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令和2年9月徳島県議会定例会知事説明

本日、九月県議会定例会を招集致しましたところ、議員各位におかれましては、御出席をいただき、誠に有難うございます。

 初めに、先般、非常に強い勢力を維持したまま北上した「台風第十号」では、九州地方を中心に被害が発生致しました。
お亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈り致しますとともに、被災されました皆様に、心からお見舞い申し上げます。

 特に、この度の台風では、多くの住民が事前避難した避難所において、新型コロナウイルス感染症への対応はじめ、前例のない難しい「避難所運営」を余儀なくされたところです。
また、全国知事会においては、大規模かつ広域の被害が見込まれたことから、九月六日に、私を本部長とする「緊急広域災害対策本部」を初の待ち受け設置するとともに、関係機関と連携のもと、情報収集を行い、「万全の体制」を確保致しました。

今後、本格的な台風シーズンを迎え、本県におきましても、避難所における「新型コロナ対策」については、県民の「安全・安心の確保」に向け、しっかりと対応して参ります。
ただ今、提出致しました議案の御説明と合わせ、当面する県政の重要課題について御報告申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様方の御理解、御協力を賜りたいと存じます。

 まず、「新型コロナウイルス感染症」につきまして、
これまで、県議会でお認めいただいた「新型コロナ対策予算」の早期執行を通じて、「検査機能の強化」や「医療提供体制の確保」、「県内経済の底割れ回避」に、全庁挙げて、全力で取り組んで参りました。
また、県内においても感染が拡大する中、県民の皆様の命を守るため、最前線で御尽力いただいている「医療従事者」の皆様はじめ、感染拡大防止に御協力いただいている皆様に、心より感謝申し上げます。
さて、本年七月以降の動きを振り返りますと、先の六月定例会閉会直後の七月六日・七日、県内で「三名」の感染者が確認されるとともに、県内初の「感染経路不明者」が出たことから、七月九日には、「感染拡大傾向」を注意喚起する県の対応基準「とくしまアラート」の注意報を、感染者の居住地や通勤・通学先であった「徳島市、小松島市、石井町」の三市町に発令致しました。
また、七月十七日には、「業種ごとの感染拡大予防ガイドライン」を踏まえた事業者の取組みを「見える化」し、県民の皆様に安心して御利用いただけるよう、
・事業者の皆様が実践する「感染拡大予防の取組み」を自主宣言し、取組内容を掲示いただく「事業者版スマートライフ宣言」
・業界団体が主体となって「業種別ガイドライン」に沿った対策を行う事業者を認定し、県が作成した「ステッカー」を掲示いただく「ガイドライン実践店舗の認定」
の二つの取組みをスタートし、現在、ホテルや飲食業を中心に、御活用いただいております。
一方、全国では、七月二十九日に、「一日の感染者数」が初めて「千人」を超える中、本県においても、七月下旬以降、「新規感染者」や「感染経路不明者」が増加し、また、八月四日・五日には、「県内初のクラスター」が発生したことから、「とくしまアラート」を七月三十日に「感染観察注意」へ、八月二日に「感染観察強化」へ、八月六日には「感染拡大注意」へと、順次引き上げました。
併せて、県民の皆様に対し、
・発熱、体調が優れない場合は、出勤はじめ外出せず、自宅で療養いただくとともに、十分な健康観察の徹底
・飲食店等利用の際は、「事業者版スマートライフ宣言」や「ガイドライン実践店ステッカー」の確認
・来県される親戚や友人の体調確認
をお願いするとともに、「県万代庁舎」や徳島市の御協力を頂いて「徳島中央公園・鷲の門」を「とくしまアラート」に応じてライトアップの色を変えることにより、注意喚起の「見える化」を行っております。
さらに、お盆を控え、来県者の増加で人との交流機会が増え、さらなる感染拡大が懸念されたことから、八月一日の「徳島阿波おどり空港」を皮切りに、「徳島駅前」、「徳島とくとくターミナル」等において、帰省された方や来県された方を対象に、「サーモグラフィーによる検温検査」や「感染予防に向けた啓発活動」を実施するとともに、八月九日には、「県対策本部」を開催し、県民や事業者の皆様に対し、改めて、お盆期間中の対応について、注意喚起を行いました。
加えて、国の「政府・新型コロナウイルス感染症対策分科会」において、「医療提供体制の逼迫度」をはじめ、感染状況を判断する「新たな基準」が示されたことを踏まえ、本県の対策に活かすべく、八月十九日、従来の「とくしまアラート」を、国が示した「新たな指標」や「講ずべき対策」を組み込む形で改定し、現状を上から三番目の「感染拡大注意・漸増ステージ」と致しました。

