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(徳島新聞社)
金曜日にJR四国の会議が高松で、鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会ということで、地方路線の維持に向けた議論が始まったということだと思うんですけど、今回路線別の収支っていうのはまだ示されてないかと思うんですけども、今後県として、議論の中心になってくるのは財政的な支援ということかと思うんですけど、そのあたりのお考えをお伺いできますか。
(知事)
今もご質問がありましたように、JR四国の皆様方からのお声がけという形で、JR四国の各路線をどう維持していくのか。これについては、やはり四国4県、また地域のローカル鉄道をはじめとする公共交通に対しての有識者の皆さん方、それから経済界、また市町村、こうした皆さん方がまさにスクラムを組んで、四国を挙げて対応する。こうしなければなかなか厳しい状況が待ち受けている。ということで、いよいよスタートを切ったところなんですね。
もとより、これは昭和62年にさかのぼることになります。昭和62年に国鉄の分割民営化がなされました。そして、貨物を含めて地域が6つ、貨物が1つ、7社に分かれたんですね。しかし、この中でJR東日本、東海、西日本は自分たちで十分に自立採算が可能であろうと。
しかし、JR北海道、四国、そして九州、三島会社と呼ぶんですけどね、ここはなかなか自力で運営していくのは難しかろうという形で、様々な財政支援、税制特例、これを三島特例と呼ぶんですけどね。これが創られて経営の維持を行っていこうとしたんですよね。財政支援としては経営安定基金というものがありまして、その運用益、当時は約7%ありましたので、これによってそれぞれの赤字を補填する。また、税制特例、例えば、固定資産税、こうしたものについての減免を行う、こうした制度がしかれたんですね。
しかし、その中で、まず新幹線が出来、そして特に副業である不動産こうしたもので非常に黒字化になったJR九州が、三島特例からまず離脱をする、まあいいことですよね。しかし、同時に、今度は新幹線が出来たんですが、大変厳しいのがJR北海道。相次ぐ災害というものも見舞われたということで、路線の維持が5割以上に渡って無理と、これらを廃線をしようと。たいへん厳しい結果をJR北海道が出したということになりました。
じゃあJR四国はどうなるのか。おそらく大方の見方としては、この三島の会社の中でJR四国が一番厳しかろうと。この経営安定基金についても金利が今のようなゼロ金利、こうなってきますと、ほとんどあがりが入ってこない、つまり赤字補填が出来なくなる。ここについては、ひとつの鉄道債という制度を組み込んで、なんとか金利の維持を国の方でしてくれていたんですけどね。もう、これもいよいよ終わるという形になると。じゃあ、どうなってくるのか。我々としてもたいへん危機感を持っておりまして、特に徳島においてはいずれこの日が来るだろうということで、やはり新しい採算が良くて、あるいは車両自体が観光資源になる、こうしたものの開発をJR四国としていこうと。
例えば、デュアル・モード・ビークル、DMV、阿佐東線で東日本大震災発災後、丁度翌年の24年の2月に実証実験を行い、実際に阿佐東線にDMVを走らせた。そして、いよいよ今年度、高知県の皆さん方、関係の市町の皆さん方とともにいよいよ車両の発注も行う。世界初のDMVの営業運行にチャレンジしていくこととなります。
そしてもう1つ、これは今徳島県だけが、47都道府県の中でいわゆる電車が走らない県となっているんですね。いやいや沖縄があるじゃないか。沖縄モノレールが走っていますね。いや高知がある。路面電車が走っているんですね。鳥取がある。米子が電化をされたんですね。ということで、続々と仲間達がいなくなってしまった。そこで、逆にこれを逆手に取ろうということで、今までと同じ自動車の大きさでありながら、実際には電気を軌道から発電もし、その電気で走るスマートベスト、これも世界で初で、アメリカでは既に、近畿車輌が実証を行い、走っているんですけどね。
