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平成25年6月徳島県議会定例会知事説明

 本日、六月県議会定例会を招集致しましたところ、議員各位におかれましては、御出席をいただき、誠に有難うございます。

 まずはじめに、ただ今、議員辞職されました「三木亨」前議員におかれましては、「二期六年」余りにわたり、その高い識見と卓越した手腕をもって、二十一世紀の県勢発展のために御尽力を賜りましたことに、心から敬意と感謝の意を表しますとともに、今後の御飛躍を祈念申し上げます。

 それでは、ただ今、提出致しました議案の御説明と合わせ、当面する県政の重要課題について御報告申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様の御理解、御協力を賜りたいと存じます。

 まず、「本四高速全国共通料金対応戦略」についてであります。

 本県が格差是正を強く主張し、県議会の皆様とともに繰り返し求めてきた「本四高速への全国共通料金制度の導入」が、平成二十六年度の実施に向け、動き出しております。

 本県にとりまして、まさに「千載一遇のビッグチャンス」である共通料金化を、観光交流の促進はもとより、企業誘致や農林水産物の販路拡大など、さらなる県勢飛躍に確実に結び付けるため、去る四月二十六日、「挙県一致対策協議会」を開催し、県内各界各層を代表する皆様方から、今後の対策の方向性について御意見、御提言をいただき、この度、「本四高速全国共通料金対応戦略(案)」の第一弾を取りまとめたところであります。

 この戦略においては、
 ・共通料金化によって飛躍的に向上する本県の優位性や、全国に誇りうる魅力を総合的にPRする「とくしま発信戦略」
 ・本県の強みを企業誘致や県内企業のビジネスチャンスに繋げる「産業振興戦略」
 ・さらなる交流人口の拡大に向けて先手を打つ「観光交流戦略」
など、七つの基本戦略を位置付け、スピード感を持って取り組みながら、「スタートダッシュ」を、より確かなものとするため、六月補正予算案に追加的な対策を計上致しております。

 今後、本議会での御論議を踏まえながら、挙県一致の取組みを着実に推進し、本県の命運を決する最重要課題の解決に向け、「創造的実行力」を発揮して取り組んで参ります。

 次に、「農林水産業における燃油価格高騰への対応」についてであります。

 最近の急激な円安の進行による燃油価格の上昇は、本県の基幹産業である農林水産業の経営状況に深刻な影響を及ぼしております。

 中でも、燃油代が生産コストの多くを占める「水産業」において、その影響は顕著であり、県内の漁業者の皆様方からは、「厳しい経営環境の中を堪え忍んでいる」との切実な声をいただいております。

 こうした声を受け、去る五月三十日には、国に対し、水産業をはじめ第一次産業への実効性ある支援策を早急に講じるよう提言を行うとともに、県におきましても、今回の六月補正予算案において支援制度の創設を計上したところであり、今後とも、燃油価格高騰の影響を少しでも緩和できるよう、農林漁業者の皆様方の経営努力をしっかりと支えて参ります。

 次に、「渇水への取組み」についてであります。

 四月中旬以降の記録的な少雨の影響を受け、「那賀川水系」においては、渇水の状況が深刻化しており、これまで、利水者の方々の御協力を得て、再三にわたる取水制限を実施するとともに、特に、工業用水については、三十五パーセントの取水制限となった段階から「地下水送水設備」を稼働するなど、迅速な対応に努めて参りました。

 現在も、引き続き予断を許さない状況にあるため、川口ダムの「底水放流」の準備を進めるとともに、その後の「那賀川の自然流量の活用」についても、既に国に要請するなど、緊急的な対応に万全を期しているところであります。

 今後とも、地域経済や県民生活を支える農業用水、工業用水を、何としても確保するため、全力で取り組んで参りますので、利水者はじめ県民の皆様には、引き続き、節水について、御理解、御協力をお願い申し上げます。

 続きまして、主な事業につきまして御報告申し上げます。

 第一点は、「にぎわい・感動とくしま」の実現であります。

 まず、「高速交通ネットワークの整備」についてであります。

 「四国8の字ネットワーク」を形成する四国横断自動車道及び阿南安芸自動車道につきましては、平時の救急・救命や産業活動の活性化、また、災害時の緊急輸送道路として、なくてはならない道路であります。

 阿南安芸自動車道のうち、唯一事業化の目途が立っていなかった「海部道路」につきましては、「南海トラフ巨大地震」の発生時に、津波により寸断される国道五十五号の代替道路となる、まさに「命の道」であり、これまで、「津波回避バイパス」となる区間の新規事業化を、地元の皆様の熱意とともに、機会あるごとに強く国に提言して参りました。

 その結果、去る五月十五日に成立した、国土交通省の本年度予算において、「牟岐町」から「高知県東洋町」までの区間が「調査箇所」として位置付けられ、新規事業化へ大きな弾みがついたところであります。

 また、四国横断自動車道の新直轄区間では、対前年度比七割増を超える規模の事業費が確保され、「小松島・阿南間」で新たに三地区の工事に着手するとともに、「徳島東・小松島間」についても用地取得に着手することとなりました。

 今後とも、本県における「ミッシングリンク」の解消に向け、阿南安芸自動車道「海部道路」の早期事業化と、四国横断自動車道のさらなる整備促進に、全力を傾注して参ります。

 次に、「国際チャーター便の就航」についてであります。

 本県では、東アジアはもとより、東南アジアをも視野に入れた、新たな「グローバル戦略」の展開に、全庁を挙げて取り組んでおります。

 戦略の柱のひとつである「外国人誘客」につきましては、平成二十四年の「外国人宿泊者数」が、前年を「九千人以上」上回る「二万八千七百人」となり、本県への誘客拡大に向けた、海外でのプロモーションや情報発信など、これまでの取組み成果が着実に現れております。

