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令和6年9月徳島県議会定例会知事説明

 本日、九月県議会定例会を招集致しましたところ、議員各位におかれましては、御参集をいただき、誠にありがとうございます。
初めに、先般の「台風第十号」と、これに伴い発生した「線状降水帯」による大雨により、全国的に大きな被害が発生し、本県においても、一名の方がお亡くなりになられました。
お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り致しますとともに、被災された皆様方に、心からお見舞いを申し上げます。

 ただ今、提出致しました議案の御説明と合わせ、当面する県政の重要課題について御報告申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様方の御理解、御協力を賜りたいと存じます。

【九月補正予算案】
まず、「九月補正予算案」につきましては、
・人材確保や賃上げの促進、生産性向上や物流効率化などの「経済成長への投資」
・大阪・関西万博や国際航空路線の定期便化を見据えた「魅力あふれる徳島づくり」
・「防災・減災対策」の推進や「誰もが安心して暮らせる社会づくり」
など、「未来に引き継げる徳島」の実現を加速するため、財政調整基金への積み立てを含め、総額「百四十五億円」で編成致しましたので、その概要について御説明申し上げます。
まず、「魅力度アップ」と致しまして、「人材確保対策」につきましては、本県の労働力不足解消と賃上げ・生産性向上へ全庁を挙げて取り組むため、本年四月に「人材確保戦略会議」を設置し、検討を進めてきたところであり、今回の補正予算で取り組めるものから早速着手して参ります。
具体的には、運送・物流分野の「二○二四年問題」への対応として、
・トラック運送事業者等が行う「物流効率化」への設備投資や「職場環境整備」をはじめ多様な人材確保策
・路線バス事業者が行う就職説明会の開催や「大型二種免許取得」
を支援して参ります。
また、医療分野では、「医師の働き方改革」を進めるため、医療機関の「勤務環境改善」や「長時間労働医療機関に対する医師派遣」への支援を行います。
さらに、農業分野では、
・高収入が期待できる「施設園芸」について、低リスクで導入できる農業ハウスと新規就農人材とのマッチングを進めるとともに
・外国人材の在留資格のステップアップなどによる経営の中核人材への「育成と定着モデル」の創出
を図って参ります。
加えて、各分野で「外国人の活用」を促進するため、県内企業での雇用実態やニーズの調査を行うとともに、採用手続きなどの相談体制を構築し、外国人の受入れ環境を整備して参ります。
次に、「賃上げや生産性向上」の促進と致しまして、県内企業のDX推進、ビジネスモデル変革など、生産性向上に向けた設備投資の支援を行い、持続的な賃上げを起点として、経済成長の好循環につなげるべく、事業者の皆様をしっかりと後押しして参ります。
次に、「国際的な人流・商流の拡大に向けた取組」と致しまして、
・国際定期便就航を見据えた県民の「アウトバウンド利用促進」
・県産農林水産物の輸出拡大に向けた「航空貨物輸送試験」や「商談会」の実施
・官民一体のワンストップ組織となる「新たな地域商社」の設立
により、県産品の販路開拓や県内企業の海外進出を後押しして参ります。
次に、「大阪・関西万博を契機とした観光立県の推進」と致しまして、
・本県の認知度向上に向け、二○二五年をターゲットとした「集中的なプロモーション」の実施
・万博開催期間中の関西パビリオン内における「本県独自」のPRイベント開催とともに、来場者に対する本県への「交通料金割引」の実施
などにより、県内各地への誘客促進に繋げて参ります。
また、「魅力的な地域づくり」と致しまして、県下全域での新たな「にぎわい創出」を図るため、民間主導の集客力の高い「大規模イベント開催」を支援し、地域経済活性化にも繋げて参ります。
次に「安心度アップ」では、
・激甚化・頻発化する自然災害を迎え撃つため、強靱な「道路ネットワーク」構築や「流域治水」の推進、社会生活や地域産業を支える「インフラメンテナンス」の加速による「防災・減災対策」を推進するとともに、
・生活保護受給者の生活から就労までの総合的なフォローアップ支援など、「誰もが安心して暮らせる社会づくり」を加速して参ります。

