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平成29年2月6日 定例記者会見 項目別

ふるさと納税について(質疑)

(徳島新聞社)
 徳島新聞です。今日のうちの新聞の方で、ふるさと納税の返礼品が激化してきているというような意見が出ているんですが、それについて知事のご所見を。

(知事)
 ふるさと納税の特に個人版ですね。こちらについて、全国でその返礼品の競争が激化している、華美になってきていると。そもそも税として(制度を)作った趣旨に反してきてるんじゃないか。
 つまり、元々これは徳島県も提唱者の1人だった訳でしてね、大都市部に地方出身の皆さん方が大学に行く、あるいはその後、就職をするということで、どちらかというと高校まで、そこまで育っていただくのにいろいろな点で地方で投資をさせていただいていると言っても過言でない訳なんですね。そしていよいよ、さあ社会人になって税金を納めていただくとなった時に、今度は今まで投資をしていなかった東京を始めとする大都市部に税金を落としてしまうと。確かに地方交付税制度というものはある訳なんですが。
 やはりもうちょっとこの点は考えたほうがいいんじゃないだろうか。もっと言うと、あなたのふるさとどこですかと。こうした思いを忘れないで欲しいな。ふるさとに対して貢献したいというね、こうしたお気持ちは皆さん持っておられますし、必ずしもその自分の出身地じゃなくても勤務をしたとか、あるいは転勤を親御さんがする中で育って、大変いい思い出があると。そうしたところの発展のために、今自分が納めている所、その税金の一部を逆にそういった所に寄附できないだろうか、そうした思いが強いと。こうした点もありまして、提唱を全国知事会で行った。
 もちろん、この時には東京都知事さんだとか、神奈川県また愛知県、大阪府、こうしたところの知事さん方はこぞって反対ね。自分の所の税金が減って、そして地方という所に税が一部移されてしまうと。この時ね、東京都知事さんは石原慎太郎さんでね、真っ向勝負させてもらいましてね。「石原さん、そこまで言われるんだったら、公開討論しましょうって。で、そうしたものの中で、国民の皆さんのご意見聞きましょうと。」こうした話もさせていただいたんですね。そうしたら、石原、当時の都知事さん、「別にそんな事柄を荒げようと思ってる訳じゃないんだよと。一方的に都市部から地方に税金が移されるっていうのは、やっぱりちょっと考えてもらいたい。」そういうご提案もありましたので、地方税だけで最初組んでいたものを、私の方からじゃあ所得税、国税も一部これで移すという形にしましょうと。つまり国の制度にしようという話をしたら、「それならばいい」と石原さんがおっしゃっていただいて、そうすると神奈川、愛知、大阪の知事さん方も、いや東京都がいいって言うんだったらいいですよということでね、結果としてふるさと納税、この制度ができた。
 ただ最初はね、使い勝手が非常に悪かったということがあって、これも国に対して様々な提言をさせていただいて、今のようにまず2千円の手数料といいますかね、2千円だけまずは引いて、それ以外を、上限は定められてる訳なんですけどね、住民税と所得税、これを自分がここにという所へ提供することができると。当然それに対して提供を受けた所、これは都道府県と市町村がある訳なんですが、それぞれ気持ちをお返しをしましょうと。
 徳島県は最初からずっとね、やはり徳島というとイメージはすだちですからね。すだちをお送りをしてたんですね。ところがだんだん肉を送ったりね、皆し始めて、そうなってくるとやはりより良い商品、良い返礼品が出る所にどっと納税しようと。
 またそうした流れの中で、今度はネットであるとか様々な皆さん方がね、カタログ作り始めたのね。どこどこにふるさと納税したら、返礼品こんなもんが出ますよっていうので一覧表ができたんですね。そうすると皆もう、本来、出来た(時の)ふるさと納税のその意味と意義といったものから逸脱して、いやふるさと納税したらこんないいものがある。場合によっては、いやプラスになんじゃないのみたいな所がね、たくさん出てきました。
 で、またマスコミの中でもふるさと納税ランキングみたいなのが都道府県市町村で出るんで、やっぱりそのランキングで高いとね、首長さんたちは、いやうちはね、多くの全国の皆さんから支持されてるんですよ、なんていうバロメーターにこれを使うことができるようになるんですね。
 ということで、ますますこの返礼合戦といったものが増えてきてしまったと。
 徳島県はその発祥の地でもありますので、市町村長の皆さん方ともね、あまり華美なことはやめましょうということはずっと言ってきて、どちらかというと華美でない都道府県の1つになっているんですね。例えば徳島県、平成27年の分を見ると、いただいた分に対しての返礼、これ5千円未満とかあるいは5千円以上1万とかランクはあるんですけどね。全体をおしなべて見ると4.2%、県の分はね、返礼割合と。
 ところがこれがもう2桁になるところだとたくさんこうあるということがありまして、県内の市町村もそうした流れの中で真っ二つに分かれて、県と同じようにいただいたものよりはるかに低いところ、あるいはいただいたもの以上に返してるんではないかっていうところ、二分しちゃってるんですよね。
 これはそれぞれの首長さんのお考えということですから、それは尊重したいところなんですが、今総務省を始めこの税制度についてこれはあくまで税なんだと。この華美になるっていうのは、本来のふるさと納税(制度)創設の時の意義、こうしたものに大きく逸脱をするということで、この総務省の方からはまず華美なことはやめるようにと。その目安っていうのは、いくらいただいた以上に返すとかね。確かに考え方はあるんですよ。いやこれは税金じゃなくて、あくまでもその地域の特産品を買ってもらえるんだと、販売なんだというと、これ決してツーペイでも損じゃないんですよね。でもそれはこのふるさと納税でやるべきものではないと。これは創設者として言わしていただきたいところなんですけどね。
 ということで、総務省の方からはそうした一定の上限を設けるべきじゃないかという多くの声もあって、そうした動きに出てくるんではないかなっていう気もするんですね。
 それが証拠に、これも徳島、提唱させていただいて、ふるさと納税の企業版ですね。企業もその創設の地、そこに対して企業の税金を振り向けたいな、あるいは創設者が出身をした所に振り向けたいなとか、いや原材料で大変お世話になっている所に振り向けたいな、こうした声が実は個人版を作った時からあったんですね。で、それを提唱しようとも思ったんですが、全国知事会の中でもまずはふるさと納税個人版をしっかりと制度として普及をさせてから次に移るべきじゃないだろうかっていうのが意見の大半だったんで、私としても少しそこは矛を収めたところはあったんですけれどね。またその華美な話がこう出てきたんでね、ここでじゃあ企業版のふるさと納税これも打ち出していいんじゃないかということで、一昨年から様々な動きをして、昨年度税制が出来上がったところになったんですね。
 しかしここの時にきっちりと国の関与が入っちゃったんですね。国が全部選ぶと、どういったものを。これがだから華美になるとか、本来のふるさと納税の意図これを逸脱するんではないだろうか、あるいは場合によって税逃れになるんじゃないか、こうしたことから厳格な国の関与、これが企業版のふるさと納税には入ってしまったということなんですね。
 つまり地方に任せると、もう何をやるかわからんと、だから国が全部管理をするんだと、まさに地方分権とは逆の流れになる。でもそのトリガー引いてしまったのは地方側にもあるということを我々は忘れてはいけない。やはり制度は制度なんだということをね、いうことが一般論的なところなのかもしれませんね。
 ということで、我々としてはなるべくお気持ちに対してお応えをするということで、これは返礼品を選びやすくするということで、徳島も「とくしま特選ブランド」、これを従来の生食の分、こうした一次産品から加工品も一緒に合わせて新たな特選ブランドとするとともに、これらをカタログ化をする、見やすくおしゃれにするということね。さらには今空き家、そこに住んでいなくてそして都市部に出た、あるいは都市部で今生活しているんだけど親御さんの家が今空き家になってしまった。こうしたものの管理が大変だということで、空き家の管理、これも金額に応じてさせていただくという新たな制度も入れさせていただく。
 本来はこうして様々なニーズに合った形、地域にとってもWIN(ウィン)、つまりWIN・WINのこうしたものを出していく、そうしたところの何て言うかな、競い合いというのが本来あるべき姿だと思うんですけれどね。どうしてもお金だ、金額だっていうところに走ってしまうというね。若干ちょっと寂しいところはあるんですが、これも時の流れですんでね。多くの声が出てくる中で、自ずとセーブがされる、あるいは国の関与ががしっと入ってしまう、でもこれはやむを得ないのかなという感じもしているところであります。以上です。

