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平成27年9月7日 定例記者会見 項目別

早明浦ダムの再編について(質疑)

(NHK)
 すみません。早明浦ダムの関係なんですけど、治水、利水についての再編について、国と4県で話し合いが持たれるかと思うんですが、治水、利水の現状と課題について、知事どのように考えられているかということと、今回の話し合いを通じての着地点というか、ゴールに関しては、知事はどのように考えてらっしゃるのか。あと、それに向けての争点といいますか、どういったとこが調整が必要になってくると思われているのかお聞かせください。

(知事)
 はい。今回、この早明浦ダム、四国の水瓶とも呼ばれるものでありましてね、治水そして利水共に非常に重要なダム。ちょうど、昭和41年に遡るわけでありますが、この時に早明浦ダム、また池田ダム、そしてこの吉野川の支流となる銅山川ですね、ここには新宮ダムを始めとする大きな巨大ダム、これが造られているところでありまして、いわゆる吉野川総合開発計画というものが提案をされまして、昭和41年、本県議会におきましても大きな実は争点、議論となったところでありまして、しかしそうしたものを乗り越えながら、徳島としては同意をしようと。そして、香川、愛媛の方に分水をする今日の利水構造が出来上がった。しかし、徳島だけが災害を受ける。その部分の治水については、まだこれからという状況になっております。
 ということで、こうした流れがあって、今回、特に国の方からは早明浦ダムっていうのは、絶対に干上がらない、そのぐらいの巨大なダムなんだ、利水としては大丈夫、こうした話がかつてこの当時にも言われたんですね。しかし、皆さん方もよく御存知のように、平成8年であるとか、あるいはその以降ですね、平成13年もそうでありましたが、空っぽになっちゃう、こうした事態が実は多く発生をする。
 また、平成16年のあの災いの年ね、戦後最大流量が出た。あの岩津の関の所が、越水しそうになった。徳島としては、治水本当に大丈夫かということでね。そうした意味では、治水、利水共に今の早明浦ダムだけでは十分ではないんじゃないだろうか。こうしたことから、国におきましては、平成14年の2月になりますがね、この時にフルプランと呼ばれる「吉野川水系水資源開発基本計画」これが正式な名称、フルプランと我々通称で呼んでおりますがね。これを改定をしようと。
 そして、この計画を具現化するために、早明浦ダムの再編事業として、この異常渇水時、その利水対応と、そして我々の治水機能の強化をしようということで、今回、四国4県との協議を始めたいと、こうした意向が伝えられまして、本日9月の7日、国と四国4県とで協議をする「早明浦ダム再編事業に関わる検討の場幹事会」これが開かれ、そしてそこで国の案がまず提示をされるということになります。ここがキックオフということなんですね。
 そこで、今御質問を頂いた、まず課題についてであります。これは、もちろん、その昭和41年の時に大激論の下、しかし香川、愛媛に対して水を配ろうということで、苦渋の決断、というのは、この吉野川の一番のポイントというのは、利水はみんなで使ってみましょう、四国4県の水ですと。
 しかし、洪水被害は全て、ほとんど徳島ということなんですね。しかし、御存知のようにまだ無堤地域がある、あるいは大きな水害をもたらす。吉野川本川に入る内水の被害も多い。
 例えば、県内最大の内水ね、こうした点についても角ノ瀬の排水機場によりまして、飯尾川ですね、ようやく加減堰が半分飛ばすことができた。普通は、河川整備っていうのは、河道を広げるっていうのがね、本来の我々行政の役割なんだが、とてもじゃない、本川の整備が整わない、下の徳島市を守らなければいけないということで、石井町あるいはその上流である鴨島、今では吉野川市、こうした皆さん方には逆にそこで狭めて、そして水をそこで溢れさせて下を守るというね、そうした計画を国で作って、それを行ってきた。
 何度でも、そのポンプを付けてくれとか、あるいはここを広げてくれとか言っても、それは無理と。全部、本川がきれいにできなければと。しかし、こうした点についても、角ノ瀬の排水機場ができ、造っていただきましてね、そして第二樋門ができて、半分飛ばすことができるようになった。これによって、石井町を水浸しにする、こうした点が大きく軽減される。また、その上である鴨島の所ですね、こうしたとこまでは進んできたところではあるわけでありますが、吉野川本川、あるいはちょうど「第十(堰)」分水の所から分かれていく旧吉野川、今切川ここも今ようやく緒に就いてきたところでありましてね。
 本県が提案をした総合防災だとか、様々な災害予防これを国が制度化をすることによって、今南海トラフ巨大地震、これは海からこの川を遡っていくこうした樋門であるとか、あるいは河川の整備もようやく進んできたところということで、実は治水についてはまだまだというのが現状ということなんですね。
 ということで、一番の課題はこうした本県下における吉野川水系の治水が、今回の改造でちゃんとなすことができるのか。あるいは、これから治水を進めるに当たって、国が事業主体とはなるわけでありますが、直轄事業でやるわけですから、当然我々は負担金を取られるわけであります。
