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とくしま医師バンク通信ドクターカモンメールVoL179(4月号)

目次

  1. 『上勝町診療所での多職種連携の取り組み』国民健康保険上勝町診療所 幸田 朋也
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 『第40回 日本臨床内科医会総会』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

1.『上勝町診療所での多職種連携の取り組み』

国民健康保険上勝町診療所 幸田 朋也

 上勝町は勝浦川の上流にある90%が山林という山にある人口は約1400人で高齢化率52.4%の町です。葉っぱビジネス「いろどり」やゼロ・ウェイストの取り組み、上勝晩茶などが有名です。上勝町診療所は正木ダムの近くの山の上にあります。周囲には患者様を含む地域住民の協力で季節毎の花で目を楽しませてくれる公園があり、最近では診療所にあがる道がさくらのトンネルになっていました。今も道路の横にあるつつじの花が咲き始めています。

 診療所の周囲には公園の他にも高齢者の介護施設やデイサービスセンターなどもあり医療・介護が集約されています。距離が近いこともあり、連絡や情報共有がしやすい状態で連携をとることができています。マンパワー不足を軽減することができ、医療や介護の必要な人の情報共有を行うことで、受診勧奨やスムーズな介護サービスの導入に役立っています。新型コロナウイルス感染症の流行で直接の行き来が難しい時もありましたが、ワクチン接種や施設でのクラスター対応などは介護職員との連携を維持し、なんとか乗り越えることができました。今後も起る可能性のあるクラスターなどに対応できるようより連携を深めています。

 また、町内唯一の医療機関でもあるので子どもたちの診療にも携わっています。新生児や乳児の育児相談を定期的に保健師や歯科衛生士、作業療法士のチームで取組んでおり、身体の成長発達だけでなく歯のない段階からの口腔機能にも注力し、発達を促す遊びやマッサージなどのアドバイスを行ってくれており、育児の手助けとなっています。といっても僕はたまに相談を受けるぐらいで他の3人がしっかり取組んでくれている状態ですが、育児の不安の軽減や情報共有の場となっているようです。

 診療所スタッフはもちろんいろいろな職種の人と連携することで診療所として地域住民の健康の一助となれるよう引き続きがんばっていこうと考えています。新型コロナウイルス感染症が5類にかわる5月8日も目の前に迫っています。感染対策に取組み、地域住民に安心安全な診療を提供できる様にしていこうと思っています。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

 新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止,延期またはWEB開催となっている場合があります。

 個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

「みんなで!徳島旅行割」について

「みんなで!徳島旅行割」については、下記のとおり実施されています。

旅行割利用期間:令和5年1月10日(火)~令和5年6月30日(金) 

 ※ただし、令和5年4月29日(土・祝)~5月7日(日)は対象外

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/site/tokushimawari2023/

 最新の実施状況についてはリンク先を御確認ください。

5.『第40回 日本臨床内科医会総会』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 2023年4月16日(日)に東京・新宿の京王プラザホテルにおいて第40回 日本臨床内科医会総会(会頭:清水惠一郎 東京内科医会会長)が開催された。COVID-19第8波が終息の傾向にあり、現地へ参加した。総会議事の後、ランチョンセミナーや講演があった。午後の二つの特別講演が、地域医療にも興味深い内容だったので紹介する。

【特別講演1】中釜斉理事長(国立がん研究センター)による「がん治療の総論と最先端の研究」:

 国民の2人に1人が一生に一度はがんにかかる時代となった。治療の進歩で、5年生存率は64.1%になっている。5・6個の遺伝子の変異が20年から40年で起こり、癌が発生する(多段階発がん)。切除不能の大腸がんは、余命が5か月から30か月に延伸した(6倍)。2023年4月からの「第4期がん対策推進基本計画」では、1)がんの予防・早期診断、2)がん医療の充実、3)がんとの共生が、骨子となっている。

 がん医療では、1)手術療法、2)放射線治療、3)薬剤の進歩を紹介された。特に薬剤では、2000年前後に革新があった。殺細胞性治療薬(化学療法剤)から、分子標的薬が急速に開発された。15年以降には、免疫チェックポイント阻害剤やCAR-T細胞(キメラ抗原受容体細胞)などの免疫療法が確立された。さらに、ゲノム情報に基づく個々の患者に最適な治療法を提供する精密医療(Precision Medicine、ゲノム医療)が進んでいる。

 私は、国立がんセンター(旧名称)の研究所で学んだことがある。今後も地域住民に、がん医療の進歩を啓発していきたいと考えている。

【特別講演2】松田晋哉教授(産業医科大学・公衆衛生学)による「かかりつけ医機能をどう考えるか」

 COVID-19流行下での日本の医療の問題は、1)サージキャパシティ―(surge capacity、緊急に増やせる収容能力)や、2)治療後の出口病院、3)コロナ以外の急性期医療の継続、4)プライマリケアでの体系的対応であったと指摘された。

 かかりつけ医制度については、わが国の母子保健(母子保健手帳)の成功例の応用がよいのでないかと。特定健診の制度は問題点も多い。都市と地方では、「かかりつけ医」についての問題の構造が異なる。Standardized Claim data Ratio(SCR、性・年齢調整標準化レセプト 出現比)のデータ分析などより、今後は在宅医療のニーズが高まると結論づけた(たとえば東京・多摩地区など)。

 レセプトなどのデータ分析からの提言で、有益であった。日本の病院での医師数、メディカルスタッフの数が少ないこと、在宅の24時間対応には少人数では不可能でネットワーク化が必要。はたらき方改革への対応も望まれることを丁寧に解説された。

☆日本臨床内科医会
https://www.japha.jp/

☆国立がん研究センター(中釜斉理事長)
https://www.eisei.or.jp/

☆産業医科大学 公衆衛生学教室(松田晋哉教授)
https://sites.google.com/site/pmchuoeh/members

6.編集後記

 4月から新年度が始まりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて、今月号では国民健康保険上勝町診療所の幸田先生と美波町国民健康保険美波病院長の本田先生に御寄稿いただき、無事配信を行うことができました。御寄稿いただきましたお二方にこの場をお借りして御礼申し上げます。

 それでは以上を持ちまして、とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール第179号を終わらせていただきます。

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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第180号は、令和5年5月17日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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