とりわけ、「香港」につきましては、官民挙げての精力的な誘致活動をはじめ、私自身、旅行会社トップへのセールスを行った結果、昨年十二月末に続き、来る七月十七日を皮切りに、八月三十日までの間、「徳島阿波おどり空港」を利用した「十二往復」の国際チャーター便の就航が決定致しました。

 このチャーター便においては、県内で宿泊し、「阿波おどり」や「大歩危峡」を楽しむツアー旅行が実施される予定であり、香港から本県を訪れる多くの方々に、徳島の魅力を存分に体験いただき、一層のリピーター客の獲得を図るとともに、「円安」による訪日旅行の需要を、しっかりと本県への誘客に結び付け、地域経済の活性化に繋げて参ります。

 次に、「四国遍路文化」についてであります。

 「四国八十八箇所霊場と遍路道」、そして、これを地域が支える「お接待」の文化は、時代を超えて受け継がれてきた「世界に誇る四国の財産」であり、去る六月四日に開催された「四国知事会議」では、世界遺産登録に向けた第一歩となります「暫定一覧表」について、「平成二十八年度」の記載を目指すことで、四県の合意がなされたところであります。

 来る六月十二日に本県で開催される「『四国八十八箇所霊場と遍路道』世界遺産登録推進協議会」の総会においては、この目標が提案されることとなっており、今後、「暫定一覧表記載」への気運を一層高め、四国の産・学・民・官が一体となった取組みを「一歩一歩」着実に進めて参ります。

 また、本県におきましては、遍路道として四国で唯一、「国史跡」に指定された「阿波遍路道」を活用し、本年十月、「第十二回全国歴史の道会議・徳島県大会」を、阿南市と勝浦町を舞台に開催いたします。

 四国最古の「巡礼の道」の価値と地域の魅力を、全国に向けて発信し、その保護と活用を図りながら、「四国遍路文化」の「保存・継承」に、粘り強く取り組んで参ります。

 第二点は、「経済・新成長とくしま」の実現であります。

 まず、「産業人材の育成と就労支援の充実・強化」についてであります。

 本年四月、県内産業人材の育成拠点である「中央テクノスクール」が開校し、「徳島経済産業会館(KIZUNAプラザ)」と一体となり、産業人材の育成に取り組んでおります。

 去る四月二十六日には、県と「徳島県中小企業青年中央会」との間で、「産業人材育成に向けた包括業務提携に関する協定」を締結し、訓練生の技能向上や、在職者訓練の拡充など、官民連携による取組みを推進することと致しました。

一方、厳しい雇用情勢の中、就職競争に勝ち抜きながらも、入社後早期に離職に至る若者が多く、本人のみならず、企業においても重要な課題となっております。

このため、「就職前」の段階から、自らの適性や企業の現場を知ることにより勤労観や職業観を高め、雇用のミスマッチ解消を図るべく、県、教育委員会、「徳島県中小企業家同友会」の三者により、インターンシップ等に関する連携協定を締結することと致しました。

 今後、この協定に基づき、本県におけるインターンシップの取組みを拡大・加速させ、若者の就労促進と県内企業の人材確保を支援し、地域経済の活性化を図って参ります。

 また、「生活保護受給者」につきましては、長引く経済雇用情勢の低迷により、全国的に増加傾向が続いており、中でも、「働くことのできる年齢層」の生活保護受給者が大幅に増加していることから、効果的かつスピード感を持った就労支援策が求められております。

このため、県と徳島労働局との間で、来る六月十九日、「就労支援の推進に関する基本協定」を締結することと致しました。

 今後、県内全ての「福祉事務所」と「ハローワーク」が一体となった「ワンストップ型の就労支援体制」を構築することにより、生活保護受給者をはじめ、生活困窮者の就労による自立支援を一層充実・強化して参ります。

 次に、「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への対応」についてであります。

 本年三月十五日、安倍首相がTPP交渉への参加を表明し、その後、TPPを巡る動きには、目まぐるしいものがあります。

 本県におきましては、三月十六日、「徳島県TPP対策本部」を直ちに設置するとともに、新年度の組織機構改革において、TPP、農業版BCP、さらにはグローバル戦略を担当する「政策監補」を新設するなど、庁内一丸となった体制を整え、鋭意、取組みを進めております。

 去る三月二十一日には、「第一弾」の「徳島発の政策提言」として、
 ・TPPに関する十分な情報開示と国民への説明
 ・国益が守られない場合は交渉参加しないこと
を国に強く訴えるとともに、農林水産物の輸出拡大や生産力・販売力の強化、地産地消の推進など、グローバル化に対応した「攻めの農林水産業」の確立について、間髪を入れず、提言を実施致しました。

 さらに、五月八日と三十日には、農畜水産業の経営安定対策はもとより、農山漁村の多面的機能の維持強化や中小企業支援などにも及ぶ包括的な政策提言を行ったところであり、今後とも、積極的な情報収集に努めるとともに、「できること」からスピード感を持って取り組み、TPPという未曾有の「ピンチ」を「チャンス」に変えるべく、本県の総力を結集して参ります。

第三点は、「安全安心・実感とくしま」の実現であります。

 まず、「地震津波・防災減災対策」についてであります。

 去る四月十三日に発生しました、淡路島を震源とする地震では、県内でも、平成十二年十月の「鳥取県西部地震」以来となる「震度五弱」が観測されました。

 また、五月二十四日には、政府の地震調査委員会から「南海トラフの地震」に関して、「今後三十年以内にマグニチュード八以上の地震が起こる確率は六十%から七十%」との新たな見通しが示されたところであり、大規模な震災への備えが急務であると、改めて、認識致しました。

