能登半島地震の徳島県DHEATにて輪島市と珠洲市(詳細は本通信2月号・4月号)、保健師チーム34班(詳細は本通信6月号)で支援をさせていただきました徳島保健所の浦西と申します。1つの災害にて3回、計26日間宿泊場所の断水もあった中での支援は、長い保健師人生の中で初めての経験でした。長期の活動を何とか終え、役割を果たせたのも皆様のサポートのお蔭と心より感謝申し上げます。
本通信では2つの視点からの学びや感じた事を共有させていただきます。
1.被災市の保健医療福祉調整本部支援活動から【多数の支援チームの受援調整】の実際を学びました。
事例1:調整本部は、各避難所へ来訪する支援チームを周知し重複支援を避けたかったが、情報把握システムが不十分なためできなかった。
事例2:医療のある専門家チームから「今日と明日の活動ですがどこに行けばいいですか」の相談があり、医療機関の再開状況から活動場所の選定に苦慮した。
このような事例から、どのチームが、いつ、どこで、どのような支援を、いつまで実施するか「支援チームの見える化」や「支援団体においての活動調整」が必要と実感しました。
2.初めての地の活動で助けられた【徳島がつなぐ連携】を体験し平時の活動の重要性を学びました。
事例1:珠洲市で徳島県南の海南病院!?
活動初日、DHEAT大木元リーダーと県外から支援中のK医師が挨拶中に「海南病院に週1回行きます!」との発言。「えっ、海南病院?ここは石川県、まさか」と思いましたが、4月から海南病院で週1回診療されるとのこと。この後、K医師が築いた珠洲市の厚い信頼が、DHEATと珠洲市との良好な関係構築を後押ししてくれました。
事例2:避難所常駐の看護師が徳島ファン!
避難所訪問時、H看護師から「徳島大好き!」とお声かけいただき、初対面とは思えぬ距離感で受入れてもらい、避難所状況や困り事等の情報共有と対応の協議ができました。
他にも、研修会の講師依頼をしたDMAT医師との7年ぶりの再会や阿波踊りで盛り上がる等、平時の関係機関との連携や徳島のおもてなしの心が、有事にもつながりを発揮しパワーを与えてくれると実感しました。
最後までお読みいただいた、つながりに感謝します。引き続き、よろしくお願いします。
徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。
当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。
→徳島県地域医療支援センターHP
県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。
→徳島県医療勤務環境改善支援センターHP
徳島県では、県内における臨床研修医等の確保に向け、新たに「一時金支援制度」を創設しました。
詳しくは、以下のURLのリンクから、内容のご確認をよろしくお願いいたします。
支給対象者:徳島大学医学部に在籍する「徳島県外出身」の方で、「県内の臨床研修プログラム」で初期臨床研修を行う方
支給額:100万円(研修開始時に支給)※臨床研修プログラムを修了することが条件
募集人数(令和6年度):15名(R7年度から県内の医療機関で初期臨床研修を行う者)
募集案内の時期:令和6年10月以降(令和6年度の医師臨床研修マッチング結果の発表以降)を予定
その他、下記URLからご確認いただけます。
地域医療を担う医師確保対策の一環として、将来、医学部への進学を志望している高校生を対象に、地域医療の実態を直接体感していただく「地域医療現場体験ツアー」を実施します。
【日時】現地ツアー:令和6年8月5日(月)、オンライン:令和6年8月8日(木)
【対象】県内の高校生(1~3年生)
【募集人数】80名程度
※募集は終了しました。
地域医療を担う医師の養成・確保対策の一環として、本県の地域医療を直接体感してもらうための「夏期地域医療研修」を実施します。本研修は、「自治医科大学の本県出身者」及び「全国の医学生」が対象であり、県内3カ所で2泊3日の実践的な研修を行います。
【日程】令和6年8月22日(木)~24日(土)
【対象】自治医科大学の本県出身者、全国の国公私立大学の医学生(1~6年生)
【募集人数】30名程度
【申込締切】令和6年7月19日(金)
※締切までに定員に達した場合、その時点で募集を締め切ります。
【申込URL】電子申請サービスよりお申込みください。
申込ページ:https://apply.e-tumo.jp/pref-tokushima-u/offer/offerList_detail?tempSeq=11947
※詳細はこちら
令和6年度徳島県夏期地域医療研修の参加者募集について(7月19日締切)https://www.pref.tokushima.lg.jp/med/dr/7241999/
2024年7月13日(土)から14日(日)に神戸市で、第30回日本心臓リハビリテーション学会学術集会が開催された。学会長は、佐田政隆教授(徳島大学医歯薬学研究部 循環器内科学分野)。5,000名を越える参加者のため、徳島市での開催を断念され神戸で開催された。
テーマは、「サイエンスしていく心臓リハビリテーション」。特別講演では、(1)大島一博氏(厚生労働省)が、人口減少社会での同省の取り組み(2)石川賀代先生(四国中央市)はIoTを用いた働き方改革の取り組み(3)大内乗有先生(名古屋大学)は、マイオカインやアディポカインの運動との関係やイベント抑制の機序など(4)岡田隆教授(日本体育大学)にはリハビリテーションにおけるレジスタンス・トレーニングの有用性について解説いただいた。知的興味を満たすものであった。
2018年に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立し、循環器病対策計画が進められている。健康寿命の延伸と循環器病による年齢調整死亡率の低下のために、心臓リハビリテーションはなくてはならない存在となっている。ただ、施設認定の要件が厳しく、美波病院など導入できていない施設が多い。これらをどう改善しているかについても学んだ。
実際「心不全パンデミック」という、超高齢者の心不全の増悪による再入院が急性期病院において問題となっている。大規模病院との連携や多職種連携(医師に加え、理学療法士、看護師、薬剤師、臨床心理士、臨床検査技師、作業療法士、健康運動指導士)やACPを含めた議論を通し有益な学会であった。
これらの見聞を、患者さんやスタッフに還元したいと思っている。COVID-19患者は漸増だが、徳島の物産展示や娯茶平による阿波踊り(30名余り)の演舞があり、参加者は楽しんだ。
☆第30回 日本心臓リハビリテーション学会学術集会
⇒https://site.convention.co.jp/jacr2024/
☆徳島大学病院 循環器内科
⇒https://www.cv.clin.med.tokushima-u.ac.jp/index.html
今月も皆様の御協力により例月どおり発信することができました。御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。
それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第194号を終わらせていただきます。連日、暑い日が続きますが、体調をくずされませんようお気を付けください。
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次回の「とくしま医師バンク通信」第195号は、令和6年8月21日(水)の発行予定です。
アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga
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