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とくしま医師バンク通信 Vol.183(8月号)

目次

  1. 『徳島で働くよさ』徳島赤十字病院初期臨床研修医2年次 富永洋介
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 『第16回へき地・地域医療学会のアーカイブを視聴して』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

『徳島で働くよさ』

徳島赤十字病院初期臨床研修医2年次 富永洋介

 徳島赤十字病院初期臨床研修医2年目の富永洋介と申します。私は徳島大学へ地域特別枠で入学し、卒業後は初期研修を含めて9年間は徳島県内で医師として働く予定です。
大学2~3年次に私が感じていた地域枠医師として働くイメージは、やはり専門医を最短でとれないのではないか、という不安が強かったイメージです。学生の後半や研修医として勤務して様々な診療科の先生とお話しする機会もあり、そのことについて相談したことも何度かあります。しかし、どの先生方も専門医資格を取るにあたり、地域枠であっても症例数が足りないなどの理由で取得が遅れないよう調整してくださっていることが分かりました。若い時期の症例数の少なさによる経験不足が無いようフォローしてくださったり、できるだけ早く資格を持っておきたいという気持ちを汲んでいただいており、非常にありがたく感じています。
現在医師として働いていて様々なことを勉強させていただいています。珍しい疾患やありふれた、所謂common diseasesを初期診療から帰宅あるいは入退院までしっかり考えて対応することの難しさを学びました。また、さまざまな心理的背景、経済的背景、社会的背景の患者さんに寄り添い、単なる教科書的な治療法以外の選択を行うこともあり、改めて人を診ることの大切さを学びました。
徳島で研修医として働くことに関して感じることは、不自由がないということです。研修医の絶対数はもちろん都市部の方が多く、最新技術については勝る部分は多くはないと思います。しかし、1病院ごとの研修医数は丁度良いくらいで、症例数も少ないことは決してなく、むしろ研修医1人あたりのcommon diseasesに関しては多いのではないかと感じています。卒後3年目以降の専門医研修を見据え、基礎的な部分の多くの経験を積むことができる点で、徳島県での研修医生活はとても有意義なものとなっていす。
最後になりましたが、徳島県で共に学び成長できる仲間が増えることを心より願っております。一緒に頑張りましょう。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止、延期またはWEB開催となっている場合があります。
個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

5.『第16回へき地・地域医療学会のアーカイブを視聴して』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 2022年11月、日本プライマリ・ケア連合学会の第22回四国地方会を徳島市で開催した。その際、ウェブ配信などを地域医療振興協会の西日本事務局(京都市)に援助いただいた。23年6月24日(土)・25日(日)には、同協会による「第16回へき地・地域医療学会」が開催された。そのアーカイブが、参加者に8月末まで公開されている。視聴し、地域医療の参考になると感じダイジェストする。
大会長は、武田以知郎先生(明日香村国民健康保険診療所)で、テーマは「医療の谷間に灯をともして50年~おもろいやん、地域医療~」。メインシンポジウムでは「地域医療の過去と未来~さあ、行こう地域医療の新しい景色へ」と、自治医科大学卒業生の各世代からのシンポジスト(武田(明日香村)、白石裕子(自治医科大学)、菅野武(同)、天野雅之(南奈良総合医療センター)の諸先生)の講演を古屋聡先生(山梨県)がコーディネートされた。また、ソマリアなどの国際医療支援や UNICEF などで活躍された國井修先生による「グローバルヘルスからみる地域医療の新しい景色」も興味深かった。
他、おもしろかった二つの講演を紹介する。
1)今明秀先生(八戸市立市民病院)「救急の充実で、病院総力があがる」:2004 年から同院の救命救急センターに勤務。18年をかけて改革した。私も参加したが、PTLS(外傷初期診療講習会)を主催。2009 年にドクターヘリを導入し、その後ドクターカーも複数運用している。さらに、「劇的救命」というブランドコンセプトで、同院への救急研修医が250名を越えた。2018 年には自治体病院の中で全国 1 位の純利益となり、累積欠損金 135 億円を 2020 年度末に解消したという。健全な病院経営と市民の高満足度を得ている。
2)小林正宜先生(葛西(かっさい)医院、大阪市生野区)「KISA2 隊の活動を通して見えてきた地域の課題と next action」:2021 年 2 月に京都で KISA2 隊(Kyoto Intensive area care unit for SARS-COV2 対策部隊)が結成され、行政、保健所、感染対策チームなどと連携した枠組みで、新型コロナ自宅療養者に対して 24 時間往診対応を行った。感染拡大によって、本来入院すべき患者が自宅療養を余儀なくされる状況が生まれたが、KISA2 隊が孤立した自宅療養者の心を支え、命を救った。
大阪の自宅療養者の急増で、小林らは大阪で往診のグループを作り、KISA2 隊の K は Kyoto から Kansai に広がった。多職種・多機関の連携によって、少ない資源で非常に大きな力を発揮できるプライマリ・ケアネットワークの底力を示した。その後も多職種連携で、目の前に苦しむ多くの患者(在宅医療、認知症など)へのセーフティネット機能を担おうとしている。
注:鬼殺隊
漫画『鬼滅の刃』に登場する、昔より人喰い鬼から人々を守ってきた鬼狩りの剣士、また剣士たちを支える人達が集まった組織。
【参考】
☆地域医療振興協会
https://www.jadecom.or.jp/
☆八戸市立市民病院(青森県)
https://www.hospital.hachinohe.aomori.jp/introduction/greeting
☆KISA2 隊(絶対、守る)
https://kisa2tai.net/

6.編集後記

猛暑が続く8月も後半に差し掛かりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月も皆様の御協力により例月どおり発信することができました。御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。
それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第182号を終わらせていただきます。湿度が高く、過ごしにくい毎日ですが、お体にお気をつけてお過ごしください。
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次回の「とくしま医師バンク通信」第183号は、令和5年8月16日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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