 本県では、平成二十五年を「震災対策条例・元年」と位置付け、ハード・ソフト両面による取組みを積極的に推進致しております。

 ソフト面においては、被災市町村に対する応援を迅速かつ円滑に実施するため、去る四月五日、「徳島県及び市町村の災害時相互応援協定」を締結したところであり、今後、「物資の備蓄・輸送計画」及び「応援・受援計画」の策定を鋭意、進めて参ります。

 また、五月十二日には、中央構造線活断層帯を対象とした「特定活断層調査区域(案)」を公表したところであり、これに基づき、都道府県では全国初となる、条例による長期的な「土地利用の適正化」を推進することと致しております。

 今後、八月三十日の告示に向け、その趣旨や内容について丁寧な説明を行い、県民の皆様に正しく御理解いただけるよう努めて参ります。

 さらに、六月六日には、本県が全国に先駆けて取り組んで参りました、同時被災を受けない者同士での相互応援である「隔遠地協定」を「絵に描いた餅」ではなく、実効性あるものとするため、徳島・鳥取両県内の各市相互の協定に加え、両県町村会の間においても、「危機事象発生時相互応援協定」が締結されたところであり、これにより、両県の「支援の絆」がより強固になるものと考えております。

 一方、去る三月二十九日、「南海トラフ巨大地震」の影響を受ける地域では初めて、百年から百五十年の頻度で発生する津波、いわゆる「L1津波」に対する海岸保全施設整備の根拠となる「設計津波の水位」を公表致しました。

 これを受け、早急に「海岸保全基本計画」の見直しに着手するとともに、ハード面におきまして、まずは、「避難時間を確保」するための海岸保全施設の嵩上げ等を、「概ね五年」を目途に実施して参ります。

 今後とも、こうした取組みを一層加速させることにより、震災時の死者ゼロを目指す「とくしまゼロ作戦」に全力を傾注して参ります。

 次に、「農業版BCP(業務継続計画)」の策定についてであります。

 「東日本大震災」では、大津波により水路やポンプ場等の農業用施設が損壊するとともに、農地に海水が流入し、甚大な被害が発生いたしました。

 沿岸部に「ブランド産地」を抱える本県農業も、発災時に、壊滅的な打撃を受けることが想定されます。

 そこで、被災後における「農地や農業用施設の早期復旧」や「復旧後の農作物の作付け開始から出荷」に当たっての課題と対策を取りまとめた、本県独自の「農業版BCP」を、当初目標としていた「平成二十六年度」から一年前倒して、去る六月七日に策定したところであります。

 この「農業版BCP」が、「被災農地の速やかな復旧と営農再開」に向けての備えとして、より実効性の高いものとなるよう、今後とも、関係機関との連携を深めながら、しっかりと取り組んで参ります。

 次に、「少年消防クラブ交流会」の開催についてであります。

 本県では、未来の消防団員を育成するため、「全国少年少女消防クラブ交流大会」の実施を国に提言して参りましたが、昨年度、その取組みが実り、東日本での大会が「岩手県」で開催されました。

 そして、今年度、「西日本で初」となる大会が、来る八月七日から九日の三日間、本県で開催される運びとなりました。

 「徳島発」とも言える、この大会を契機とし、県内外の「少年少女消防クラブ活動」を一層活性化させるとともに、県民、国民の皆様の関心を高めることにより、地域における防災の担い手である消防団員の育成・強化に繋げて参りたいと考えております。

 次に、「周産期医療体制の充実」についてであります。

 平成二十四年人口動態統計によりますと、本県では、生後一年未満の「乳児死亡率」、生後四週未満の「新生児死亡率」が全国に比べ、高い状況にあります。

 また、二千五百グラム未満の低出生体重児の出生割合の増加や出産年齢の高齢化が進んでおり、早急な対策を講じることが喫緊の課題となっております。

 そこで、昨年度、徳島大学病院の「MFICU(母体胎児集中治療管理室)」の増床、さらに、新たな県立中央病院において、「NICU(新生児集中治療管理室)」を整備するなど、「周産期医療」の充実に取り組んでいるところであります。

 今後とも、県民の皆様が「安心して子どもを産み育てることができる環境づくり」を目指し、「周産期医療体制」の整備を積極的に推進して参ります。

 第四点は、「環境首都・先進とくしま」の実現であります。

 まず、「自然エネルギーの導入促進」についてであります。

 「太陽光」、「風力」、「水力」など、「自然エネルギーの宝庫」である本県においては、全国トップクラスの支援制度を設け、民間事業者による自然エネルギー設備の導入を促進しており、着実に成果を挙げております。

 この度、小松島市の「日本製紙小松島工場跡地」に、日本製紙株式会社と三菱商事株式会社との共同による、発電規模二十一メガワットの太陽光発電所が設置されることとなりました。

 完成しますと、四国最大規模の「メガソーラー」となり、「自然エネルギー立県とくしま」に向けた取組みが、さらに加速するものと大いに期待致しております。

 また、公営企業としては「西日本初」となる、県営「マリンピア沖洲太陽光発電所」につきましては、去る四月二十四日、営業運転を開始しており、これに加え、現在、徳島小松島港「赤石地区」で建設中の県営「和田島太陽光発電所」では、災害時に地域の避難所をはじめとする防災拠点に電力を供給する、全国初の「災害時のメガソーラー活用システム実証実験」をスタートさせたところであります。

 さらに、私が会長を務める「自然エネルギー協議会」では、自然エネルギーの普及・拡大に向けた提言活動を積極的に展開しており、去る五月十六日には、私自ら、関係省庁や各政党に赴き、構成メンバーである全国三十六道府県の声を直接、届けて参りました。