 一方、全国知事会においては、八月八日、「新型コロナウイルス緊急対策本部」を開催し、お盆の帰省について、「今一度、御家族・御友人と相談」いただき、帰省される場合は、「感染防止対策を徹底」いただくよう求める「国民へのメッセージ」を広く発信するとともに、
・都道府県の取組みを強力に支援するため、予備費を活用した「地方創生臨時交付金」の増額
・保健所の「積極的疫学調査」への協力拒否や、「休業要請」に従わない場合の罰則規定など、実効性を担保する法的措置
・医療従事者や感染者、来県者等に対する偏見や差別、誹謗中傷への早急な対策
など、「緊急提言」を取りまとめ、八月十一日、西村新型コロナ対策担当大臣に強く要請致しました。
また、感染者が急増し、県独自の「緊急事態宣言」を発令中であった「沖縄県玉城知事」から、八月十四日、全国知事会長として直接、応援要請を受け、八月十八日以降、県内医療機関からの「二名」をはじめ「十五道県三十四名」の看護師を沖縄県に派遣しており、医療崩壊を何としても防ぐため、国と連携のもと、医療機関や高齢者施設の支援に積極的に取り組んでおります。
さらに、八月二十一日には、加藤厚生労働大臣と意見交換を行い、
・社会経済活動を段階的に上げていくため、PCR検査を「適正な価格」で受けられる環境づくり
・経営が逼迫している医療機関を支援するため、予備費を活用した「緊急包括支援交付金」の増額
などについて、強く申入れました。
この結果、八月二十八日に発表された国の「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組み」において、
・重症化リスクの高い人への「重点化」や高齢者施設を含めた「検査体制の充実」
・安定的な医療経営を支援する「予備費の充当」
など、全国知事会の提言が数多く盛り込まれました。
加えて、全国知事会「新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチーム」において、
・第一波における「地域の感染ルート」や「全国のクラスター発生状況」等の分析結果に基づく今後の感染症対策
・ 「積極的疫学調査への協力拒否」に対する罰則をはじめ、実効性を担保する「法的枠組みの在り方」
など、全都道府県の知見を集約した「報告書」を八月三十一日に取りまとめ、全国で共有するとともに、感染拡大の新たな波を迎え撃てるよう、「政府分科会」とも連携し、一層効果的な対策を講じて参ります。
さらには、来る九月十四日に投開票が行われる、自由民主党総裁選挙に向け、
・「感染症対策の強化」と「地方経済に対する支援」
・「地方自治・地方税財源」の充実・強化
・地方部・大都市部が共に輝く「地方創生の実現」
など、十項目からなる「政策提言」をとりまとめ、同八日、立候補者三名に対し、直接、要請致しました。
本県における感染状況は、引き続き、予断を許さない状況が続いており、県民の皆様には、「感染防止徹底の取組み」はもとより、「感染者等に対する誹謗中傷」は厳に慎んでいただくよう、繰り返し、お願いしているところです。

 次に、「消費者庁の徳島移転」につきまして、
去る七月三十日、三年間に及ぶ試行を経て、ついに、「本庁機能」を有する新たな恒常的拠点「消費者庁・新未来創造戦略本部」が徳島県庁十階に開設されました。
当日は、衛藤消費者行政担当大臣や、伊藤消費者庁長官が来県され、私も寺井議長とともに、「県庁正面玄関での看板除幕式」や「十階執務室前への看板設置」といった開設セレモニーを執り行ったところであり、明治開闢以来初めて、国の本庁機能が霞が関を離れ、徳島の地から「新たな政策創造」がなされる「歴史的転換点」を迎えることとなりました。
その際、衛藤大臣からは、
・国の中核機能が地方に来るのは「消費者庁が初」であり、大変意義深い
・国にとっても、地方に移転する「極めて大きな第一歩」
と、大きな期待が示されたところです。
本県と致しましては、消費者庁の「カウンターパート」として、戦略本部とより一層連携を深め、本年十一月にオンデマンド配信で実施予定の「国際消費者フォーラム」を通じた「国際連携強化」をはじめ、全国で先駆的取組みを行う学校や消費者団体などステークホルダーとの連携により、「消費者施策のさらなる進化」を図り、徳島が全国はもとより、世界の消費者行政・消費者教育の「発展・創造の拠点」となるよう、全力を傾注して参ります。
さらに、こうした取組みを通じて、徳島に新しい人の流れを呼び込み、東京圏への「一極集中の是正」に大いに寄与するとともに、「消費者庁」を「消費者省」へ、そして本県への「全面移転」に繋がるよう取り組んで参りますので、引き続き、議員各位をはじめ、県民の皆様方の御理解、御協力をお願い申し上げます。

