〒770-8570
徳島県徳島市万代町1丁目1番地
- 電話番号:
- 088-621-2500(代表)
- 法人番号:
- 4000020360007
(読売新聞社)
例の、アンサンブル・セシリアの記念オーケストラ事業の関係なんですけれども、今回東京地検に告発されたことを受けてですね、同じアンサンブル・セシリアを使ったですね、イベントの手配事業ってのをこれ今後どうされていくのかっていうのが1点とですね。
それと、音楽事業費、文化事業全体がですね、県の外郭団体を通じて民間に発注されているっていう状況で、こさいな支出状況ないしはそのイベントの運営状況なんかを主催者としてあまりきっちり把握できていないような現状があると思うんですが、その点を今後どうされていくのかというのをちょっと聞かせてください。
(知事)
ただいま、質問をいただいた点については、このたびとくしま記念オーケストラ、その楽団調整を担当していた法人が、法人税法違反の疑いで、東京地検から告発をされたところであります。適正な納税を行う、このことは法人としての第一の義務、それが果たされなかったということは、断じて許されるものではありません。
また、当該法人の代表が、県の政策参与に就任していた時期があるということでありまして、とくしま記念オーケストラはもとよりでありますが、県の信用を失墜させたことは、誠に遺憾、たいへん残念な事であります。
今、日本全体が東京オリパラの文化プログラム、何と言っても2012年のロンドンオリンピック17万7千件、これを超える20万件をやるんだと、文化庁から強力に発信され、国を挙げてということになっておりまして、まさに各地域の文化レガシーを創造をしていく、大競争時代に突入をしている今ということであります。
徳島としても、こうした流れに遅れをとらず、しかし、今回のこと、このピンチをチャンスに課題があれば、しっかりとこれを解決し、徳島の誇る4大文化であります、今では東京オリパラエンブレムの色となった「阿波藍」、そして江戸時代はこの富によって築き上げた「阿波おどり」、「阿波人形浄瑠璃」、そして来年いよいよ100周年を迎えるベートーヴェン「第九」アジア初演。
昨日は、鳴門市におきまして、第36回鳴門の第九、全国から59団体602名の皆様方を合唱団として集め、そして、また鳴門市とリューネブルク市との第九アジア初演、板東俘虜収容所「奇跡の交流」これを契機として長年培ってこられた友好、指揮者におきましても、リューネブルク市立芸術劇場、音楽監督が行われるなど、まさに来年の第九100周年に向けての大きな今ステップアップ、その時に来ている、我々県といたしましても、徳島文化レガシー創造に向け、しっかりと対応していきたいとまずこのように考えているところであります。
そうした意味で、今手配の話、もちろんこちらについて担当いただいたわけでありますが、当然我々県といたしましても担当者を増やして行くとか、これまで第九100周年に向けて、もっと言うと国民文化祭2度目の実施、その後という形で行ってきておりますので、多くの関係者の皆様方の御協力をいただきまして、もちろん団員の皆様方の御協力もいただく中で、しっかりとこの事業を展開をしたいと、まずこのように考えております。
それから今度は、お金の流れ、事業の流れの御質問がございました。県としても、やはりこうした文化事業を一手に引き受け、また郷土文化会館、今ではあわぎんホールと呼んでおりますけれど、あるいは文学書道館の指定管理を行っていただいている、まさに本県の文化事業の多くの知見が集まっている徳島県の文化振興財団にお願いし、そこから県内事業者の皆様方にお願いして、そこからさらに、それぞれ当然のことながら、例えば音響であるとか、楽団の編成であるとか、それぞれ専門家がおられますので、こうした皆様とまさにチームとして行うというのが、音楽だけでなくて、多くのイベントの常ということになっています。
ですから、我々としては、これまで行われてきた類似の事業、徳島の場合には積み重ねがありますので、これをベースとしてだいたい全体の事業費をはじき出す。もちろん、進化する芸術文化事業ということで、こうした点について映画祭で活用していくとか、その映像をね。
例えば、一例で言うと「さだまさし」さんの作った映画「眉山」これがあったわけなんですが、当然臨場感を増すということになれば、夏の阿波おどりそのものを。でも、映画の撮影ということになれば、NGもでるし。あの時も8月15日までで徳島市内の阿波おどりが終わるところを8月16日に南内町。まさに夜通しで、踊る、エキストラの皆様方に観客として入っていただいて、そこで撮ると。こうした形で撮ることになるとコストがかかるということですから、ただ単に演奏会をやるというのでなくて、その音源も専門家に撮っていただく。そして、その映像もきっちりと4Kなどで撮りまして、できれば4Kということなんですが。これを例えば様々なところで活用していくと。
例えば、今ニーダーザクセン州との間で、またリューネブルクと鳴門の間で4者共同で、板東俘虜収容所、ベートーヴェン第九のアジア初演の生まれた奇跡のこの交流を史実として、ユネスコの世界の記憶にチャレンジ、共同申請しようと。当然日本においても、ましてや敗戦国のドイツにおいては、そんな史実知らない人がたくさんいるんですよね。これをわかりやすくというと、いくら言葉で言う、パネルを観てもらうでは理解してもらいづらい、であれば一番早いのは、短編的な映画、あるいは記録映画、こうしたものを作って、観ていただくのが、一番わかりやすいということで、特に記録の部分についての映像、これはニーダーザクセン州のヴァイル首相、あるいはリューネブルク市のメドケ市長さんが来られた、共同調印を行ったあの場でもマスコミの皆さんにも観ていただいたわけですけど、実は、あの時にも、バックミュージックをそんなにはかけていなかったんですね。そういう明るい戦争の映像なんかも出てきます。