【全国知事会議について】
次に、七月三十一日から八月二日までの三日間、福井県で「全国知事会議」が開催され、私も出席して参りました。
会議では、新たに「人口戦略対策本部」を立ち上げ、我が国最大の危機とも言える「人口減少問題」に、全国の知事が一致結束して立ち向かうことを決定したほか、「東京一極集中の是正」、「こども・子育て政策の推進」など切迫する諸課題について活発な議論が交わされました。
私からは、大規模災害時に必要となる「防災装備品」は、「国が主体的に配備」することや、アウトバウンド推進に向け、パスポートの取得費用の一部を国が支援することについて提案したところ、各知事の賛同を得られ、知事会の提言文に反映されました。
今後とも、全国知事会をはじめ、関係自治体と連携し、地方の「現場の声」を国政に届けるとともに、本県を取り巻く課題の解決に、しっかりと取り組んで参ります。

 続きまして、主な施策について御報告申し上げます。

 「安心度アップ」であります。

【南海トラフ地震臨時情報への対応】
まず、南海トラフ地震・臨時情報への対応について、去る八月八日、日向灘を震源とする地震が発生し、宮崎県南部で最大震度「六弱」を記録するとともに、制度運用開始後、初となる「南海トラフ地震・臨時情報・巨大地震注意」が発表されました。
本県では、地震発生直後から情報収集に着手し、臨時情報の発表後には、直ちに「災害対策本部」を立ち上げ、同日、本部会議を開催し、県民の皆様へ、南海トラフ地震発生の可能性が「相対的に高まっている」状況をお知らせするとともに、「避難場所や経路の確認」、「家具の固定」、「家族や会社における連絡方法の確認」、「非常持ち出し袋の準備」など、「命を守る」行動の実践をお願い致しました。
この「特別な注意の呼びかけ」は、政府より「八月十五日十七時をもって終了する」旨、発表がなされましたが、この間、県民の皆様におかれましては、冷静な御対応と、大規模地震への備えに取り組んでいただきましたことに、改めて、感謝申し上げます。
一方、県では、
・大規模地震発生の可能性がなくなるわけではないこと
・県民の皆様の「防災意識」がこれまで以上に高まっていること
を踏まえ、九月二日までを「啓発強化期間」と位置づけ、
・「啓発パネル展」や「県民向け防災講座」
・市町村との連携による「防災出前講座」
などを実施致しました。
また、今回の対応を振り返り、災害対応力の一層の向上を図るため、
・現在、実施中の「県民アンケート調査」を踏まえた改善策の検討や
・「大規模イベント」等における「EAP・エマージェンシーアクションプラン」、いわゆる緊急時対応計画の再確認・検証を徹底して参ります。
今後とも、明日起こってもおかしくない南海トラフ巨大地震を迎え撃つため、「自助・共助・公助」が一体となった取組を強力に推進し、県民の皆様の「安全・安心の確保」に繋げて参ります。

【災害対応力の強化】
次に、「災害対応力の強化」につきまして、能登半島地震で浮き彫りとなった課題を教訓に、民間団体と大規模災害発生時における連携協定締結を検討して参りました。
この結果、先月二十六日には、浄化槽関係団体などと個人所有の浄化槽に対する、発災直後の被害調査から復旧の手続きまで「一気通貫」での幅広い支援を受ける「全国初」の協定を締結致しました。
さらに、先週六日には、「徳島県・産業資源・循環協会」と、被災した道路の崩落や段差を早期解消する「道路啓開」に不可欠な資機材の「迅速な供給に関する協定」を締結するなど、現場目線での「備え」を充実・強化致しました。
今後とも、関係者と一体となり「災害対応力の強化」にしっかりと取り組んで参ります。