 次に、「人口減少」、「災害列島」、そして「新型コロナ」の三つの国難打破に向け、フルセット「三本柱」で編成した総額「百九十一億円」の「九月補正予算」について、概要を御説明申し上げます。

 まず、一つ目の柱「新型コロナ」対策では、

「中小・小規模事業者の事業継続」に向け、国の制度を活用し、五月一日から「新型コロナウイルス感染症対応資金」により、事業者の皆様の資金繰りを全力で支援しており、当該資金については、「十五%以上」売り上げが減少した事業者に対し、国が「保証料ゼロ・三年間実質無利子化」による支援を行っているところ、本県ではさらに一歩踏み込み、「地方創生臨時交付金」を活用し、売り上げが「五%から十五%」減少した事業者に対しても同様の支援を行っております。
このうち、「利子補給金」につきましては、複数年にわたる支援であり、この度、全国知事会の提言が実現し、「臨時交付金による基金造成」が可能となったことから、早速、約十九億円の「新型コロナウイルス感染症対応利子補給基金」を創設し、中小・小規模事業者や農林漁業者への利子補給支援のため、次年度以降に必要となる財源をしっかりと確保致します。

 また、本県が全国に先駆けて創設し、国の「持続化給付金」に繋がった融資額連動型「十%・最大百万円」の「新型コロナ対応!企業応援給付金」については、受付期間を「本年九月一日」までとしておりましたが、現下の厳しい経済状況を踏まえ、申請期限を「令和三年一月二十九日」まで延長致しました。
併せて、「生活衛生関係営業者」及び「農林漁業者」向け給付金についても、同様に延長し、「三つの給付金」合わせて、「三十一億一千万円」増額し、総額「六十三億一千万円」の本県独自の給付金により、事業者の皆様の事業継続を強力に支援して参ります。

 次に、バス・タクシー・鉄道・フェリー・航空など「公共交通事業者」は、利用者の激減により、極めて厳しい経営が続いており、公共交通の需要を喚起するため、
・ 「五千円分の利用券」を半額で発行し、誰もが手軽に利用できる「プレミアム交通券」
・特に深刻な影響を受けている「貸し切りバス」を活用した「旅行商品造成」や「周遊バス実証運行」
などを実施し、県民生活に不可欠な公共交通の「利用促進」と「業や雇用の維持・確保」にしっかりと取り組んで参ります。

 次に、「サージカルマスク」、「ガウン」等の医療資機材につきましては、これまでお認めいただいた予算や、国から配分された、また民間から寄贈いただいた物資を活用し、「入院受入医療機関」をはじめ、「帰国者・接触者外来設置医療機関」を中心に必要な資機材を提供して参りました。
一方、今後、世界的な新型コロナの再燃や季節性インフルエンザの流行により、「医療資機材の供給体制」について、再び寸断される恐れがあることから、市中感染の発生・拡大に備え、あらかじめ県が「医療資機材」を調達することにより、患者により身近な地域で医療を提供する「一般病院や診療所」に対し、緊急時でも安定的に「必要な資機材を提供できる体制」を構築して参ります。

 次に、避難所の感染防止対策につきましては、市町村が中心となって必要な物資の備蓄や環境整備を行っており、県としても、既に市町村の取組みを支援しておりますが、災害の規模によっては、各市町村の準備だけでは物資が不足する事態も想定されます。
このため、市町村の備蓄物資を「データベース化」するとともに、県においても、「段ボールベッド」や「検温機器」を備蓄し、被災市町村からの要請を待つことなく、避難所の「感染防止」に必要となる物資を直接送り届ける「プッシュ型支援」を新たに導入し、避難所における「安全・安心」を確保して参ります。