 じゃ、今回の早明浦を改造することによって、じゃあほかのところの、例えばこの治水ですね、そうしたものの負担状況というのは一体どうなるんだろうかといった点、そして、この治水があってこその利水といった場合、我々としてはかつて、この(昭和)41年大激論の時に、分水を認める条件とした、例えば銅山川水系、あそこに行っていただくと、かつては芋煮会などもやるということでね、普段は水がちゃんととうとうと流れるというのが条件。万が一渇水になった場合には、新宮(ダム)、富郷(ダム)ね、こうした所から放流をしてもらう。そして、本川に供給をしてもらう、それ以外平時はどうぞ使ってくださいと、こうした約束が一度も守られていない。こうした点を一体どうしていくのか。
 あるいは香川分水、こちらについても、香川県の皆さん方は、当然のことながら、この水が足りないといったことに対しての様々な工夫を、ため池などもされてきているということでね、こうしたものの対策と、今後この利水の部分で、どうそこを上手く兼ね合わせていくのか。もちろん、渇水になった時は、徳島県も利水上は渇水になるわけでありますんでね。
 こうした点、つまり、かつていろいろな約束がなされたものが、ちゃんと守られてきているのかどうか、これは新たな約束事を決める前提としては、温故知新ではありませんが、必ず過去をしっかりと立証、もう一度振り返って、それらがちゃんと守られているのかいないのか、いないんであれば、今回の機会にきっちりとこれをもう一度ちゃんと行う。
 確かに、国からすると、早明浦ダムが枯れることはないということを言っていたものが、枯れるというのは異常事態、想定外ということになるんでね、そうしたことでそうしたものを反故とは言わないものの、目を瞑ってきたといった点があったのかもしれませんが、実際にこれだけ渇水と洪水を繰り返すということになってくれば、当然のことながら、我々としてはきっちりとこれを守ってもらえないと先に進むことは当然できないと、これは言わざるを得ないということとなります。
 そうしたことで、今、着地点こうお話があったんですがね、まず着地点については、はっきり言ってまだ見えないというのが現状ですよね。まず過去のお約束をしっかりとどう今後担保できるのか。そして、こうしたものがしていただけるということになれば、当然これから未来に向けてどう進めていくのか。その時には、治水、利水共にね、きっちりとした形で、本県はもとより、4県にとってそれぞれが納得のいく形にどう持っていくのか、ここがポイントということになります。
 しかし、必ず忘れていただいては困るものは、皆さんは利水のことを常に言うわけですが、治水、ここがまずはベースにあるということ。何かあれば、災害を受けるのは、常に徳島であると、徳島の犠牲の下に利水が成り立っているんだということは、もう一度しっかりと忘れないでいただきたい。
 ともするとね、「水を分けてあげるべきじゃないか」それはいいんです。でも、過去、先人の皆さん方がどれだけの血と汗が、この吉野川の治水に向けられてきたのか、こうした点を決して忘れてはいけない。そして、今も徳島の場合には、どうして高速道路の整備が遅れるのか、あるいはバイパスの整備が遅れるのか、これは吉野川の治水にお金が莫大にかかる。その内水である飯尾川を始めとするこうした所の治水に莫大なお金がかかる。
 香川県は、高速道路が暫定二車(線)の部分はあるとしても、全部出来上がっている。しかし、徳島はまだまだと、こうした点でもより分かる。どこにお金がかかってきたのか。しかも、そうしたものの犠牲の上に利水が成り立つんだと。
 こうした点は、ほかの3県の皆さん、国はもとよりなんですが、もう一度我々徳島の中でも、先人たちのこの苦労、また多くの命が失われ、財産が失われてきたという歴史、これをこの機会にもう一度レビュー、復習をしなければいけないということで、実は、庁内におきましても、8月の24日に若い職員の皆さん方もねぜひそうしたものをもう一回しっかりと学ぼうと、大変うれしいことをね、言っていただきまして。今、この点について一番詳しくなったのは、私と、それから副知事の熊谷副知事、この二人ぐらいにもうなっちゃいましてね、この二人がいなくなったらもうだれも知らないんじゃないかっていうね、こうした時代になった。
 でも、この思い、あるいは過去のそうした歴史、また様々な開発をされてきた技術、知恵こうしたものを次世代の皆さん方にね、受け継いでもらう。そうした大変重要な実は機会にもなっているところでありましてね。
 その意味では、今回、政策監、技術担当として海野政策監にもう一度お戻りをいただいたというのも、非常に大きな力添えと、国からのプレゼントと言ってもいいのかもしれませんがね。海野政策監は、川のプロ、しかも課長としては水の元締めをやられておられますんでね。
 そうした意味では、やはりこれ、今はいろいろ申し上げてきましたが、過去の歴史に学ぶこと、そして未来、四国の未来をどう切り開くのか、ここが実は一番大きなポイントとなりますのでね、ぜひほかの3県の皆さん方にも、過去の歴史、徳島の苦渋の歴史といったものをこの機会にしっかりとぜひ学んでいただいた上で、そして徳島が納得できる形にし、そして四国4県で未来を切り開くことができればな、こうした点については国の知恵と、そして調整能力といったものに期待をしたいというものであります。以上です。