その時に終わった後にも、晩餐会をこちら(県)主催で行いましてね。ヴァイル首相から言われたのは、「ひとつ提案がある。あの映像について、あれだけではインパクトがない。やはり全編にベートーヴェンの第九を流してくれないか。僕からの提案だ。」と、実はこう言われた。それは、確かにそういうことだ。ましてや、ニーダーザクセン州のトップが言う訳ですんでね。それは当然、作り変えなければならないと考えているのですけどね。
その後、晩餐会の場では、第2回徳島国際短編映画祭のオープニングを飾った「百年の火花」実はこの映画、これ自身もベートーヴェンの第九、アジア初演がどんな形で行われ、今、徳島の文化としてどう息づくのか、これをわかりやすくと、約28分間の映像なんですよね。こちらには、ベートーヴェンの第九を第一楽章からきれいに配置して、映像にあわせて、そしてとくしま記念オケの二千人の大合唱も、その映像も入ってという形で、そうした中に入れ込んで、色々な形で使っていく。
でも、そうした音源についても、例えばカラヤンが演奏したものとか何とかっていうと、当然著作権料を払っていくとか、ものすごくお金がかかっていく。でも、オリジナルのものと。しかし、これがはっきり言ってあまりレベルの高くないものであったら、逆に何これ。ましてやドイツの皆様方については、ベートーヴェンはドイツ人ですからね。第九はヴァイル首相も言ったようにまさに世界共通の国歌だとここまで言われて。もう口ずさめるわけなんで。当然いい加減な音源と言う訳にはいかない。しかし、「百年の火花」を全編観ていただいたときに、彼が言ったのは、この映像を全部いただきたいと。ユーチューブで流したいと。ドイツでですよね。ということで、すぐにUSBメモリーでお渡ししたということで。やはり、こうした形で、様々な点で必要となる音源、そして徳島としてそれをしっかりと持っておくということはたいへん重要な点となりますので、我々としても、コスト的な点、これはしっかりと、今まで以上に。先ほど課題があればしっかりと解決してと言ったのは、そうした意味を込めてということなんですよね。そうしたものをきっちりと。そして、まずは、ベートーヴェンの第九アジア初演100周年これはもとよりのことなんですが、やはり音楽文化徳島の場合には、ベートーヴェンの第九アジア初演というとこれは洋楽ね。それから、「阿波おどり」、阿波人形浄瑠璃というと江戸時代から邦楽、三味線、あるいは篠笛、太鼓。太鼓も大太鼓、締太鼓、鉦、様々なものがあるわけでして、まさに邦楽の息づく地でもある。
そして、横浜、神戸、徳島、日本3大ジャズメッカだと。今では、このジャズも2月、8月のジャズストリート、これはもとより、JRの皆様方が、もともとは徳島県としてこうした企画をしてジャズ列車として、今では、JR四国の企画となっている。池田でもジャズ横丁が行われている形。こういう形で徳島としてはしっかりと、かつてから栄えた、またかつての徳島ならではの、そうしたものについてしっかりとこれからもやっていくと。 しかし、やはり今回のようなああいう事件がでてしまいますと、大きなイメージが損なわれてしまう。いったいなんだ。こうした点について払拭するのはなかなか大変なこと。
やはり、それはアウトプットとしていかにすばらしいものを徳島から出していくのか。そして、芸術文化というのは、まだまだ日本の大きな実は課題となっているんですが、東京中心になっている。全てが東京。オーケストラも在京のオーケストラがほとんどだ。評価の高いのもそうだ。
これにあえてチャレンジしたのがとくしま記念オーケストラ。何といっても、2度目の国文祭を行う、これは難しいことですよ。県内外の文化人の皆様方から第1回の国文祭が非常に良かったと。こうしたことを言っていただいたこともあって、多くのアドバイスをいただいたところでね。
しかし、このなかでも、4大モチーフとなった阿波おどり、阿波藍、そして阿波人形浄瑠璃、どんどん進化しているところがある訳ですが、これを全く新たな形にするのは難しいんですよね。しかし、この第九の部分、こちらについては、そうした今までは徳島では、プロのオーケストラが活動できる素地もないし、我々もそれだけのお金もありませんし。しかし、徳島の旗の下に、そして徳島を盛り上げようよ。何と言ってもベートーヴェン第九アジア初演の地じゃないかと。
年末になったら、有名なオーケストラがこぞって、毎日のようにベートーヴェンの第九を演奏し、多くの皆さん方が合唱団として、また聴衆として参加される。ならばその聖地徳島で、また徳島を盛り上げようよ。
そこで、世界的な指揮者である秋山和慶先生にお願いして、その求心力となる音楽監督に就任をお願いをしたら、御快諾をいただいた。これは最初の第1回目の国文祭。そのデビューをする意味でもね。
ちょうど寂聴先生に「幸せは」という詩を第1回目は書いていただいて、これに曲づけもしてもらったんですけどね。「幸せは再び」と。こちらをむらさきホールの方でやっていただいたときに、秋山先生に振っていただいた。これをきっかけとして、徳島交響楽団の夢と言われたジュニアオーケストラこの結成、ここも対談の中で、是非ジュニアの皆さん方と一生懸命練習して、私と一緒に演奏してみましょうよ。こうもテレビの前で言っていただいた。そして、それが現に実現すると。
やはり、子どもさんのうちから、我々の時代では考えられなかった、地方で超一流の皆さん方と接し、そして一緒にいろいろな形で演奏していく。今では、様々なオーケストラの皆様方が徳島に来て、徳島の中学生、高校生、あるいは小学校を巡るとか、こうした動きがどんどん出て来た。
我々の時代は、そうしたものはきちんとこちら側に座って、舞台で演じるのは偉い人みたいな感じでね。こちら側から曲目、これ聴きたい、あれ聴きたい、なんてのは一切言わせてもらえなかった。
今はそうでなくて、こちら側でこんな曲で聴きたい、あんな曲も聴いてみたい。アンケート調査も取りますしね。終わった後に。そうしたものをと言ったら、それはもう喜んでと。