 次に、「とくしまマラソン」については、去る八月二十八日開催の「実行委員会」において、日本陸上競技連盟が定める「ガイダンス」に対応した開催案をお示しし、御意見をお聞きした結果、「令和三年三月二十八日」開催に向け、準備を進めることとなりました。
開催に当たりましては、「三密回避」のため、定員を前回大会の三分の一、現段階での国基準の範囲内となる「五千人」とする一方で、「オンラインマラソン」を併せて実施することにより、前回並のランナーが参加可能な大会と致します。
また、「検温」や「マスク・フェイスシールド」等の防護措置の徹底はもとより、送迎バスや仮設トイレを「定員の倍以上」確保するなど、「ランナー」や「スタッフ」、全てのマラソン関係者が、安心して参加できる「万全の体制」を整えて参ります。
なお、情勢が刻々と変化する状況に鑑み、募集開始前の十一月時点での「イベント開催基準」や新型コロナウイルスの「感染状況」などを踏まえ、実行委員会において、開催の可否を判断したいと考えております。

 次に、新型コロナの感染拡大による「テレワークの浸透」や都市部における「通勤混雑回避の必要性」などを契機として、「地方分散・地方移住」への関心が大いに高まっていることから、この機運をしっかりと捉え、県内の空き家や利用されていない建築物といった「リタイア・インフラ」を活用した「とくしま暮らしモデル」を公募するとともに、地方での「リスタート」を希望される都市部の方とのマッチングを行い、本県への移住促進に繋げて参ります。
 

 次に、二つ目の柱「災害列島」対策と致しまして、

令和二年度当初予算では、有利な財源により「県土強靱化」を集中的に進めるため、国の「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」を積極的に活用し、二月補正を併せた「十四か月・県土強靱化加速予算」として編成し、現在、事業効果の早期発現に向け、速やかな執行に努めているところです。
この度、「国直轄事業」及び「補助公共事業」について、当初予算計上額を大幅に上回る内示があったことから、「八十二億円」を追加するとともに、昨年度に続き、施工時期の平準化を図るための「債務負担行為(ゼロ県債)十億円」を設定し、合計「九十二億円」の公共事業費を計上致しました。
これにより、十四か月予算の「九百七十九億円」と今回の補正額を合わせた公共事業費は、「一千七十一億円」となり、平成十八年度以来、十四年ぶりに「一千億円」の大台を超えることになります。
今後、十四か月予算の執行と合わせ、
・河道掘削や樹木伐採による「浸水被害軽減対策」
・道路拡幅や落石対策による「道路機能向上対策」
・土石流防止堰堤整備による「土砂災害対策」
など、ハード対策を展開し、「三か年緊急対策の総仕上げ」に向け、県民の「安全・安心確保」に不可欠となる「県土強靱化」を一段と加速して参ります。

 次に、「令和二年七月豪雨」では、特別養護老人ホームなど「要配慮者利用施設」における「避難体制の強化」や「避難のタイミング」が課題となりました。
現在、県内の「要配慮者利用施設」における「避難確保計画」の策定状況は、
・ 「洪水浸水想定区域」のうち「七十七.九%」が策定済みで「全国第四位」
・ 「土砂災害警戒区域」のうち「六十五.七%」が策定済みで「全国第二位」
と「全国トップクラス」にありますが、計画策定をさらに加速し、「令和三年度早期」の「全施設・策定完了」に向け、講習会や戸別訪問などを実施するとともに、全ての施設における「逃げ遅れゼロ」の実現を目指して参ります。

 次に、三つ目の柱「人口減少」対策と致しまして、

本県では、平成二十四年十二月、全国に先駆け制定した「県産材利用促進条例」に、「木育」の推進を位置づけ、子育て世代が、直接木に触れ、木の魅力や優れた特性について、理解を深めることができる「木育広場」を県内全域に拡げて参りました。
また、昨年二月には、西日本初となる「全国木育サミットin徳島」を開催し、百を超える企業・団体、個人の皆様の賛同のもと、「とくしま木育共同宣言」を行うなど、木育の機運を醸成して参りました。
こうした成果を「レガシー」として継承し、赤ちゃんから高齢者まで、多くの方々が集い、「徳島の木の良さ」を再認識し、森林や木のもたらす恩恵を「学び・遊び・体感」でき、その「にぎわい」を発信する「新たな木育の中核拠点」として、都道府県立で全国初、全国最大規模となる「徳島木のおもちゃ美術館(仮称)」を、来年、開園二十周年を迎える「あすたむらんど徳島」の記念事業として、来年秋頃のオープンを目指し、整備に着手致します。

