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平成28年8月1日 定例記者会見 項目別

参議院議員選挙における合区解消問題について(質疑)

(徳島新聞社)
 先週、全国知事会で合区解消の決議が採択されたと思うんですけれども、反対意見に配慮した文面が盛り込まれたりとかいった部分もあったりとかして、それに関してのご所見と、今後の取り組みの進め方についてお願いします。

(知事)
 実は1年を掛けて、この合区解消に向けての議論というものを全国知事会で行ってまいりました。ことの発端はね、多くのもう皆さんもご存知の、昨年の7月の28日、ちょうど岡山での全国知事会、それを行っている時に合区を決める公職選挙法ですね、公選法、こちらが改正となってしまったと。しかし、ここで付けられた附則、法律の附則の中に、次の参議院通常選挙、つまり平成31年予定の選挙までに、抜本的な解決策を見出すんだとはっきり書かれているんですね。
 そこで、多くの知事さん方から、ちょうど昨年7月28日ですけれどね、この合区、とんでもない話だと。
 やはり参議院生い立ちの時から、各地域代表、各都道府県代表と。そして最高裁の判例の中にも、1票の較差が課題となったときに、衆議院は3倍で違憲状態と言われ、参議院は5倍を超えていても違憲状態じゃないと。その理由がなぜかというと、参議院には都道府県代表、こうした色彩があるんからなんだと、はっきり最高裁判例に書かれていたんですね。
 しかし政権が色々変わる、あるいはねじれ現象が起こるということで、まさに衆議院と参議院が何か一体のものになってしまった。同じ権能を持つものになったということから、であれば、憲法に書かれている1票の平等、これをしっかりと衆議院も参議院も同じに守らなければいけないということで、一気にもうこれは違憲状態というふうになるとともに、必ずしも都道府県代表であるということは憲法上求められていないと、はっきり最高裁の判例が変更となったんですね。
 これを受けて、立法府としては、これはあくまでも緊急避難的措置と言われている訳ですが、合区と。しかもその中で、鳥取、島根、徳島、高知のみが合区とされた。その変遷では与党案でも色々な合区の案がありましてね。最大では12ぐらい合区になるんじゃないかという話も出ていたところでありまして。こうしたものを、各知事さん方知っていましたんで、もう当然この合区については次の(平成)31年まで解消しなければいけないと。
 しかし、時間が限られているんですね。つまり、今年の選挙についてはもうやることが決まった。でもそれから3年まるまるある訳ではなくて、1年間は周知期間がいる訳ですから、実際は今回の選挙が行われて2年、この間に具体的な抜本的な解決策、これを出さなければいけないということで、昨年の知事会で多くの意見が出されると共に、総合戦略・政権評価特別委員会の中で、有識者を集めた研究会を立ち上げて、具体的な解決の処方箋を打ち出すべきと、ここまで実は決まったんですね。
 ということで、その委員長である私のもとに、憲法学者であるとか、行政法学者であるとか、マスコミの皆さん始めとする有識者の皆さん方に入っていただいて、5回。あるいは委員会を開く中で、その処方箋と中間報告書を取りまとめたところでありました。
 今回はそれをまとめ、発表するとともに、やはり合区解消の決議をすべきだと、多くの知事さん方の意見でありましたので、その決議案、それも同時に出させていただきました。
 ほとんどの知事さん方が発言を、しかも1回どころか何度もされましてね。そうした意味では全体的に見ると合区の対象となったところの知事さん、これからなり得る可能性の高い知事さん方、大都市部であってもやはり地方との関係をしっかりと組まなければいけないという知事さん方、いやいや、やっぱり大都市部としては、ちょっと合区解消というものを一気に行くのはいかがなものかと。あるいは政党の党首でもあるということがあって、その党是からいくと、合区はいいんだと言う方と、様々なお立場はある。
 また、その解決策についても、合区は解消すべきだというお考えなんですが、一気に憲法改正まで行くのかと。
 ただ、研究会の中では多くの憲法学者の皆さん方は、判例を変えるためには、最終的にはやっぱり憲法改正という所まで踏み込まないと、なかなか結局、法律の改正をしても、これはまた違憲訴訟が出てきますよと、こうした話もこうあったんでね。憲法改正の部分についても、実は最高裁の判例を受ける形でということは入れてある訳なんですが、触れさせていただいたと。
 そうした中で、大阪府が反対、これは今申し上げた松井知事さんは大阪維新の会の党首。で、大阪維新の会というのは、参議院は衆議院のカーボンコピーだと、いらないと、一院制だと。それと道州制だと。だから合区というのは道州制への一里塚ということにもなるし、ということで、合区解消反対と。で、それについてはしっかりと、そうした意見があるということを、大阪府の名前を入れて書かせていただきました。
 また、当初神奈川県も慎重にと言われていた訳でありますが、最高裁の判例を踏まえる形での憲法改正という形を入れたところで、これはわかりましたということで、逆に賛成に、合区解消と。合区の解消について反対している訳ではないということで、賛成に転じていただきました。
 しかし、愛知県大村知事さんの方からは少しここは留保させてもらいたいということで、慎重意見と愛知県と。こうした形を書かせていただいて、合区解消の決議、これについては全体の総意としてまとめることが出来たということでありました。