もう1つ重要なのは、本来徳島として、もっともっとPRをしなけばいけないという「徳島県民の歌」。これは、三木稔さんが作曲をしていただいたんですけどね。これも単旋律でしかなかった。こうした点についても、2度の国文祭を契機として、これをオーケストレーションとして、とくしま記念オケでは、多くの機会で「進めすだちくん」と「徳島県民の歌」これらをオーケストラとして、そして場合によっては合唱と。または演奏でという形で。今では、県内でも、徳島県民の歌あれ歌いましょうよと。いろんな会合でもね。そういった話も聞きます。だからやはり、そうしたところから、県民の誇りといったもの、実は、徳島県民の歌、徳島の産物であったり、自然であったり、まさに郷土色豊かな形になっているわけでありましてね。こうした点をどんどん音楽を通じて、県民に、そして日本中の皆様方にも知っていただくと、こうしたことが重要ではないかとこのようにも思っております。
しかし、今おっしゃっていただいたように、なかなかこの世界の構図っていうのは難しい部分がある。しかし、今回のように、ひとつ事件が出てしまうということになりますと、やはり県民の皆様方もいったいどうなっているんだということは当然のことありますので、我々としてもしっかりと、またできうる限り課題の解決をはかれればと、このように考えています。以上です。
(読売新聞社)
今の、県の信用を失墜させたというところでですね、一部の報道なんですけれども、今後アンサンブル・セシリアにはもうおそらく発注しないだろうと、知事の発言として報道されてるところもありますよね。それはもう、県から正式に財団とかイベント業者なんかに、もうこのアンサンブル・セシリアを使うなと要請するなり、これからする予定である、そういうことなんですか。
(知事)
というか、その発言を受けておそらく事業者の方々が、それはもう無理だろうなと。我々の方から、この事業者を使えとか、使うなとかいうのは、やはりまずくて、委託をした皆さん方で最高の布陣でもって、もちろん予算の範囲内というのはありますから。最高のと言ったのは、少し語弊があるかもしれませんが、そこまでのお金は出してないから。でも、その範囲内で出来うる限りの形でやっていただくと、おそらくそういう形になるでしょうと。つまり、県が直接契約を結んでいるわけでないので。
(読売新聞社)
おそらく今後このプロダクションには演奏家の手配業務を発注しないであろうという。
(知事)
徳島に関わる分についてはということですね。別に他の県は、我々の関知するところではないので、そうなるであろうと。私の口からそうだとはなかなか言いずらい。それは、そうであろうと。それを受けていただくということにですね。
(読売新聞社)
文化事業の必要性は非常に今わかったんですけども、だからその記念オーケストラ事業も年々けっこう増えていってるじゃないですか。その中で、その一方で、そのこさいな支出というか、財団から先にイベント会社にいった分に関しては、こさいな状況ってのがなかなか把握が難しい状況がありますよね。そこをどうするかっていうのは。
(知事)
これについては、大体全体の見積もりを行う場合に、別にオーケストラの演奏っていうだけではなくて、いろんなイベント行事、例えば皇室行事などもありますので、その中で、
イベント会社に任せる中で、音楽の部分でだいたいどのくらいだろうと、式典行事はどのぐらいだろうと、あるいは、皇室行事の部分はいくらだろうとか。それぞれを過去の事例に則って我々としては積算して、それを全体の合計として。それぞれをいくらだという形では言わないんですよ。
というのは、それを受けてくれた人たちが、音楽が得意な例えば、事業者であれば、音楽の部分できっちりというか、リーズナブルである。逆にほかの部分は少し歩掛かりがかかってしまう。逆に皇室行事について非常に経験が豊富なところであれば、皇室との間のやりとりというのも、宮内庁ですけどね。非常にスムーズになる。ということであれば、その分の出張旅費やら何かがかからなくなってくる。その分を他に。だから、誰が受けてくれるのか、当然、入札とか、あるいは提案募集とかでやるんですけどね。それによってということなんで。我々としては、その得意分野がどうなのかわかりませんが。最終的にどこが手を挙げてくるのか。だから、それぞれの分野において、大体このぐらいであろう。ここもこのぐらいであろうと。という形で全体経費をまとめる。そしてそれを、じゃあと。
皆さん方は、各個別がどうと考えているのではないのではないですか。全体の金額としてこの事業を請け負ったら、赤字になるのか、あるいはとんとんなのか、黒字なのか。
ただ赤字になりそうだといっても、新しいものへのチャレンジ、本当はそこの事業者がチャレンジをしなきゃいけない。その成果をひっさげて。例えば国の大きな事業とかね。あるいは民間事業者の大きな事業に手を挙げて行こうと。でも、実績ありますかと言われたときに、徳島でこんなことありますよ。これは大きいですよね。
では、その徳島の提案を受けるとなると、それはぎりぎりでやっていただける。ということは、つまり、ギブアンドテイクですね。ということで、実は、簡単にその事業の委託とかいう話ではなくて、その性格に応じて、またどういう人達が最初にそれを受け取るのか、これによっても全く違ってくるということがあるので。我々は我々の考えとして、過去の実績などに基づいて、それぞれに積算をして、そしてそれを打ち出していく。そして、その全体について、じゃ個別に音楽にいくら、例えばイベントにいくら、交流事業にいくら、皇室行事にいくらと、そういう形を求めるわけでないんですね。そこは、中で泳いでいただく。ただ、これを超えてもらうわけにはいかない。それは出せませんよ。
(読売新聞社)
従来全体のその、これまでの実績に基づいて大枠を決めて、それを財団なんかに投げるわけですよね。それで、そっから先は、今ちょっと最初冒頭であったんですけど、担当者を増やしたりだとか、あるいはこれまで以上に必要なコストの算定を行うとか、そういうことっていうのはやられる、今後の方針としてはどうなんですか。
