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とくしま医師バンク通信 Vol.205(6月号)

目次

  1. 上勝町の医療と介護 国民健康保険上勝町診療所 幸田朋也
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. リハビリテーション医学の学会に参加した 美波町国民健康保険美波病院 院長 本田壮一
  5. 編集後記

1.上勝町の医療と介護

国民健康保険上勝町診療所 幸田朋也

 上勝町は勝浦川の上流に位置する人口1300人程度の山間地域で町に唯一の医療機関である国民健康保険上勝町診療所に勤務して8年目になりました。診療所は山の上に建っており、周囲が緑に囲まれています。周辺の住民の方を中心に診療所の周りの整備をしてもらっています。春にはサクラが満開になりその後はつつじの花、藤の花、さらにはあじさいときれいな花が続き、患者さんだけでなく、職員にとっても心のいやしとなっています。

 ただ高齢化も進んできており、今後の整備の継続にも課題があるようになっています。町の高齢化率50%を超えており、足が不自由な人は家から移動手段であるバス乗り場まで行くことが困難になっていることや、町内にタクシー業者がないため、その代わりを担っている上勝町有償ボランティア輸送の運転手も高齢化が進んでおり、すぐに対応ができない時があるなど買い物や診療所を受診すること自体にも課題が出てきています。診療所でも在宅診療の一環として訪問看護や訪問リハビリに取組んでいますが、なかなか手が行き届かないところもあるため、町外の訪問看護ステーションや訪問リハビリを行っくれているリハビリテーション病院の協力が不可欠となっています。また、包括ケアセンターのケアマネジャーや介護職員、役場の職員、保健師、社会福祉協議会などとの情報共有や連携をとっていくことで、助けが必要な人に目が届く様に取組んでいます。

 うまく行くこともあれば、新たな課題が生まれることもありますが、様々な人の助けを借りて地域の医療・介護を継続して、さらに充実していければと考えています。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携しながら、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 /med/categoryMedical/sonota/houjin/7233491
 

3.医師情報箱

【ご案内】令和7年度自治医科大学説明会について(8月2日開催)

 自治医科大学及び徳島県では、本年度の入学試験の実施に先立ち大学説明会を開催します。

 説明会では、入試情報だけでなく、自治医科大学の教育内容やその特色、自治医科大学の在学生、卒業生の皆さんの活躍の状況や体験談など、盛りだくさんの情報をお伝えします。

 日時:令和7年8月2日(土)13:30~15:30※事前申込制

 会場:ザ・グランドパレス徳島本館3階「グランドルーム1」

 対象:県内の高等学校の高校生、卒業生、保護者および先生方

 ★詳しくは、徳島県ホームページをご確認ください。

【URL】https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kenko/iryo/7217715/

【ご案内】徳島県医師・看護職員移住支援金について

 徳島県では、全国から「即戦力となる人材」を本県に呼び込むため、県外の医療機関に従事していた「医師又は看護職員」で、本県へ移住し、県内の公立又は公的医療機関で就業する等の要件を満たす方への新たな「支援金制度」を創設し、募集を開始しました。

 支給要件:「移住元要件」、「移住先要件」、「申請要件」があります。詳しくは医療とくしまホームページをご確認ください。

 支給額:世帯で移住する場合:150万円、単身で移住する場合:90万円

 募集人数(令和7年度):20件程度(申込者多数の場合は先着順とし、募集を締め切る場合あり)

 募集期間:令和8年2月28日(土)まで

 ★詳しくは、医療とくしまホームページをご確認ください。

【URL】https://www.pref.tokushima.lg.jp/med/categoryMedical/sonota/kikan/7304137/

【事前告知】臨床研修医等の確保に向けた「一時金支援制度」の支援対象拡大について

 徳島県では、県内における臨床研修医等の確保に向け、新たに「一時金支援制度」を創設しており、令和7年度より支援対象を拡大する運びとなりました。

 令和7年度の一時金支援制度の支援対象拡大等の詳細につきましては、以下の通り事前告知させていただきます。

支給対象者:出身地や出身大学を問わず、県内で研修を行う「すべての医師(徳島大学医学部地域特別枠や自治医科大学卒業医師等を除く)」へ支援対象を拡大。

支給額: 初期臨床研修:100万円※臨床研修プログラムを修了することが条件

(臨床研修医一時金を受けた者がR9年度以降、県内の病院で専門研修プログラムを開始する場合、200万円の支給を予定)

募集人数:60名(R8年度から県内の医療機関で初期臨床研修を行う者)

募集時期:未定

4.リハビリテーション医学の学会に参加した

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田壮一

 高齢者が多くなった近年は、Rehabilitation(リハビリテーション)が重要となっている。日本リハビリテーション医学会学術集会(第62回)が、2025年6月12日(木)~14日(土)、国立京都国際会館(京都市)で開催された。幸い、開会式から閉会式までフルに参加でき学んだので、報告する。

 学会長は三上靖夫教授(京都府立医科大学)で、徳島大学の2期後輩(1985年卒)になる。学会のテーマは、「精力善用自他共栄」。嘉納治五郎(1860~1938、柔道の創始者・教育者)の、柔道の目指すものは社会に貢献できる人材育成であるという理念。鍛えた心身の力を最も有効に活用し、他者や社会との融和・協調を通して世の中に尽くしていくと解釈され、研究や臨床に通じると考える。

 3日間で、特別講演が26や、シンポジウム23、教育講演89、その他講習やセミナーが多数と、盛沢山であった。実際に聴講し、面白かった講演を紹介する。三上会長(リハビリテーション医学・医療から学んだこと~医療従事者が持つべき精力善用・自他共栄の心~)。和泉唯信先生(1995年卒、柔道一直線から難病の治療法開発に取り組む)。佐藤紀先生(2002、徳島大学整形外科・リハビリテーション科、医師が知っておくべき院内転倒の知識と対策)らが演壇に立たれた。

 永廣信治院長(吉野川病院)は、「柔道による頭部外傷の撲滅をめざした取り組み(シンポジウム:柔道とリハビリテーション医学・医療との接点)」。佐田政隆教授(循環器内科)は、「心臓リハビリテーションのサイエンス」。二川健教授(1987、医科栄養学科)は、「酸化ストレスを介した無重力や寝たきりによる筋代謝異常の分子メカニズム(シンポジウム:宇宙医学とリハビリテーション医学)」。県医師会の介護保険委員会の武久洋三先生(博愛記念病院)は、「リハビリテーション医療を改革しよう」。山上敦子先生(1986)は、「地域で生きる/地域と生きる/医療法人久仁会の取り組み(シンポジウム、地域を元気にするリハビリテーション医療)」の演題で話された。

 同委員会に所属する私も、「『自他共栄』を願う地域包括ケア・災害不安・人手不足の小病院では(シンポジウム:高齢化が進む地域で必要とされるリハビリテーション医療)」と題して発表した。地域では生活期リハビリテーションが必要となっているが、当院の療養士は4名で、他の病院との心が通う連携や学びが重要と述べた。

 京都は、リハビリテーションの教育が盛んである。今後も、学びたいと思っている。

【参考URL】
1)第62回 日本リハビリテーション医学会学術集会
https://www.congre.co.jp/62jarm2025/
2)京都府立医科大学大学院 リハビリテーション医学
https://www.kpum-reha.com/

5.編集後記

 御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。

 それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第205号を終わらせていただきます。蒸し暑い日が続いておりますが、益々ご健康でご活躍のほどお祈りいたします。

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次回の「とくしま医師バンク通信」第206号は、令和7年7月16日(水)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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