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令和6年4月1日 教育長記者会見(中川教育長就任記者会見)

発表事項

(教育長)
何分こういう場は初めてですので、少しドキドキしておりますけれど、よろしくお願いいたします。
このたび、教育長を拝命いたしました、中川斉史と申します。
本県の教育長に任ぜられ、その責任の重さに身が引き締まる思いをしているところでございますが、今後、その職責を果たすため、誠心誠意努めて参りたいと考えております。
さて、現在の教育を取り巻く環境は、少子高齢化や自然災害、国際情勢の不安定化に加え、
デジタルトランスフォーメーションや、脱炭素化の進展など、国内外の社会環境が劇的に変化する中、子どもたちには、自らが持続可能な社会を創り出していく「未来社会の創り手」としての力が求められている一方で、「いじめや不登校への対応」、「能登半島地震を踏まえた防災教育」、「複雑化・困難化する学校課題に伴う教員の負担軽減」など、多くの課題が指摘されているところであります。
このような状況の中、国においては、令和5年6月、新たな「教育振興基本計画」が策定され、国として進むべき教育政策の方向性が示されました。
また、本県では、令和6年3月、知事と教育委員会とで構成する総合教育会議において、新たな「徳島教育大綱」が策定されるとともに、大綱の行動計画として、成果目標や工程を示した「徳島県教育振興計画(第4期)」を一体的に策定いたしました。
大綱の基本方針である「個性と国際性に富み、夢と志あふれる『人財』の育成」に向け、あらゆる分野・世代のつながりを大切にし、「誰もが輝く未来志向の教育施策」を積極的に推進して参ります。
まず、私自身、これまで「教育DX」の推進に尽力し、「教育情報化コーディネータ1級」を取得するとともに、文部科学省の「学校DX戦略アドバイザー」、総務省の「地域情報化アドバイザー」等を務めさせていただいておりますので、速やかにタブレット問題を解消し、これまで培ってきた知見を最大限に活かして、様々な視点からICTを積極的に活用して参ります。
また、誰一人取り残さない学びの保障に向けたいじめ・不登校対策を推進するため、いじめの重大事態の根絶に向けた教職員の指導力向上及び組織的対応の徹底を図るとともに、全ての不登校児童・生徒に対する、個々の状況に応じた必要な支援を行うことにより、将来の社会的自立に向け、安心して学べる環境を整えて参ります。
さらに、持続可能な教育を推進するため、令和6年3月に作成しました「とくしまの学校における働き方改革プラン(第3期)」に基づく取組や、「学校DX」による働き方改革を進めることにより、全ての教職員が「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる環境づくりや、優秀で意欲ある人材の確保に努め、ひいては子供たちへのより良い教育につなげて参ります。
加えて、通学区域制の在り方については、県民の皆様の間にも地域や立場によって様々な意見があることから、有識者会議を開催するなど、幅広く意見聴取を行い、本県にふさわしい制度の在り方について、検討を進めて参ります。
今後、地域、家庭、学校はもとより、関係機関や知事部局などとの一層緊密な連携のもと、
徳島県の子供たちが持つ可能性を高めるとともに、主体的に未来を切り拓くために果敢に挑戦する力を育み、学校が笑顔であふれるよう、教育委員の皆さんと十分に意志疎通を図りつつ、教職員一丸となって、取り組んで参りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
 

質疑応答

(四国放送)
幹事社の四国放送からお聞きします。
先日、四電工さんからタブレットの端末の故障原因について、製品としては、原因がない。
学校の状況に故障原因があるのではないかとおっしゃっていましたが、今後四電工さんの答えに対して、教育委員会としてどのように対応される予定でしょうか。

(教育長)
つい先日の話で、私も詳細はまだ聞いていませんが、報道にあったような感じで連絡があったという話は聞いております。
製品を検査する団体といいますか、そういうところからのデータも添付はされていたと思いますが、学校でどのように使っていたか私の方はよく分かっておりませんので、今後、教育DX推進課と協議をいたしまして、対応していきたいと思っております。

(四国放送)
DXの様々な御見識の中で、全国で徳島県だけがこういう問題が起こって、それが学校の保管状況に問題があるような指摘については、客観的に聞いて、それに対して疑問を感じる若しくはその可能性もあるのかなっていう意味で言うとどのようにお考えか、もし、おっしゃれることがありましたら。