これを日本では、最初に鳴門線で実証実験を行いました。つまり、途中に電源のバックアップがなくてもちゃんと走れるのか、パンタグラフがないいわゆる電車になるわけでしてね。もし、パンタグラフをつけることになると、徳島の場合には、トンネルを全部堀直さなければならないと、デメリットがあるわけですね。しかし、今のトンネルの形のままで、スマートベストであれば、電車として走らすことができる利点がある。もちろん、近畿車輌というのはJR西日本と関係がありますので、まず、JR西日本で最初に営業運転をして、二番目に四国でどうだろうか。こうした点も進めてきたところであります。
また昨年から、鉄道とバスとのモーダルミックス最適化を図る必要があるであろうということで、県下を6ブロックに分けまして、バスと列車との最適化を検討していこうと。そして、いよいよ年度が替わって平成29年度からは、国、JR四国、そして全市町村の皆さん方にも入っていただいて、まさにモーダルミックス、鉄道とバスとの最適化、今インバウンドでも、二次交通、足がない、こうした点も言われている。
また、地域でも車免許を返納する、でも公共交通がない。こうした課題に対応していこうと。そうしたところいよいよJR四国が今回立ち上げたということになりました。
私の方からは、今申し上げたようなまさにDMVの導入あるいは、モーダルミックス、バスとの最適化、こうしたものをやはりしっかりと図るべきであろうというのが1点。つまり、地域の足を守るということ。
それから、もう1点はやはり一番根本となるのが、JR四国の経営の安定を図るということ。ということで、ここは具体的に国の鉄道局の審議官も出席していただいていましたので、彼に向かってということもあるんですがね。政策提言という形で、今のような赤字を前提にして、利ざやで埋める。もうこれは限界だと。赤字を前提で民営化された鉄道会社がそのまま存続できるなんてことはありえないわけでありますので、根本的な経営の安定、つまり黒字を目指す。そのために大胆な未来への投資を行うべきだと。
民主党政権の時に、鉄道の経営の安定基金をはじめとして、そうしたものを一部切り裂いて、無利子融資とこういう形を一千億ベースとしてやったんですね。しかしこれは返さなければならない。今ゼロ金利の時代になるとあまり意味が無くなる。じゃなくて、大胆にJR四国に投資をしていく、未来への投資が必要だと。あるいは、路線を開業していくんだと、積極的な経営を改善していくんだといった場合には、鉄道の新たな交付金制度を創るべきだとこうした点を提言させていただきました。
もちろん、最終的には、座長である正司座長さんが取りまとめを一回まず、されたところでして、全体としてはJR四国存続と路線の維持、特に今回ありがたかったのは、JR北海道は早々と、実は在来線については、白旗を揚げちゃったんですね。半分不採算路線みんな廃止します。新幹線に集中したいと。
でも、JR四国の場合は、半井社長さんはじめ、いや路線を維持していくんだ。維持を前提とする形でどういう対応をしたらいいのか。もちろんJR四国だけでは厳しい。経済界、我々行政、そして国、また有識者のアイデアと、こうしたものを併せて、なんとしてもこのJR四国の路線を維持存続をしていこうと。なんといっても、これから超高齢社会になる。もう車を運転したくても免許を返納する。その一方で2020年インバウンド4千万(人)、40年6千万(人)、海外から多くの皆さん方が来たときに、中山間地域、日本の原風景に行くのに全部レンタカーで行くのか。こうした時代じゃあないわけですよね。
つまりお客さんが増えるのが目の前にわかっているわけで、ここで倒れるわけにいかない。これからニーズがある、これが大前提となる中での、新たな方策といったものを考えるべきであろうと。これが、今回のまず第一回の会合でのひとつの方向性となったところでありましてね。これからは、個別具体的にどんな手法を考えていくのか、これを行っていくということになるかと思います。以上です。
(徳島新聞社)
インバウンドの話とかも出てきたとは思うんですけれども、5月に運輸局の見通しで、インバウンドを加味してもかなり厳しい減少が見込まれて、2040年に向けて数十万、百数十万人というような減少を見込まれているっていう数字も出てるんですけれども、維持のためにもちろん国に対していろんな提言して、投資なんかも呼びかけるというお話もあったんですけど、県として財政的な支援っていうのは、その選択肢としては考えなくてはならない状況になってるんですか。