【高規格道路の整備促進】
次に、「高規格道路の整備促進」につきまして、去る八月二十日、県議会や、市町村長、関係団体の皆様など「思いを同じく」する「百二十名超」の参加者が、国・政府の中枢機能が集まる東京において「本県初の決起大会」を「金子・自由民主党道路調査会会長」出席のもと開催致しました。
大会では、
・国土強靱化予算の拡大
・徳島南部自動車道・阿南安芸自動車道の整備促進
・徳島自動車道の早期四車線化
など、「地域の実情や切実な願い」を直接訴えると共に、「大会決議」としてとりまとめ、ただちに「鈴木・財務大臣」や「堂故・国土交通副大臣」に対し、参加者の「熱意」と併せて届けて参りました。
今後とも、「国土強靱化に地域差があってはならない」との徳島県民の思いを束ね、「高規格道路」の早期整備に「ワンチーム徳島」で取り組んで参ります。

【那賀川水系・河川整備基本方針の見直し】
次に、国におきましては、将来の気候変動を見込み、高まる水害リスクに対し、備えを強化するため、全国の河川整備基本方針の見直しが進められているところであり、去る七月一日、那賀川水系において「本県内では初」となる新たな方針が公表されました。
これを受け、県におきましても、国とともに本基本方針を踏まえた、新たな実行計画となる「河川整備計画」の策定を着実に進めて参ります。
引き続き、流域治水の取組を加速化・深化させ、安全・安心な社会が実現できるよう関係者と一体となって取り組んで参ります。

【医師確保対策の充実・強化】
次に、「医師確保対策の充実・強化」であります。
先般、国が本県を含む「医師多数県」と位置づける都府県に対し、突然、「医師の偏在対策」として、「医学部臨時定員」を今年度の入試から一律に削減するとの方針を示しました。
しかし、国の最新の統計によると、本県では、人口あたりの「三十五歳未満・医師数」が全国最大の下げ幅を示すなど、へき地医療や救急医療等の政策医療を担う「若手医師」が急速に減少しており、持続可能な医療提供体制の維持に向けた対策がまさに急務となっております。
このため、直ちに、私自らが厚生労働省や、医療政策に精通する国会議員を訪問し、地域の実情の把握と、必要な「定員確保」を強く訴えたところであり、この結果、定員枠の「一部復元」を実現したところであります。
また、「徳島大学・医学部・地域特別枠」については、大学と調整を進め、「令和七年度・入学者選抜」から「五名増」の「十七名」に拡大するなど、地域医療を担う「若手医師」の「養成・確保」を強力に推進しており、今後とも、本県の将来の医療を支えるため、しっかりと取り組んで参ります。

【こどもまんなか社会の実現】
次に、「こどもまんなか社会の実現」につきまして、本県こども施策の新たな道標となる「徳島県こども計画」の策定に向けては、本年四月に立ち上げた「とくしまこども未来会議」において、審議を重ねているところであります。
委員の皆様からは、
・ 居場所の継続に向けた地域ごとの連携強化や
・ 必要な施策の地域への浸透の必要性
など、現場目線からの多様な御意見を頂いております。
加えて、本年三月に制定した「徳島こども未来応援条例」に掲げる基本理念のもと、中学、高校生等の意見をしっかりと反映させるため、学校現場でのワークショップやフリースクールへの訪問等を実施致しました。
こども達からは
・「若者や企業が集まるようにして欲しい」
・「経済状況や環境を理由に夢や目標を諦めない社会にしたい」
などの多くの意見を聴くことができ、こうした声を真摯に受けとめ、今後の計画づくりにしっかりと活かして参ります。
また、こどもが精神的に不安定になりやすい夏休み明け前後の「八月十九日から九月三日まで」を「こどもの居場所」の集中開催期間とし、学びや経験につながる「多様な居場所」の積極的な開催を呼びかけたところ、昨年度を大きく超える県内八十三か所、延べ七千八百名を超える方々に御参画いただいたところであり、皆様の御支援・御協力に、厚く感謝申し上げます。
今後とも、こどもの意見にしっかりと耳を傾け、すべてのこどもが笑顔になれる「こどもまんなか社会」の実現に向け、全力で取り組んで参ります。

