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徳島県徳島市万代町1丁目1番地
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本日、二月県議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、御参集をいただき、誠にありがとうございます。
ただ今、提出いたしました「令和七年度当初予算」及び「令和六年度二月補正予算」並びにその他の議案の御説明と合わせ、県政に取り組む私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様方の御理解、御協力を賜りたいと存じます。
【予算の全体概要】
「地方創生戦国時代」を勝ち抜くためには、ここ「二、三年が勝負」との認識のもと、「新次元の政策」をスピード感を持って実行することが重要であります。
このため、来年度当初予算につきましては、生産性や県民所得の向上に向け、地域経済の好循環を生み出しながら、サステナブルな県勢発展に繋がる施策に予算を重点配分いたしました。
魅力度アップ、安心度アップ、透明度アップの三本柱で編成し、一般会計総額で、「五千百六十億円」、前年度比で「百五十九億円の増」となる積極予算であり、更なる新次元の施策展開に向け、アクセルを踏んで参ります。
まず、「徳島・国際化元年関連予算」といたしまして、前年度比で「五十四億円の増」となる総額「百十一億円」を確保いたしました。
・通年の「国際定期便」就航の環境を活かした「新たな人流」の創出や「国際交流・関係人口」の拡大
・地域商社「徳島県・産業国際化支援機構」と連携した海外プロモーション
を展開いたします。
また、「大阪・関西万博」や「食育推進全国大会」など、大規模イベントの開催を絶好の機会と捉え、全国や世界に本県の魅力を強力に発信して参ります。
次に、「人材確保対策関連予算」といたしまして、前年度比で「十四億円の増」となる総額「六十一億円」を確保いたしました。
様々な業種で人材不足が深刻化する中、生産性向上や人材育成、ワークライフバランス実現を各種産業の成長とさらなる労働力確保の好循環へと繋げることにより、都市部との人材獲得競争に打ち勝ち、持続的な県勢の発展を図って参ります。
具体的には、「人材確保戦略会議」でとりまとめた「基本戦略方針」に位置付けた施策体系である
・「県内就職支援」や「企業等での定着支援」
・隙間時間のマッチングにより育児・介護中の方や高齢者を含めた「潜在的な労働力の活用」
・「外国人材の受け入れ」
について、部局横断で全庁あげて「安定的な人材の確保・定着」を図って参ります。
次に、「こども・子育て関連予算」につきましては、前年度比で「七十四億円の増」となる「二百四十五億円」を確保し、
・「こども」も「子育て当事者」も幸せを実感できるよう、結婚、妊娠・出産から子育てまで「ライフステージ」に応じた切れ目のない支援の展開
・「こども計画」を着実に推進し、全てのこどもが笑顔になれる「こどもまんなか・とくしま」の実現
に取り組んで参ります。
次に、「公共事業予算」につきましては、前年度比で「二十億円の増」となる「七百十一億円」を確保し、
・災害レジリエンスを強化する「緊急輸送道路の整備」や、地域との協働による「流域治水の推進」など、「防災・減災対策」を進めるとともに、
・地域産業の成長に資する「アクセス道路・港湾の整備」をはじめ、にぎわいの創出に向けた「地域の魅力度を高める取組」などに重点化し、
生命・財産・暮らしを守り、持続的な成長を実現する「県土づくり」を推進して参ります。
さらに、「二月補正予算」において、
・集中的かつ計画的に道路の舗装修繕及び草木の除去を実施する「道路三か年リフレッシュ対策」の二カ年目の計上に加え、
・いざ発災となれば「初動対応を担う道路」での致命的な盛土損傷を防ぐ「道路路肩緊急対策事業」を創設し、
合わせて前年度比で「五億円の増」となる「総額二十一億円」を計上し、県民生活に身近な安心・安全対策を加速して参ります。