(教育長)
皆さん方がスマホを使われるときって、接続コードを挿しっぱなしということは絶対ないと思います。
つまり放電をしながら、充電するというところが一般的な使い方と思います。
それを学校のタブレットに当てはめたときにどうなのかということだと、特に長期休業中の場合は、使いませんから、それをどのように保管をしていたかという話プラス、どのように保管をしてくださいという指示があったかというところが一番気になるところです。
製品として問題がなかったということは、検査結果が出ていますが、それプラス運用する側がどういうことに気をつけたらよかったかという指示や説明があったかとか、その辺りが詰める点かなという気がしておりますが、いずれにしても、もう少し詳細な話を課で検討して、また改めてお話ができるかなと思っております。

(四国放送)
今日就任したばかりですので、なかなか難しいと思いますが、先ほど言葉の中で、速やかにタブレット問題を解消したいとおっしゃっていました。
言える範囲でタブレット問題を速やかにというのは、どのような解消方法をお考えでしょうか。

(教育長)
3月18日現在の故障台数が、9,465台と聞いております。
内訳としては、バッテリーの膨張や、稼働時間が1時間未満になっているといったことがありますが、3月末までに、新たな端末ということで、現在約7,000台確保して、順次取りかえていますが、まだ不足があります。
とにかく6年度当初にどうするかというところが一番の課題解決の部分と思います。
以前、教育DX加速化委員会に私も副委員長で関わらせていただきましたが、その際、夏頃の目途で4,000台の追加調達という話が出ているので、その通り動いているはずです。
そこを考えて、新年度には間に合いませんが、前年度に開催した会議の中でできる限りやっているという部分で、対応していくということです。
もちろん、次はどうするのか。
いわゆるリプレイスということですよね。
それに関しても、全国の様子を見ながらですが、他の県では、あまりこんなこと聞いたことないという話だったので、それは何かおかしいのだろうと思っていますので、他の都道府県の先進事例もしっかりリサーチをさせていただいて、「後からやる分はよかったな」と言ってもらえるようにしていきたいと考えております。

(徳島新聞)
徳島新聞です。
タブレット問題以外で、今後取り組んでいきたい徳島県の教育の一番の課題は、どのようなことと捉えていらっしゃるのでしょうか。
そのためにどのように取り組んでいくか。
先ほどの抱負の中になってしまうのかもしれませんが。

(教育長)
知事から昨年度も校則の見直しの話があったと思います。
昨年度、校則の見直しについては、特に県立学校を中心に、生徒自身が「校則の意義はこうなんだ」ということを考えて、かなり自発的、積極的、そして主体的に校則の見直しに参画してきたと聞いております。
とても大事なことだと思います。
自分たちの行動が目に見える形で、こんな結果になるっていう達成感を味わわせることができたのではないかと思いますが、まだまだ十分でない部分もあると聞いております。
さらに、これは1回改定したら終わり、見直したら終わりというものではなくて、今後も引き続き、やはり生徒たちの入れ替わりもありますし、時代とともに変わっていく内容もたくさんありますので、年に1回は見直しが行われるように生徒の意見を反映する仕組みづくりが大事だと思っていますので、県立学校長会等での周知等、県教育委員会がしっかりと関わりを持っていきたいと思っております。
さらに、中学校、小学校も同様だと思います。
この高校の取組が、小学校、中学校に広がっていって、子供たちが主体的にこういうルール、自分たちが過ごす学校の中で、自分たちが主体的に関わっていけるような校則にしていくということを子供たち自身に感じてもらったら一番いいかなと思っておりますので、引き続き市町村教育委員会と連携して、小中学校における取組をしっかり後押ししていきたいと思っています。

(徳島新聞)
最初におっしゃった抱負の中で、ICTを総合的に活用していくというのが1点目、いじめ・不登校に積極的に取り組んでいくというのが2点目、持続可能な働き方ができるように働き方改革をしていくのが3点目、通学区域性の見直しの4点だったかと思いますが、この中で一番力を入れていこうというのはどれですか。

