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とくしま医師バンク通信 Vol.187(12月号)

目次

  1. 子育て中の医師として若い先生方に伝えたい事 徳島市民病院 主任医長 津田 恵
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 第45回 徳島県国保診療施設地域医療学会 美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

1. 子育て中の医師として若い先生方に伝えたい事

徳島市民病院 主任医長 津田 恵

 私は卒後16年目の泌尿器科医師ですが、同時に3人の男子の母親としても日々奮闘しております。徳島大学病院で初期臨床研修をさせていただきましたが、1年目に長男を妊娠し、産休を経て、2年間の研修期間を終えました。次男は卒後6年目、三男は卒後9年目に授かっております。

 当時、徳島大学病院での研修中に妊娠・出産をするのは初めてであり、卒後臨床研修センターの先生をはじめ、多くの方に支えられ、研修をすることができました。私以降もほぼ毎年、徳島大学病院初期臨床研修で妊娠、出産をされる方が続いており、若い先生方が安心して研修を受けられる環境を整えていただいていることに感謝の念に堪えません。

 3人の子育て経験があることから、医学部の学生の方や若い女性医師の方々に、いつ妊娠・出産をするのがいいのか、と聞かれます。自身のキャリアへの影響を不安に思っての質問でしょうが、まず伝えたいのは、妊娠・出産は、医師としても決してマイナスなことではないということです。確かに一定期間以上のブランクを経てしまうため、知識や経験が一時的に同期の医師より低くなってしまい不安になってしまいますが、長く医師を続けることで、十分カバーできるものです。むしろ、妊娠・出産・育児を通して、人との接し方や時間調整のスキルといったものが成長することができ、私自身も医師として働く上で役に立っていると日々実感しています。

 私が普段から心がけていることは、「当たり前と思わず、常に感謝の気持ちを持つ」ということです。仕事と家庭を続ける上で、周りの協力は必須です。時には急に仕事を中断することも必要ですが、決して権利ではなく、周囲の気遣いによって成り立つものです。子育てをされていない人も色々な事情があり、助けが必要なこともあります。これから妊娠・出産を考えている方はぜひ、感謝の気持ちで、周囲の方に何か返せるよう頑張っていいただきたいです。私も何かお手伝いできることがあればぜひ声をかけてください。
 

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

 新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止、延期またはWEB開催となっている場合があります。

 個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

5. 第45回 徳島県国保診療施設地域医療学会

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 2023年11月26日(日)、徳島県国保会館(徳島市川内町)にて、表記学会が開催された。テーマは、「どうする?医療従事者不足~国保直診の危機~」。徳島県の地域医療で、喫緊の問題を取り上げ、県内の医療従事者が集まり議論した。その様子を紹介する。

 午前は、開会行事。永年勤務の当院の3名のメディカルスタッフを含む14名が、会長表彰された。次に、特別講演。演者は大谷順先生(島根県・雲南市立病院)。演題は、「経営危機からの脱却~国保直診の矜持~」。1947年に開院した同院は、新臨床研修医制度(2004年に必修化)で、大学派遣医師の引き揚げが続き「経営危機」と報道された。現在の雲南市立病院は281床で、常勤医師24名を含む職員数376名に回復している。その経過をわかりやすく説明された。1)地域に必要な医療人は地域で生み、育てる(地域医療人育成センター)や、2)現状に見合った病院機能再編(救急・総合診療・在宅:国保直診の原点である。)と地域総合診療科や地域ケア科を始めた。3)地域での危機感を共有するため、出前講座、病院祭、情報発信(SNS)や、市民団体などと連携を行ったという。

 昼食休憩の後、パネルディスカッションを、今学会のテーマと同じく医療従事者不足について行った。私と中園雅彦先生(半田病院)が主に医師不足、看護師の粟飯原明美(勝浦病院)、吉岡栄子(上那賀病院)のお二人が看護師不足、そして川野和彦事務長(海南病院)が「地方創生医師団」との協働を示した。人手不足の中、県内の各病院が踏んばっているのがよく理解できた。学会の最後に8題の研究発表があった。医師だけでなく、臨床検査技師や放射線技師、看護師、薬剤師の発表があり、多職種連携を確認できた。終了後にホテルに移動し、コロナ禍で途絶えていた情報交換会が数年ぶりに開催され、県内の各施設のスタッフらと歓談し有意義な時間となった。

 なお、12月 9日 (土)に、厚生労働省の迫井正深(さこいまさみ) 医務技監による、「新型コロナパンデミックを踏まえた日本の医療のこれから」という第7回 医療政策講演会を拝聴した(徳島県医師会館)。大谷先生ら(前述)の取り組み(病棟のゾーニング)も紹介された。
【参考】
☆雲南市立病院
⇒https://unnan-hp.jp/
☆地方創生医師団(TAO医師団)
⇒https://www.taomed2020.com/
☆迫井正深:In My Resident Life(医学界新聞、2019.01.14)
⇒https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2019/PA03305_01

6.編集後記

 年の瀬も迫り、お忙しいことと存じますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今月も皆様の御協力により例月どおり発信することができました。御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。

 それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第187号を終わらせていただきます。来年もとくしま医師バンク通信をよろしくお願いいたします。
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次回の「とくしま医師バンク通信」第188号は、令和6年1月17日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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