以上が予算の概略でありますが、こうした新たな取組をしっかりと進めるため、県政運営指針である「徳島 新未来創生 総合計画」につきましては、「実効性のある計画」へのアップデートに向け、県議会での御議論や先の総合計画審議会での御意見等も踏まえ、今議会に追加提案できるよう最終調整を行って参ります。
次に、分野別に取組を順次御説明いたします。
まず、「安心度アップ」であります。
【こどもまんなか・とくしまの実現】
「こどもまんなか・とくしまの実現」につきまして、本県のこども施策の道しるべとなる「徳島県こども計画」については、医療・福祉・教育機関、NPOなど各種団体はじめ、産前から産後・子育てまで、切れ目のない支援の現場で御活躍されている委員の皆様や約三千人のこども達から、貴重な御意見をお聴かせいただき、とりまとめた最終案を今議会で御報告いたしております。
計画策定に当たり実施した、こども自身が主体となり、自由にディスカッションする仕組みは、今後も「こども会議」として継続し、PDCAサイクルを回しながら未来の徳島を担うこども達の意見を尊重した、きめ細やかな施策展開を図って参ります。
この計画のスタートの年となる来年度予算では、「こども未来基金」を有効に活用し、結婚、妊娠・出産から子育てまで、切れ目ない支援の充実に向け、「約四十八億円規模」の「子育て応援パッケージ」をはじめとしたこども・子育て政策を総合的に推進してまいります。
具体的には、「保育料」について、「無償化」を見据えた新次元の施策に着手し、事業効果を検証していくとともに、
・妊娠を望む方々の「不妊治療」にかかる自己負担分の「実質無償化」や
・「男性の育児休業」取得促進等に取り組む中小企業への「奨励金制度」の創設
など、市町村や企業、関係機関と連携した取組を強力に推進し、「住みやすく育てやすい徳島」を目指して参ります。
また、社会的養育の推進についても、「こども計画」の柱として位置付け、県・こども女性相談センターにおける新たな「一時保護施設」の整備に向け、プライバシー保護やこどもの特性に応じた、きめ細やかなケアを推進する「新基準」に適合した「基本計画」を策定し、こどもの最善の利益を守る環境づくりを進めて参ります。
【徳島新未来創生に向けた教育再生】
次に、「徳島新未来創生に向けた教育再生」につきまして、公立高校普通科の「通学区域制」については、有識者会議で「令和十一年度入試からの学区制撤廃」を柱とする提言案がまとまったところであり、明確な結論を出して頂きましたことに、感謝申し上げます。
この度の提言は、生徒たちが主体的に進路を選択するとともに、互いに切磋琢磨し、高め合える教育環境の実現により、徳島のみならず、日本や世界で活躍できる人材の育成に繋がるものであり、その意義は極めて大きいと認識いたしております。
ついては、今後、教育委員会において、提言内容や県議会での御議論を踏まえ、早急に対応方針を検討していただきたいと考えております。
私としても、生徒それぞれの個性を伸ばし、徳島の未来を支える多様な人材の育成・確保に資する「魅力・特色ある学校づくり」に向けた取組を支援して参ります。
また、子どもたちが保護者等と一緒に、平日に校外での体験や探究活動を主体的に実践する「徳島県ラーケーションの日」を本年四月より県立学校で導入することとし、今後、市町村にも広がるよう、導入について後押しをして参ります。
さらに、エシカル先進地である徳島の強みを活かしたフィールドワークや国内外の大学生等との交流を図る新次元の「とくしま高校生エシカルサミット」を本年八月に開催し、実践的な消費者教育を推進して参ります。
「県立学校施設の機能強化」につきましては、これまでの体育館等における「空調設備の整備」や「トイレの環境改善」に加え、「照明のLED化」を加速し、児童生徒の「学びの場」の「強靱化・レジリエンスの確保」に努めて参ります。
