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所有者不明土地について

1 所有者不明土地の現状と課題

 人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用のニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等により所有者不明土地が全国的に増加しており、今後、相続機会が増加する中で、所有者不明土地も増加の一途をたどることが見込まれます。

 これまでは、所有者不明土地の利用に当たっては、土地の所有者の探索に多大な時間・費用を要する上、探索の結果所有者が判明しなかったときに、利用するための手続に時間がかかる場合やそもそも利用するための制度の対象とならない場合が存在するといった課題がありました。

 このような課題に対して、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)が制定され、平成30年11月15日に一部施行、令和元年6月1日に全面施行されました。

2 所有者不明土地とは

 不動産登記簿等の公簿情報等により調査してもなお所有者が判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地のことです。
そのうち、「現に建築物(簡易な構造の小規模建築物(※)を除く。)が存せず、かつ、業務の用その他の特別の用途に供されていない土地」は『特定所有者不明土地』と定義されています。

(※)物置、作業小屋又はこれらに類するものであって、階数が1(平屋建て)で、床面積が20平方メートル未満の建築物

3 所有者不明土地法の概要

所有者不明土地法の施行により、次の3つの仕組みが構築されました。

(1)所有者不明土地を円滑に利用する仕組み【令和元年6月1日施行】

 反対する権利者がおらず、建築物(簡易な構造の小規模建築物を除く。)がなく現に利用されていない所有者不明土地について、以下の仕組みを構築。

ア 公共事業における収用手続の合理化・円滑化(所有権の取得)
土地収用法に基づく認定を受けた事業について、起業地内の特定所有者不明土地を収用等しようとするときは、収用委員会に代わり都道府県知事が収用等について裁定します。
イ 地域福利事業の創設(利用権の設定)
特定所有者不明土地を公園の整備といった地域のための事業に利用することを可能とする制度で、都道府県知事の裁定により、10年間を上限(延長申請も可能)に使用権が設定されます。 地方公共団体だけでなく、民間企業やNPO等でも使用権を取得して事業を行うことが可能です。 ※詳細は「4 地域福利増進事業とは」を参照。

(2)所有者の探索を合理化する仕組み【平成30年11月15日施行】

 所有者の探索において、原則として登記簿、住民票、戸籍など客観性の高い公的書類を調査することとするなど(※)合理化を実施。
(※)照会の範囲は親族等に限定

ア 土地等権利者関連情報の利用及び提供
土地の所有者の探索のために必要な公的情報(固定資産課税台帳、地籍調査票等)について、行政機関が利用できる制度を創設。
イ 長期相続登記等未了土地に係る不動産登記法の特例
長期間、相続登記等がされていない土地について、登記官が、長期相続登記等未了土地である旨等を登記簿に記録すること等ができる制度を創設。

(参考資料)

(3)所有者不明土地を適切に管理する仕組み【平成30年11月15日施行】

財産管理制度に係る民法の特例
所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合に、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求可能にする制度を創設。 (民法は、利害関係人又は検察官にのみ財産管理人の選任請求を認めています。)

外部リンク

4 地域福利増進事業とは

 特定所有者不明土地を公園の整備といった地域のための事業に利用することを可能とする制度で、都道府県知事の裁定により、10年間を上限(延長申請も可能)とする使用権が設定され、利用することを可能とします。
地方公共団体だけでなく、民間企業、NPO、自治会、町内会等、誰でも使用権を取得して事業を行うことができます。

(主な対象施設)

  • 公園、緑地、広場、運動場
  • 道路、駐車場
  • 学校、公民館、図書館
  • 社会福祉施設、病院、診療所
  • 被災者の居住のための住宅
  • 購買施設、教養文化施設(周辺で同種の施設が著しく不足している場合等に限り、対象となります)

(参考資料等)

5 外部リンク

所有者不明土地に関して、ご不明な点がありましたら次の問い合わせ先にご相談ください。