(教育長)
どれが一番というのはありませんが、当然分野が全然違いますので、子供たちに関係すること、先生方に関係すること、一番人間として大事な人権に関すること、たくさんありますが、一番、私がしゃべりやすいのはDXです。
DXは、単に何かをデジタル化すれば、それがDXではなくて、御存じの通り、価値を変えることです。
DXってトランスフォーメーションですから。
私は小学校でずっといたので、それぞれ小学校の規模も違いますし、市町村立ですので、設置者も違いますし、随分とローカルルールがあります。
それは致し方ない部分もありますが、そういうところこそ、DXで「これはこういうもの」っていう当たり前ではなくて、価値から変えていく。
そうすることで、結局は、先生方が本来子供たちに目を配るべき注視力といいますか注意力といいますか、意識をそちらに向けることができる。
そのことが結局、例えばいじめや、子供たちのちょっとした変化に気づける心の余裕につながってくると思います。
結局、余裕というか余力がないと、子供たちのほんのちょっとした変化などに気づきません。
そのためには、やはりDX化はものすごく大事なことで、「今までこうやってやってきたから」っていうことではなくって、思い切って変えるべきところは変えていく。
そこが、子供たちをしっかり見るという先生方の仕事に繋がるのではないかと。
御承知のように働き方改革と言いつつも、いわゆる在校等時間で先生方は何十時間もオーバーしている状況がございます。
そうなってくると、気づけるものも気づかなくなる。
疲弊している状況は、誰もWINにならないですよね。
そのことを中心に考えると、やはり私が今までやってきたことの中で、DX化することで、つまり一言で言うと情報共有ですね。
先生方は情報共有するということが意外にできていないです。
だから全然違う場所で別々にやっている。
それをなくしていくことが、DX化の一番のメリットかなということです。
そうしたところからスタートすると、先ほど言ったような話が出てくると思います。
学区制については、今、まさに議論の最中ですし、様々な立場の方からたくさんの御意見が今集まってきているということです。
しかし、一番大事にしたいのは、子供たちが学校を選ぶ権利ですよね。
ここはどうなのっていうところ、これは大事な視点だと思います。
自分が行きたい学校に行けるっていう、この選択の権利は外せないのだろうなと。
もちろん、いろいろな事情があることは分かっていますが、もう一度考え直していく必要があるのかなと思っています。

(徳島新聞)
学校のDX化を進めて働き方改革をすることで、先生方に余力を作って、いじめをなくせるような部分を作っていくということが一つと、学区制については、子供が自分で学校を選べるような方法で、制度を見直していきたいということですね。

(教育長)
はい。

(時事通信)
時事通信です。
私もICTについてお聞きしたいのですが、例えば他県の教育委員会の事例などを見ると、保護者向けの案内文作成でChatGPTなどを導入するところがありますが、業務効率化において、例えばハードとか、ソフトとか、今後導入していきたいと考えられているのでしょうか。

(教育長)
今のお話は、例えば学校の中で保護者の案内文や定型文を作るときに使ってはどうかということですよね。
実際のところ、今、いわゆる無料でできる範囲は当然ありますが、ChatGPT4等を使って、かなり正確な文書を作ったりすること、読み込ませてその中からっていう仕組みも、実は、昨年度、校長会や教頭会等で紹介させていただいて、浸透している部分があるのではないかと思っています。
仕事の中で、それをするのはもちろんですが、先日も読書感想コンクールの中で、ChatGPTを使っているということで、入賞が取り消されたというニュースも流れていましたが、特に生成AIに関しては、利用の年齢制限がかなりたくさん細かく決まっています。
ですが、使わせないのではなくて、どういうふうに、おそらく内容の吟味や、ファクトチェック等は、子供の学習の中でやっていかないと。
例えば、大人の世界でも、本当にだまされるようなメールや詐欺、電話もそうですが、賢い消費者になるためには、生成AIは避けて通れないと思います。
そこは、学校の中でやっていく必要があるのではないかと思っていますので、積極的に使いつつ、つき合い方をしっかり学ぶような。
子供たちもそうですし、先生方もそうだと思いますけれども、使うことによって、業務を軽減するということは、国の省庁の中でも使っているところも増えてきていますし、それをやっていくべきだと思っています。

(時事通信)
あと、先ほど、いろいろなお話でも働き方改革、業務効率化といったところにすごく熱心に取り組まれるのかなと伺いましたが、現在、給特法によって、いわゆる超過勤務時間に応じた残業代を支払われずに、代わりに4%分が教職調整額として一律支給されている現状があって、政府の方でも今後10%に引き上げる議論や動きがありますが、こういった流れを受けて徳島県としては、どのように国の政策に対応していきたいのか、独自策を打ち出していきたいか、現在決まっていることがあればお聞かせいただけますか。