(徳島新聞社)
 その関連で、自治体の中で上限を国が定めるよう求めてる声もあるんですが、それについては、返礼品の上限を。

(知事)
 結局、今いただいた分、ふるさと納税分について税としての上限というのはあるんですけれどね、それに返す分の上限というのが無いんですよね。だからたくさん集めるためには、それはツーペイあるいはそれ以上のものを返した所、そしたら魅力的なんでそっちへ流れちゃうということなんで、しかもそれは我々地方から発想したこれ制度だけになかなかね、地方でってことだとお互い紳士協定的なものしか結べないとこなんですよね。だからやむを得ない、国でもって線を引いてもらうかと。確かに所得税が入っていますんでね。そうしたところをひとつ、線を引いてもらうと。やむを得ないことなのかなと。
 確かに地方分権という流れからするとね、これは逆行するし情けない話なんだよね。そういったことのそのセーブもできないの、地方ってって、国からは見られちゃう。で、これがトリガーとなって、あらゆる点でやっぱり地方に任しとったらダメだ、もうやりたい放題やるじゃないって、国の方で制度ガチッとはめちゃおうって、こういう動きが当然出てくる。だからそうした点も、もっともっと、みんな考えていかないといけないんではないかな。
 でも、もうこの声はやむを得ない声と。つまりちゃんとルールを守ろう、そうした紳士協定を守ろうという所がね、あなたの所はふるさと納税集まらないじゃないですか、何やってるんですかと住民からも言われるし。あるいは色々なランキング調査の中でもね、下位にこんなところがありますとまた言われる訳よね。ルールを守ってる所がそうした意味で指弾をされて、ルールを守らない所がいやああそこはすごいよって、これは確かにおかしい話なんでね。ていうことであればもう、ガシッと国が枠をはめる、そういう声はもうやむを得ない声だなって。
 でもこれは気をつけないといけないのは、地方分権の流れを大きく阻害をしてしまうというね。でもそれはしょうがないよね、身から出たさびと言われてもしょうがない訳なんで。ガシッと、私も創設者だから本当はね、どうだこうだ言わないかんのやけど、これはやむを得ないんじゃないのって。それがわかるのが企業版のふるさと納税なんだから。この際ガシッとはめられてしまうっていうのもひとつだろうということだと思いますね。

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