【徳島新未来創生に向けた教育再生】
次に、「徳島新未来創生に向けた教育再生」につきましては、公立高校普通科における「通学区域制の在り方」の議論を加速するため、去る七月二十四日、「総合教育会議」を開催致しました。
構成員である教育委員や関係者として、「有識者会議」の委員に加え、意見表明を希望した市町の長等にも初めて参加いただき、それぞれの立場から多様な御意見を頂戴したところであります。
その後開催された第三回有識者会議では、「将来的に学区制を撤廃する方向で議論を進める」との共通認識が図られたと聞いており、本県の未来を担う子どもたちが夢と希望を持てる制度となるよう、教育委員会において、しっかりと議論を進めていただきたいと考えております。
また、先日、文部科学省が公表致しました、今年度の「全国学力・学習状況調査」の結果において、本県の公立小・中学校の児童生徒の成績は、小学六年生で総合順位が過去最高の七位となり、中学三年生においても全国順位が上昇するなど、授業の改善が進み、一定の学力の定着が見られる結果となりました。
今後とも、教育委員会と連携し、「タブレット端末」の活用をはじめ、「教育DX」を積極的に推進するとともに、情報を正確に読み取り、社会を生きる力を身につける「徳島版読解力」を活かした学習活動の更なる充実を図り、子どもたちの「確かな学力」の向上に努めて参ります。

 次に、「魅力度アップ」であります。

【県都のまちづくり】
「魅力ある県都のまちづくり」に向けては、去る六月定例会において、藍場浜公園・西エリアにおける新ホール整備に関する調査結果などを報告し、私としては、改めて、コスト面、スケジュール面ともに大きなメリットを有している「藍場浜案」で進めたい旨、御説明申し上げました。
さらに、新ホール整備に向けて、七月から八月にかけて、「興行関係者」や「県外のホール運営者、専門家」などにヒアリングを行い、「千五百席規模」のホールにおける「ソフト面の可能性」を具体化し、事前委員会でお示ししたところであり、藍場浜公園・西エリアを新ホール建設地とする場合においても、県民の皆様に御期待いただけるものと考えております。
「鉄道高架事業」については、去る八月九日開催の「徳島市内鉄道高架・沿線整備促進協議会」において、私から「一致団結して、お力添え賜りたい」と申し上げたところ、「JR四国・四之宮・代表取締役社長」から、「鉄道高架をはじめ徳島駅周辺のまちづくりに皆様と協力し、実現に取り組みたい」、また、「遠藤・徳島市長」からは「大きく動いていくチャンス」との発言を頂き、ステークホルダーの皆様との方向性が一致したところであります。
また、「六月定例会」で御議論頂きました「徳島駅北口」及び「車両基地の移設」検討案における概算事業費や工期などを「今定例会」の事前委員会において、お示ししたところであり、今後、県議会の皆様の御議論を踏まえながら、新たな候補地への車両基地移設を含む「鉄道高架計画」とその費用対効果の再検証を進め、事業化に向けて着実に取り組んで参りたいと考えております。
このような「県都のまちづくり」を実現するため、去る七月三十一日には「県都魅力度アップ推進ワーキンググループ」を再起動し、引き続き、県市協調の枠組みを維持しながら、新ホール整備を進めるべく、「県市基本協定の改定」に向けた検討を行う、との方向性を確認したところであります。
その上で、県市基本協定の改定に向けては、これまで徳島市が負担してきた経費や、県に対して土地を譲与頂いていることを踏まえ、県として「責任ある対応案」を検討し、市に対してお示しすることとしております。
また、先日の徳島市議会においても、遠藤市長から「市民が強く待ち望む新ホール整備を進めるため、県に早急な対応を求めたい」との意向が表明されたところであります。
そこで、県都のまちづくりを加速していくため、近日中に、遠藤市長とのトップ会談を行い、具体的な協議を行いたいと考えております。
さらに、徳島県町村会の皆様からも、「県立新ホールを早期に建設し、最大の効果が得られるように」との、県民全体の利益をかんがみた要望をいただいたところであります。
「地方創生戦国時代」を勝ち抜くためにも、この二、三年が勝負であると、私はかねがね申し上げて参りました。
新ホール整備をはじめとする「長年の課題」を先送りすることなく、ひとつひとつ実現に向けて取り組むことで、県都のまちづくりを推進し、本県全体の魅力度向上を果たして参ります。

