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徳島県徳島市万代町1丁目1番地
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本日、六月県議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、ご参集をいただき、誠にありがとうございます。先ほどもご挨拶させていただいたように、今年度から、世の中の変化に適切に対応すべく、よりきめ細かく現場に寄り添える新たな体制で県政運営に邁進して参ります。
初めに、去る四月十五日にご逝去されました、故岸本周平元和歌山県知事に対し、謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈り申し上げます。
ただ今、提出いたしました議案のご説明と合わせ、当面する県政の重要課題についてご報告申し上げ、議員各位を初め、県民の皆様方のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
【六月補正予算案】
まず、六月補正予算につきましては、「未来に引き継げる徳島」の実現に向け、
・積極的な獲得・配分要望により、県当初予算額を上回る国庫内示が得られた、公共事業予算の前倒し計上を初めとする「防災・減災対策の推進」
・当初予算編成後に詳細が判明した国庫補助事業や、本県の喫緊の課題に迅速に対応するための「教育環境の充実」、「国際的・魅力的な地域づくり」など、
総額「六十六億円」で編成しましたのでご説明申し上げます。
「公共事業予算」につきましては、本年三月末に新たな被害想定が公表された南海トラフ巨大地震を初めとする「災害リスク」の高まりや、一月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故などの「緊急性が増すインフラ老朽化」等に対応すべく、これまでの九月補正予算から前倒し編成を行い、
・津波被害を最前線で食い止める浅川港海岸の水門整備をはじめとする「地震・津波対策」の加速
・日々の暮らしを支える道路橋梁をはじめとする「生活インフラの老朽化対策」の推進など、
県民の生命・財産・暮らしを守る県土強靱化を推進して参ります。
「安心度アップ」につきましては、南海トラフ巨大地震などに備え、「水道施設耐震化による被害直後からの水の確保」や、災害関連死の防止にも繋がる「発災時の適切な汚水処理体制の構築」を図るため、
・応急給水活動の給水拠点として重要な役割を担う「配水地」の耐震化や、
・発災時の適切な汚水処理により「公衆衛生の確保」に資する、「下水道への接続」及び「合併浄化槽への転換」に取り組む市町村を支援して参ります。
「教育環境の充実」では、経済のグローバル化が進む中、異文化体験を通じて、豊かな語学力やコミュニケーション能力を身につけ、国際的に活躍できる人材を育成するため、
・教員と生徒の参加に基づく信頼度の高い海外教育旅行モデルの作成
・企業や経済団体、高等教育機関等と連携した高校生等の海外留学支援体制の構築など、
高校生等の海外体験や、海外留学を推進して参ります。
「魅力度アップ」につきましては、国際定期便の初就航により、徳島空港の国際線利用者が三倍以上に増える中、観光客の利便性向上と旅行消費額の増加を図るため、
・主要観光施設までの多言語による「わかりやすいアクセス情報サイト」の整備
・県内観光関連事業者の「多言語対応」や「キャッシュレス化」、「免税店登録・導入」への支援など、
インバウンドの受入環境を整備・充実して参ります。
また、「人材確保対策」といたしまして、県内中小企業等における「若者や女性」に選ばれる職場環境づくりや「柔軟な働き方」、「健康経営」の推進など、労働関係法令の基準を上回る福利厚生制度の導入を支援し、人材の確保・定着につなげて参ります。
次に、「米国の関税政策への対応」につきまして、
・去る四月四日、県庁内に特別相談窓口を設置し
・四月八日には、四国経済産業局をはじめ、経済業界団体、金融機関などで構成する「米国追加関税等対応連絡会議」を開催
