂対策なんですね。それと、洪水調整をいかに利かしていくのか、利水についてもと。今、世界初のダムに水を貯めながら、そしてダムサイトを切って、その機能を高めるという事業もやっていただいているんですけどね。それと同時に堆砂を毎年かなりの量取っていただいている。
 また、さらには坂州木頭川、こちら側が本川と交わるんですね、長安口の上で。で、ここの追立ダムここがありまして、これが実は砂防ダム、もう全部埋もれちゃってね、ただ単に石をとめてるだけのダムになってるんですが、こうした所もまた掘り返してもらって、新たな機能を持たす必要があるんじゃないだろうかと。
 様々な、今、検討を国に進めていただいていますし、我々も一緒になって取り組んでいるところで、最終的にはやはりこの上流の堆砂対策、これもただ単にダンプで取って、でまた出すっていうだけではね、賽(さい)の河原と一緒。取る以上に流れ込んでしまうと大変なんで。そうした能力をどう高めていくのか。
 まさに、日本にこれまでない最高の知見を集めて、まさにこの長安口ダムの上流域を一つのモデルとして、全国も同様の今状況になってきていますし、世界も同様なんですよね。こうした新しい知見、技術に基づく対策、これも同時に進めていただくように強くお願いをするとともに、共に行っておりますので、確かに同じ台風11号で2年続けて床上(浸水)くらったではないか、こうした皆様方ですね、特に那賀町の旧鷲敷地区、それから阿南市の加茂谷地区、こうした皆様方には心から本当にお見舞いとね。
 それからこれから我々としても出来る限りのこと、去年からも行わさせていただいておりますし、そしてこれからもおそらく地球温暖化でもっともっと7月に大きな台風が来る可能性が高いということが想定をされますので、この災害対策本部の対応、あるいは今後の国との連携、市町村との連携、こうしたものもしっかりと行っていきたいと考えています。以上です。

(幹事社)
 ほかにありますか。

(徳島新聞社)
 すいません。今の台風関連の話なんですけど、被災された住民の方々への支援的な話ということで、昨年は台風11号、12号関連で、床上浸水とか住宅の損壊被害を受けられた方に、特別の支援制度ですかね、生活再建特別支援制度というものを設けられて、経済的な支援ということをされたかと思うんですけど、今回の台風11号に関しまして、何かその経済的な支援ということは考えられていますでしょうか。

(知事)
 はい。今、御質問がありましたように、従来は国においての被災者生活再建支援法に基づきましてね、一定の要件、例えば10世帯以上の住宅の全壊被害があった市町村とかですね、あるいは各市町村の人口、その区分に応じた住宅の滅失世帯数と、こうしたもので具体的に決められて、その場合には税金を入れて支援をしていこうと。
 特に、どちらかと言うと、被災をした住宅再建と、こうした概念だったんですね。ですから、我々としても要件は同じとしたところなんですが、昨年は実際に台風11号、その前に12号がずっと来て、1週間(雨が)降り止まなかったと。そして、11号、長安口上流では戦後最大の流入量、そしてただし書き操作ということで、あの被害を受けたということになりました。
 ただし書き操作という言葉だけでは分かりづらいかもしれないんで、入ってきた分を、もうダムが一杯になる、これ以上はダムが危ないということで、入ってきた分をそのまま流してしまう。洪水調整をしないというね。これがただし書き操作という形を国がとったと。それであの被害を受けてしまったということなんですね。
 そうしたことで、これはもうここにその住み続けることがもう出来ないじゃないかと、私もその翌日に加茂谷と、それから旧鷲敷地区に行かせていただいて、もうほとんどが床上(浸水)になってましたから。で、もうずぶ濡れになった状態で、家の家財を出したり、畳を干したりとか、当時はまだ運び出すという段階だったかもしれませんけどね。
 こうした状況を目の当たりにして、坂口町長さんとも話をする中で、これはこのままだともう皆さんが例えば旧鷲敷地区から、ここ古い旧家が多いものですからね、もうこの機会にもう鷲敷を出ようと、こうした声も出かねないんじゃないだろうかと。
 そうした中で、ちょうど(平成26年)9月、目前にして地方創生がね、出るんじゃないか。地方回帰だ、こうした話が出ていましたんで、これは時代に逆行すると。何とかここに住み続けていただきたいと。これは国が考えているいわゆる住宅再建ではなくて、生活再建しなければいけないということで、家財を対象として100万(円)まで、でその半分を県が持ちましょうと。そして、4分の1はその市町村で持っていただく。そして、残りの4分の1は自己負担をしていただく。いわば、75パーセント支援をしましょうと。
 ただし、災害救助法の適用になった場合には、その個人負担の4分の1の部分を、これは県が負担しますと。つまり、自己負担ゼロと。こうした制度を創らさせていただいたんですね。旧鷲敷地区はそれが適用になったと。
 ただ、今回の場合には、やはり前回と同じ国の基準でどこを対象にするかっていうことは同じ考えですよと。ただ、手厚く支援をしようと。また、住宅再建ではなくてあくまでも生活再建だと。今回、それに当てはめるところ、これの対象にならないということになってしまうということなんですね、今回の場合は。それぐらいの数がだいぶ違ったと。
 ここが今回の状況ということになっていまして、ですから、既に報道されておりますが、それぞれの市町において対応を見舞金などでされていると。今回、そういう状況であるということなんですね。