 今後とも、「徳島発」の先進的な取組みを、日本の課題解決の「処方箋」として、全国へ発信して参ります。

 次に、「省エネ型ライフスタイルへの転換」についてであります。

 この夏の四国電力管内における電力需給については、「電力の安定供給に必要な予備率を確保できる」との見通しが示されております。

 ただし、この見通しには、「一定の節電効果」が織り込まれていることから、「攻めの省エネ」に加え、新たに「家計に優しい省エネ」や「経営の効率化に繋がる省エネ」をテーマとした「スマートなライフスタイルへの転換」を呼びかける「徳島夏のエコスタイル」を五月からスタートさせております。

 また、一昨年から全国に先駆けて実施しております徳島県版サマータイム「あわ・なつ時間」を、本年も七月から九月の間、主な県庁舎で実施致します。

 こうした「徳島発」の省エネ活動を広く定着させるため、昨年度、関西広域連合において実施した「家族でおでかけ・節電キャンペーン」や「サマータイム」に加え、本年度は、新たに、「リース方式」を活用して県内「歩行者用信号機」の「LED化・一〇〇%」を図る「徳島モデル」の取組みを提案したところ、去る五月二十三日の関西広域連合委員会において、関西共通の取組みとして推進することが決定致しました。

 「我慢する省エネ」から「賢い省エネ」へ一歩踏み出す「ライフスタイルの転換」に向け、今後とも、積極的に取り組んで参ります。

 第五点は、「みんなが主役・元気とくしま」の実現であります。

 本県においては、「ひとり暮らし高齢者世帯」が全世帯の一割を超えており、これら高齢者が、地域社会において不安感や孤独感を解消し、生きがいを持って安心して暮らせる環境づくりが求められております。

 本県では、地域の実情に応じた「高齢者の見守り」を進めていくため、定期的に家庭への訪問を行う「新聞販売店」や「電気・ガス事業者」などとの間で、「高齢者等の見守り活動に関する協定」を昨年一月、締結致しました。

 さらに、この体制を充実・強化するため、本日、
 ・地元スーパーと連携し、地域の高齢者をはじめとする「買い物弱者」に、日用品や生鮮食料品の販売を行っている「移動スーパー『とくし丸』」
 ・地域住民にお弁当や日用品を配るとともに、高齢者の見守り活動を行う「ほっとかない事業」に取り組む「社会福祉法人・池田博愛会」
の二団体と新たに協定を締結することと致しました。

今後とも、地域において「一人の孤立化も見逃さない」との決意のもと、市町村や関係団体と十分連携を図りながら、高齢者の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、しっかりと取り組んで参ります。

 第六点は、「まなびの邦・育みとくしま」の実現であります。

 本県教育の目指すべき方向を明らかにし、その実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進していくための指針として、本年三月、第二期となる「徳島県教育振興計画」を、県議会の御議決をいただき、策定致しました。

 この計画では、「とくしまの教育力を結集し、未来を創造する、たくましい人づくり」を基本目標に掲げ、
 ・グローバル化に対応した教育やキャリア教育など、「未来を切り拓いていく力」の育成
 ・「知・徳・体」のバランスのとれた人づくり
 ・いじめ問題への対応や南海トラフ巨大地震などから命を守るための「安全・安心を実現する教育」
など、「県民とともに考え、ともに育むオンリーワン教育の実現」に向けた取組みを進めて参ります。

 中でも、徳島を牽引する能力を持つ人材を育成する「スーパーオンリーワン・ハイスクール事業」においては、この度、実施校「四校」を選定したところであり、全国そして世界に向けて活動を展開する学校独自の取組みや研究を積極的に支援して参ります。

 今後は、本計画を着実に実現していくため、市町村や関係団体との連携・協働を一層深めながら、「学校・家庭・地域」が一体となった教育の展開を図り、「とくしまの教育力」の向上に努めて参ります。

第七点は、「宝の島・創造とくしま」の実現であります。

 本県の過疎地域は、依然として財政基盤が脆弱である上、人口減少と著しい少子高齢化の進行により、集落機能の維持存続が危ぶまれており、かつてない厳しい状況にあります。

 そこで、昨年度から、県内市町村長や各界の代表者、有識者で構成する「新過疎対策戦略会議」を設置し、国の動きを先取りし、地域の実情を踏まえた具体的な対策の検討を進めて参りました。

 県議会での御論議も踏まえ、この度、二十六項目からなる「徳島からの提言」を取りまとめ、去る五月八日、関係十市町村長の皆様と、全国に先駆け、国に提言を致したところであります。

 今後とも、日本をリードする「課題解決先進県・徳島」として、県議会や関係市町村の皆様と力を合わせ、国の動向を注視しながら、これまでの手法にとらわれない大胆な発想による「新たな過疎対策」の実現に向けて、全力で取り組んで参ります。

 次に、今回提出致しております議案の主なものにつきまして御説明致します。

 第一号議案は、一般会計についての補正予算であり、予算以外の提出案件と致しましては、条例案九件、その他の案件二件、専決処分の承認二件であります。

 第十二号議案は、「関西広域連合」のさらなる活動強化に向けて、広域連合議会の議員定数の見直しを行うため、規約の改正を行うものであります。

 第十四号議案は、県北部をはじめ、香川県東部や兵庫県淡路島の政策医療を担う「中核的病院」として、去る四月一日に設立致しました「地方独立行政法人・徳島県鳴門病院」の「中期計画」の認可に係る専決処分の承認について、議決を経るものであります。

以上、概略御説明申し上げましたが、詳細につきましてはお手元の説明書等を御参照願うこととし、また、御審議を通じまして御説明申し上げたいと存じます。

 十分御審議くださいまして、原案どおり御賛同賜りますようお願い申し上げます。本日、六月県議会定例会を招集致しましたところ、議員各位におかれましては、御出席をいただき、誠に有難うございます。