加えて、教職員の働き方改革と教育の高度化を図るため、新たな「校務支援システム」導入に向けた実証や、全ての県内公立学校において、統一した「県域アカウント」の運用を進めるとともに、ICTを活用した探究的な学びを強化する、いわゆる「DXハイスクール」の拡充を図るなど、今後とも、教育委員会と連携を図り、「教育DX」の更なる推進に向け、積極果敢に取り組んで参ります。
【危機管理体制の充実】
次に、「危機管理体制の充実」につきまして、先月発表された政府の地震調査委員会の評価では、「南海トラフ巨大地震」の「今後三十年以内の発生確率」が「八十%程度」に引き上げられたところであります。
いつ地震が発生してもおかしくないとの認識のもと、更なる緊張感を持って、備えを進めるべきであると考えております。
国においては、石破総理の力強いリーダーシップのもと、「防災大国」の実現に向け、「防災庁」の設置をはじめ、国主導による物資の分散備蓄、地域防災に係る新たな交付金の創設など、これまでにない、新たな施策が推進されております。
こうした国の動きは、これまで、あらゆる機会を通じ、本県が粘り強く要望してきた内容と、まさに「軌を一」にするものであり、県としても、国と歩調を合わせ、「南海トラフ巨大地震」をはじめとする大規模災害を迎え撃つための対策を一気に進めて参ります。
具体的には、県はもとより、市町村を巻き込んだ国交付金、「緊急防災・減災対策事業債」の徹底活用に加え、県が創設した新たな支援制度により「避難所QOLの向上」と「津波避難対策の強化」を図るなど、「徳島県・県土強靱化・レジリエンス推進計画」に基づき、未来に引き継げる「災害に強いとくしま」の実現に向け、大胆な投資を実施いたします。
市町村におかれましても、これを最大限活用いただき、全力で防災対策の強化に取り組んでいただきたいと考えております。
また、先月には、陸上自衛隊の「災害対処訓練」である「南海レスキュー」と連動した「県CPX・災害対策本部訓練」を実施し、訓練を通じて関係機関や学識経験者から検証結果や御意見を頂いたところであります。
これを踏まえ、より高頻度で訓練を実施し、改善を重ねることとしており、いざ発災時に「動ける」実効性の確保に努めて参ります。
【空き家対策の加速】
次に、「空き家対策」につきましては、今年度から新たに立ち上げた市町村と県庁関係部局からなる「プロジェクト体制」のもと、諸課題を各々が直視するとともに、他の優良事例を積極的に研究した上での横展開などについて、議論を重ねて参りました。
その結果を踏まえ、来年度予算では、
・「民間企業の知識・経験を活かしたモデル事業」として「観光」、「人材確保」、「人口減少」の各テーマに向けた空き家の利活用
・県内への移住・宿泊希望者向けの空き家情報の発信力を強化する「プラットフォーム」の構築
・危険な空き家の除却による跡地を「災害時の防災空地等への活用」や「再生可能建材としての活用」
など、空き家を「地域に眠る宝」として戦略的に活用した「新次元の空き家対策」を展開するとともに、それらを担う技術者の確保・育成に努め、交流・定住人口の拡大や、安心・安全な住環境の確保に取り組んで参ります。
【医療・福祉人材の確保・養成】
次に、「医療人材の確保・養成」につきまして、この度、県立三好病院において、地域医療の取組や人材育成環境が評価され、杏林大学医学部生が「地域医療実習」を実施しているところであり、三月七日までに、計五名を受け入れる予定であります。
こうした医学部生の皆様に、徳島の医療に魅力を感じていただき、「若手医師」の更なる確保に繋げるため、県内の初期臨床研修医等に対する「一時金支援制度」について、その対象を現在の「県外出身の徳島大学 医学部卒業医師」から、別途支援制度を設ける「地域枠医師」等を除く、「全ての研修医」まで、一気に拡充して参ります。
さらに、全国から「即戦力となる医師・看護職員」を呼び込むため、「本県の魅力」を活かした「徳島県版 医療ワーケーション」を「県下全域」で展開するとともに、全国屈指の「移住支援金制度」を創設いたします。
加えて、「看護職員」の確保のため、県立総合看護学校の授業料の「実質無償化」ともなる「看護師等修学資金貸与制度」について、新規貸与枠を大胆に「倍増」して参ります。
