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とくしま医師バンク通信 Vol.182(7月号)

目次

  1. 『難病医療と地域医療に携わって思うこと(2)』国立病院機構徳島病院内科 名誉院長 足立克仁
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 『青藍会(徳島大学医学科同窓会)の講演会より』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

『難病医療と地域医療に携わって思うこと(2)』

国立病院機構徳島病院内科 名誉院長 足立克仁

 前号の難病医療の続きを記載します。
2.地域医療に携わって:2015年の国立病院機構徳島病院を定年退職後には、徳島大学第一内科研究室の大先輩の故川井尚臣助教授が所長を務めていた日和佐診療所に週一回勤務してきた。ここはウミガメの産卵で有名な大浜海岸が近くにある、空気のきれいな県南部の診療所である。地域医療の一般内科診療が主な仕事であり、高血圧、糖尿病、高脂血症、等の生活習慣病について木曜日の10:00~17:00まで診療してきた。また、専門は脳神経内科であり認知症、頭痛そしてパーキンソン病をはじめとした神経難病についても診てきた。認知症診療の海馬評価では、頭部MRIによるVSRADの測定は県立海部病院にお願いし、パーキンソン病診療でのMIBG心筋シンチグラフィー検査は徳島赤十字病院にお願いした。さらに、入院が必要な患者は、美波病院、海部病院、阿南医療センター、徳島赤十字病院、等に紹介した。各病院にはその都度快く対応していただきこの場を借りて深謝します。
しかしこの3月末で、もともと医師数が少ないこの診療所を心苦しくも退職した。准高齢者の筆者にとっては、かなり遠方であり長時間自動車運転を要するためであった。鳴門土佐泊から通っていたため、完成したばかりの真新しい徳島南部自動車道の吉野川サンライズ大橋を利用して、20分程度短縮が図られたが、それでも日和佐まで片道2時間を要した。医師確保の面からも南部道の阿南への早期開通が待たれる。
3.難病医療と地域医療の共通課題:ここに記載した難病医療と地域医療には大きな共通点が存在する。いずれもなくてはならない医療であるにもかかわらず、携わる医師数が少ないことが挙げられる。どうぞ若い医師には、地味ではあるが重要なこの2つの医療に是非とも目を向けていただきたいと願うばかりである。
 

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止、延期またはWEB開催となっている場合があります。
個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

5.『青藍会(徳島大学医学科同窓会)の講演会より』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 医学科や医科栄養学科、保健学科よりなる徳島大学医学部は、今年80周年を迎える。その中で最も歴史のある医学科の同窓会を青藍(せいらん)会と称している。私もその会員である青藍会は、毎年海の日の祝日に総会を開催。2023年は7月17日(月曜)にあり、午前の総会議事に続き、午後からの講演を拝聴した。地域医療においても興味深い内容であったので、紹介する。
1) 青藍会賞受賞講演:
まず、和田佑馬先生(徳島大学・消化器移植外科)による「消化器癌に対する診断精度向上と再発転移の予測に関するバイオマーカー研究」があった。AFP、CEA、CA19ー9などの腫瘍マーカーを診療で多用しているが、エクソソームやmiRNAの解析が進んでいることを理解した。続いて、学術講演が2つあった。
2) 岡田賢教授(広島大学・小児科)による「感染症と戦う宿主免疫」:
広島県音戸町出身の岡田先生は、徳島大学を卒業後、広島大学の小児科へ入局された。先天性免疫異常(IEI、inborn errors of immunity)の研究・診療を行っておられる。IEIでは、易感染性(重症感染や、反復感染、日和見感染、持続感染)が特徴。自然免疫や獲得免疫の異常について話された。まれな病原体による感染症、非定型的な部位への感染、家族歴のある症例には、IEIを考慮する必要がある。COVID感染症においても、少数だが小児でも重症化することがあることに、IEIの関与があることを理解した。
3) 和泉唯信教授(徳島大学・脳神経内科)による「縁(えん)」:
広島県三次市のお生まれ。北海道大学理学部で、数学や柔道を学び(七帝柔道記)、音楽との出会いがあった。医師を目指し、徳島大学医学部を卒業後、広島大学の脳神経内科に入局。住友病院の亀山正邦先生との縁を興味深く拝聴した。ご実家がお寺で、僧侶でもある。ALS患者さんを多く登録し、「患者さんが第一」の姿勢で、その原因遺伝子や薬剤の研究に邁進しておられる。様々な出会いを大事にされていることを紹介され、聴衆の共感を得た。
青藍会館の外は暑い祝日に、3名の同門(後輩になる)の活躍を知り、とても刺激となった。さらに、粛々と地域医療に励みたい。

☆徳島大学医学部(西岡安彦医学部長)
https://www.tokushima-u.ac.jp/med/faculty/guidance/50115.html
☆青藍会(荒瀬誠治会長)
https://www.seirankai-tokushima.jp/
☆広島大学・小児科
http://syoni.hiroshima-u.ac.jp/hiroped/newport/profile.html
☆徳島大学・脳神経内科
https://neuro-tokushima.com/
 

6.編集後記

いよいよ夏本番といった気候ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月も皆様の御協力により例月どおり発信することができました。御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。
それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第182号を終わらせていただきます。湿度が高く、過ごしにくい毎日ですが、お体にお気をつけてお過ごしください。
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次回の「とくしま医師バンク通信」第183号は、令和5年8月16日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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