(徳島新聞社)
 その、まとめることが出来たことについての、知事のご意見を少し。

(知事)
 これはもう逆に言うと1年前の岡山での全国知事会で、合区解消の処方箋というかね、まずは知事会としての総意を決めようよと、これはまず、出来たんではないかと。そして具体的な案、例えば公職選挙法この場合には、参議院の今242ある定数、これを2000年までの時には252あったんで、例えば仮に暫定的に10だけ増やす。でも、これでも1票の較差3倍以内にならないもんですからね、全国比例とここの部分を少しバーターをさせていただいて、そして1票の較差3倍以内、これに収めようと。
 しかし、これに対しては、なかなかね、世論が本当に納得していただけるんだろうか。であれば、参議院全体の経費といったものを今と変わらない形にしていくというものも、一緒にその手法として書かせていただいています。
 いやいやそうではなくて、憲法附則法というこの両院の様々な規定を定めている国会法、この中に書き込むと。参議院というのは地方の代表なんだと。そして、これを受けて、公職選挙法を改正するという、こういう仕方も当然あるよねと。これも出させていただいた。
 でもやはり、多くの学者の皆さん方は、最高裁の判例が変わった以上、これを再び変えてもらうためには、憲法、ここをしっかりと地方自治の在り方、そして参議院というものはどういうものを担うんだと。つまり二院制、衆議院と参議院という二院制を持っている国というのは、アメリカもドイツもフランスもあるんですね。
 アメリカとドイツ、特にアメリカというのは50州、今いよいよ大統領選挙まっさかりなんですが、人口がどんなに多かろうが少なかろうが全部2人ずつ100名なんですね、上院議員っていうのは。ドイツも似たようなもの。それと、ここは連邦制を採ってるから別じゃないかという意見もあって、フランスは逆に連邦制を採ってないんだけど、逆に二院というのは地方の代表、もっと言うと知事が兼務をすると。日本的に言うと参議院議員を兼務すると、こうした形を採っているんですね。
 だから、こうした点を考えていくと、やはり憲法をしっかりと触る必要があるんじゃないだろうか、でもその根幹は憲法の92条からの4項目ある地方自治、特に地方自治の本旨、このあたりが曖昧すぎるんじゃないか。これをしっかりと書き込もうと。そして憲法の中に書かれていない都道府県とはなんぞやというものをしっかりと位置付けていく、ここに、やはり最高裁の判例をやはり昔のような形に持ってっていただける余地があるんじゃないだろうか。そうしなければ難しいんじゃないだろうかと。こうした意見もあるところでありますので、今後はこうしたものの具現化、我々としてはあくまでも立法府がまずは定めると、国会がということになりますので、その処方箋をしっかり示すと共に、やはり国民の世論、これが非常に大きいということになりますので、全国知事会としてもいかに国民の皆さん方に合区はおかしいんではないかと、そしてこういう処方箋、これを国会のほうで決めていただこうと。それぞれのメリット、デメリットを示す形で、国民世論に訴えかけていく。これも同時に行っていきたいと、こう考えています。以上です。

(幹事社)
 他に質問ありますでしょうか。よろしいですか。

(NHK)
 今の関係ですけれども、2年という時間、これから議論をしていく(こと)について、長いというか短いというか、どう見てらっしゃいますか。

(知事)
 なかなか、2年の間に世論をというのは、しかもこれ憲法の問題から始まって、あるいは参議院の在り方、あるいは参議院の人数ですよね。今、どちらかというと、国会議員の定数を減らせ減らせというのが国民の世論という中で、どうご理解をいただく形を採れるのか。最終的には立法府ということなんですけれどね。2年という時間、もう現に2年切っているんですよね。もう参議院選挙終わりましたからね。
 こうした点を考えるとなかなか、あってないような2年間じゃないのかなと、こう思っています。それだけに、もっともっと多くの皆さん方が危機意識を持って、そして行動していくと。そして国民世論に訴えかけていくと。やはり合区というのは、あまりにもひどいんじゃないかと。
 今回、鳥取の平井知事さんが言われたように、高知も島根も徳島も、それぞれの出身の参議院議員さんが出来たじゃないですかと。しかし、鳥取県はとうとう1人も出なかった。つまり、鳥取を代表する参議院議員さんが、今回は選ばれなかった。このことを重く受け止めて欲しいと。
 もちろん、候補者の皆さん方が大変な思いをしたって、これはみんなあるんですけどね。でも結果として、今回の決議文書の中にそれを書かせていただいているんですね。自県出身の参議院議員、これを出すことが出来なかったということを、はっきり書かせていただいているんですけどね。それくらい重い話。しかもこれは、戦後、この参議院制度ができて、初のことということですんでね。やはりこういった点も国民の皆さん方しっかりと受け止めていただきたいなと、こう考えています。

(NHK)
 具体的にこれからどういった、何かアクションを今、考えていらっしゃいますか。

(知事)
 今回、全国知事会で様々なご意見をいただきましたので、これも咀嚼する形で、更に具体的な処方箋、これを詰めさせていただいて、これは研究会、委員会こうしたものを開く中で、我々としては、もし憲法のということであれば、そうしたものの草案、具体的なね、これはやはり取りまとめていく必要があるし、ただ、それまで以上に今回意見も出たんですが、早く行動を起こさないとまずいだろう、というのが今回の決議文書ということになりますんでね。これは山田全国知事会長のほうからも言われていたように、これをしっかりと立法府の皆さん方に受け止めていただこうということですね。

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