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四国遍路は、徳島県・高知県・愛媛県・香川県の4県からなる四国を全周して、空海ゆかりの88か所の札所霊場を巡る全長1,400kmに及ぶ壮大な寺院巡拝です。
遍路の基となる「思想・信仰」と実践する「場」、それを支える「地域」の3者一体となったものが四国遍路文化であり、遍路の主体が僧侶等から一般民衆へと広がり、千年を超えて継承されてきました。特に、「お接待」にみられる巡拝者をあたたかくもてなす、思いやりや心遣いなどの「心の文化」は、民衆が、宗派をこえて創り上げてきたものです。
四国遍路は、現在、歩き遍路の他、様々な交通機関を利用して多くの人々が宗教や宗派を超え、それぞれの思いを込めて巡拝する生きた文化遺産です。
この四国に根付く、世界に誇るべき文化遺産である「四国八十八箇所霊場と遍路道」を世界遺産に登録するべく、四国四県と関係市町村・関係団体は2006年度から世界遺産登録に向けた取組みを実施しています。
2006年11月に、四国四県で文化庁に共同提案するも、継続審査となりました。これを受けて、2007年12月に、四国四県と関係市町村(現57市町村)が共同で再提案を行い、2008年9月の文化審議会文化財分科会の審議で「カテゴリーIa」の評価をいただきました。これは、提案書の基本的主題を基に準備を進めるべきものという意味です。また、このときに2つの課題を文化庁から出されました。1つ目は札所や遍路道を文化財として保護すること(資産の保護措値)で、もうひとつは世界遺産にふさわしい価値の学術的証明(普遍的価値の証明)です。一方、生きている伝統を表す資産としての価値は高い、と言う評価も受けています。そして、2010年3月に、「『四国八十八箇所霊場と遍路道』世界遺産登録推進協議会を設立しました。
「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録を実現するために、「世界遺産登録推進協議会」を設立しました。これは四国四県、経済団体、市町村、NPO法人などの団体で構成されています。さらにこの下に、世界遺産登録に向けての様々な諸課題を解決していくための「普遍的価値の証明」部会、「資産の保護措置」部会、「受入態勢の整備」部会、「普及啓発」部会という四つの部会を設置しています。
世界遺産登録を実現させるうえで、特に重要となるのが「普遍的価値の証明」と「資産の保護措置」です。
・「普遍的価値の証明」部会の目的は、全世界の方に「四国遍路」の価値を理解していただくため、世界史的・国際的な観点から、国内外の同種資産及びその候補地との比較研究並びに学術的調査により「四国遍路」の顕著な普遍的価値を証明することです。その取り組みとしては、類似資産である西国巡礼や熊野詣のデータベース化を行い、四国遍路との比較研究を行うとともに、構成資産である札所寺院等や近世・近代の四国遍路についての研究を行うことなどがあります。
・「資産の保護措置」部会の目的は、構成する資産について国内法(文化財保護法)での保護が必要なため、四国遍路の保存・継承のために相応しい保護手法等の検討を行うことです。その取り組みとして、各県及び市町村において、札所寺院及び遍路道を史跡に指定するため、発掘調査等を実施しています。これまでに「阿波遍路道(約15.9km)」が国の史跡に指定されています。
・「受入態勢の整備」部会の目的は、札所周辺及び遍路道の保全・整備や景観形成を進めるため、お遍路を活かした地域づくりに係る取り組みを具体化し、これらの取り組みを推進することです。歩き遍路者のための「案内標識」の設置をはじめ、「遍路道周辺のトイレマップ」の作成しホームページで公表、その他、構成員により道路・へんろ道の整備や清掃活動など様々な活動を行っています。
・「普及啓発」部会の目的は、四国遍路の文化的価値を国内外に向けて情報発信し、遍路文化への理解促進を図るとともに、地域住民の意識高揚を図ることです。その取り組みとして、普及啓発ポスター・シンボルマークを活用するとともに、推進協議会のHPにより情報発信を行っております。