(徳島新聞社)
 昨年と比べて、その被災の規模というのがやっぱり違うと。

(知事)
 そうですね、これもう桁が違うということですね。例えば、昨年、那賀町だけでの住家被害というものをみた場合に、実際に住まわれている家として、全壊が5(世帯)、半壊が173(世帯)ですね、そして一番よく言われているその半壊とその床上浸水、割と似たような概念でもってきているんですけどね、床上浸水が125(世帯)と、そしてこれは十分もう適用になると。
 で、今回の場合については、全壊、半壊がないんですね。で、床上浸水が48(世帯)。もちろん、この床上浸水をした皆さん方にとってみると、前回と同じじゃないかということにこうなるわけなんですが、これだけ規模が違うということになります。

(朝日新聞社)
 よろしいですか。今の台風関係の話なんですけど、やっぱり被害をお受けになった地元の方々からするとですね、特にやっぱり洪水調節なんかの観点からですね、やっぱり同じような形の被害をお受けになられたという意味では、やっぱりどうなっていたんだろう、やっぱり行政側の無策ではないのかというふうに、やっぱり思われてもこれはある意味では当然と言えば当然なのかなと思うんですけど、ただ今おっしゃったように、いろんな対策としてはかなり時間がかかるというような側面もおありになるかと思うんですが、その中でも、やっぱりそれでも早い手は打たなきゃいけない。
 なかなかその上流の堆砂の対応とかですね、急にはなかなか出来ない、物理的に出来ないことはあるかと思うんですけど、その中でやっぱり急ぐべきはやはり堆砂の除去とか、そういう観点だけになっていくんでしょうか。

(知事)
 いえ。これはですから堆砂はもう当然のことながら、あとは当然堤防の閉め切り、特に本川の部分が出来上がって、今度は支川というね。今回、例えばこの和食地区の浸水のシミュレーションからいきますとね、前回、当然その2つの支川が那賀川に流れ込む、ここは必ず溢れる。で、ここを輪中堤にしようって過去から計画をした。でも、なかなか御理解いただけない部分があったと。
 そして、前回は支川が下流から上ってしまったんですね。つまり、そのぐらい流入量が多かったと。今回はそれがなく、やはり支川が溢れたということなんですね。加茂谷の場合は、一定の量、ここがやはり無堤地区になって、ここもやはり大きい支川があるのと、ここは逆に本川が防げてない部分が昨年はあった。今回は、そこが塞がったということなんですね。深瀬地区ですけどね。
 そうした形でこの1年でもそこの差は出てくる。つまり、ダムの状況と、それから堤防の整備、そして堆砂と。対応としては、この三位一体で進める。しかも、堆砂についても確かに堆砂をしても、またそれ以上のものが入ってくる。これは恒久的な対策として何とかその能力量を高めるという、これ全国にまだないんですよね。そうした実験ももうやっていかなきゃなんないと。我々としてもかなり切羽詰まってというところが、実は国と共にあるんですね。
 確かに、県民の皆さん、国民の皆さんからすると、もう同じ台風で被害を受けた、これはもう事実。確かにそれに対して、いやもうやるせない、その怒りも冷めやらない。我々も当然そのお気持ちも十分分かるし、しかしこれに対してやはり今言うような対策でこれはやっていくしかない。
 台風がこれだけ大きくなってくるっていうことに対しては対応のしようがありませんのでね。台風を小さく出来るんだったらこれいいんだけど、でもこれも地球温暖化っていうことで、これまでのみんなの積み重ねでこうなってきていると、世界中のね。地球温暖化対策きっちりやらなかったということは確かにある。でも、それを言っても仕方がない。
 でも、この天災だからしょうがないって言うのはもうやめようと。ただ、昨年はただし書き操作ということがあって、戦後最大の流入量に達してそれを流した。こうした点があって、あまりの状況、これを見させていただいて新たな対応。これもでも、急場しのぎに過ぎないものなんですよね。
 ということで、今回についてはよりその対策を早めていくと、国にもですね。こういうことで、出来るものをとにかく出来る限りやっていくと。持てるものをやっていくと。それにプラスアルファと。
 必ずこの治水行政というのは昔からこう言われるんですけどね。でも、これはぜひ県民の皆様にも御理解を頂きたい。例えば、飯尾川というね、これも最大の内水なんですけど、この吉野川に流れ込むんですけどね、最後は。で、ここについても石井の加減堰っていう、下の人口の多い徳島市内を守るために、普通は河川って広げるものが筋なんですよね。
 でも、あえて狭めてそこに水を溢れさせて、石井を水浸しにして、徳島市を守る。吉野川本川についても、今の河川整備計画の前っていうのは、美馬、三好の地区っていうのは、やはり下を守るために、ここは氾濫原っていうことで堤防を造らせない、無堤地区だ。で、そこを水浸しにして下を守る。これが昔から採られてきた国策なんですよね。
 でも、今は可動堰計画が一定の決着をしたということで、河川整備計画が出来て、いよいよそれが6年目になって、今再調査に入っているところなんですけどね。無堤地区をどんどんみな解消すべく行っていっている。それから、飯尾川についても、角ノ瀬の排水機場第二樋門これらが出来て、半分をとばすことが出来て、今回もですから石井の方では浸水がなかったと。
 そして、那賀川筋ですよね、ここについても下からずっと整備をしていって、深瀬の地区の堤防は閉め切ることが出来た。そして、堆砂対策も確かに万全ではないんだけど、去年よりはどんどん更にまた進んでいると。さらに、抜本的対策もこれから考えていこうという段階に入ってきたと。でも、今回のことは起こると。もちろん、これをゼロに出来れば一番いいんですがね。
 ですから、こちらとしても待受け災対をして、ぎりぎり深夜、ずっと夜を徹して対応をしていくと。しかし、それ以上の台風が来てしまっているというのが現状と。決してこれを方便とする気はないんですけどね。我々としてもやれるものは最大限にやっていく。今あるものを使うには、最大限効果を発揮出来るように行っていくと。そうした形で進めていければと、こう考えています。

(幹事社)
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