 次に、徳島市はじめ、県内各地の「阿波おどり」が相次いで中止となり、「地域経済」への影響や「次世代への継承」の懸念により、多くの県民や踊り連の皆様から、阿波おどりの「再始動を望む声」を頂いております。
このため、こうした方々の「踊りへの思い」を繋ぎ、「阿波おどり再始動」の契機とするため、「人数制限」や「検温」など徹底した感染予防のもと、安全・安心な「ニューノーマル・阿波おどりの祭典」を年内に開催致します。
開催に当たりましては、「アスティとくしま」をメイン会場とした県内阿波おどり連による迫力ある演舞「阿波おどり大絵巻」をはじめ、県内外の会場からは「オンライン」で、海外からは「ビデオメッセージ」により、それぞれ御参加いただくとともに、県内各地域で開催される「新しい生活様式」に対応した「阿波おどりイベント」を支援し、「WITH・コロナ時代の阿波おどり」にチャレンジして参ります。

 以上、本日提出の予算案について、概要を御説明申し上げましたが、我が国の経済状況は、本年四月から六月期の「国内総生産(GDP)」が、リーマンショック直後を上回る「歴史的下落」を記録するなど、「戦後最悪の状況」となる中、今回の補正予算を加え、総額「七百三十六億円」となる「新型コロナ対策予算」をはじめ、あらゆる施策を結集し、未曾有の国難を打破すべく、全身全霊で取り組んで参ります。

 続きまして、主な施策につきまして、御報告申し上げます。

 第一点は、未来へ雄飛!「笑顔とくしま・県民活躍」の実装であります。

 まず、「とくしま回帰の推進」につきまして、
「新型コロナウイルス感染症」の拡大により、大都市部における「人口集中の脆弱性」が顕在化し、とりわけ「県外で暮らす学生」の皆様においては、
・ 「世帯収入」や「アルバイト収入」の減少による「家計の急変」をはじめ、
・ 「移動自粛」により帰省することができず、県外で孤独な思いを強いられるなど、
経済的・精神的に大きな影響を受けております。
そこで、
・県外で頑張る本県出身の学生を応援し、「ふるさと徳島」への愛着を、より一層深めていただくとともに、
・新型コロナの影響により、売り上げが減少している「県内農林水産物の需要拡大」を図るべく、
去る七月三十一日から、本県特産品やターンテーブルでのお食事など、「ふるさとの味」をお届けする本県ならではの取組みを開始したところ、ひと月余りの間で、全国各地から「四千件」を超える申し込みとともに、多くの皆様から御好評をいただいております。
また、本事業の申込みに併せて、「県内での就職の希望度」はじめ、「とくしま回帰に係るアンケート調査」を実施しており、本年五月に公表された「民間転職サイト」の調査では、「地方への転職」を希望される方が「三十六.一%」であったところ、今回のアンケートでは、「徳島で就職したい」という方が、五割を超え、一段と「地方志向」が高まっている状況にあります。
一方で「新型コロナの影響により就職活動が不安」との切実な声も寄せられていることから、今後、この度の調査結果を踏まえ、就職に際して、学生の皆様に安心して「ふるさと徳島」を選んでいただく「若者世代のとくしま回帰」をより一層加速して参ります。

 次に、「スマート農業の推進」につきまして、
本県で盛んな「ハウス栽培のスマート化」を加速するため、環境制御技術を駆使する農業人材の育成に向け、新たに「施設園芸アカデミー」を開講し、去る七月二十八日、阿波市役所において、第一期生「四十一名」を迎え、「開講式」を開催致しました。
当アカデミーでは、最先端のスマート技術を実装した「トマトパーク徳島」において、温度、湿度、炭酸ガス濃度など、ハウス内の環境要素を「見える化」し、「データに基づく最適な栽培管理技術」を学んでいただきます。
併せて、受講される農業者自らが管理する「トマト栽培施設」において、スマート農業分野で全国屈指のノウハウを有する「株式会社デルフィー・ジャパン」から、直接アドバイスを受けることにより、「収量増加」 や「省力化」 など、環境制御技術の効果を直ちに実感できる、全国でも数少ない「実践的な研修スタイル」としております。
今後とも、「施設園芸アカデミー」を通して、環境制御技術を駆使する「エキスパート」を着実に育成し、県内農業者への「スマート技術の普及」を促進するとともに、本県が誇る野菜や果樹など、園芸産地のさらなる競争力強化を図って参ります。