(知事)
実は、今回の会議の時に私から提案したのが、DMVの実用化の話なんですね。これは、何かというと、ひとつの今のご質問の解、答えがあるんですね。実は、阿佐東線の走っているところは、JR牟岐線の終点である海部駅から高知県東洋町の甲浦までなんですよね。でも、これともに橋上駅で、DMVは道路も走らなきゃならないので、できれば路面に接したつまり地上駅が望ましいんです。ということで、初の試みで普通はJRの場合どんどんどんどん廃線にしていった。あるいは、ある線を切って、そして不採算の所を全部廃止にしていったというのがこれまでの歴史なんですね。
そうではなくて、我々がこれを積極的にもらい受けようということで、JR牟岐線の海部駅から阿波海南(駅)まで、逆にこちら側がもらい受けて、そして高知県との合意の下で、今基金を創っているわけですけどね、阿佐東線の。そうした中で、積極的な運営をしていこうと。今度は自前として運転手さんも雇おうではないかとかですね。様々な点で自立をしていくと。
結果として阿佐東線に対しての高知・徳島両県での基金を通じて支援をしていく、これはあるんですが、結果として回り回ってJR四国についてもプラスになっていく、こうした形になると。
ですから、直接JR四国に入れるかどうかは、次の段階になってくるんですが、我々としては、地域の足を守り、ただ守るだけでなくて、これを伸ばしていく。観光資源としても使っていく。地域の課題である中山間地域の二次交通、足の確保、こうした点についても、しっかりと投資をしていく。これは徳島だけではなくて、高知県とともに手を併せて、やっていく。これが、今後のおそらく全国のモデルになっていくのではないかと。こうした点も実は紹介をさせていただいたところでもあります。
(徳島新聞社)
牟岐線だけじゃなくて、例えば高徳線とか鳴門線、徳島線いろんなところでかなり減るという見通しになってると思うんで、牟岐線以外の線も含めて、上下分離みたいな話もあったかとは思うんですけど、路線の維持に県として税金を投じるっていうお考えはありますか。
(知事)
これは、ですから今回の検討会っていうか、この中で最終どう既決していくかということになるかと思います。だから、私が今回紹介した阿佐東線への支援の基金、徳島高知両県で創っているわけですけどね。こうしたものが、回り回って、一番採算が悪いと言われている特に牟岐線の阿南から海部までの間、こうした所について、おそらくこの指摘は当然されるわけなんで、その先手を打ってきたということなんですね。
そして、今お話があるように、その次に四国それぞれなかなか運輸局の出したのが厳しいあれになっていましたけど、鳴門線はさっきのスマートベストの話がありますし、また徳島ヴォルティスをはじめとして、鳴門で行われる今度はオロナミンC球場も年が明けるとNPBのいわゆる一軍のナイターを行うことができる。また、今2020年の東京オリンピック、2019年のラグビーワールドカップに向けてのそれぞれの海外チームのキャンプ地の誘致、こうしたものも行うと。当然多くの人たちが、そのところに集まるということは、鳴門線に乗っていく人たちも増える。こうした点も想定しながら、じゃあどんな投資を今後していくのか。こうした点をJR四国と対でやるのか、あるいは四国全体の今の検討会、研究会、懇談会で、1つの方向性を出して、国と連携してどうやっていくのか。様々な手法がこれから考えられる。丁度そのキックオフになる。
ただ一番採算が厳しいであろうと言われていた牟岐線、特にその中での阿南から海部までの間については、DMVというひとつの解を示したと。当然これはJR四国とともに行っていく、高知県とともにね。ということでありますので、今後こうしたものもたたき台とする中で、最終的には四国としてどうしていくのか。何といってもJR四国この会社をどうしていくのか。ということにつながる話になりますので、今の段階で、例えば個別の路線にどうお金を入れるのかと、これは今後の様々な分析であるとか、様々なアイデアであるとか、その結果に応じて答えを出していくということになるかと思います。