・四月十一日からは、訪問等による景況調査を実施するなど、関係機関と一体となって迅速な対応を行ったところであります。
これに加え、「中小企業向け融資制度」に、影響を受ける事業者を対象とする「米国追加関税等・緊急対策枠」を創設し、資金繰りの支援体制の強化を図ったところであります。
以上、「六月補正予算案」について、ご説明を申し上げましたが、先月二十七日に閣議決定された国の予備費使用への対応といたしましては、「電気・ガス料金の負担軽減」や「米価高騰対策」など、県民の暮らしに関わる課題へ迅速に対応するため、県議会の皆様方からのご議論も踏まえ、今議会閉会日に追加の補正予算案を提出することとし、鋭意、編成作業を進めて参ります。
【徳島県の政策要望等】
次に、去る五月十五日、自由民主党本部及び各省庁を訪問し、次年度政府予算編成への反映に向けた「徳島県の政策要望」を行って参りました。
具体的には、
・蓄電池等の「国内サプライチェーンの強化」に向け、国と地方自治体の補助金を「併用可能」とする補助制度の見直し
・医療・介護、運輸・交通、教育等の各分野における処遇改善に向けた「各省庁の支援強化」に加え、「持続的な賃上げ環境」の整備促進など、新次元の政策実現に向け、強く訴えたところであります。
これに対し、赤澤内閣府特命担当大臣からは、「制度の運用等の見直しを行い、国と地方が一体となり取組を進めたい」との言葉をいただきました。
また、「第百七十七回関西広域連合委員会」及び「第百十六回近畿ブロック知事会議」を五月二十九日、鳴門市内で開催し、「関西広域連合委員会」では、ワールドマスターズゲームズ二〇二七関西大会に向けた協議運営や広報方針などについて協議をいたしました。
十一年ぶりの本県開催となった「近畿ブロック知事会議」では、各府県の知事の皆様に、令和九年度の完成に向け、兵庫県と連携して整備を進めております「大鳴門橋自転車道」や「大塚国際美術館」などを視察していただき、徳島の魅力をPRするとともに、本県から提案した「防災・減災、国土強靱化の更なる加速化・深化」や、「物価高騰等に直面する生活者や事業者への支援」などについて、活発な意見交換を行ったところであります。
さらに、六月四日に開催されました「四国知事会議」において、「観光や物産」の海外プロモーションに4県で連携して取り組むことを本県から提案したところ、大いに賛同いただき、具現化に向けて検討することが決定をいたしました。
こうした取組を行ってきた中、最終年度を迎える「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」につきましては、本県が直面する、大規模自然災害の脅威の高まりに対し、引き続き計画的かつ安定的な対策が推進できるよう、「政府・与党」に対し「地域の切実な声」を繰り返し訴えてきたところ、去る六月六日、令和八年度からの五年間で、事業規模を「概ね二十兆円強」程度とする、「第一次国土強靱化・実施中期計画」が閣議決定されたところであります。
これもひとえに、県と「思いを一つ」に、全会一致で「意見書」を採択いただいた県議会議員の皆様をはじめ、市町村及び市町村議会など関係者の方々と、ワンチーム徳島として要望活動を重ねてきた成果であります。
続きまして、主な施策についてご報告申し上げます。
まず、「魅力度アップ」であります。
【魅力ある県都のまちづくり】
誰もが暮らしやすく、若者に選ばれる徳島県の実現に向けては、「魅力ある県都のまちづくり」が重要であり、徳島市との県市協調のもと取組を進めているところであります。
まず、「新ホール整備」については、去る四月二日に、「早期整備プラン」の策定及び「新たな県市基本協定」の締結などを行い、五月九日から、「公募型プロポーザル方式」により、設計・施工を担う事業者の募集を開始したところであります。
「藍場浜公園西エリア」での新ホール整備では、
・良質な音響など文化ホール施設としての機能を最も重視した上で、
・工期の短縮や整備コストの縮減に加え、完成後のランニングコストを低減すること
・周辺環境との一体性を図りながら、県都のにぎわいづくりに寄与すること
が重要であると考えており、事業者の皆様からの提案をお待ちしているところであります。