(知事)
というよりも、一番重要なのは、こうした事業を、普通は昔、丸投げっていって、ぽおんと投げて、後は知りません。こっちは積算するだけですっていうのがパターンだったんですよね。
でも、そうではなくて、やはり県の職員自身が文化事業にしっかりとタッチをしていく。そうした意味では、今ある文化創造室とか、昔はなかった。そうした意味では、今の文化事業についての人員というのは非常に増えている。これは別にとくしま記念オーケストラに関わる事業というだけではなくて、阿波おどりも阿波藍も阿波人形浄瑠璃も。あるいは、それにまつわるいろいろな事業、こうしたものがどんどん広がる。それはさっき申し上げた、まさに、国全体でそうしていこうと。その流れが、最初徳島が来た。これは全国で初めて2回も国民文化祭を行ったというね。
特に2度目の時には突然だったし、ほとんど我々としてはお金を出すことが出来なかった。だから国の方から、まあそう言っても、国で何とか出すものは出しますよと文化庁に言われたところなんですけどね。
そうした中で、逆に言うと、厳しい時代、潤沢にお金があるっていうのではなくて、厳しい時代のやり方、ここが実はスタート点になっている。
確かに、1度目の国民文化祭の時には、マスコミの皆さん方にもね、ちょっと叩かれたことがあったんですよ。こんなにお金かけたんか。その成果はどこに出てるのかとね。これは厳しく受け留め、その後、毎年4大モチーフといった、まずはベートーヴェンの第九「始まりの第九」から始まって「ジョールリ100公演」阿波人形浄瑠璃、そして「藍千」これは阿波藍、そしてさらには、「萬の民の阿波おどり」という形で、4年間、それぞれを全部モチーフにして、そこに集中的にと。やっぱり漫然とやるんではなく、集中的にやるっていうことが飛躍的にその分野が伸びる。ああこの分野でやって、関連する県内事業者の皆さん方も、あっそこでやっていけばいいんだ。
一番典型的だったのが、阿波藍でしたよね。これまでは、非常に高い芸術品だと。着物一着も300万(円)とか。とても我々庶民が(手に)届くものではない。高値の花だと。でもみんな言われたわけです。そうじゃあないんだ。もっと身近に使ってもらいたいんだ。
そこで考えたのが、ITコンテスト。ITといったら、インフォメーションだと思ったら、そうじゃなくて、インディゴTシャツコンテスト。つまり、ユニクロでもどこでもいいから買ってきてもらった真っ白のTシャツをお母さんと子どもさんと染めてもらって、これ本当の藍で。それでいろんな模様にしてファッションショーをする。
つまり、身近なものですよと。
アトピーにも効く、いろいろなエビデンスも出て来てますけどね。藍は、非常に有効だと。なんといっても、戦国時代の鎧も裏側に全部藍が使われていた。これも2度の国文祭、そして徳島の藍千で、藍を非常にテーマに事業者の皆さん方に集まっていただいて、藍の効能をどんどん打ち出して。
実は、昨年の消化器外科学会。アスティとくしまでね。全国から6千人の消化器外科の先生方が集まったときにも、藍のそうしたエビデンス、効果。こうしたものをばっと並べて、そしてドクターを相手に観ていただいて。
という形で、やはり文化をしっかりと掘り起こしていくことによって、さまざまな徳島ならではの産業、そしてまさか、それが東京オリパラのエンブレムの色になるとは思わなかったんだけど。でも野老朝雄さんも徳島なんだ。徳島が原点だ。徳島の人じゃないですよ。野老さん。徳島に来られて、何度も来られて。こちらに、今日は出てないな。組藍海波まで作っていただいて。そして、この原点は「鳴門の渦潮と、そして東西祖谷のあの白い雲なんだよ。」とそこまで言っていただいて。
やはり、そうした2度の国文祭あるいは、厳しい予算であった。こうしたものを乗り越えなければこうしたことは出てこない。
ということで、徳島の場合には、やはり2度目の国文祭、非常に予算的に厳しかったということがあるので、いろんな積算ベースがたいへん厳しいところに実はあると。でも、じゃあ、いろんな人たち来てくれないじゃあないって。そらねえ、高いお金の所の方に、同じ日に重なったら行くわね、普通は。ところが、徳島のお接待これがいい。徳島の空気、水がいいと。徳島の迎えてくれる人たちが温かく迎えてくれる。これは、お金に換算できない。
例えば、オーケストラなんかだったら、どんな有名なオーケストラでもね、東京で聞く話だと、コンビニ弁当だっちゅうわけ。でも徳島に来て、例えば市町村に行かれた場合には、そこの食改善のお母さんたちが来て、地域のかきまぜを出してくれたり、ではお菓子だったら、半殺し皆殺し、みんな聞くとぎょっとしますけどね。半殺し、皆殺しって、そういうの食べるだけでみんないい演奏をしてくれる。
だから、我々としては、ギャラで、札束でもって演奏家の皆さん方をこの人達も芸術家なんだから、顔を叩く、そんな話ではなくて、お金はそんなに出せんけど、その分はお接待と、そして徳島を感じてもらって、徳島に貢献しようよ。そういう意味でと集まっていただき、確かに、最初は、記念オケも寄せ集めと言われたんですよ。多くの評論家の皆さんにもね。だいたい地方でそんなことをやってもうまくいくわけがない。マチ★アソビの時もそうだったけど。
しかし、それも回を重ね、秋山先生のおかげもありまして、今では本当にすばらしいメンバーが集まり、特にシンパシーの高い、彼ら自身が曲目でも、進めすだちくんをアンコールでやろうよ。とか、あるいは、徳島県民の歌がいいよ。とか、こういうことをどんどん言ってくれる。
在京のオーケストラにそういうのをやってって言ったって、やったことないしね。何でそんなん一から練習せないかんのですか。ってたいてい言われちゃう。
でも、そうじゃあなくて、しかも在京のオーケストラの中でも、若手バリバリで、しかも首席をやったり、いろんなところで 活躍をしている人たちがどんどん来てくれる。そういう進化を遂げてきたというのも、県を挙げて、やはり別に音楽文化だけでなくて、徳島県自身がそうした文化、豊かな素地があるということが、彼らは感性するどいですからね。いろんなところで接する、例えば、食べ物屋さんに行ったときに、ホテルで、あるいはタクシー乗ったりと、そういったときに触れる感性、これから、アウトプットが出てくると、こう思っているんですよね。