【国際線の誘致に向けて】
次に、国際線につきまして、去る七月十八日から八月十二日の間、香港のグレーターベイエアラインによる「インバウンドチャーター便」が六往復運航されました。
運航初日の記念式典では、同社のリザCEOから、定期便開設の意向が表明され、同日、県と同社が連携・協力し、二○二四年冬ダイヤ期間中の定期便開設に向け取り組む「共同宣言」に調印致しました。
さらに八月八日には、韓国のイースター航空のチョ代表理事が来県され、徳島と韓国とを結ぶ定期便就航に向けた「詳細協約」にも調印する運びとなりました。
これにより、「香港・韓国」二つのハブ空港と徳島を結ぶ定期便の開設が間近になったところであります。
「世界に開かれた徳島」の具現化に向け、今後、関係機関との調整を丁寧に進め、国際定期便の一日も早い実現に全力で取り組んで参ります。

【徳島おどりフェスタ】
次に、「秋の阿波おどり」につきましては、徳島駅周辺の「にぎわい創出」や「新たな阿波おどりファン獲得」を目的に、これまでの「屋内」から「屋外」へと舞台を変え、「徳島おどりフェスタ~新時代へ躍り出そう~」と題し、十二月一日に開催致します。
「徳島おどりフェスタ」では、有名連をはじめ、学生連、県外で活動する連など、様々な連の演舞を「徳島のまちなか」で体感していただくことで、ぞめきが響く「徳島ならでは」の街の熱気を、県内外の皆様に楽しんでいただければと考えおります。
さらには、世界中の皆様に愛される「東京ディズニーリゾート・スペシャルパレード」の参加も決定しており、「ミッキーマウス」やその仲間達に、ここ、徳島で会うことができる「特別な機会」となるのはもちろん、一緒にパレードに参加していただく「キッズダンサー」を公募するなど、子ども達にとって「一生の思い出」となる機会を創出して参ります。
当日は、多くの人出が見込まれておりますが、「安全・安心」に「徳島おどりフェスタ」を楽しんでいただけるよう、しっかりと準備を進めて参ります。

【最低賃金の引き上げ】
次に、本県の最低賃金については、昨年の改定による全国で二番目に低い状況が、県民、特に若者の将来に対する不安感を増幅させ、近隣県との人材確保競争においても大きなハンディキャップとなっておりました。
この状況を打開し、本県が活力に満ち、持続可能な県として発展していくため、七月五日に開催された、第一回徳島地方最低賃金審議会において、積極的な引上げに向け十分御審議いただくよう要請するとともに、委員の皆様に私の思いを直接、伝えさせていただきました。
また、八月八日には、県議会十会派及び徳島県市長会の皆様とともに、改めて要請を行うとともに、二十八日にも審議会各委員に対し、緊急要請を行っております。
こうした要請を受けとめ、徳島地方最低賃金審議会において、終始熱心に御議論いただいた結果、去る二十九日に、全国最大の上げ幅となる「八十四円」の引き上げ、「九百八十円」とする答申がなされたところであります。
一方で、今回の賃金改定が、県内中小・小規模事業者に与える影響や課題、必要な支援について、まずは「事業者の声」をしっかりとお聞きするとともに、国の予算で今年度約六千億円、来年度概算要求では約七千億円に及ぶ賃上げ関連予算も活用しながら、生産性の向上も含め、今後の支援策を検討して参ります。
改めて、本県の経済力にふさわしい改定額を答申いただいた段野会長をはじめ、各委員に敬意を表するとともに、要請活動に御協力いただいた県議会の皆様方、そして全ての皆様に感謝を申し上げます。
今回の決定にあたり、八月二十六日には、最低賃金制度を担当する厚生労働省の労働基準局長及び賃金課長と面会し、地域の経済や雇用、人材確保を担う県が地方審議会に関わっていく仕組みが必要だと強く訴えたところです。
こうした形で県が関わったことについて、労働行政に地域の実情を反映させる日本の「新しいモデル」として、国に受けとめていただくとともに、引き続き、都市部との賃金格差を是正し、人材確保競争に勝ち抜くため、持続的な賃上げに向け、国と連携し取り組んで参ります。