(毎日新聞社)
 国と香川への利水権の売却の話がありますが、売却額へはどのようなお考えをお持ちですか。

(知事)
 これは、あくまでも治水がベースになってくるわけでありますんで、そうした治水こうしたもののお金、どのぐらいかかってくるのか、そうしたものとの関係でこの金額が出てくるということにもちろんなります。ですから、そうした点で我々としては工業用水として毎秒ね、今6トンが余裕としてある部分と、こう言われるわけなんですが、決してこれ無駄に流れているわけではないんですよね。維持流量ということで、吉野川の河川をしっかりと守る。
 一番分かりやすいのは、吉野川本川と銅山川をぜひ見比べてもらいたいと思うんですね。維持流量がなければ、どんな川になってしまうのか。実は、この6トンというのは、そうした点にも使われている。もちろん、徳島としてはこれから工業用水として開発を、かつての時にね、得ている部分がそれだけ権利としてあると。もちろん、徳島として使う、これもオッケーだし、いやいやこの機会に、これを例えば早明浦ダムの中に入れ込んでね、それをじゃあ他で使おうじゃないか、例えば一番水が困っている香川がこれを使おうじゃないかと。
 そうした点ももちろんこれはあるわけですが、何度も言うように一番のベースは治水をどうしていくのか。あるいは、これまでの課題をどうしていくのか。こうしたものの中から、最終的には金額が弾き出されるということになります。