 まずはじめに、ただ今、議員辞職されました「三木亨」前議員におかれましては、「二期六年」余りにわたり、その高い識見と卓越した手腕をもって、二十一世紀の県勢発展のために御尽力を賜りましたことに、心から敬意と感謝の意を表しますとともに、今後の御飛躍を祈念申し上げます。

 それでは、ただ今、提出致しました議案の御説明と合わせ、当面する県政の重要課題について御報告申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様の御理解、御協力を賜りたいと存じます。

 まず、「本四高速全国共通料金対応戦略」についてであります。

 本県が格差是正を強く主張し、県議会の皆様とともに繰り返し求めてきた「本四高速への全国共通料金制度の導入」が、平成二十六年度の実施に向け、動き出しております。

 本県にとりまして、まさに「千載一遇のビッグチャンス」である共通料金化を、観光交流の促進はもとより、企業誘致や農林水産物の販路拡大など、さらなる県勢飛躍に確実に結び付けるため、去る四月二十六日、「挙県一致対策協議会」を開催し、県内各界各層を代表する皆様方から、今後の対策の方向性について御意見、御提言をいただき、この度、「本四高速全国共通料金対応戦略(案)」の第一弾を取りまとめたところであります。

 この戦略においては、
 ・共通料金化によって飛躍的に向上する本県の優位性や、全国に誇りうる魅力を総合的にPRする「とくしま発信戦略」
 ・本県の強みを企業誘致や県内企業のビジネスチャンスに繋げる「産業振興戦略」
 ・さらなる交流人口の拡大に向けて先手を打つ「観光交流戦略」
など、七つの基本戦略を位置付け、スピード感を持って取り組みながら、「スタートダッシュ」を、より確かなものとするため、六月補正予算案に追加的な対策を計上致しております。

 今後、本議会での御論議を踏まえながら、挙県一致の取組みを着実に推進し、本県の命運を決する最重要課題の解決に向け、「創造的実行力」を発揮して取り組んで参ります。

 次に、「農林水産業における燃油価格高騰への対応」についてであります。

 最近の急激な円安の進行による燃油価格の上昇は、本県の基幹産業である農林水産業の経営状況に深刻な影響を及ぼしております。

 中でも、燃油代が生産コストの多くを占める「水産業」において、その影響は顕著であり、県内の漁業者の皆様方からは、「厳しい経営環境の中を堪え忍んでいる」との切実な声をいただいております。

 こうした声を受け、去る五月三十日には、国に対し、水産業をはじめ第一次産業への実効性ある支援策を早急に講じるよう提言を行うとともに、県におきましても、今回の六月補正予算案において支援制度の創設を計上したところであり、今後とも、燃油価格高騰の影響を少しでも緩和できるよう、農林漁業者の皆様方の経営努力をしっかりと支えて参ります。

 次に、「渇水への取組み」についてであります。

 四月中旬以降の記録的な少雨の影響を受け、「那賀川水系」においては、渇水の状況が深刻化しており、これまで、利水者の方々の御協力を得て、再三にわたる取水制限を実施するとともに、特に、工業用水については、三十五パーセントの取水制限となった段階から「地下水送水設備」を稼働するなど、迅速な対応に努めて参りました。

 現在も、引き続き予断を許さない状況にあるため、川口ダムの「底水放流」の準備を進めるとともに、その後の「那賀川の自然流量の活用」についても、既に国に要請するなど、緊急的な対応に万全を期しているところであります。

 今後とも、地域経済や県民生活を支える農業用水、工業用水を、何としても確保するため、全力で取り組んで参りますので、利水者はじめ県民の皆様には、引き続き、節水について、御理解、御協力をお願い申し上げます。

 続きまして、主な事業につきまして御報告申し上げます。

 第一点は、「にぎわい・感動とくしま」の実現であります。

 まず、「高速交通ネットワークの整備」についてであります。

 「四国8の字ネットワーク」を形成する四国横断自動車道及び阿南安芸自動車道につきましては、平時の救急・救命や産業活動の活性化、また、災害時の緊急輸送道路として、なくてはならない道路であります。

 阿南安芸自動車道のうち、唯一事業化の目途が立っていなかった「海部道路」につきましては、「南海トラフ巨大地震」の発生時に、津波により寸断される国道五十五号の代替道路となる、まさに「命の道」であり、これまで、「津波回避バイパス」となる区間の新規事業化を、地元の皆様の熱意とともに、機会あるごとに強く国に提言して参りました。

 その結果、去る五月十五日に成立した、国土交通省の本年度予算において、「牟岐町」から「高知県東洋町」までの区間が「調査箇所」として位置付けられ、新規事業化へ大きな弾みがついたところであります。

 また、四国横断自動車道の新直轄区間では、対前年度比七割増を超える規模の事業費が確保され、「小松島・阿南間」で新たに三地区の工事に着手するとともに、「徳島東・小松島間」についても用地取得に着手することとなりました。

 今後とも、本県における「ミッシングリンク」の解消に向け、阿南安芸自動車道「海部道路」の早期事業化と、四国横断自動車道のさらなる整備促進に、全力を傾注して参ります。

 次に、「国際チャーター便の就航」についてであります。

 本県では、東アジアはもとより、東南アジアをも視野に入れた、新たな「グローバル戦略」の展開に、全庁を挙げて取り組んでおります。

 戦略の柱のひとつである「外国人誘客」につきましては、平成二十四年の「外国人宿泊者数」が、前年を「九千人以上」上回る「二万八千七百人」となり、本県への誘客拡大に向けた、海外でのプロモーションや情報発信など、これまでの取組み成果が着実に現れております。