引き続き、県民に長く親しまれ、未来まで評価される新ホール整備に向け、県市協調で取り組んで参ります。
次に、アリーナについては、香川県では本年2月に「あなぶきアリーナ香川」がオープンし、有名アーティストのコンサートが開催されるなど、大いに賑わいを見せております。かねてより申し上げてきた、「まちづくり」におけるアリーナの有効性が、まさに示されたものと実感しており、本県においても、まちづくりの大きなテーマとして、県内外からの誘客をもたらすアリーナの実現に向けた取組が重要となって参ります。
先日、県内経済界を代表する「経済五団体」の皆様からも「早期にアリーナ整備を進めて欲しい」とのご要望をいただいたところであり、私としても、こうした賑わいを本県にもたらし、交流人口の拡大、地域経済の活性化を図るためにも、スピード感をもってアリーナ実現に取り組む必要があると考えております。
県都である徳島市と連携のもと、県議会におけるご議論も踏まえ、県として一定の方向性を示せるよう取り組んで参ります。
また、ホール、アリーナにとどまらず、県都のまちづくりに向けては、先に開催しました徳島市とのワーキンググループにおいては、中央卸売市場の再整備やウォーカブルなまちづくりについても県市で議論を行ったところであり、引き続き強力な県市協調のもと、魅力ある県都・徳島の実現に取り組んで参ります。
【海外との経済交流の推進】
次に、「海外との経済交流の推進」につきまして、全国的な人口減少により国内市場が縮小していく中、成長著しい海外市場を獲得していくことが、本県経済の持続的な成長にとって不可欠であります。
そこで、本年四月に、
・「タイ工業省・産業振興局」との連携により、「徳島県アジア・デスク」をタイ・バンコクに開設するとともに、
・国際定期便が就航した韓国では、「自治体国際化協会・クレア」ソウル事務所に駐在員を配置する
など、現地市場のニーズを的確にとらえるべく、きめ細かなサポート体制を構築いたしました。
こうした支援体制の強化・充実を図る中、
・四月二十三日から「香港・経済ミッション団」を派遣し、大規模な商談会を開催するとともに、
・先月の「タイ・プーケット県知事」来県の際には、「交流推進を目的とする覚書」を締結するなど、
新たなビジネス展開の機会創出を進めております。
今後とも地域商社と連携し、魅力ある県産品の販路開拓と、優れた技術力を有する県内企業の海外進出を促進し、本県経済の持続的発展につなげて参ります。
【国際消費者シンポジウム及び食育推進全国大会】
次に、「徳島国際化元年」における、「新時代の消費者政策」の展開につきまして、去る六月六日に「国際消費者シンポジウムin徳島」を開催いたしました。
本県と国際定期便で直接つながる、韓国や香港など八か国から、消費者政策の専門家や次代を担う若い世代の方々が集い、「未来に引き継げる徳島に」をテーマに、エシカル消費について活発に意見を交わし、交流を図ったところであります。
今後ともここで培った「国際的な人的ネットワーク」を活かし、交流する国や地域を拡大しながら、未来を担う人材を着実に育成し、徳島が「世界の消費者政策の拠点」となるよう全力で取り組んで参ります。
さらに、六月七日から八日の二日間にわたって、本県で開催した「食育推進全国大会」におきましては、海外からご来場の方も含め、二万四千人もの方々にお越しいただき、世界の先進事例を学ぶ「食育国際会議」、日本を代表する三国シェフ、神田シェフ、柴田シェフ、料理人の皆様方が「食材の魅力」と「未来の食への期待」を語るセッションなどを通じて、徳島の誇る様々な取組をはじめ、食の最前線をお届けすることができました。
実行委員会をはじめ、大会運営にご協力いただいた皆様方に、改めて、この場を借りて感謝を申し上げますとともに、皆様方のお力添えにより、食育基本法の制定20周年となる記念すべき大会を徳島で開催できたことは、非常に感慨深く、意義があったと考えております。
【大阪・関西万博について】
次に、「大阪・関西万博」につきまして、四月十三日の開幕以降、関西パビリオン「徳島県ゾーン」では、連日2000人を超えるお客様に、徳島の伝統工芸やサステイナブルな取組を紹介し、好評を得ております。