(朝日新聞社)
 今日の高松での会合でも、お話いただいたような趣旨の話はやっぱり徳島としては御主張されるということになりますでしょうか。

(知事)
 もうこれはベースですね。まず我々としての過去、かつてからのずっとの思い、早明浦ダムを造る、その時の様々な議論、こうしたものをしっかりと検証をね、もう一度国にもしてもらう必要がある。我々はずっとこれを重い荷物として背負ってきた。でも、まだまだできてないものが多々ある。守られていない約束がたくさんある。
 こうしたものをしっかりとやはり守っていただくことが、これからのスタートになると。我々はこれを主張やっぱりしなければ、先代あるいはこれまでの徳島の県民の皆さん方の苦労、血と涙と汗と、こうしたものの結晶をしっかりとやはりお伝えするのが、今を生きる我々の務めとこのように思っています。

(朝日新聞社)
 銅山川の方は、今お話いただいたようなことで、確かにそういう現状があるというのは承知していますけれども、あと、香川県内向けのですね、何かやっぱりそういう従来のやっぱりいろいろなお考え、話し合いの中で、まだ十分守られていないというふうに認識されているようなところはございますでしょうか。

(知事)
 香川としては、これから水を、より安定的な水が欲しいと。ただ、今申し上げたように、香川にはたくさん、これも香川の皆さん方の先人の知恵ということで、多くのため池を造られる。しかし、ため池っていうのは、従来は農業用っていうのがほとんどっていう理由だったんですね。
 しかし、宝山湖の事業をやることによって、これはどちらかと言うと利水としてもやっていくと。香川用水で得たものを一旦宝山湖で貯めて、そしてこれは利水として対応すると。こうした点について、じゃどういうふうに今後使っていくのか。もちろん、それは香川の勝手でしょと言われると、それはあるのかもしれませんがね。しかし、元々分水をした時の話ということが当然その前提としてあるわけですから。
 あるいは、じゃ災害の時に一切知らないと言うのかどうかと、香川側がですね。こうした点は当然あるわけなんで、ここは香川の皆さん方がどういうふうに今後提案をされるのか、これは一つあるかと思うんですね。これはどちらかと言うと、過去と言うよりも前向きの話としてどうしていくのかといった点はあるかと思いますね。

(朝日新聞社)
 つまり、今の話は、宝山湖の件というのは、つまり分水、工水を上水に変える用途変更する時にですね、それよりも更に遡った昭和40年頃の一番計画を策定時の頃からのいろんな御議論としての話というふうにみてもよろしいんですか。

(知事)
 いえ、ここは先の話ということで、今申し上げたように。つまり、後でできたこれは。で、香川が努力で造ったものですから。逆に、この渇水の時の使うルールとしてどうしていくのかと。当然、まず渇水になった場合に、使われてないものから切っていきましょうと。それから、新規開発したものを次に切りましょうと。こういう順番になってくるんですね。
 しかし、その時にポケットがあるんですね、香川に。じゃあ、彼らとしては宝山湖は最後にしてくれと言いたいところでしょうが、これは当然のことながら、香川用水から分水をして得たものであるわけですから、これは当然そこをまず使い切ってくれと。これまで、我々がよく言ったのは、香川でいろいろなため池がこれはあるわけですから、そうしたものが満々と水があって、でも徳島も香川も共に新しく開発したもの、あるいは利用していないものについては、まず止めてしまうと。それはちょっと順番が違うんじゃないのと。これは申し上げてきたところなんですけどね。
 でも、香川県側としては、当然それは、ため池飲み水のために利用してるんじゃないですよと、農業用水ですと。それは、一部分からんでもない。でも、水としてはあるわけですから。じゃ、しかし、新たに開発した分はまた別の話になってくるわけですからね。もちろん、香川県の皆さんがお金を出して造ったものであるということはあるわけですから、これは過去の話ということではなく、これからじゃあどう、未来の話として、ここはお互いどうするのかといった点ですね。銅山川とは、そういった意味では違う部分ですね。

(幹事社)
 ほかにはいかがでしょうか。

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