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とくしま医師バンク通信 Vol.181(6月号)

目次

  1. 『難病医療と地域医療に携わって思うこと(1)』国立病院機構徳島病院内科 名誉院長 足立克仁
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 『「第14回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」から学んだこと』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

『難病医療と地域医療に携わって思うこと(1)』

国立病院機構徳島病院内科 名誉院長 足立克仁

 とくしま医師バンク通信への投稿を誘われ、筆者がこれまで歩んできた足跡を振り返り、2回にわたり思うところを述べてみたい。
1.筋ジストロフィー医療に携わって:筆者は徳島大学を1975年に卒業し、筋ジストロフィー研究の第一人者であった故三好和夫教授の徳島大学第一内科教室に入局した。そして同教授の指示により現在の国立病院機構徳島病院に赴任した。当院では一貫して筋ジストロフィーをはじめとした神経難病を担当してきた。
1981年の赴任時は、筋ジストロフィーというと2,3歳から発症し、20歳以上は生きられない、原因不明の治療法もない難病中の難病であった。当初は「治らない医療」に当たるよりも「治る医療」に専念した方が良いといわれることもあったが、専門的に取り組んでいる病院があり、熱心な医師、看護師、等がいることは、患者・家族にとっては「生きる希望」に繋がる大切な医療だと励んできた。
1989年に骨格筋細胞膜構成蛋白であるジストロフィンが発見され、Duchenne型の原因が解明され、研究・臨床・療養に活発化がみられた。現在では40歳以上の患者が多くみられている。
2020年には疾患修飾薬である国産初の核酸医薬のビルテプソが発売された。本注射薬はまだ十分な効果はみられていないが、それでも希望が持てる時代となった。
筆者は2015年に定年退職したが、現在も週1回この医療に携わっている。本症は骨格筋のみならず心筋にも障害をきたすため、徳島大学循環器内科のご援助のもと「成人筋ジストロフィー定期診療外来半日コース」を開設し、本病者の健康維持にお役に立ちたいとチームを組んで当たっている。
課題としては、この医療に携わる若い医師が少ないことである。発症から診断までが興味深いと考えられ、その後の慢性期療養(人工呼吸管理、胃瘻、等)となると力を注ぎにくい。そのため国立病院機構では、この慢性期医療だけではなく、関連する臨床研究にも従事していただいている。一緒に働く若い医師を望んでいる。
 

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

徳島県立三好病院臨床研修オンライン説明会

徳島県立三好病院では、医学生を対象に臨床研修に関するオンライン説明会を開催します。


日時:令和5年6月23日(金)18:00~19:00
対象:医学生
開催方法:Zoomでのオンライン開催
申込方法:以下のURLから申込をしてください。
問合せ先:徳島県立三好病院事務局臨床研修担当
TEL:0883-72-1131
Mail:miyoshibyouin@pref.tokushima.jp

 ※申込はこちら
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdCmbarFyFhrr6GELxJnSnZR44n9U6IfvKajYyZTpuVtCq7fg/viewform?vc=0&c=0&w=1&flr=0&usp=mail_form_link

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

「みんなで!徳島旅行割」について

「みんなで!徳島旅行割」については、下記のとおり実施されています。

旅行割利用期間:令和5年1月10日(火)~令和5年6月30日(金) 

 ※ただし、令和5年4月29日(土・祝)~5月7日(日)は対象外

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/site/tokushimawari2023/

 最新の実施状況についてはリンク先を御確認ください。

5.『「第14回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」から学んだこと』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 2023年5月12日(金)~14日(日)に愛知県で行われた「第14回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」に、出席した。大会長は大杉泰弘先生(藤田医科大学)で、「プライマリ・ケアのニューノーマル ~プライマリ・ケアの卓越性と次世代医療との融合~」というテーマで開催された。
12日(金曜)は豊田市が会場で、トヨタ自動車研修ツアーに参加した(同 元町工場)。1)トヨタ自動車チームリーダー研修:社員を率いるチームリーダーのトレーナーに直接指導いただいた。2)トヨタ式の「カイゼン」(4S:整理・整頓・清掃・清潔)や5定)を学び、工場内の5定(定時:定められた時間、定高:定められた高さ、定品;定められた品物、定量:定められた量、定位置:定められた位置)の活動現場を視察した。医療現場にも多くのムリ・ムラ・ムダがあり、豊田地域医療センターでのカイゼンの実際の講演も有益であった。
13(土)・14日(日)は名古屋市に移動した。私どもは、「第22回四国ブロック支部地方会は盛会となった」と題してポスター発表を行った。昨年秋の地方会開催をふりかえり、今後も地域を盛り上げたいと考えている。広い会場で、様々な発表や展示があった。本稿では、当院を含め喫緊の課題(地域医療の担い手不足)についての二つの取り組みを紹介する。
(1)Community Hospital Japan
福岡県の本田宜久院長(頴田病院)は、ご尊父が美波町出身で交流がある。今学会でも、1)明るい地域医療改革、2)病院ができる社会的処方(インターナショナル拡大版!)の二つのシンポジウムを運営された。本田宜久先生らは、200床未満の病院で、地域包括ケア病棟(病床)を運営し、総合診療外来を行いながら、年間10名程度の在宅みとりを実践する病院を「コミュニティホスピタル」と名付けている。ジェネラリスト(総合診療医)による総合診療を実践する地域に開かれ、外来・病棟・在宅のシームレスな診療を提供する病院として情報交換の勉強会を行っている。
(2)地方創生医師団
三重県の江角悠太院長(志摩市民病院)は、邉見公雄先生(地域医療・介護研究会JAPAN)より紹介していただいていた。江角先生は、今回「地方創生において、求められる次世代の総合診療医像~各分野からの提言(1)~」というシンポジウムを運営され、「地方創生医師団」というグループを組織している。ご案内いただき、学会の次週になる5月19日(金)~21日(日)に海陽町(三浦茂貴町長)で開催された第5回シンポジウムに出席した。鹿児島県から千葉県までの医師や学生が集まり、海南病院の見学、住民を交えた討論会に参加した。住民・学生などとともに病院祭りを行い、総合診療医を育成する場とすることが結論で、共感した。

☆第14回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 ⇒https://jpca2023.org/
☆Community Hospital Japan
https://www.facebook.com/groups/483462046312597?locale=ja_JP
☆第5回 地方創生医師団シンポジウム
https://kainanhp.jp/news/1569/

6.編集後記

梅雨の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月も皆様の御協力により例月どおり発信することができました。御寄稿いただいた先生方をはじめ、日頃から県の医療行政を御支援いただいている皆様に心より感謝申し上げます。
それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信」第181号を終わらせていただきます。湿度が高く、過ごしにくい毎日ですが、お体にお気をつけてお過ごしください。
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次回の「とくしま医師バンク通信」第182号は、令和5年7月19日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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