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ICT活用工事現場講習会(園瀬川 河川工事)の開催報告

ICT活用工事現場講習会(園瀬川河川工事)を開催しました!

徳島県県土整備部では,ICTや3Dデータを活用し,建設産業の生産性向上を図り,魅力ある建設現場を目指す新しい取り組みとして,平成28年度よりICT活用工事を試行しています。
この度,「ICT 活用工事」に関する技術力向上を目的として,園瀬川にて施工中の「ICT 活用工事(土工)」の現場において,講習会を開催しました。

(1)開催日時

令和元年11月26日(火曜日)13時00分~16時30分

(2)場所

座学(集合場所)/徳島県立21世紀館1階多目的活動室
現場見学/園瀬川河川工事(徳島市上八万町上中筋)

(3)主催

徳島県
(公財)徳島県建設技術センター

(4)開催内容

(1)i-Constructionの取り組みについて
(2)工事概要説明
(3)3次元測量(レーザースキャナー,空中写真測量(無人航空機))について
(4)3次元設計データ作成・3次元出来形管理の活用方法について
(5)ICT建設機械(MGバックホウ,MCブルドーザ)による施工及びGNSSを用いた盛土の締固め管理について
(6)現場見学
・ICT活用工事における測量機器を用いた出来形管理技術等の実演(地上型レーザースキャナー,空中写真測量(無人航空機),その他の3次元計測技術による測量の実務)
・ICT建機による現場施工(MGバックホウ,MCブルドーザによる施工,GNSS仕様振動ローラでの締固め管理)

(5)参加者

71名(建設業者23名、測量設計業者13名、その他業者4名、県担当者17名、市町担当者8名、その他関係機関6名)

(6)開催状況

現場見学の前に,徳島県立21世紀館にてi-Constructionの取り組み,工事概要,3次元測量(レーザースキャナー,空中写真測量(無人航空機)),3次元設計データ作成,当該工事におけるICT建設機械による施工等について説明しました。

その後,現場に移動し,参加者は2班に分かれて,ICT活用工事における測量機器を用いた出来形管理技術等の実演や,ICT建設機械による現場施工について見学しました。

●TLS(地上型レーザースキャナー)

TLS(地上型レーザースキャナー)を用いた測量技術について,概要説明および実演状況を見学しました。

地上型レーザースキャナーは,測距,測角により三次元座標と反射強度を測定する機能を有し,測距光を高速で走査することで高密度な三次元計測データを短時間で取得する測量機器であり,各メーカーによって機器・ソフトウェアの操作性・機能・コスト等が異なるとのことです。

また,地上型レーザースキャナーを使用することにより,計測の準備作業が軽減でき,計測時間も短いために測量作業が大幅に効率化されること,計測結果を3次元CAD等で処理することにより,鳥瞰図や縦断図,横断図,数量算出など,必要なデータを抽出できる等の生産性向上を図ることが可能となりますが,計測箇所をピンポイントに計測できない,取得データの計測密度にばらつきがある等の留意点があるとのことです。

●UAV(無人航空機)

UAV(無人航空機)を用いた測量技術について,概要説明および実演状況を見学しました。

上空からUAV(無人航空機)でデジタル写真をラップさせて撮影し,解析ソフトで3次元点群データを作成します。

また,評定点・検証点に置くだけでセンチメートル級精度の測量を可能にした対空標識システムの紹介や,操作方法についての説明がありました。

なお,UAV(無人航空機)を使用することにより,計測の準備作業が軽減でき,計測時間も短いために測量作業が大幅に効率化されること,計測結果を3次元CAD等で処理することにより,鳥瞰図や縦断図,横断図,数量算出など,必要なデータを抽出できる等の生産性向上を図ることが可能となりますが,航空法等の規制により利用できない地域がある,計測箇所をピンポイントに計測できない,強風や雨などの天候により計測できない等の留意点があるとのことです。

●3Dテクノロジーを用いた計測及び誘導システムを活用した技術

3Dテクノロジーを用いた計測及び誘導システムを活用した技術について,概要説明および実演状況を見学しました。

従来は,2次元の図面からトータルステーションで位置を出した後に,レベル等を用いる必要があるため,計測に時間を要しますが,当技術では3次元データを共有することにより,計測時間短縮による省人化及び経済性の向上が図れるとのことです。

●ICT建設機械(MGバックホウ)

ICT建設機械(MGバックホウ)についての概要説明を見学しました。
重機のオペレーターは、操作室のモニターに表示された設計データとバケット刃先の位置情報を確認しながら、切り出し位置を決めており、丁張りは不要となります。

MGバックホウについては、既存の重機に3次元システムを後付けし使用することでき、重機の大きさや年式、メーカーを問わず使用できるそうです。

ICT建機を使用することで,丁張等の設置工程が削除されることによるコスト縮減による経済性の向上,丁張から離れた場所でも設計データを使用して施工が可能となることによる,均一な施工精度確保が図れるとのことです。

※MG(マシンガイダンス)技術とは,自動追尾型TSやGNSSなどの位置計測技術を用いて建設機械の位置情報を計測し,施工箇所の設計データと現地盤データとの差分をオペレータへ提供するシステム。

●ICT建設機械(MC(マシンコントロール)ブルドーザ)

ICT建設機械(MC(マシンコントロール)ブルドーザ)に関する概要説明後,操作モニターを見ながら,MC(マシンコントロール)ブルドーザでの土の敷均しの見学や試乗体験を行いました。

従来施工は,丁張等を目安に施工・確認を行いながら施工を行い,仕上がりはオペレータの技量に依存していましたが,ICT建機を使用することで,丁張の目視確認の手間が省けることによる施工性の向上,施工箇所全域にわたり,正確に施工が可能となることによる品質の向上,丁張設置作業及び検測作業が不要になることによる経済性の向上や工期の短縮が図れるとのことです。

※MC(ブルドーザ)技術は,3次元設計データを搭載したブルドーザにより,掘削・敷均し作業を行うことで,オペレータによる複雑な操作なしで排土板を自動制御して高精度な施工を実現するもの。

●ICT建設機械による施工の実演(GNSS仕様振動ローラでの締固管理)

GNSS仕様振動ローラでの締固めを見学しました。

GNSSとは衛生を用いた測位システムのことで,この振動ローラで施工すると,モニター上に、締固めた箇所が締固め回数毎に色分けして表示されます。

このことにより,締固め回数が一目で管理できます。

当システムを使用することにより,締固め状況の早期把握による工期短縮,現場密度試験省略による品質管理の簡素化・効率化が図れるとのことです。

※締固め管理システム

GNSS受信機が位置情報を取得し,PC等に転送。

締固め管理ソフトとの組み合わせで,ローラーの走行軌跡から転圧回数を取得し,オペレータに提供する技術。

UAV(無人航空機)から,記念撮影をしました。

ICT(情報通信技術)の活用等における生産性向上を図るため,今後もICT活用工事の現場講習会を随時開催し,普及・促進を図って参ります。