とりわけ、「香港」につきましては、官民挙げての精力的な誘致活動をはじめ、私自身、旅行会社トップへのセールスを行った結果、昨年十二月末に続き、来る七月十七日を皮切りに、八月三十日までの間、「徳島阿波おどり空港」を利用した「十二往復」の国際チャーター便の就航が決定致しました。

 このチャーター便においては、県内で宿泊し、「阿波おどり」や「大歩危峡」を楽しむツアー旅行が実施される予定であり、香港から本県を訪れる多くの方々に、徳島の魅力を存分に体験いただき、一層のリピーター客の獲得を図るとともに、「円安」による訪日旅行の需要を、しっかりと本県への誘客に結び付け、地域経済の活性化に繋げて参ります。

 次に、「四国遍路文化」についてであります。

 「四国八十八箇所霊場と遍路道」、そして、これを地域が支える「お接待」の文化は、時代を超えて受け継がれてきた「世界に誇る四国の財産」であり、去る六月四日に開催された「四国知事会議」では、世界遺産登録に向けた第一歩となります「暫定一覧表」について、「平成二十八年度」の記載を目指すことで、四県の合意がなされたところであります。

 来る六月十二日に本県で開催される「『四国八十八箇所霊場と遍路道』世界遺産登録推進協議会」の総会においては、この目標が提案されることとなっており、今後、「暫定一覧表記載」への気運を一層高め、四国の産・学・民・官が一体となった取組みを「一歩一歩」着実に進めて参ります。

 また、本県におきましては、遍路道として四国で唯一、「国史跡」に指定された「阿波遍路道」を活用し、本年十月、「第十二回全国歴史の道会議・徳島県大会」を、阿南市と勝浦町を舞台に開催いたします。

 四国最古の「巡礼の道」の価値と地域の魅力を、全国に向けて発信し、その保護と活用を図りながら、「四国遍路文化」の「保存・継承」に、粘り強く取り組んで参ります。

 第二点は、「経済・新成長とくしま」の実現であります。

 まず、「産業人材の育成と就労支援の充実・強化」についてであります。

 本年四月、県内産業人材の育成拠点である「中央テクノスクール」が開校し、「徳島経済産業会館(KIZUNAプラザ)」と一体となり、産業人材の育成に取り組んでおります。

 去る四月二十六日には、県と「徳島県中小企業青年中央会」との間で、「産業人材育成に向けた包括業務提携に関する協定」を締結し、訓練生の技能向上や、在職者訓練の拡充など、官民連携による取組みを推進することと致しました。

一方、厳しい雇用情勢の中、就職競争に勝ち抜きながらも、入社後早期に離職に至る若者が多く、本人のみならず、企業においても重要な課題となっております。

このため、「就職前」の段階から、自らの適性や企業の現場を知ることにより勤労観や職業観を高め、雇用のミスマッチ解消を図るべく、県、教育委員会、「徳島県中小企業家同友会」の三者により、インターンシップ等に関する連携協定を締結することと致しました。

 今後、この協定に基づき、本県におけるインターンシップの取組みを拡大・加速させ、若者の就労促進と県内企業の人材確保を支援し、地域経済の活性化を図って参ります。

 また、「生活保護受給者」につきましては、長引く経済雇用情勢の低迷により、全国的に増加傾向が続いており、中でも、「働くことのできる年齢層」の生活保護受給者が大幅に増加していることから、効果的かつスピード感を持った就労支援策が求められております。

このため、県と徳島労働局との間で、来る六月十九日、「就労支援の推進に関する基本協定」を締結することと致しました。

 今後、県内全ての「福祉事務所」と「ハローワーク」が一体となった「ワンストップ型の就労支援体制」を構築することにより、生活保護受給者をはじめ、生活困窮者の就労による自立支援を一層充実・強化して参ります。

 次に、「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への対応」についてであります。

 本年三月十五日、安倍首相がTPP交渉への参加を表明し、その後、TPPを巡る動きには、目まぐるしいものがあります。

 本県におきましては、三月十六日、「徳島県TPP対策本部」を直ちに設置するとともに、新年度の組織機構改革において、TPP、農業版BCP、さらにはグローバル戦略を担当する「政策監補」を新設するなど、庁内一丸となった体制を整え、鋭意、取組みを進めております。

 去る三月二十一日には、「第一弾」の「徳島発の政策提言」として、
 ・TPPに関する十分な情報開示と国民への説明
 ・国益が守られない場合は交渉参加しないこと
を国に強く訴えるとともに、農林水産物の輸出拡大や生産力・販売力の強化、地産地消の推進など、グローバル化に対応した「攻めの農林水産業」の確立について、間髪を入れず、提言を実施致しました。

 さらに、五月八日と三十日には、農畜水産業の経営安定対策はもとより、農山漁村の多面的機能の維持強化や中小企業支援などにも及ぶ包括的な政策提言を行ったところであり、今後とも、積極的な情報収集に努めるとともに、「できること」からスピード感を持って取り組み、TPPという未曾有の「ピンチ」を「チャンス」に変えるべく、本県の総力を結集して参ります。

第三点は、「安全安心・実感とくしま」の実現であります。

 まず、「地震津波・防災減災対策」についてであります。

 去る四月十三日に発生しました、淡路島を震源とする地震では、県内でも、平成十二年十月の「鳥取県西部地震」以来となる「震度五弱」が観測されました。

 また、五月二十四日には、政府の地震調査委員会から「南海トラフの地震」に関して、「今後三十年以内にマグニチュード八以上の地震が起こる確率は六十%から七十%」との新たな見通しが示されたところであり、大規模な震災への備えが急務であると、改めて、認識致しました。