また、中長期的な人材育成として、いわゆる「アルファ世代」に当たる「小中学生」を新たにターゲットとして、看護に関する「出前講座」や「座談会」を実施するとともに、今年度初めて開催した「徳島こどもメディカルラリー」を継続的に実施することにより、「未来を担う、こどもたち」の意識醸成を図って参ります。
県内における来年度の「初期臨床研修医のマッチング数」は、現時点で、前年度比「九名増」となるなど、これまでの取組成果は着実に現れており、更なる対策強化を通じ、「医療人材」の確保をしっかりと「加速」して参ります。
次に、「福祉人材の確保・定着」につきまして、福祉現場で働く職員の離職防止や職場定着に向け、国の経済対策に呼応し、賃上げとともに、業務効率化や職場環境の改善を図り、「生産性の向上」に取り組む事業者をしっかりと支援して参ります。
さらに、「外国人介護人材」の受入促進と定着を図るため、これまでの介護分野における取組に加え、新たに障がい福祉分野の事業所に対し、「海外現地での人材確保」の取組や「翻訳ツール」の導入などを支援し、受け入れ環境整備を進めて参ります。
また、「こども子育て支援の充実」に歩調を合わせた「保育人材」の確保・養成に向け、保育士の資格取得を目指す学生に対する「修学資金貸与制度」について、将来の県内就職により、返還免除となる実質無償化の支援とあわせ、貸与枠を拡充するとともに、貸付を受けていない学生に対しては、新たに「就職準備金」の貸付制度を創設いたします。
これらの施策が確実に若者に伝わることが大事であり、教育委員会とともに連携を強化して参ります。
次に、「魅力度アップ」であります。
【企業の成長と新産業の創生】
「企業の成長と新産業の創生」につきまして、物価高や労働力不足など県内企業にとって厳しい経営環境が続く中、民間調査会社による全国調査では、本県企業の後継者不在率は六割を超えるなど、深刻な状況となっており、本県経済の成長発展を図るためには、しっかりと将来を見据えた持続可能な産業構造への転換が重要となっております。
そこで、まずは県内の中小・小規模事業者の持続的な成長、賃上げを促進するため、商工団体と連携し、DX推進による省力化・業務効率化や新事業展開・新商品開発など、生産性向上を図るために必要な設備投資等を支援するとともに、積極的な「事業承継」を推進する応援金の創設や機運醸成イベントの実施等、「掘り起こし」から「マッチング」まで一気通貫で支援して参ります。
また、「徳島バッテリーバレイ構想」をさらに推進するため、立地企業に対する補助上限額を全国でトップとなる「一〇〇億円」へ引き上げることにより、激しい自治体間競争を勝ち抜くとともに、テクノスクールにおける企業内人材の技能強化や技術力向上支援など、「バッテリー人材の育成」を進めることにより、世界に誇る蓄電池関連産業の集積を進めて参ります。
さらに、去る十二月に業務を開始した地域商社「徳島県・産業国際化支援機構」と両輪となり、ワンストップで県産品を国内外へプロモーションするとともに、ジェトロとも連携して県内企業の海外進出を強力に支援することにより、地域産業のサステナブルな発展に繋げて参ります。
そして、本年七月には国内最大の宇宙の国際学術会議「ISTS」が本県で開催されることから、歓迎レセプション等の関連プログラムをはじめ、学生向けのイベントやビジネスフォーラムの開催などにより、県内企業や将来を担う若い世代をはじめとする県民の皆様の宇宙や科学への関心を高め、産学官が連携して「新たな産業を切り開く徳島」を目指して参ります。
【攻めの農林水産業】
次に「攻めの農林水産業」につきましては、「つくる力」、「働く力」、「売る力」のそれぞれを強化するとともに、農地などの生産基盤を計画的に整備することにより、本県農林水産業の「自給力」を高め、持続可能で競争力のある農林水産業を実現して参ります。