(徳島新聞社)
今のとこ3点追加でお伺いしたいんですけれども、コストをきっちりというお話が出てきたんですけれども、ちょっとそれはどういう風にこれからやっていくのかということで。で、あの、途中でですね、誰が受けているのか提案募集でどこが手を挙げてくれるかっていう話だってのが出てきたんですけれども、今回のようなケースは、基本的に随契でやってるっていう風にお伺いしてるんで、手を挙げるっていうのとは違うのかなという風に思うのが1点と、あと、前例を元に、要するにお金をはじくというお話があったんですけども、担当課に聞くとそもそも東京交響楽団がきて、それがベースとなって前例を重ねてきているということじゃないかという風に聞いてるんですけれども、知事が県民環境部長時代ぐらいに来始めたんじゃないかという風に思ってるんですけれども、それはなぜその時に招いてくるっていう風な経緯があったのか。そのあたりで川岸さんも来るようになったっていう風に聞いてて。で、東京交響楽団は、そもそもその川岸さんっていう方は、徳島県と仕事をする時にいらっしゃる方だという風に聞いてるんで、やっぱり徳島県からこう川岸さんを使うということになったのかなあと推察するんですけれども、そのあたりを。
(知事)
はい、まずコストの点ですね。コストについては、今も申し上げたように、徳島としてはこれまでの積み重ね、またかつていろいろなオーケストラ、別に東京交響楽団だけじゃあなくて、いろいろ来ていただいてますんでね。当然そうしたときの単価。
あるいは、今申し上げた2度の国民文化祭、この時にもいろいろな皆さん方に参加していただいていますので、そうしたものの単価これらをベースとして、今の単価が出来てきていると。
当然のことながら、そうしたものについてもう1度チェックをするということは、当然やぶさかでない。現にそういうことを毎回やってはいるわけなんですけどね。
それから、次に提案募集の関係、これは先ほどと少し質問が違うということね。つまり、今いろんな形で、記念オーケストラがどんどん演奏の機会が増えてたじゃあないですかと。こうした話の中で、例えば、皇室行事であったり、大きなイベントであったり、そうしたものがあって、当然それぞれの部分、これは当然提案募集という形でやってきましたよと、この質問の内容ちょっと違うということなんですね。
そして、今回の例えばとくしま記念オーケストラの演奏ということであれば、当然そうした形で随契を、その経験が豊富なところにお願いする、県内業者にということになります。
それから今度、積算とあるいは代表との関わりということなんですが、当然のことながら、1回目の国民文化祭を行うといったのが、平成14年度に決まったということがあったんですよね。こうしたものの中で、例えば、ベートーヴェンの第九アジア初演というのもまだまだ当時はほとんど、私自身も認識していなかったし。
そうした中で、多くの皆様方に徳島に音楽文化これを息づいてもらうというのが、いるんじゃないだろうかという中で、やはり、さっき申し上げたように、いろんなオーケストラがあって、徳島でも演奏してきてくれているんですけどね、ほとんどが向こうで曲目を全部決めちゃうんですよね。お仕着せでそれをまるごとパックで買うというのが、これが日本のやり方と。
でもこの中でも、チャレンジをしてくれるところがたまにある。東響さんはそのひとつ。我々は地域の文化をしっかりとはぐくみますよ、徳島ならではというのであれば、そうしたものをということで、こうした点についても、御協力はいただいたということになります。そうしたところで、関係が、当然、楽団調整という形で、あるいは、演奏家の手配ということはあるでしょう。そういった形でアシスタントと入ってきておられた。こういう形であります。
(徳島新聞社)
アシスタントとして入ってきておられたという御説明なんですけれども、そもそもその徳島と仕事をする時だけに、その川岸さんという方は入ってらっしゃったという風に聞いてるんですけれども、県から要請して入ってもらったということではない。
(知事)
それないです。だって、我々は東響さんにぽんとお願いするわけですから。もちろん、ソリストやなんかについての相談は、場合によっては、受けますけどね。
(徳島新聞社)
東京交響楽団は、普段こう川岸さんを使っているという説明ではなかったんですけれども、そのあたりはなんでなんですか。
(知事)
それは、我々にもわかりません。
(徳島新聞社)
関連で。先ほどその予算、全体額としての見積もっていって、全体枠としてその中でやりくりといいますか、そういう表現ではなかったですけれども、そういう趣旨のことをおっしゃったと思うんですけど。ただ基金なり、今回の積み立ててる基金とかその県費も含めてですけれども、元をたどれば税金から出ている事業をやっている中で、更には今回こういう脱税というような容疑がかけられている、事件にもなる可能性がある状況になってる中で、事業をした県として、例えば、川岸さんにイベント会社を通じてどういう流れでどのくらいのお金が渡っていただとか、そういうことを担当課に聞いた中ではわからないと、先のことはわからないということなんですけれども、やっぱり税金がベースになっている以上、こういう事態にもなっているので、はっきりさせておく必要があると思うんですけれども、そこらへんこれからどういう風に把握するつもりがあるのかとか、それをわかったものを公表する考えがあるのかとか、そこらへんはどういう風にお考えでしょうか。
(知事)
まず一番重要な点はね、もし我々の積算としてはさっき申し上げたように、ただ厳しい見積もり、でベースがさっき申し上げた2度目の国文祭。これが回落とせば当然そこにならってくるんで、役所の予算ってそういうもんでね、そういうところがある。
