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とくしま医師バンク通信ドクターカモンメールVoL178(3月号)

目次

  1. 『変わりゆく地域の20年』美馬市国民健康保険木屋平診療所 藤原 真治
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 『「認知症サポート医」のフォローアップ研修など』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

1.『変わりゆく地域の20年』

美馬市国民健康保険木屋平診療所 藤原 真治

 木屋平診療所は山間へき地にある地域唯一の医療機関で、医師1名体制にて診療を行っています。私はこの診療所へ赴任して足かけ20年になりました。キリの良い年度を終えるところで、時間について少し考えてみたことをゆるく書いてみようかと思います。

 初めてお目にかかった時には病気知らず医者いらずで活躍していた人が定期受診組に入っていたり、さらには介護サービスを受けていたり、元気に学校健診に迎えてくれていた子どもたちが親として子どもの受診に付き添ってきたり、それなりの月日が流れたことを実感する機会も多くなりました。自身もいつの間にか白髪が増えていたり、当地に来て初めて寝返りをうった長男が成人したり、お互いトシを取ったなあと思います。

 診療面では、元気な頃の印象しかなく診察時には楽しく話をしてきた人に認知症を診断すること、そもそも疑うこと自体が難しいことを実感しています。また、本心では発見したくなかった癌を診断せざるを得ないことも多々あります。自分で精査を進めておいてガッカリするのはおかしいと思いながら、その後の対応を進めたり。高齢化率が60%を超える地域では当然の疾患頻度ですが、診療をすんなり進めることに感情面で対応し切れてない瞬間を自覚するようになりました。地域と共に年齢を重ねていくことは医療者として良いことも多いのですが、思わぬバイアスがかかるものだと思います。こうしたバイアスの存在もしっかり認識しながら診療を行わねばと思う次第です。

 地域の人口は初赴任した時の半数以下になりました。高齢者の割合は上昇する一方で、高齢者の絶対数は減少する段階に入っています。利用者数の減少にて官民を問わず介護医療サービスの維持が困難になりつつある情勢のなか、当診療所の重要なパートナーである地域のNPO法人、自宅・診療所間の送迎サービスを行ってきた住民団体や、薬局を運営する薬剤師を中心とした団体とも、知恵を出し合いながら頑張っていきたいと思います。

 最後になりますが、個人的にはこの1年あまり週数日のペースで県新型コロナ入院調整本部に出務し、感染者の救急受診や入院を中心とした調整業務について文字通り微力ながら関わって参りました。診療所で患者さんに直接対応する現場、入院調整本部で県全体を俯瞰して調整する現場、それぞれに大変だったと実感します。5月8日、5類への移行が一つの節目になりそうです。今後は地域医療現場で診ていく感染症として、準備・対応を行っていきたいと思います。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

 新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止,延期またはWEB開催となっている場合があります。

 個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

「みんなで!徳島旅行割」について

観光庁の「地域観光事業支援」を活用した「みんなで!徳島旅行割」について、本年4月以降、下記のとおり実施されます。

対象期間:令和5年4月1日(土)~令和5年6月30日(金) 

 ※令和5年4月29日(土・祝)~5月7日(日)は対象外

販売開始日:令和5年3月18日(土)

 ※販売(予約)開始日以降の「新規予約」が対象

なお、徳島県独自の上乗せ補助「みんなで!徳島旅行割プラス」は、令和5年3月31(金)で終了します。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/site/tokushimawari2023/

 最新の実施状況についてはリンク先を御確認ください。

5.『「認知症サポート医」のフォローアップ研修など』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 近年の地域医療では、高齢患者さんを「治す医療」のみでは不十分で、「治し支える医療」が必要となった。そのため、地域包括ケアや、介護保険・認知症の理解が必須となっている。徳島県医師会の介護保険委員会(中谷哲也委員長)では、その診療のレベル・アップのため講演会を企画し、2・3月に三つの催しがある。私は委員の一人で、座長を務める機会があり、その内容を紹介する。

1)介護保険委員会研修会(認知症サポート医フォローアップ研修)

 2月18日 (土曜)19時半より、県医師会館・Webのハイブリッド形式で開催された。

 まず、徳島県保健福祉部の島垣真季さん(長寿生きがい課)が、「徳島県における認知症施策の推進について」。住民に認知症の啓発を行い、多職種連携による認知症ケアの向上を目指している。

 次に、東京・八王子市にある永生会の安藤高夫理事長。前衆議院議員で、「医療・介護よもやま話」と題して、医療政策の最新情報をお話いただいた。1)4月からの診療報酬改定(オンライン資格確認や、医薬品の安定供給)。2)医療のDigital Transformation(DX)。モバイルデバイスや、音声入力システム、ビジネスチャット、排尿予測デバイスなどを紹介された。3)かかりつけ医(地域包括ケアシステムの入口とハブ機能)。4)慢性期救急に取り組む必要性などを解説された。医療機関に「標準型電子カルテ」を配布するという考えは、今後のデジタル・ネイティブ世代が働き手になる時代には必要と同感した。

2)主治医研修

 2月 27日 (月曜) 19時半から開催され、Webで視聴した。介護保険制度における主治医の役割や、要介護認定の仕組みと基準、介護認定審査会における審査判定の方法について説明があった(原田恵さん)。次に、主治医意見書の具体的な記載方法や、特定疾病の診断基準を安宅芳夫委員(三好市)がわかりやすく説明された。

 最後に、委員の武久洋三理事長(平成博愛会、日本慢性期医療協会)から、「同時改定と病院経営」と題した講演があった。お世話になっている博愛記念病院(徳島市)などの患者さんのデータ分析から、病院での慢性期医療を良くするには栄養(低栄養、脱水の治療)・リハビリテーション(排尿ケアなど)が重要なことを理解した。

3)かかりつけ医認知症対応力向上研修

 さらに3月 21日 (火曜、祝日) の13時から開催される。認知症サポート医3名より、認知症初期の発見や、問診とアセスメント、治療とケア・かかりつけ医の役割と連携についての講演が予定されている。

☆徳島県医師会
https://www.tokushima.med.or.jp/

☆医療法人社団 永生会
https://www.eisei.or.jp/

☆日本慢性期医療協会
https://jamcf.jp/

6.編集後記

 日ごとに春めいてまいりましたが、皆様におかれましてはお元気でご活躍のこととお喜び申し上げます。

 今年度もあとわずかとなりました。来月からは新しい環境での生活が始まるという方も多いかと思います。新たな1年が医師の皆様のキャリアにとって実り多きものになることを願っております。

 それでは以上を持ちまして徳島医師バンク通信ドクターカモンメール第178号を終わらせていただきます。今年度もドクターカモンメールをご愛読いただきまして、ありがとうございました。4月からも変わらぬご支援をいただけますようお願い申し上げます。

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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第179号は、令和5年4月19日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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