五月二日、三日には、「世界が踊る日」と題し、徳島が誇る「阿波おどり」をメイン会場の「EXPOアリーナ」のほか、ご招待いただいた「イタリアパビリオン」などでもご披露させていただき、フィナーレでは約一万人の来場者とともに「踊りの輪」を創り上げるなど、感動の渦が生まれました。
また、四月三十日から五月三日までは、「EXPOメッセ」において「阿波の国とくしま・つむぐカフェ」を開催し、徳島の食の魅力や阿波人形浄瑠璃などの伝統文化をご紹介いたしました。
これらのイベントには、伊東国際博覧会担当大臣にご視察いただき、徳島の魅力を五感で感じていただくとともに、五月二十一日には、三笠宮彬子女王殿下に「徳島県ゾーン」をご覧いただき、阿波藍をはじめとする伝統工芸などに大変、ご興味を示していただいたところであります。
県といたしましては、国内外から多くの来場者・関係者が集う「大阪・関西万博」を絶好の機会として、徳島の魅力発信はもとより、万博会場と徳島を結ぶ「ワンコインキャンペーン」等を通じて、徳島への誘客につなげられるようしっかりと取り組んで参ります。
さらに、「大阪・関西万博」は、児童・生徒の皆さんにとって、主体性・多様性・国際性を育む場として最適であり、県内の学校においては、遠足等による利用が図られているところであります。引き続き、さらに多くの児童・生徒の皆様に体験していただけるよう、積極的な情報発信に努めて参ります。
【人材確保対策の推進】
次に、「人材確保対策の推進」につきましては、既に、初期臨床研修医等に対する「一時金支援制度」の拡充、総合看護学校授業料の「実質無償化」となる修学資金新規貸与枠の倍増、「バッテリー人材」の育成、建設産業の将来を見据えた「働き方改革」や「生産性向上」、潜在労働力活用に向けた隙間時間のマッチングシステム構築など、新次元の取組を進めているところであります。
去る四月二十八日には、労働局に加え、経済団体や労働団体、金融機関、高等教育機関からもご参加いただき、昨年度より体制を強化した「人材確保対策推進会議」を開催したところであり、引き続き、現場目線での政策立案をしっかりと進めて参ります。
また、先月十四日、日本弁護士連合会主催の「最低賃金問題を考える~徳島から全国へ~」と題したシンポジウムにお招きいただき、昨年の最低賃金引き上げに係る経緯や必要性について講演を行いました。
講演では、昨年八月以降、本県の、実質賃金プラスの状況が続いていることや、激変緩和として、一時金支給とともに、生産性向上の支援策をタイムリーに実施し、最低賃金の大幅な引き上げ後も求人倍率、倒産件数に大きな変動がないことをご説明いたしました。
政府において、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進五か年計画」の施策パッケージが示されているところであり、引き続き、国と連携し、賃上げを起点とした所得と生産性向上の好循環につながるよう取り組んで参ります。
次に安心度アップであります。
【南海トラフ巨大地震対策の推進について】
南海トラフ巨大地震対策の推進につきまして、去る三月三十一日、内閣府から新たな南海トラフ巨大地震被害想定が公表され、本県においても浸水面積や死者数、建物被害の想定が拡大したところであります。
県では、国の想定を踏まえた独自の被害想定の見直しに着手しており、市町村はもとより、県民の皆様にできるだけ早期にお示しするとともに、国や市町村とともに連携し、「津波避難困難地域の解消」、「避難所QOLの向上」など、具体的な対策を加速して参ります。
こうした中、県内市町村の「緊急防災・減災事業債」の発行額については、決算額ベースで、令和三年度が「九億円」、四年度が「十四億円」に留まっていたものの、私が知事就任して以来、五年度には「五十億円」を超え、前年度の「全国三十九位」から「二十位」、伸び率では「全国一位」となる「約三.六倍」となるなど、積極的な活用が進んでいるところであります。引き続き、「県独自の補助制度」の活用も含め、防災対策の更なる強化に全力で取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