まず、「つくる力」及び「働く力」の強化に向けましては、地域の未来を担う全ての農林水産事業者を対象に、施設・機械等の整備による「経営規模の拡大」や、「経営転換に向けた投資」を支援するとともに、生産拡大の障壁となる「技術的課題」を解決するため、普及指導員を中心とした地域別、あるいは作物別プロジェクトチームを編成し、現場の状況を深く分析した上で、最適な解決策を提案・実行して参ります。
また、県外からのアカデミー研修生に対し、引っ越し代や家賃などを支援し、都市部からの「移住就業」を促進いたします。
さらに、法人に雇用されている外国人材が、「特定技能二号資格」を取得するためのスキルアップ支援や副業希望者等と生産者とを「マッチング・アプリ」で結びつけることなどにより「多様な人材の確保」に努めて参ります。
次に、「売る力」の強化に向けましては、「徳島県 ・産業国際化支援機構」との緊密な連携のもと「オール徳島」での営業活動を行うとともに、新たに、生産者や実需者をはじめとする農林水産業に携わる方々や県民の方々、また、万博を契機とした観光客が集う農林水産総合イベント「仮称・とくしま農林水産フェス」を開催し、本県の豊かな食材の魅力から販路開拓、生産支援まで農林水産振興の取組を一丸となって強力に発信して参ります。
さらに、食育基本法制定二十周年の節目にふさわしい、国際色豊かな「食育推進全国大会in徳島」を本年六月に開催し、食育国際会議をはじめとした未来を見据えたコンテンツを展開するとともに、同時期に連携して「国際消費者シンポジウム」も開催し、「食」をテーマに全国、世界へ本県の取組をPRして参ります。 生産基盤の計画的な整備につきましては、自動走行トラクターや田植機などの導入に対応する「スマート農業対応型」の基盤整備をはじめ、農業用ため池や漁港の耐震化に取り組むことにより、生産の効率化と農山漁村の安心・安全を確保して参ります。
【観光立県の推進】
次に、「観光立県の推進」につきまして、関西圏で五十五年ぶりとなる「万博の開幕」まで、いよいよ二ヶ月と迫って参りました。
本県が、関西パビリオン内に出展する「徳島県ブース」については、三月からの「展示物設置」、三月中の「設営完了」に向けた作業を着実に進めているところであります。
また、万博期間中、ゴールデンウィークとなる五月二日、三日には、「世界が踊る日~多様性が織りなす踊りの輪徳島の阿波おどり」と題し、来場者を「踊りの輪」に巻き込むイベントを開催するなど、世界中から万博に集う方々に、徳島の魅力を余すところなく感じていただけるよう、ハード・ソフト両面での準備を進めて参ります。
さらに、徳島県ブースの予告映像を地元テレビ及び関西圏のメディアやサイネージで放映することにより、開幕までの期間で、より一層の機運醸成を図り、万博会場から徳島への「人の流れ」の創出に取り組んで参ります。
昨年の訪日旅行消費額が「八.一兆円」と過去最高を記録、本県においても、県政史上初となる通年の「国際定期便」の就航により、インバウンド旅行者を直接誘客できる環境が整うなど、今後の観光産業の飛躍に追い風が吹いております。
国際定期便については、観光のみならず、こどもたちの国際化、スポーツ・文化団体の交流、本県農林水産物の海外展開など様々な効果をもたらすものであります。
春節期間中の一月二十五日から三十日までの徳島着便の搭乗率については、韓国便が「九十二%」、香港便が「八十六%」となりました。
しかしながら、一月全体ではそれぞれ「七十四%」、「四十七%」と、まだまだ知名度を高める必要があると考えており、さらなるプロモーションや物産・観光資源の磨き上げを行って参ります。
観光客の皆様が一般的に旅行において最も重視するポイントは「自然、歴史、文化、食、ショッピング」と言われているものの、本県はこういった地域資源の「情報発信や活用」についても、より一層レベルを引き上げる必要があると考えております。
具体的には、「情報発信」といたしまして、本県と空路でダイレクトにつながっている香港及び韓国や、近年宿泊者数が増加している台湾及びタイ、国内は「首都圏」などターゲットを定め、各市場の特性に応じたプロモーション活動を強化して参ります。
