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とくしま医師バンク通信 Vol.193(6月号)

目次

  1. 令和6年能登半島地震における保健師の災害支援活動について 徳島県保健福祉部副部長 梅田弥生
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 「第15回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」に参加して 美波町国民健康保険美波病院 院長 本田壮一
  6. 編集後記

1.令和6年能登半島地震における保健師の災害支援活動について

徳島県保健福祉部副部長 梅田弥生

 令和6年1月1日、お正月の団らんを襲った能登半島地震。新型コロナウイルス感染症が5類となった初めてのお正月で「今年は、のんびり・・」と思ったのも束の間、テレビから流れる「震度7」と「津波」の映像、「建物倒壊」のアナウンスに、「阪神・淡路大震災」、「東日本大震災」等、被災地で保健師として活動してきた経験から、最初に頭をよぎったことは、「保健師の派遣要請があるだろう。」でした。そこから、メール等で保健師派遣に係るやりとりを行い、厚生労働省の広域派遣調整により、徳島県保健師チームは、1月8日から5月31日までの日程で、「38班、総勢125名」が、石川県輪島市で活動を行いました。私自身、2月にDHEATの一員として、そして5月末には保健師チーム38班として、輪島市で保健師として活動を行いました。その活動の概要について報告します。

 DHEATでの活動は、保健師チームの総合調整役として、全国から派遣された保健師チームのリーダーである「神戸市チーム」のサポートを行いました。業務の進め方や健康調査の方向性については、解決策の提案や助言を行うとともに、能登北部保健所や輪島市保健師と密にコミュニケーションを取り、地元自治体が求めている思いを活動に反映できるよう調整を行いました。

 保健師チームでの活動は、仮設住宅を訪問し、健康管理やニーズ調査を行い、県外からの保健師チーム撤退後の活動方針についてお示しいたしました。

 今回、現地活動で、一番大きな支障となったのが、断水で水が使用できなかったことです。感染症対策を行うにも、避難生活のQOLの確保や支援活動を行うにも、水が出ないことがこんなにも困ることなのかと、身をもって体感したところです。また、多くの支援チームが現地入りをし、その調整に苦慮した場面も見られました。今後、本県が被災した際に、派遣チームがスムーズに活動できるよう、受援体制をしっかりと構築する必要があるとの思いを強くしました。

 最後に、派遣に際しまして、サポートをいただいた関係者の方々へ心よりお礼申し上げます。
 

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

臨床研修医等の確保に向けた「一時金支援制度」の創設について

 徳島県では、県内における臨床研修医等の確保に向け、新たに「一時金支援制度」を創設しました。

 詳しくは、以下のURLのリンクから、内容のご確認をよろしくお願いいたします。

支給対象者:徳島大学医学部に在籍する「徳島県外出身」の方で、「県内の臨床研修プログラム」で初期臨床研修を行う方

支給額:100万円(研修開始時に支給)※臨床研修プログラムを修了することが条件

募集人数(令和6年度):15名(R7年度から県内の医療機関で初期臨床研修を行う者)

募集案内の時期:令和6年10月以降(令和6年度の医師臨床研修マッチング結果の発表以降)を予定

その他、下記URLからご確認いただけます。

臨床研修医等の確保に向けた「一時金支援制度」の創設について|医療とくしま (tokushima.lg.jp)

高校生地域医療現場体験ツアー

 地域医療を担う医師確保対策の一環として、将来、医学部への進学を志望している高校生を対象に、地域医療の実態を直接体感していただく「地域医療現場体験ツアー」を実施します。

【日時】現地ツアー:令和6年8月5日(月)、オンライン:令和6年8月8日(木)

【対象】県内の高校生(1~3年生)

【募集人数】80名程度

夏期地域医療研修

 地域医療を担う医師の養成・確保対策の一環として、本県の地域医療を直接体感してもらうための「夏期地域医療研修」を実施します。本研修は、「自治医科大学の本県出身者」及び「全国の医学生」が対象であり、県内3カ所で2泊3日の実践的な研修を行います。

【日程】令和6年8月22日(木)~24日(土)

【対象】自治医科大学の本県出身者、全国の国公私立大学の医学生(1~6年生)

【募集人数】30名程度

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

5.「第15回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」に参加して

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田壮一

 2024年6月7日(金)~9日(日)に、第15回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会が、静岡県浜松市で開催された。学会長は、井上真智子先生(浜松医大)。テーマは、「誰一人取り残さない、持続可能なプライマリ・ヘルス・ケアに向けて」。

 「持続可能な開発目標(SDGs)」(国連、2015年)に基づき、”Leave No One Behind”を理念とされた。人口減少社会におけるプライマリ・ケア提供体制のあり方や、国際標準の専門医制度、健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health)へのアプローチ、多職種連携による地域包括ケアシステムへの貢献、災害対策や医療人材の多様性推進という課題に対する議論があった。WONCA(世界家庭医機構)のDr. Anna Stavdal(ノルウェー)が来られ、グローバルな観点からプライマリ・ケアチームが、持続可能なプライマリ・ヘルス・ケアに向けてどのように取り組むべきかを解説された。

 私もポスター発表を行った。「コロナ5類移行後のプライマリ・ケア活動」と題し、対面で学会参加できることの意義や、参加者と旧交を温めることは、オンラインではできないことで唯一無二と発表した。

 初日は夕方からのプログラム開始だったので、「音楽のまち・浜松」のヤマハやスズキの企業展示館を見学した。モノづくりの系譜を学ぶ機会となった。懇親会では、ジャズ演奏が企画され、皆とコロナ後のひとときを楽しむことができた。

 来年第16回大会は、6月に札幌市で開催される。さらに議論・交流できる機会として、ご盛会を期待したい。

☆第15回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(浜松市)
https://plaza.umin.ac.jp/jpca2024/

☆静岡家庭医養成プログラム概要
https://www.shizuoka-fm.org/
 

6.編集後記

 雨模様の中にも初夏の気配を感じる今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今月も皆様の御協力により例月どおり発信することができました。御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。

 それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第193号を終わらせていただきます。蒸し暑い日が続きますが、体調をくずされませんようお気を付けください。


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次回の「とくしま医師バンク通信」第194号は、令和6年7月17日(水)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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