さらに、五月十五日、南海トラフ巨大地震を見据えた「自治体間のカウンターパート」創設に係る「国のキックオフ会議」が開催され、間髪を入れず、同十九日、本県のカウンターパートである「鳥取県及び新潟市」との「連絡調整会議」を、全国に先駆け開催し、実効性のある「応援・受援体制の構築」に向け、意見交換を行ったところであります。
また、「陸上自衛隊 徳島駐屯地」は、開設から十三年を迎え、地域はもとより、本県において「なくてはならない存在」となっており、南海トラフ巨大地震の切迫性が日に日に高まる中、同駐屯地の更なる機能強化が求められております。
そこで、五月二十七日、発災時に備えた「バックアップ機能」の確保と、広域的な「防災活動拠点」となる訓練場の整備について、関係議員等の皆様とともに、本田防衛副大臣に対し、強く要望を行ったところであります。
【高まる水害リスクへの備え】
次に、気候変動に伴い「激甚化・頻発化」する水災害への備えを高めるべく、出水期を控えた去る五月十四日、「水災害に関する減災会議」を開催したところであります。
当日は、災害時に最前線で指揮をとる全ての市町村の方々に対し、
・県が管理する中小河川での「洪水浸水想定区域図・二八〇河川」の追加公表
・精緻な地形データを反映した新たな「土砂災害警戒区域」指定への取組など、
暮らしに身近な河川や崖で生じる氾濫や崩壊から「命を守る」ための最新の防災情報を提供いたしました。
今後とも、「被害の最小化」に向けた、地域ごとに異なる「災害リスク」を共有化し、「伝える」から「伝わる」情報発信へ進化させ、県民の皆様が平時より「災害を我が事」と捉え、確実な避難行動につなげられるよう取り組んで参ります。
【食料安全保障の確立に向けた農業政策】
次に、食料安全保障の確立に向けた農業政策につきましては、四半世紀ぶりに改正された「食料・農業・農村基本法」において、「食料安全保障」が基本理念の柱として位置付けられ、その定義が「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、国民一人一人がこれを入手できる状態」と規定されたところであります。
昨今、とりわけ、米の価格が世界の注目を集めている中、新たに就任された小泉農林水産大臣のもと、随意契約による政府備蓄米の売渡しにより、米価の安定に向けた取組が展開されております。
米の生産コストが米価に適切に反映され、流域治水や環境保全にも資する水田の「多面的機能」を維持することは重要であり、生産者と消費者がともに納得できる米価の実現に向け、米の「生産性の向上」を図る必要があります。
このため、本県としましては、「農地」や「人」等の資源を確保しつつ、今年度当初予算でお認めいただいた「とくしま農山漁村未来投資事業」を活用した「DX・スマート技術」の導入を加速させるなど、食料安全保障の確立に向けた施策を積極的に推進して参ります。
【がん検診受診率の向上】
次に、日本人及び県民の死亡原因の第一位であり、「国民病」とも言われる「がん」につきましては、「早期発見・早期治療」が重要であり、「がん検診受診率の向上」が大きな課題となっております。
海外に目を向けますと、おとなり韓国では、国が主体となり、事業者に「従業員のがん検診受診」を義務化するなど、強力な取組が進められております。その結果、国民のがん検診受診率は「七十%」に達し、がんによる死亡率を急激に低下させております。
こうした韓国の良策を踏まえ、去る五月十五日には、国に対し、「がん検診の実施主体の明確化」と「がん検診の義務化に向けた法制度の整備」を要望して参りました。
さらに、県としてできることは先んじて取り組むこととし、このたびは、従業員ががん検診を受けやすい環境整備を図る事業者への「奨励金制度」を、今定例会に「補正予算案」として提出させていただきました。
今後、本県のがん検診受診率を現在の「四十%台」から「七十%以上」に引き上げるとの高い目標を掲げ、強い決意を持って、あらゆる業界を巻き込み、県民総ぐるみで「早期発見・早期治療」を促すことにより、「がんの征圧」に取り組んで参ります。
【小型家電リサイクルの推進】