(教育長)
私の立場でお話しすることは難しいかと思いますが、まず、授業時数をどうやって減らすかというところだと思います。
現在いただいてる資料では、令和8年度までに、令和5年度比25%削減が目標として上がっております。
これは在校等時間なので、先生方は、授業する前の日は「これも用意せなあかん。あれも用意せなあかん。」って気になります。
子供たちの授業を大事にするからこそ、準備をしっかりしておきたいという先生方の思いはすごくよく分かります。
自分自身もそうでしたから。
それを積み重ねていくと、勤務時間がオーバーしてしまうということの繰り返しです。
先生方は、授業に関して準備する時間はおそらく苦痛ではなくて、むしろそれ以外の部分でそういう時間が取れないことに対して、どんどん後ろへ時間が延びてくるという現実があります。
それに対して、先生方が授業以外でやらなくてはならないことが実はたくさんありまして、多くは調査物や報告書、計画等がありますが、そこの時間がかかる。
あるいは子供たちを遅くまで残して、指導している先生方。
保護者の方や地域の方の希望もありますが、それをすると後ろへどんどん時間が延びていくので、子供を学校の中でそんなに遅くまで残さないという方法もあるかと思います。
そういう学校の取組を広げていきたい。
そうしないと、本当に、勤務時間内で仕事が終わるっていうことは、一体どういうことなのか。
これは今まさに私も現場でいましたから、学校長としても、どのようにして、できるだけ先生方に自分の時間を用意できるかということに取り組んできたので、そういうところを展開していければいいのかなと思っております。

(朝日新聞)
朝日新聞です。
初めての会見なので、改めてお聞きしたいのですが、中川先生はなぜ先生を目指されたのですか。

(教育長)
先ほど私が新任の職員に辞令を渡したときに35年前私ももらったなっていうのは思い出しながら。
一番は、自分自身が教えることが好きだったということです。
教えたことによって子供が、「そうなんや」とか「これできるようになった」っていう、そういう瞬間があると思いますが、実は、親も教員をしていたので、そういう姿を見ていました。
だから、「先生ってすごいな。いいな。」って思って、自分が目指そうと思った。
そういう気持ちだったと思います。

(毎日新聞)
毎日新聞です
基本的なことで、タブレットの問題で、県の教育DX加速化委員会の副委員長をお務めですが、これは、中川先生がDXに非常に詳しいということと思いますが、一方で県が、外部の方の知見を生かすという狙いだったと思いますが、中川先生が教育長になられた今日に至っては、当時も、県の職員でしたから半分外部の方、半分内部の方でしたが、これで委員長、副委員長が両方県の人間という形になって、庁内の組織のような形になりますが、副委員長以外の例えば委員も含めて、今後もお続けになるという理解でいいですか。

(教育長)
教育DX加速化委員会の今後の話に関わってくると思いますが、今回、県教委の中に教育DX推進課を新たに作りました。
そこが中心となって、今までの教育DX加速化委員会で話し合われた内容を進めていきますが、外部の方に入っていただいて、今後のいろいろな検証や選定、仕様決定等には、外部の方の知見を頂きながらという形になると思います。

(毎日新聞)
教育DX加速化委員会の副委員長という立場は。

(教育長)
委員会そのものが、解消という形になると思いますが、まだはっきりしないです。

(NHK)
NHKです。
先ほどの朝日新聞さんと同じような質問になりますが、先ほどどうして教員を目指されたのか、なられたのかっていう御質問だったと思いますが、今回、県内でタブレット問題とか危惧されている中で、教育長を受けられた理由と決意をよろしければお願いします。

(教育長)
本当に自分にとっては未知の世界でありますし、いわゆる小中の教員から見た県の教育長は本当に全く想像のつかない世界の話で、知事から再三、「教育長どうですか」と依頼を頂きまして、「正直、私にできるわけないよな」っていうことは本当にありました。
ですが、知事の方からも「ぜひに」ということと、「いろいろなことに関してバックアップするから」という、力強いお言葉を頂いたことと、今まで国や全国のいろいろなところで現状も聞きながら、たくさんのいわゆるDX系の方のお仲間を知っているということもありまして、自分の力を県の教育委員会の中で、発揮できるかなということで決意をいたしました。