【県内企業の海外展開支援とビジネスチャンス創出】
次に、「県内企業の海外展開支援とビジネスチャンス創出」につきまして、成長著しいアジア市場への県内企業の進出に向け、十月下旬に我が国との経済的結びつきが強く、県内企業も多数進出するタイ政府の「投資委員会・BOI」及び「工業省」と「産業連携覚書・MOU」を締結致します。
これに併せて県内企業等による「経済ミッション団」を組成し、そして派遣し、現地企業とのビジネスマッチングや現地産業視察など、相互の産業界のニーズを踏まえた経済交流を展開することにより、県内企業の海外ビジネスを積極的に支援して参ります。
また、本県は、ドイツ・ニーダーザクセン州と二○○七年に「交流に関する共同宣言」を締結し、友好交流関係を育んで参りましたが、締結から十七年が経過し、時代の流れに沿った新たな関係の構築が必要な時期が来ております。
そこで、十一月中旬に私自らが同州を訪問し、両者の連携を再確認するとともに、経済、文化、教育、スポーツ等の交流の発展拡大に向けた「新たな覚書」を締結することで、今後のさらなる交流推進を図って参ります。
また、県内企業のビジネスチャンス創出に向け、十一月七日から九日にかけて「踊り出せ、新時代へ!」をテーマとして開催される「徳島ビジネスチャレンジメッセ二〇二四」におきまして、
・来年七月に本県で開催予定の「ISTS・第三十五回・宇宙技術および科学の国際シンポジウム」のプレイベント「宇宙ビジネスメッセ」の開催や、
・「徳島バッテリーバレイ構想」に関連する蓄電池産業の展示やセミナーを実施致します。
さらに、
・アジア圏域への輸出に意欲のある企業の出展、海外のバイヤーとの商談会等を実現する「アジアンフェスティバル」に加え、
・若い世代の就業意識の醸成を図るため、学生チームが模擬会社を経営する「アントレプレナープログラム」を実施するなど、
本県産業の未来を見据えた創意工夫溢れる取組を通じて、県内企業の持続的発展と新たな産業の創出に繋げて参ります。

【徳島県食料・農林水産業・農山漁村基本計画の改定】
次に、気候変動や、人口減少による労働力不足などにより、農林水産業を取り巻く状況が近年厳しさを増す中、本県農林水産業が、「真に持続可能性の高い産業」となるためには、輸出促進などの「売る力」、生産振興などの「つくる力」、人材育成・確保などの「働く力」を強化することに加え、「農山漁村の防災力」を向上することにより、農林水産業全体の「自給力」を高めることが、非常に重要であります。
このことから、生産者や実需者、消費者などの方々から幅広い御意見をお聞きしつつ、これからの本県農林水産業施策の道標とするため、今年度最終年度を迎える「徳島県・食料・農林水産業・農山漁村基本計画」の改定を実施して参ります。
今後とも、本県が将来にわたり魅力的な産地で在り続けられるよう、しっかりと取り組んで参ります。

【提出議案説明】
次に、今回提出致しております議案の主なものについて御説明致します。
第一号議案及び第二号議案は、一般会計、特別会計についての補正予算であり、予算以外の提出案件と致しましては、条例案五件、負担金議案七件、契約議案六件、決算認定七件、その他の議案一件であります。
第十五号議案は、防災行政無線である「総合情報通信ネットワークシステム」の機能強化に向けた請負契約であります。

以上、概略御説明申し上げましたが、詳細につきましてはお手元の説明書等を御参照願うこととし、また、御審議を通じまして御説明申し上げたいと存じます。
十分御審議くださいまして、原案どおり御賛同賜りますようお願い申し上げます。

このページに関するお問い合わせ
徳島県 知事戦略公室
電話番号:088-621-2015
FAX番号:088-621-2820
メールアドレス:chijisenryakukoushitsu@pref.tokushima.lg.jp
 
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