また、「県内観光地の魅力度アップ」に向け、これまで注目を浴びてこなかった「地域資源の観光コンテンツ化」に取り組むとともに、「既存観光施設の改修を支援」するなど、観光客の皆様が快適に満足度高く、旅行していただくための取組を進めます。
さらに、本年春に開催され、国内外から誘客が見込まれる「マチ★アソビ」をはじめ、民間団体が主催する、魅力あるイベントへの支援を実施し、県下全域でにぎわいを創出して参ります。
県民、事業者の皆様におかれましても、お力添えをいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
【県都のまちづくり】
次に、「魅力ある県都のまちづくり」の実現に向けては、去る十一月定例会において、「県都のまちづくりによる徳島の未来創生基金」に係る予算案及び条例案をお認め頂くとともに、新ホールの考え方や方向性を示した「藍場浜公園・西エリアにおける新ホール早期整備プラン」の素案をお示しし、県議会の皆様からも様々な御意見を頂いたところであります。
この「早期整備プラン」については、昨年十二月から約一ヶ月間にわたり、パブリックコメントを実施し、
・賑わいづくりに繋げる「藍場浜公園」との親和性
・隣接する「あわぎんホール」との連携
・駐車場利用の現状など新ホールへのアクセス
などについて、県民の皆様から多くの御意見をいただきました。
これらパブリックコメントの結果を踏まえた「最終案」を先の委員会でお示ししたところであり、今後は、「早期整備プラン」の策定とともに、「県市基本協定」の改定や、「財産譲与契約」の扱いについて、できるだけ早期の一体的な整理に向けて、徳島市との具体的な協議を加速して参ります。
また、先月、中学世代の日本一を決める大会、「ジュニア・ウインターカップ全国U15バスケットボール選手権」において、本県の「ライジングス徳島」が、県勢初の全国制覇という快挙を成し遂げました。
こうした次代を担う選手の活躍を更に後押しできるよう、本物を体感でき、新たな賑わいと活力をもたらす「アリーナ」の早期実現に向け、検討を進めて参りたいと考えております。
さらに、「県都のグランドデザイン」でお示ししたイメージの具現化に向け、徳島市をはじめ、関係者の皆様と連携のもと、徳島駅を中心として、我々徳島県民のアイデンティティである眉山や新町川、水際に新たな街が生まれた万代中央ふ頭などを結ぶ交流軸を形成し、居心地が良く、歩きたくなる「ウォーカブルな空間づくり」を推進して参ります。
具体的には、徳島駅から眉山を結ぶ「新町橋通り」の道路空間や、「水の都・徳島」のシンボルである「新町川」の水辺空間について、利活用に関するニーズ調査を行うとともに、水辺の魅力を引き出すための利活用方法など、他の好事例を参考にしつつ、新たなアイデアの醸成に取り組んで参ります。
また、「万代中央ふ頭」では、さらなる魅力向上を図るため、レトロな倉庫群や新町川の風景を活かし、オープンスペースの緑地化に向けた実証実験を進め、ウォーカブルの理念を実現する「にぎわいづくり」を加速して参ります。
引き続き、徳島市との緊密な県市協調のもと、魅力とにぎわい溢れる「県都のまちづくり」を強力に進め、本県の魅力度向上を実現して参ります。
次に、「透明度アップ」であります。
「県民参加」、「開かれた県庁」の推進に向けましては、これまでも県庁一階の県民ホールや十一階食堂、展望ロビーのリニューアルを進めているところであります。
また「新次元の政策」の実現を支える県職員の「働き方改革」の推進にも取り組んでおり、今定例会では、
・職員の「勤務時間」の更なる柔軟化、
・公務出張における旅費の「宿泊費用」を「上限付き実費支給」とするなど
さらなる改善に向けた条例改正案を提出しております。
さらに、全国ワースト級である超過勤務の縮減に向けた「組織及び業務の効率化」と職員のみならず、県民・事業者の皆様などの「負担軽減」を図るため、庁内情報共有の基盤である「グループウェア」を新たな「コミュニケーションプラットフォーム」へと刷新するとともに、国・市町村・事業者の皆様と連携・協力し、デジタル技術を活用しつつ、煩雑な手続きや添付書類等の抜本的な整理・簡素化に向けた取組への着手など「DX・働き方改革」を推進して参ります。