ただ、事業者の間でさっき申し上げた得意分野あるいは苦手な分野、これは必ず全てパーフェクトに出来る人っていうのはいないですよね。そうしたものを中で、例えば我々が見積もった以上に音楽の分に出すとか。そのほかの部分は自分が得意だから、自分のところのノウハウでやってしまうとか。その逆もありますよね。そういうことは当然ありうるでしょう。
だから我々はいちいちどれにいくら使いなさいなどということは言わないんですよ。そうすると、結果として全体的に出来ないから、返上しますとこう言われちゃう。ということは、ままあるんですよね。
だからそうじゃなくて、全体の中で、我々の中ではきっちりと積算しますよ。徳島の形としてはこうだ。ただ、全体の中で泳いでもらう、これは事業者の腕と、最初のね。今度はその中で自分として苦手の部分をどう補っていくか。そうした所でどういう人を選ぶのかのが決まってくるということになるというですね。
ただ、それも誰と組めなんてことよりは、その事業者の特性に応じて事業者の方でいろいろ考えていく。そうしないと全体赤字になってしまう、そういうことだと思うんですよね。
だから、我々としては一番重要なことは、もちろん今回は脱税事件が表面化したということなんですが、我々の積算、きっちりとやってもらうと。最終的な金額、これが一番のポイント。つまりそこから先どういう流れになっているかということよりは、きっちりとその範囲内に収めていただく。
そして、もう1つ重要なのは、じゃあその積算が甘いんじゃないか。ここのところはきっちりと我々としてはしていかないといけないと。
だから、我々がやるのはこの最初の部分ね。つまり積算をきっちりとしていく。ただ、それはそれを受ける事業者の人が、例えばコンペで選ぶ場合もあるし、あるいは決まった事業では、経験値の高いところにお願いしようと。じゃあなぜお願いしようということなのかというと、それだけロスが少ないこういうことになるかと思います。
だから我々の一番求められるのは、やはり積算をきっちりすること。ここが一番のポイントと思います。
(徳島新聞社)
その積算した全体の中で、当然、例えば今回であれば川岸さんに支払われている手数料だとかなんかそういうものが含まれてて、全体の積算が適正であれば、報酬なり手数料も適正な範囲の額だったということになるのかもしれませんけども、それは結果的な話であって。今回その繰り返しますけど脱税事件になろうとしている事案である以上、実際に県からの支出されたいくらが川岸さんの元に入ってて、今回言われているのはそれが脱税の元になったお金だという風なことにもなってると思うんですけれども、そこを調査するというか、イベント会社に聞くだとか、そこらへんを聞くあるいはそれを公表するっていう風な考えはないということでしょうか。
(知事)
ていうか、我々としてそこのところは逆に契約上委託でお願いして、この範囲内でやってくれということで、言っているわけなんで。どう使ったかということに対して聞くということは、契約外の話になってしまう。だから、何度も言うようにその積算が甘い、だからぼろ儲けができたんだと、こういう普通構図考えますよね。
であれば、やはり、積算をきっちりする。ただし、最近公共事業みてわかるように、積算厳しくやると誰も手を挙げてくれない。こうしたことはままある。
だから、我々としてより良いものを行うということであれば、最初にお願いする事業者、あるいはそこからやっていただく人たちにも、ぼろ儲けっていうことではなくて、意欲を持ってきっちりとやっていただく。こういう形が望ましい。
結果として、ぎちぎちしてやったとしても誰も手を挙げてもらえなければ、結局事業ができないということになるんで、そこのところは、場合によっては事業者の皆さん方の知恵としてやっていただく。あるいはスキルとして。本来はその部分にもお金を出さなければならないかもしれないんだけど、それはその事業者のスキルで、経験値でやっていただく。
だから、逆に言うと、公の仕事っていうのは、余りうまみがない。よく言われるんですけどね。ただ、今回はお話があるように、脱税の容疑がかかったというのであれば、ただ、脱税の容疑の中身も重要だと思うのですよね。つまり、ぼろ儲けした法人所得を隠蔽しようと。ものすごい隠蔽があった。ということであれば、今おっしゃるように、場合によっては、事業者間の話ではあるけど、徳島県の積算がものすごく甘かったということになるんですよね。
でもそうでないと、仮に、いうことであれば、それは逆に最初冒頭で申し上げたように事業者として申告をしなければいけない。こうしたものが出来ていない。これも罪に当然なりますので、事業費の多寡の問題というよりは、モラル。
だから、我々としても容疑として告発をされたという話なのでね。その辺りがどういう形になるか、だから最初のコメントとしては、しっかりと見守らさせてもらうというのはそういう意味もある。だから、今の御質問というのは、逆に言うと、その結果が出た後の話になる部分かもしれません。
ただ、我々として今できることっていうのは、積算が本当に甘かったのか、甘くなかったのか、ここをしっかりと見る。ただし、これを厳しくしすぎてしまうと、公共事業の一連で出ているように、なかなか手を、これじゃあできないよと言われてしまうのかもしれない。でも、ぎりぎりをどうやって追求していくのか。ここがポイントということになるかと思います。
(朝日新聞社)
その積算が甘かったか、甘くなかったかというのは、どういう風にチェックするんでしょうか。
(知事)