次に、「小型家電リサイクルの推進」につきまして、スマホなど小型家電に含まれる希少金属は重要な資源である一方、国全体で回収が進んでいない状況から、本県ではこれまで、回収拡大を図る法整備や回収主体となる市町村への財源措置、さらには宅配事業者の広域ネットワークの活用に向けた制度構築について、政府・与党への要望を重ねて参りました。その結果、本年二月、国の審議会において、法改正を念頭に置いた議論がスタートしたところであります。
また、リチウムイオン蓄電池からのごみ収集時の火災発生が県内はじめ全国各地で頻発しており、蓄電池を搭載する小型家電については、廃棄・回収時の安全性確保とリサイクル推進が急務となっております。
こうした中、分別収集の徹底や、リサイクルルートの拡大に県を挙げて取り組むべく、先月三十日、国、県、市町村、事業者等で構築する「小型家電リサイクル推進会議」を新たに立ち上げ、先進事例の研究にも着手いたしました。
今後は、この推進会議を核として、県民の機運醸成や回収拡大に向けた実証モデルの創出に取り組み、徳島から資源好循環を実現して参ります。
【徳島新未来創生に向けた教育再生】
次に、「徳島新未来創生に向けた教育再生」につきまして、公立高校普通科の「通学区域制の見直し」については、去る三月十三日に開催された教育委員会会議において、「有識者会議」からの提言を踏まえ、令和十一年度入試からの学区撤廃や、撤廃に向けた流入率の段階的な引き上げなどの方針が決定されたところであります。
学区撤廃により、子供たちの主体的で自由な進路選択の機会が広がることから、個性や能力を最大限に引き出し、生徒に選ばれる「魅力ある学校づくり」が急務であると考えております。
今後は、教育委員会において、十年後、二十年後を見据えた前例にとらわれない新次元の「公立高校の在り方」について、しっかりと議論を進めていただきたいと考えております。
また、「国府支援学校」において、令和五年十月から整備を進めて参りました「新校舎棟」がこのほど完成し、小学部から高等部までの三百名の子どもたちが、広々としたエントランスやホールに加え、「リラックスルーム」など、一人一人の実態に応じた教育を実現することができる新しい校舎での学びをスタートしております。
今後も教育委員会と連携し、「新体育館棟」や「地域との交流拠点となるダイバーシティ棟」の整備を進め、障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる共生社会の実現に向けて、取り組んで参ります。
【こどもまんなか社会の実現】
次に、「こどもまんなか社会の実現」につきまして、本県のこども施策の道標となる「徳島県こども計画」を三月に策定するとともに、今年度、「女性支援」等の業務をこども未来部に移管することで、子育て支援や児童虐待防止対策の一体的な推進を図ったところであります。
また、急速に少子化が進行する中、子育てしやすい職場環境を実現するため、去る三月二十一日に、県内経済・労働団体にご賛同いただき、「共働き・共育て」の推進に向けた「オール徳島」での取組を目指す「共同宣言式」を開催いたしました。
今後は、経済・労働団体との緊密な連携のもと、男女がともに協力しながら、家事・育児を行う「共育て」を、社会全体で応援する気運を醸成するとともに、今年度当初予算でお認めいただいた中小企業への「奨励金制度」を活用し、「男性の育児休業」の取得促進を後押しして参ります。
引き続き、「結婚」から「妊娠・出産」、「子育て」まで、切れ目のないきめ細やかな支援を実施し、「住みやすく、育てやすい徳島」の実現に向け、全力で取り組んで参ります。
【提出議案説明】
次に、今回提出いたしております議案の主なものについてご説明いたします。
第一号議案は、一般会計についての補正予算であり、予算以外の提出案件といたしましては、条例案十件、契約議案二件であります。
第十二号議案は、「国府支援学校体育館棟新築工事」のうち、建設工事の請負契約について、議決を経るものであります。
以上、概略ご説明申し上げましたが、詳細につきましてはお手元の説明書等をご参照願うこととし、また、ご審議を通じてご説明申し上げたいと存じます。
十分ご審議くださいまして、原案どおりご賛同賜りますようお願い申し上げます。