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とくしま医師バンク通信 Vol.196(9月号)

目次

  1. 夏期地域医療研修の感想とT-CoMについて 徳島大学医学部4年 阿部愛美
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. 「第37回 日本臨床内科医学会」に参加して 美波町国民健康保険美波病院 院長 本田壮一
  5. 編集後記

1.夏期地域医療研修の感想とT-CoMについて

徳島大学医学部4年 阿部愛美

 徳島大学医学部4年の阿部愛美と申します。私は、徳島大学地域医療研究会(T-CoM)の部長を務めており、徳島で医療に従事する人材を増やしたり、学生の立場で医療課題に対して取り組んだり、県内の医療課題の改善への寄与を目的として活動しています。この度は、地域枠学生として、夏期地域医療研修(8/22~8/24)に参加させていただきました。自治医科大学と徳島大学の1~5年生の医学生総勢30名が那賀、三好、牟岐の3地域に分かれて地域医療を体験しました。私は昨年は三好地域で、そして今年は牟岐地域で研修させていただきました。

 研修初日は地域の開業医の先生によるグループホームの回診に同行させてもらいました。この地域には介護療養型施設がないため、中心静脈栄養や、ASVによる人工呼吸管理などの医療行為がグループホームで行われており、地域のニーズに合わせた医療が提供されていると感じました。また、地域医療に従事する上では、必要とされる医療行為やそのための設備、技術等のニーズを知るために現場を自分の目で見て知ることが重要であると感じました。

 2日目午前に同行した訪問看護・診療では、体が動かない状態であるものの、認知機能は保たれていて、自分の死と向き合う患者さんの終末期医療の現場に初めて直面し、衝撃を受けました。患者さんの意向に添った、痛みや吐き気、食欲のコントロールを行うことが非常に難しいと感じました。在宅の現場では、患者さんの人生の背景を知っておくこと、そしてじっくりと時間をかけてその患者さんを診ることで、信頼関係を築くことの大切さを学びました。午後訪れた離島の出羽島では、健康教室として、自治医科大学5年生による熱中症の予防・対応についての講座が開かれました。医療の届きづらい地域において、島民同士互いに健康を気遣う様子も見られ、人と人との繋がりの強さに地域の魅力を感じました。

 2日間の研修を通して、患者さんや地域のニーズに寄り添った医療を提供するために、海部病院を中心とした様々な職種の人や施設との連携を目の当たりにし、相手に寄り添うことやコミュニケーションの重要性を学びました。研修の合間には、どこまでも続く広大な海や、底まで透き通る美しい湾に連れて行っていただき、豊かな自然の中で働く魅力も感じました。

 今年は懇親会も開催され、県内の病院診療所の院長先生をはじめ諸先生方、医学生、医療政策課の方々等、徳島の医療をより良くするために日々奮闘されている方々が集結し、熱く語っているのを見て、これからの徳島の医療が大いに発展することを確信いたしました。

 3日間の夏期研修では、大学の講義では学ぶことのできない貴重な体験ができ、勉学に対するモチベーションが上がります。また、毎年違う地域で、医療の現場を実際に見ることで、将来の自分の姿を想像することができます。何より、地域で勤務されている先輩方や将来共に働く仲間と直接話して交流できたことが有意義でした。

 私が所属しているT-CoMでは海陽町を中心に「学生くらしの保健室」を定期的に行なっています。そこで今回出羽島で行われた健康教室の良いところを取り入れ、地域の方とコミュニケーションをとるとともに、地域全体の疾病予防につなげる機会にしたいです。さらに、地域枠の先輩方が働く医療の現場を実際に見学し、直接お話を伺い、地域で働く魅力を知ってもらう機会を設けることで、深刻な医療従事者不足の打開につなげていきたいと考えております。

 最後になりましたが、このような実りある研修の機会を設けてくださった県職員の方々、丁寧にご指導くださった諸先生方、快く受け入れてくださった地域住民の方々に厚く御礼申し上げます。将来徳島の地域医療に少しでも貢献できるよう、残りの学生生活、勉学に励みます。今後ともご指導どうぞよろしくお願いいたします。
 

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 /med/categoryMedical/sonota/houjin/7233491
 

3.医師情報箱

臨床研修医等の確保に向けた「一時金支援制度」の創設について

 徳島県では、県内における臨床研修医等の確保に向け、新たに「一時金支援制度」を創設しました。

 詳しくは、以下のURLのリンクから、内容のご確認をよろしくお願いいたします。

支給対象者:徳島大学医学部に在籍する「徳島県外出身」の方で、「県内の臨床研修プログラム」で初期臨床研修を行う方

支給額:100万円(研修開始時に支給)※臨床研修プログラムを修了することが条件

募集人数(令和6年度):15名(R7年度から県内の医療機関で初期臨床研修を行う者)

募集案内の時期:令和6年10月以降(令和6年度の医師臨床研修マッチング結果の発表以降)を予定

その他、下記URLからご確認いただけます。

臨床研修医等の確保に向けた「一時金支援制度」の創設について|医療とくしま (tokushima.lg.jp)

4.「第37回 日本臨床内科医学会」に参加して

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田壮一

 日本臨床内科医会は、(1)第一線の内科診療に携わる医師がそれにふさわしい研修の場、研究発表の場を持つため、そして、(2)医療保険制度においての改善、向上を目指すことを目的として活動している。毎年秋には医学会を開催しており、第37回大会が、2024年9月15日(日)・16日(月・祝)、国立京都国際会館で開催された。メインテーマは「新時代の臨床内科医像をもとめて」であった。

 茶道裏千家前家元の千玄室大宗匠の「お茶の道」という基調講演があった。超高齢化による高齢者医療や、加速度的に進む医療DX(Digital Transformation)についての講演やシンポジウムも拝聴した。5つの教育講演に加えて、「CPC(Clinico- Pathological Conference)」、「総合診療臨床カンファレンス」、「超音波検査実技セミナー」なども有益であった。

 私どもも、「日本臨床内科医会学術部感染症班のあゆみと誘い」と題した口演を発表した。コビッド19など感染症が注目されている。会員に、ウェブ講演や会誌への執筆、会誌への論文の査読を行っていることを示した。臨床内科医も、研究や教育に携わることに意義があると結んだ。

 高齢者社会となり、ますます「かかりつけ医」の役割が重要となっている。その「かかりつけ医」を担うのが、臨床内科医である。県外の知己と共に研鑽を積むよい機会となった。

☆日本臨床内科医会 ⇒https://www.japha.jp/
☆徳島県臨床内科医会⇒https://tokurin.jp/
 

日本臨床内科医会(1)

日本臨床内科医会(1)

日本臨床内科医会(2)

日本臨床内科医会(2)

5.編集後記

 御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。

 それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第196号を終わらせていただきます。未だ残暑厳しき折、皆さまにおかれましてはくれぐれもご自愛くださいませ。

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次回の「とくしま医師バンク通信」第197号は、令和6年10月16日(水)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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