はい、やはり必ず役所っていうのは、前どうだったかというところから始まってくんですよね。だからこれまでの類似事例、こうしたものをしっかりと見て、そこと比べて積算が非常に高くなっているとかね。もちろんそれぞれに特殊事情がある場合がありますよね。例えば雪などで来られなくなった。その分は旅費がよりかかるとか。そういう特殊事情は除いたとして。過去の事例と比べて、さあどうだったのか。こうしたものは、きっちりとこうした事例が出てくれば、我々としては当然ちゃんとできているのか、マスコミの皆さんもとより、県民の皆様方が、それは疑問の目で見るわけですから。その襟を正すという意味からいくと、本当に積算が正しいの。高すぎたんじゃないの。甘かったんじゃないの。そうした点については、きっちりと。それが例えばさっき言った国民文化祭の時とどうだったかって言うね。もちろん、形態は違うんですよ。組織の人っていうのと、それぞれ個人でっていうのと違うわけなんで。でも、それはひとつの参考事例として見ないと。前例がないんでね。前例のない道なき道を行っている。その積み重ね。これはあるんです。
またでもそれで、そういいながら寄せ集めと言われるね。なんだこれは。と言われる批判からここまで抜け出て来たと。
(朝日新聞社)
その類似事例というのは、それぞれがやっぱり知事さんおっしゃるように特殊な事情があったり、それぞれ独自にやってらっしゃる部分あったりすると思うんですけれども、他県の事例とかを調べたりするんですか。
(知事)
他県の事例というよりも、もちろんそうしたことをやる場合もありますけど、それぞれ例えば既存のオーケストラであれば、当然徳島だけどうとかいう形にならないんで、大体一般的なんで出て来ますから。ただこれも一本で出てくるんですよね。演奏家一人にいくら払いますから、どうと、中身については答えてくれない。全体ですと。
でも、それは当然のことで。演奏の分だけじゃないわけですね。既存のオーケストラは。つまり在京のオーケストラでもちゃんと立派な事務局があって、社屋を構え、そこに色々な人が働いている。楽器を持たない人たちがね。その皆さん方の当然給料もあるわけだし。
でも、今回のとくしま記念オーケストラっていうのは、そういうところは除いてしまっている。だから、在京のオーケストラの人たちからとってみると、自分の育てた団員達が、確かに団員達の自発的な参加意欲、徳島でやろう、盛り上げようということなんだけど、ちょっと虫がいいよねって、いうところは、あるでしょうね。
つまり、我々はそういうコストを払ってないわけなんだから。だから、普通はそうした点を考えたところ、その部分のコストは安く。
ただ高くなる部分もあるんです。これは旅費ですよね。例えば、東京周辺で行う場合であれば、そんなには旅費かかんない。電車で行けば良いし。もう1つかかるのが楽器の運搬費用ね。例えば、コントラバスだとか、チェロだとか。普通のところだったら、専門のトラック持ってけばいい。あるいは、しょって行けばいい。でも、徳島の場合は飛行機に乗ってくるわけなんで、これを貨物室には入れられないんですよね。そのためにはひとつシートを取らなきゃなんない。というとチェリストを一人招いたら、二人分かかる、二人分まるまるはかかりませんけどね。そういう部分については、当然コストがかかるし、宿泊代がかかるし。でも、その分今言うような運営経費、こうした点を考えると、まずは安くつくであろうと。
もう1つは、何よりも重要なのは、演奏家の皆さん方のやる気。大抵よく言うのは、在京のオーケストラが地方来て演奏するときっていうのは、どさ回りなんていう言葉を平気で使うんだよね。適当にやっとけばいいよ。消化試合だ。これでは、本当の音楽文化っていうのは生まれない。
これよりも、お一人お一人が、東京で、例えばサントリーホールだ。東京芸術劇場だ。こうしたところで演奏するよりも、徳島の皆さん方のそうした気持ちに自分たちが応えたいと言って、いい演奏してもらう、ここはお金で換算できない部分になるんですよね。
彼らも生身の人間ですから、当然自分たちがウェルカムになって迎えられているのか。それとも単なる買い取り公演で来ているのか。これによって全く演奏ぶりが変わってくる。
そうした点は、逆に多くの県民の皆さん方、実際に接していただいたね。あるいは、ヴァイル首相も音源として映画で聴いていただきましたけれど、これすごいじゃあないって。そうしたわかる人たちにはだんだん分かる。
もちろん、聴いた事ない人たちにとってみると、なんだっていう話に当然なるわけですがね。
ということで、我々としては、地方でやる非常にリスキーな点はあるんです。東京を離れるということはね。でも、それを変えなければこの国の文化は変わらないし。でも今、絶好の機会が来ている。これが正に国を挙げて、東京オリパラの文化レガシーを作るんだと。国が旗振って。だから、そうした点についても、理解を得られるんじゃあないかと。昔だったら、とてもとても、徳島で演奏ですかって、ううんで終わっちゃう。だったら、四県組んでくださいなんてそんな話、平気で言われた。
(朝日新聞社)
知事の思いがわかりまして、そうした中ですごい水を差すような残念な出来事だなと感じるんですけれども、今回のことは容疑がこれから調べられるということもあって、見守るということもあると思うんですけど、この川岸さんがかつて政策参与だったということで、その2011年5月から13年3月まで政策参与というのは、これはどうした理由で政策参与に登用されたんでしょうか。
(知事)
徳島に1回国民文化祭をやって、1回目の時にここで非常に頑張っていただいたっていうこともあって、すぐに政策参与になっていただいたわけじゃあもちろんないんですね。
つまり、楽団の調整をするっていうのはどういうことかっていうと、彼らは芸術家なわけなんですよね。当然、芸術家の常識は、我々にとってみると、えっていうことはままある。逆に我々も公務員。特に、県民の皆さん方も公務員の常識って変じゃあないっていうこと時たまあるんだけど。ましてや芸術家の人たちからすると理解できないってことが、ままあるんですよね。
だから、その間にたって調整してもらう、つまり我々の意見を代弁してもらわないことには、買い取りコンサートなら別に1回こっきりでいいんですけどね。国民文化祭、しかも2度目をやると。多くの皆様方から1回目は評価あったけど、2度目の評価難しいわよ。と言われる中で、よりそこのとこを上げるということになると、やはり演奏家の皆さん方にしっかりと徳島イズムを判ってもらわないと、途中でもう辞めたってなることがままあるんですよね。