続きまして、二点御報告申し上げます。
【済州特別自治道との友好交流に関する覚書調印】
去る一月二十五日、韓国・済州特別自治道、オ・ヨンフン知事の来県機会をとらえ、同自治道との将来的な友好都市関係の構築を目指した「友好交流に関する覚書」を締結いたしました。
両県道は、
・人口規模は約七十万人、総生産額は約三兆円であり、
・約二千メートルの最高峰、剣山とハルラ山を仰ぎ、
・温暖な気候の下、柑橘や人参の一大産地であるなど
数多くの共通点を有する一方、
・済州道は本県を遙かに上回るEV普及台数や廃棄物リサイクル率を誇り、
・ユネスコ三冠王「世界ジオパーク」などの観光に二千三百万人が訪れており、
・国際人材の育成を目指す「英語教育都市」を積極的に実践するなど、
本県が参考とすべき点が多いことから、オ・ヨンフン知事とは、両地域が互いに学び、両地域の相互理解を進めていくことで考えが一致したところであります。
この度の覚書では、環境や観光、農林水産業などの分野において、それぞれの強みを活かし、「SDGs」実現に向け、課題解決に取り組んでいくことを盛り込んでおります。
また、両県道にあるプロサッカーチームや少年少女合唱団同士の交流など、スポーツや文化を通じて、次代を担う若者の相互理解の向上と国際化を図って参ります。
今後は、地域間の交流を通じて国家間の協力を促進する「地方外交」の理念のもと、「徳島・国際化元年」にふさわしい「新時代の交流」を推進することで、両県道の更なる発展へと繋げて参ります。
【高規格道路の整備促進】
次に、「高規格道路の整備促進」につきましては、知事就任以来、関係者の皆様のお力添えのもと、体制を充実・強化し、精力的に「要望活動」に取り組むとともに、昨年八月には、約百二十名参加のもと、県単独での「決起大会」を東京で初めて開催するなど、「高規格道路の整備加速」を図るよう、訴えを重ねて参りました。
その結果、「四国8の字ネットワーク」で唯一、未着手区間として残されていた阿南安芸自動車道「美波・牟岐間」について、一昨日、国の「社会資本整備審議会四国地方小委員会」が開かれ、事業化へのステップとなる「計画段階評価」が開始されました。
これもひとえに、議員各位をはじめ、関係者の皆様と一体となって行った活動の賜であり、心からお礼申し上げます。
今後とも、「命の道」の早期整備を望む地元の方々の思いを束ね、「国土強靱化に地域差があってはならない」との決意で、「高規格道路の整備促進」に「ワンチーム徳島」で取り組んで参ります。
【提出議案の説明】
次に、今回提出しております議案について御説明いたします。
第一号議案より第二十三号議案は、令和七年度一般会計はじめ「当初予算関連」の議案であり、「特別会計」につきましては、用度・給与集中管理特別会計はじめ「十六会計」、「企業会計」につきましては、病院事業会計はじめ「六会計」であります。
また、第六十三号議案は、「一般会計」についての、「令和六年度二月補正予算案」であります。
予算以外の案件といたしましては、条例案二十六件、その他の議案十三件であります。
「誰一人取り残さない社会」の実現への取組といたしまして、聴覚に障がいの「ある方とない方」が、お互いに、人格や個性を尊重し合い、共に支え合いながら、活き活きと活躍できる共生社会に向け、来年度には、「日本初」となる聴覚障がい者のためのオリンピック「東京二○二五デフリンピック」の開催も控えており、機運が高まっているところです。
この機を捉え、議案第三十八号につきましては、「手話は言語である」との認識に基づき、手話に対する理解の促進及び普及に関する基本理念、それぞれの責務や役割などを定める「手話言語条例」を制定するものであります。
以上、概略御説明申し上げましたが、詳細につきましてはお手元の説明書等を御参照願うこととし、また、御審議を通じまして御説明申し上げたいと存じます。
十分御審議くださいまして、原案どおり御賛同賜りますようお願い申し上げます。