 本県では、平成二十五年を「震災対策条例・元年」と位置付け、ハード・ソフト両面による取組みを積極的に推進致しております。

 ソフト面においては、被災市町村に対する応援を迅速かつ円滑に実施するため、去る四月五日、「徳島県及び市町村の災害時相互応援協定」を締結したところであり、今後、「物資の備蓄・輸送計画」及び「応援・受援計画」の策定を鋭意、進めて参ります。

 また、五月十二日には、中央構造線活断層帯を対象とした「特定活断層調査区域(案)」を公表したところであり、これに基づき、都道府県では全国初となる、条例による長期的な「土地利用の適正化」を推進することと致しております。

 今後、八月三十日の告示に向け、その趣旨や内容について丁寧な説明を行い、県民の皆様に正しく御理解いただけるよう努めて参ります。

 さらに、六月六日には、本県が全国に先駆けて取り組んで参りました、同時被災を受けない者同士での相互応援である「隔遠地協定」を「絵に描いた餅」ではなく、実効性あるものとするため、徳島・鳥取両県内の各市相互の協定に加え、両県町村会の間においても、「危機事象発生時相互応援協定」が締結されたところであり、これにより、両県の「支援の絆」がより強固になるものと考えております。

 一方、去る三月二十九日、「南海トラフ巨大地震」の影響を受ける地域では初めて、百年から百五十年の頻度で発生する津波、いわゆる「L1津波」に対する海岸保全施設整備の根拠となる「設計津波の水位」を公表致しました。

 これを受け、早急に「海岸保全基本計画」の見直しに着手するとともに、ハード面におきまして、まずは、「避難時間を確保」するための海岸保全施設の嵩上げ等を、「概ね五年」を目途に実施して参ります。

 今後とも、こうした取組みを一層加速させることにより、震災時の死者ゼロを目指す「とくしまゼロ作戦」に全力を傾注して参ります。

 次に、「農業版BCP(業務継続計画)」の策定についてであります。

 「東日本大震災」では、大津波により水路やポンプ場等の農業用施設が損壊するとともに、農地に海水が流入し、甚大な被害が発生いたしました。

 沿岸部に「ブランド産地」を抱える本県農業も、発災時に、壊滅的な打撃を受けることが想定されます。

 そこで、被災後における「農地や農業用施設の早期復旧」や「復旧後の農作物の作付け開始から出荷」に当たっての課題と対策を取りまとめた、本県独自の「農業版BCP」を、当初目標としていた「平成二十六年度」から一年前倒して、去る六月七日に策定したところであります。

 この「農業版BCP」が、「被災農地の速やかな復旧と営農再開」に向けての備えとして、より実効性の高いものとなるよう、今後とも、関係機関との連携を深めながら、しっかりと取り組んで参ります。

 次に、「少年消防クラブ交流会」の開催についてであります。

 本県では、未来の消防団員を育成するため、「全国少年少女消防クラブ交流大会」の実施を国に提言して参りましたが、昨年度、その取組みが実り、東日本での大会が「岩手県」で開催されました。

 そして、今年度、「西日本で初」となる大会が、来る八月七日から九日の三日間、本県で開催される運びとなりました。

 「徳島発」とも言える、この大会を契機とし、県内外の「少年少女消防クラブ活動」を一層活性化させるとともに、県民、国民の皆様の関心を高めることにより、地域における防災の担い手である消防団員の育成・強化に繋げて参りたいと考えております。

 次に、「周産期医療体制の充実」についてであります。

 平成二十四年人口動態統計によりますと、本県では、生後一年未満の「乳児死亡率」、生後四週未満の「新生児死亡率」が全国に比べ、高い状況にあります。

 また、二千五百グラム未満の低出生体重児の出生割合の増加や出産年齢の高齢化が進んでおり、早急な対策を講じることが喫緊の課題となっております。

 そこで、昨年度、徳島大学病院の「MFICU(母体胎児集中治療管理室)」の増床、さらに、新たな県立中央病院において、「NICU(新生児集中治療管理室)」を整備するなど、「周産期医療」の充実に取り組んでいるところであります。

 今後とも、県民の皆様が「安心して子どもを産み育てることができる環境づくり」を目指し、「周産期医療体制」の整備を積極的に推進して参ります。

 第四点は、「環境首都・先進とくしま」の実現であります。

 まず、「自然エネルギーの導入促進」についてであります。

 「太陽光」、「風力」、「水力」など、「自然エネルギーの宝庫」である本県においては、全国トップクラスの支援制度を設け、民間事業者による自然エネルギー設備の導入を促進しており、着実に成果を挙げております。

 この度、小松島市の「日本製紙小松島工場跡地」に、日本製紙株式会社と三菱商事株式会社との共同による、発電規模二十一メガワットの太陽光発電所が設置されることとなりました。

 完成しますと、四国最大規模の「メガソーラー」となり、「自然エネルギー立県とくしま」に向けた取組みが、さらに加速するものと大いに期待致しております。

 また、公営企業としては「西日本初」となる、県営「マリンピア沖洲太陽光発電所」につきましては、去る四月二十四日、営業運転を開始しており、これに加え、現在、徳島小松島港「赤石地区」で建設中の県営「和田島太陽光発電所」では、災害時に地域の避難所をはじめとする防災拠点に電力を供給する、全国初の「災害時のメガソーラー活用システム実証実験」をスタートさせたところであります。

 さらに、私が会長を務める「自然エネルギー協議会」では、自然エネルギーの普及・拡大に向けた提言活動を積極的に展開しており、去る五月十六日には、私自ら、関係省庁や各政党に赴き、構成メンバーである全国三十六道府県の声を直接、届けて参りました。