現に本番に向けてのリハーサルに怒鳴りあいがあったりとかがあったと聞いているんですけどね。そうしたものの中であの2度目の国文祭ができた。そして多くの評価をいただいた。かつては、文化不毛の地だと言われて。それが国文祭通じて文化不毛の地と言ったのはいったい誰だ。っていうことにまでなった徳島なんで。
だから、そうした点を考えていくと、こちら側のサイドに立って、事業者なんだけどやってもらわないと。演奏家の側に立ってもらうと困る。ということで政策参与というポストについていただいた。
だから、国文祭はプレから始まりますから、平成23年5月からね。そして、国文祭の本番が平成24年度秋でありましたから、その最後の部分もありましたから、25年の3月末までついていただいた。そして県の側に立って、演奏家の皆さん方を束ねていただいた。束ねると言ったらちょっと語弊があるけど、しっかりと県の考えっていうのを伝えていただく。
(朝日新聞社)
働き方というか、実際にどういう形で動かれて、どういう風にその県の思いを伝えてもらってたんでしょうか。
(知事)
県の方としては、当然予算繰りについてもそうだし、当然いろいろリハーサルをすると時間がかかるとか何とかってね。でも県の場合には、一定の予算を組んでいるとなかなかそこを超えてっていうのは難しい。でも彼らにしてみると、当然今労働時間の問題もあるけど、こんだけかかると残業手当ちょうだいっていう話当然出てきますよね。単純な話。そういう場合も、それはっていうことになるわけですよね。それ腹たったらもう帰っちゃうって人も当然出てくる。
しかし、そうした点も納得してもらう、これが官のやりかたですよ。確かにオーケストラとしては、常識なのかもしれないが、ここはちがうからと。これは一例ですけどね、そうしたことがいろんな局面であるということなんですよね。だから、いわば通訳的な存在。この場合には、県の側に立っていただかないと困る。
(朝日新聞社)
元々知事が埼玉県の財政課長を95年度から96年度されてた時に、音楽関係者から紹介を受けたのが初対面だったという報道があるんですけれども、これは事実ですか。
(知事)
そうですね。
(朝日新聞社)
このときは、どういうような形で初めて会ったか。
(知事)
あの時は、埼玉県自身が諸井誠さんというたいへんすばらしい作曲家さんであり、お兄さんが、諸井虔(けん)さん、秩父セメントの社長さんでしたよね。お父さんも有名なベートーヴェンの研究家っていうことで、ベートーヴェンの研究家でもあるわけなんですが、埼玉県の「彩の国埼玉」の芸術劇場、芸文劇場の理事長に就任されていたんですよね。
当時埼玉県は土屋知事さんだったんですけどね。なかなかここでも、ここではと言った方がいいかもしれないけど、熾烈な状況でね、現場は。部長もみんな即刻首になるわけよ。全然話がかみ合わない。こうした時に私もうわぁ難しいんだなこの世界も、実感したんですよ。そうは言っても担当部はどうにもならない。知事さんがおまえ何とかせいという話で、先生に直接ね。だって予算が組めないわけですよ。普通は担当課の方から予算があがってきて、予算を組むんだけど。どうにもならないんで、直接直談判ね。もう予算組めませんよって。それでいろんな話を聞いて、それが最初のまずは諸井先生とのファーストコンタクト。
ああいう人っていうのは、懐に飛び込んでいくと、割とざっくばらんに言ってくれる。実は政策参与的使い方っていうのはいろんなところにもありまして、そういう人達を集めて、例えば年収だいたい1千万とか2千万とかをお支払いして、その分野を取り仕切ってもらうと、いうのはよくあること。
当時埼玉の場合には、四つの劇場があって。音楽劇場、芸術劇場、そして小ホール、演劇の劇場とね。蜷川さんのマクベスとかそういうのもずっとロングランをしていたんですけどね。そういう中で、それぞれに参与がおられたりということがあって。そういう中で、いろんな事業のたびに、ちょっと財政課長来たらと。そういう中でいろんなパーティの場で御紹介いただいたと。
(朝日新聞社)
その諸井さんというのは、どういう方なんですかね。
(知事)
だから埼玉の芸術劇場、財団の理事長さん。その時の肩書きはね。実際は有名な作曲家。
こうした点については、日本経済新聞の交遊抄の中にも私が書かせていただいてるんで、御覧いただければ出ていますけど。これはすごい方だったですよ。
(朝日新聞社)
そこで、川岸さんとも。
(知事)
たくさんその紹介いただくわけですよ、毎回。それは。毎回ね。
(朝日新聞社)
ああなるほど。いろんな関係者を。
(知事)
色々、で、逆に財政課長勉強しとけということで、いろんな人間がいるんだぞと。それで今私が説明したように、普通はね、知事としてそういう説明なかなかしづらいんじゃない。できないんだけど、それはどうしてかってというと、そのときに、勉強しろと。おまえなって、官僚だっていったって、頭固いだけじゃあないかと。そういう意味では、厳しかったと。私も若かったけど、徹底的に言われましたよ。何かあったら、すぐにおいでって。今日も演奏会があるとかね。リハーサルがあるからおいでと。現場を見せてやると。あんたは机の上で電卓を叩いて、予算を決めているだけだろうと。でも実際はな、違うんだぞ。こんだけの人間がこんだけ集まって、そして1つのものを。そしてそのパフォーマンスを出すところっていうのはいいとこ1時間か2時間。この実態というものをよく勉強しろと。夜に昼に呼ばれて、勉強しましたよ。
でも、それが非常にいい勉強になり、別に嫌みを言われたり、怒鳴られたりとかいうことはないわけですからね。でも難しいんだなって。そうした1つの物事、アート作品を創りあげるのは、そういうのを実感させられた。本当に非常にいい勉強をしたときでしたよね。
ただ、その辺りは、是非バックナンバーで。別に日本経済新聞のPRをするわけではありませんが、交遊抄見てください。出ていますから。