 第二点は、未来へ加速!「強靱とくしま・安全安心」の実装であります。

 令和二年七月豪雨では、「バックウォーター現象」により河川が氾濫し、「特別養護老人ホームの浸水」や「避難中の被災」が発生するなど、九州地方を中心に全国の広範な地域に甚大な被害をもたらしました。
本県では、発災直後の「七月五日から二十九日」にかけて、「災害派遣医療チーム(DMAT)」延べ十九名・五チームを、「人(ひと)吉(よし)市(し)」、「球(く)磨(ま)村(むら)」等に派遣し、「医療救護活動」を行って参りました。
また、「保健師チーム」や「管理栄養士」など、県・市町の合同チーム「計三十五名」を、七月七日から八月四日までの約一か月間、熊本県の要請に基づく国からの依頼に応じ、被害が大きかった「芦(あし)北(きた)町(まち)」に派遣致しました。
一方、全国知事会においては、去る七月八日、会長の私を本部長とする「緊急広域災害対策本部」を設置し、特に甚大な被害を受けた「熊本県・八市町村」に対し、「災害マネジメント統括支援」及び「対口支援」として、「約六千人」の職員を派遣し、被災地の早期復旧・復興に全力で取り組んでいるところです。
また、七月二十二日には、安倍総理に対し、早期復旧・復興に向けた支援や、被災者生活再建支援制度の対象を「半壊世帯まで拡大」するよう提言した結果、七月三十日、政府において、総額「一千億円」規模の「被災者の生活と生業(なりわい)の再建に向けた対策パッケージ」が公表されるとともに、「半壊世帯の一部にも支給対象を拡大する方向で、政府内の検討・調整や所要の手続き等を進めていく」との方針が示されました。
今後とも、県民の「安全・安心の確保」に向け、国に対し、積極的に提言を行い、全国知事会とともに、被災自治体を全力で支援して参ります。

 第三点は、未来へ挑戦!「発展とくしま・革新創造」の実装であります。

 「GIGAスクール構想の推進」につきましては、
「Society5.0」実現に向けた「未来への投資」として、昨年十一月、政府主催全国知事会議の場で、構想の両輪となる義務教育段階の「児童生徒一人一台情報端末」及び「高速大容量校内LAN」の全国一斉整備について、全国知事会長として安倍総理に直接提案したところ、国の「令和元年度補正予算」及びその後措置された「令和二年度補正予算」に必要経費四千五百億円が盛り込まれ、構想実現に大きく前進致しました。
折しも、新型コロナウイルス感染拡大により、学校の臨時休業が全国で長期化し、「学びの保障」を実現する方策として、オンライン教育はじめICT活用の必要性が広く認知され、まさに「時流を先取りする構想」となりました。
加えて、本県では、「未知の世界を切り拓く人材育成」に向けた独自の取組みとして、先の六月定例会における御提案を踏まえ、県立高校及び県立特別支援学校高等部においても、「生徒一人一台のタブレット端末」を本年度中に整備することとし、さらに私立学校にも対象を拡大して、小中高一貫した「ハード面」の充実を加速しております。
一方、「GIGAスクール構想」の実現には、本県の実情に合わせた戦略的活用策をはじめ、「ソフト面」も併せて重要であることから、去る七月一日、新たに「徳島県GIGAスクール構想推進本部」を設置し、
・利便性の高い「共通アプリケーション」の選定
・学びを深化させる「効果的な授業・学習方法」の開発
・新たな教育環境に対応した「教員研修計画」の策定
・ 「家庭での通信環境」の確保対策
など、学校現場の意見を踏まえた検討を鋭意進めております。
今後とも、「オンライン教育」と「従来の教育」とのハイブリッド型の「新しい教育様式」を先取りした、本県ならではの「GIGAスクール構想」を推進し、「児童生徒目線」を重視した「個別最適化の実現」に向け、着実に取り組んで参ります。