 今後とも、「徳島発」の先進的な取組みを、日本の課題解決の「処方箋」として、全国へ発信して参ります。

 次に、「省エネ型ライフスタイルへの転換」についてであります。

 この夏の四国電力管内における電力需給については、「電力の安定供給に必要な予備率を確保できる」との見通しが示されております。

 ただし、この見通しには、「一定の節電効果」が織り込まれていることから、「攻めの省エネ」に加え、新たに「家計に優しい省エネ」や「経営の効率化に繋がる省エネ」をテーマとした「スマートなライフスタイルへの転換」を呼びかける「徳島夏のエコスタイル」を五月からスタートさせております。

 また、一昨年から全国に先駆けて実施しております徳島県版サマータイム「あわ・なつ時間」を、本年も七月から九月の間、主な県庁舎で実施致します。

 こうした「徳島発」の省エネ活動を広く定着させるため、昨年度、関西広域連合において実施した「家族でおでかけ・節電キャンペーン」や「サマータイム」に加え、本年度は、新たに、「リース方式」を活用して県内「歩行者用信号機」の「LED化・一〇〇%」を図る「徳島モデル」の取組みを提案したところ、去る五月二十三日の関西広域連合委員会において、関西共通の取組みとして推進することが決定致しました。

 「我慢する省エネ」から「賢い省エネ」へ一歩踏み出す「ライフスタイルの転換」に向け、今後とも、積極的に取り組んで参ります。

 第五点は、「みんなが主役・元気とくしま」の実現であります。

 本県においては、「ひとり暮らし高齢者世帯」が全世帯の一割を超えており、これら高齢者が、地域社会において不安感や孤独感を解消し、生きがいを持って安心して暮らせる環境づくりが求められております。

 本県では、地域の実情に応じた「高齢者の見守り」を進めていくため、定期的に家庭への訪問を行う「新聞販売店」や「電気・ガス事業者」などとの間で、「高齢者等の見守り活動に関する協定」を昨年一月、締結致しました。

 さらに、この体制を充実・強化するため、本日、
 ・地元スーパーと連携し、地域の高齢者をはじめとする「買い物弱者」に、日用品や生鮮食料品の販売を行っている「移動スーパー『とくし丸』」
 ・地域住民にお弁当や日用品を配るとともに、高齢者の見守り活動を行う「ほっとかない事業」に取り組む「社会福祉法人・池田博愛会」
の二団体と新たに協定を締結することと致しました。

今後とも、地域において「一人の孤立化も見逃さない」との決意のもと、市町村や関係団体と十分連携を図りながら、高齢者の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、しっかりと取り組んで参ります。

 第六点は、「まなびの邦・育みとくしま」の実現であります。

 本県教育の目指すべき方向を明らかにし、その実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進していくための指針として、本年三月、第二期となる「徳島県教育振興計画」を、県議会の御議決をいただき、策定致しました。

 この計画では、「とくしまの教育力を結集し、未来を創造する、たくましい人づくり」を基本目標に掲げ、
 ・グローバル化に対応した教育やキャリア教育など、「未来を切り拓いていく力」の育成
 ・「知・徳・体」のバランスのとれた人づくり
 ・いじめ問題への対応や南海トラフ巨大地震などから命を守るための「安全・安心を実現する教育」
など、「県民とともに考え、ともに育むオンリーワン教育の実現」に向けた取組みを進めて参ります。

 中でも、徳島を牽引する能力を持つ人材を育成する「スーパーオンリーワン・ハイスクール事業」においては、この度、実施校「四校」を選定したところであり、全国そして世界に向けて活動を展開する学校独自の取組みや研究を積極的に支援して参ります。

 今後は、本計画を着実に実現していくため、市町村や関係団体との連携・協働を一層深めながら、「学校・家庭・地域」が一体となった教育の展開を図り、「とくしまの教育力」の向上に努めて参ります。

第七点は、「宝の島・創造とくしま」の実現であります。

 本県の過疎地域は、依然として財政基盤が脆弱である上、人口減少と著しい少子高齢化の進行により、集落機能の維持存続が危ぶまれており、かつてない厳しい状況にあります。

 そこで、昨年度から、県内市町村長や各界の代表者、有識者で構成する「新過疎対策戦略会議」を設置し、国の動きを先取りし、地域の実情を踏まえた具体的な対策の検討を進めて参りました。

 県議会での御論議も踏まえ、この度、二十六項目からなる「徳島からの提言」を取りまとめ、去る五月八日、関係十市町村長の皆様と、全国に先駆け、国に提言を致したところであります。

 今後とも、日本をリードする「課題解決先進県・徳島」として、県議会や関係市町村の皆様と力を合わせ、国の動向を注視しながら、これまでの手法にとらわれない大胆な発想による「新たな過疎対策」の実現に向けて、全力で取り組んで参ります。

 次に、今回提出致しております議案の主なものにつきまして御説明致します。

 第一号議案は、一般会計についての補正予算であり、予算以外の提出案件と致しましては、条例案九件、その他の案件二件、専決処分の承認二件であります。

 第十二号議案は、「関西広域連合」のさらなる活動強化に向けて、広域連合議会の議員定数の見直しを行うため、規約の改正を行うものであります。

 第十四号議案は、県北部をはじめ、香川県東部や兵庫県淡路島の政策医療を担う「中核的病院」として、去る四月一日に設立致しました「地方独立行政法人・徳島県鳴門病院」の「中期計画」の認可に係る専決処分の承認について、議決を経るものであります。

以上、概略御説明申し上げましたが、詳細につきましてはお手元の説明書等を御参照願うこととし、また、御審議を通じまして御説明申し上げたいと存じます。

 十分御審議くださいまして、原案どおり御賛同賜りますようお願い申し上げます。

 
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