「一生懸命がんばってもうまくいかない」「何度教えてもらってもできない・・・」 このような生きづらさの背景に、発達障がいを抱えている方が少なくありません。
発達障がいは、生まれながらある脳の働きかたの障がいと考えられています。このため物事の受け止め方や感じ方が独特であったり、得意なことと不得意なことの差が極端であったりします。
見た目にはわかりにくいので、性格の問題や家庭でのしつけの問題、甘えや怠けなどと誤解されることがあり、当事者自身も苦しんでいることがあります。 まずは発達障がいの特性を正しく理解し、よりよい対処や支援につなげることが大切です。
発達障害者支援法において、「発達障がい」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」(発達障害者支援法における定義第二条より)と定義されています。
各障がいの詳しい定義については、こちらをご覧ください(発達障害情報・支援センターにジャンプします)
自閉症やアスペルガー症候群は、「広汎性発達障害」の代表的なもので、どちらも大きく3つの特性があるといわれています。 なかでも アスペルガー症候群 は、幼少期から言葉発達や、知的能力に遅れがないため、発見が遅れることもあります。
またその他の特性として「動作や表情のぎこちさなかったり、手先が不器用」「視覚や触覚などが敏感だったり、 逆に鈍感だったりする」などがあります。
※自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害はDSM-Vでは、自閉症スペクトラム(ASD)という診断名に変わっています。
例えば・・・・
場の雰囲気や「暗黙の了解」がわからない
冗談や比喩が理解できず真に受けてしまう
相手の立場で考えることが苦手
例えば・・・・
興味や考えがかたよっており、同じ行動パターンを繰り返す
急に予定が変わることが苦手でイライラしたりパニックに
決まりやルール、手順にこだわる
注意持続の欠如もしくは、その子どもの年齢や発達レベルに見合わない多動性や衝動性、あるいはその両方が特徴です。この3つの症状は主に12歳以前にあらわれます。
例:大切な物や約束を忘れる。期日通りに物事がこなせない。
例:授業中教室を立ち歩く。相手の話を最後まで聞かず喋る。
例:カッとなるとすぐ手が出る。ほしいと思うと衝動買いする。
このうち1が目立つタイプ(不注意優勢型)と、2・3の両方が目立つタイプ(多動・衝動性優勢型)の2タイプが多いといわれています。
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の取得が難しく、極端に時間がかかります。知的能力や学習への意欲 ・環境に問題があるわけでもないのに、どうしても学習が進まない場合、学習障害の可能性があるかもしれません。
文字や行を飛ばして読む
「は」と「ほ」など、形の似た字を間違って読むなど。
枠やマスに字が書けない
鏡文字(左右が反転した字)や漢字のへんやつくりが逆になる。
発達障がいの人は、失敗やうまくいかない経験から、叱られたり責められることが多く、自信のなさからひきこもりがちになったり、逆に批判的・ 攻撃的になってしまうことがあります。支援の際には、具体的な提案と、できた場合にはきちんとほめることが、かかわり方の大原則になります。
学習でも仕事でも、できないことを無理にがんばらせるのでなく、取りくみやすいところから、一歩一歩積み重ねていくと、だんだんできることが広がります。
聴覚的(ことばでいわれること)より視覚的(目で見てわかる)情報の方が理解しやすい場合があります。 一日のスケジュールや課題の流れ(朝起きてから学校行くまでの段取り、仕事の手順など)を黒板やボードに書いておきます。 そうすることで、今何をしているのか、次に何をしたらよいのかが目で見てわかり、スムーズな場面の切り替えがしやすくなります。
「言わなくてもわかるはず」と思うようなルールやマナーなどが理解できず、困ってしまうことがあります。 具体的な場面での対処行動や、周囲の配慮のポイントを一緒に考えるとよいでしょう。
職場で困ること | 対処方法 |
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遅刻するかもしれないとき |
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ひとりで仕事中に、突然電話がかかってきた |
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廊下で他の部署の人とすれちがったとき |
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