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とくしま医師バンク通信ドクターカモンメールVoL177(2月号)

目次

  1. 『食中毒と保健所』徳島県阿南保健所長兼美波保健所長 郡 尋香
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 『徳島から熊本、そして宮崎に学ぶ』 美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

1.『食中毒と保健所』

徳島県阿南保健所長兼美波保健所長 郡 尋香

 阿南・美波保健所の郡と申します。貴重な機会ですので、食中毒対応を紹介します。

 保健所での食品衛生業務は、主に薬剤師・獣医師・管理栄養士が担当します。食中毒は、微生物以外に毒キノコなどの自然毒や、化学物質も原因となります。最も有名な食中毒は、公害の水俣病かもしれません。なお、森永ヒ素ミルク中毒事件(1955年)は、徳島県内の工場で製造された粉ミルクが原因で、現在も救済事業が続いています。

 さて、食中毒事件は公表されますが、背景には非常に多くの疑い例があり、「有症苦情」と呼びます。保健所は、よほど不確かでなければ全例で何らかの対応をします。探知は大きく3つで、(1)本人等からの苦情、(2)食品等事業者からの相談、(3)診察した医師による情報提供です。主な具体的対応は、患者・利用者に対する調査と事業者施設に対する調査で、並行して行います。症状と食品は必ずしも関連しないため、他利用者の症状の有無などから注意深く判断します。飲食店では特にメニューや食材も多く、原因食品を突き止める職員の姿はまるで探偵です。

 食中毒事件と判断すると、販売/営業停止・原因食品回収指示等の行政処分や、施設への濃厚な衛生指導等を行います。この段階では医師の「食中毒患者等届出票」が必要で、診察された先生にお願いすることがあります。ほとんどのケースで快く記載いただいており、本当にありがとうございます。

 一つお願いがあります。診察時に「〇〇の食中毒だね」と言われたからと、事業者への不利益処分を強く求める方がいますが、行政処分は権利の制限で妥当性がなければ行えません。医療従事者の言葉は患者さんに大きな影響力を持ちますので、「可能性の一つ」としてご説明くださると事業者も保健所も必要な対応に専念できます。処分がなくても、事業者にはもちろん衛生指導を行います。

 食品衛生分野でも引き続き、保健所業務へのご協力をお願いします。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

 新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止,延期またはWEB開催となっている場合があります。

 個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

「みんなで!徳島旅行割」について

「みんなで!徳島旅行割」については、下記のとおり実施されています。

旅行割利用期間:令和5年1月10日(火)~令和5年3月31日(金) 

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/site/tokushimawari2023/

 最新の実施状況についてはリンク先を御確認ください。

5.『徳島から熊本、そして宮崎に学ぶ』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

二つの地域医療についての講演会に参加したので、紹介する。

1)熊本県地域医療支援機構講演会

 地域での医師不足は、全国での大きな問題で遷延している。医師を地域の病院に派遣するだけでなく、医師の教育や育成について、地域住民・行政、さらには大学病院をはじめとした市中病院も一体で取り組む必要がある。

 熊本県においては、「熊本県地域医療支援機構」が組織されている。大規模臨床試験で知人となった松井邦彦教授(熊本大学)にお招きいただき、1月20日(金曜)に同大で開催された「令和4年度 熊本県地域医療支援機構講演会」に参加した。

 都合で順番がかわり、まず私の講演(熊本の若手医師へのメッセージ~徳島南部の小病院における診療・教育・研究、そして災害対策の実践~)。1)地域医療では、連携と教育が重要。2)地震・津波や新興ウイルス、コンピューターウイルス、戦争などに備えが必要。3)東京圏より約10~15年高齢化が進む四国・九州の地域医療に携わる若手医師は、「世界最先端の医療」に取り組んでいるという気概を持って、患者さんに接してほしい。4)「一期一会」で臨むと友人が増え研究のヒントも得、診療を継続するモチベーションとなる。

 若手の松田圭史先生は、公立小国(おぐに)病院(阿蘇郡)での総合診療の経験を楽しく話された。さらに後進が続くことを期待したい。

2)第21回 徳島GMラウンド

 徳島では、「徳島県地域医療支援センター」が稼働している。2月4日(土)午後には、徳島市民病院が当番でGMラウンド(同センター主催の教育カンファレンス・講演会)が徳島大学病院で開催され参加した。市民病院の研修医が下痢の症例を提示し、討論。特別講演は、吉村学先生(宮崎大学)「地域医療研修を楽しむ10のコツ」。「その人を知る、理解する」から「コミュニケーションの練習をがっつり支援しましょう」まで14個のコツを紹介された。実習の学生をニックネームで呼び、“置き去り実習”という無茶ぶりのように思われるが、準備や根回しを行い成功していることが参考になった。

◇ ◇ ◇

 2016年の熊本地震後の再訪となった。修復された五高記念館へ、松井先生にご案内いただいた。嘉納治五郎や夏目漱石・ラフカディオハーンが教壇に立ち、寺田寅彦や佐藤栄作、高久文麿らが学んだ場所と知り感銘を受けた。阿南市出身の小川久雄学長(循環器内科)も、見学を勧められている。

☆熊本県地域医療支援機構
http://www.chiiki-iryo-kumamoto.org/index.php

☆熊本大学病院 総合診療部
https://www.kuh.kumamoto-u.ac.jp/dept/c09a.html

☆徳島県地域医療支援センター
https://t-cm.jp/

☆宮崎大学医学部 地域医療・総合診療医学講座
https://chiikiiryo-miyazaki.jp/

☆熊本大学 五高記念館
http://www.goko.kumamoto-u.ac.jp/

6.編集後記

立春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

暦の上では春と言ってもまだまだ寒い日が続いておりますので、

皆様体調にはお気をつけください。

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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第178号は、令和5年3月15日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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