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とくしま医師バンク通信 Vol.184(9月号)

目次

  1. 『公衆衛生医師として対応したコロナ禍』 徳島県保健福祉部医療政策課 地域医療推進幹 清水 元気
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 最終回となった『第6回 徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

1.『公衆衛生医師として対応したコロナ禍』

徳島県保健福祉部医療政策課 地域医療推進幹 清水 元気

 私は、徳島大学を卒業後、臨床医として11年ほど病院勤務をしていましたが、学生時代から興味があった公衆衛生の道に進もうと決心し、2019年4月に公衆衛生医師として徳島保健所で勤務することになりました。最初は、感染症・疾病対策担当で結核対策やAIDS対策が主な業務でしたが、国内1例目が発生した2020年1月よりまさに新型コロナ対応の最前線で働くことになりました。当初は、感染者数も少なく、疫学調査と検体採取に注力していましたが、世間の注目度も高く、陽性者が出ると、家族や職場、周囲の接触者の対応など深夜まで対応に追われました。当時1日2回PCR検査を行っていましたが、2回目の検査結果が判明するのが夕方から夜間にかけてだったため、そこから感染源の調査、接触者の疫学調査および検体採取の調整、公表の調整に追われました。これはまさに保健所業務の根幹ですが、さらに発熱相談窓口も保健所が担うことになったため、一般人からの苦情や相談に加え、医療機関からの相談もあり、電話回線がパンクするのに時間はかかりませんでした。発熱相談といった対市民へのサービスは、外部業者や市町村に委託すべきだったと考えています。
 2021年4月より県庁に異動し、入院調整本部で入院調整や宿泊療養に関わることになりました。アルファ株、デルタ株は驚異的で、基礎疾患のある患者や高齢者の病状悪化はもちろん、50歳代の死亡例も経験しました。地域の医療機関に入院調整した患者が病状悪化し、大学病院に転院調整するため、大学で病状が安定した重症患者を県中に転院させるといった、綱渡りの対応をしていました。この頃、陽性判明時は症状が軽く、遠くの医療機関に入院することを頑なに嫌がっていた高齢者を何とか説得して入院させていたことを振り返ると、隔世の感があります。
 オミクロン株になってからは、新型コロナ肺炎で重症化するケースは珍しくなった一方で、感染拡大のスピードがそれまでの株とは比較にならないくらい速く、多くの施設、医療機関でクラスターが発生しました。軽症の陽性者は、自宅療養が主体となりましたが、新型コロナに感染したフレイルの方や、独居老人、在宅で老々介護をしている夫婦、認知症患者など社会的弱者の対応に苦慮しました。高齢者施設でクラスターが発生すると、容易にスタッフ不足となりますが、軽症の認知症患者は、なかなか入院することができず、少ないスタッフでの施設内療養をお願いしていました。施設内療養や自宅療養には、嘱託医の先生をはじめ、医師、看護師、薬剤師、介護士など多くの医療従事者に御協力いただきましたが、施設で勤務していた職員は本当に大変だったと思います。
 コロナ禍を振り返り、つらい時期もあったし、ここでは書けないエピソードもありますが、医師会の先生方をはじめ、たくさんの医療従事者の御協力があったから乗り越えることができました。この場を借りてお礼申し上げます。関係者の皆様、本当にありがとうございました。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止、延期またはWEB開催となっている場合があります。
個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

5. 最終回となった『第6回 徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 わが国は、2025年度に「地域包括ケアシステム」の完成をめざしている。2016(平成 28)年 7 月に、徳島県で起きている超高齢化・人口減少という喫緊の課題に対し、多くの専門職がボトムアップで解決を目指すプラットフォームとして、本学会が結成された。コロナ禍の影響を受けたが、23年8月27日(日) 大塚講堂(徳島大学 蔵本キャンパス)で、第6回 徳島県地域包括ケアシステム学会が開催された。大会長は、白山靖彦教授(徳島大学大学院医歯薬学研究部 地域医療福祉学分野)で、テーマを「ありのままに、明日をみつける」とされた。
 最終回で、13人の演者による各15分のリレートークが企画された。1) 永廣信治先生 (吉野川病院)は医師の立場、2) 加藤真介先生 (徳島赤十字ひのみね医療療育センター)はリハビリテーション医師、3) 市川哲雄先生 (徳島大学大学院)は歯科医師の立場から。次に、4) 鎌村好孝先生 (徳島県保健福祉部)は行政の立場から、5) 濵田康弘先生 (徳島大学大学院)は栄養学、6) 多田敏子先生 (徳島大学名誉教授)は看護学、7) 吉岡昌美先生 (徳島文理大学)は歯科の専門職教育の立場からお話された。
 そして、8) 鶯春夫さん (徳島文理大学)が理学療法士、9) 細川友和さん (リハビリテーション大神子病院)が作業療法士、10) 伊勢佐百合さん (レリープ株式会社・徳島文理大学)が薬剤師の立場からの発言をされた。最後のセッションでは、11) 郡章人さん (徳島県鳴門病院)がMSW、12)湯浅雅志さん (那賀町)が介護福祉専門員の立場でお話され、13)トリの白山靖彦学会長 (徳島大学)がまとめられた。
 私は、「持続可能な地域包括ケアへ向かって~地域医療構想、働きかた改革とともに歩む~」と題してポスター発表を行った。医師不足は深刻で、一病院二診療所の院長・所長を兼任している。大規模病院との連携や、今回のテーマでもある多職種連携をさらに進め、地域医療構想・働きかた改革をより良いものに進めたいと述べた。
 午後には、惜しまれたが閉会となった。今後も有機的な連携や教育を行い、住民・患者、そして医療の担い手が「輝く」地域包括ケアをさらに進めたいと思った。
 なお、10月14日(土曜)まで、4部に分けて、下記ホームページよりオンデマンド配信を視聴できる。
【参考】
☆徳島県地域包括ケア学会
⇒https://www.toccs.jp/index.php
☆徳島大学大学院医歯薬学研究部 地域医療福祉学分野(白山靖彦教授)⇒
https://www.tokushima-u.ac.jp/dent/research/oralscience/oralhealth/36411.html

6.編集後記

暑さが和らぎ過ごしやすい日が増えてまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月も皆様の御協力により例月どおり発信することができました。御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。
それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第184号を終わらせていただきます。湿度が高く、過ごしにくい毎日ですが、お体にお気をつけてお過ごしください。
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次回の「とくしま医師バンク通信」第185号は、令和5年10月18日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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