 第四点は、未来へ発信!「躍動とくしま・感動宝島」の実装であります。

 昨年、県民の皆様に世界レベルの迫力あるプレーを間近で体感いただいた「ラグビーワールドカップ二〇一九」のジョージア代表「事前チームキャンプ」をはじめ、「東京二〇二〇(ニーゼロニーゼロ)オリンピック・パラリンピック」の「キャンプ地誘致」や、「ワールドマスターズゲームズ二〇二一関西」の「競技開催準備」を通じ、
・球技場やプールなど「スポーツ施設の機能向上」
・選手や関係者の受入れに伴う「ノウハウの蓄積」
といった「三大国際スポーツ大会」のレガシーが着実に創出されております。
こうしたレガシーを最大限活用し、全国大会や合宿の誘致に取り組むため、去る八月三日、「スポーツ」、「観光」の関係団体をはじめ、大学・報道機関・金融機関で構成する「挙県一致」の推進プラットフォーム「徳島県スポーツ・コミッション」を設立致しました。
当コミッションでは、「スポーツ」に、観光や食、おもてなしといった「本県の魅力」を掛け合わせた「徳島ならでは」の新たな価値を創造するとともに、アフターコロナ時代を見据えた「ニューノーマルな大会・合宿スタイル」を確立し、「スポーツ合宿の聖地」を目指して参ります。
今後とも、「三大国際スポーツ大会」で創出されたレガシーを発展・継承し、賑わいと活力に満ちあふれた「魅力ある徳島づくり」を積極果敢に展開して参ります。

 第五点は、未来へ継承!「循環とくしま・持続社会」の実装であります。

 本県では、昨年十二月、エシカル消費の推進に積極的に取り組む高校生等が集う全国初の「エシカル甲子園二〇一九(ニーゼロイチキユウ)」を開催し、来場者からは、「若い皆さんに学んで、持続可能な社会を目指し、暮らしを見直していきたい」とのメッセージをいただくなど、全国に誇る素晴らしい成果を収めることができました。
「WITH・コロナ時代」の今年度は、「エシカル消費の大切さ」はもとより、「新しい生活様式」を取り入れた社会の創造が強く求められており、「私たちが創る持続可能な社会、そして今できること」をテーマに、令和三年三月二十六日、「エシカル甲子園二○二○(ニーゼロニーゼロ)」を、昨年度に続き、本県で開催することと致しました。
当日は、「新たなイベント開催モデル」として、「オンラインによる参加」も可能とし、会場に来られない方に向けて「動画配信」を行うとともに、開催日前の新型コロナウイルスの感染状況によっては、「オンラインのみの開催」とするなど、出場者、来場者に対する感染防止対策に万全を期して参ります。
今後とも、全国の高校生等の交流を通じ、「新次元の消費者教育」を推進する徳島から全国に向け、「WITH・コロナ時代」に相応しい「エシカル消費の大切さ」をしっかりと発信して参ります。

 次に、今回提出致しております議案の主なものにつ
きまして御説明致します。

 第一号議案は一般会計、第二号議案及び第三号議案は特別会計についての補正予算であり、予算以外の提出案件と致しましては、条例案九件、負担金議案七件、契約議案二件、決算認定六件、その他の案件一件であります。

 第九号議案は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中小企業者、農林漁業者等への貸付けに係る利子補給金に充てるため、「徳島県新型コロナウイルス感染症対応利子補給基金」を設置するものです。

これらに加え、「感染拡大の防止」と「社会経済活動の段階的引き上げ」を両立するため、「県の責務」や「県民、事業者の役割」等を定める「条例案」を早急に取りまとめ、今議会に提出させていただく所存でありますので、この点については、是非、議員の皆様方の御理解、御協力を賜りたいと存じます。

以上、概略御説明申し上げましたが、詳細につきましてはお手元の説明書等を御参照願うこととし、また、御審議を通じまして御説明申し上げたいと存じます。
十分御審議くださいまして、原案どおり御賛同賜りますようお願い申し上げます。

このページに関するお問い合わせ
徳島県 知事戦略公室
電話番号:088-621-2015
FAX番号:088-621-2820
メールアドレス:chijisenryakukoushitsu@pref.tokushima.lg.jp
 
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