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とくしま医師バンク通信ドクターカモンメールVoL172(9月号)

目次

  1. 『海部病院でのCOVID-19診療』 徳島県立海部病院 内科 前田悠作
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. みどころ・イベント情報
  5. 『第5回 徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会』 美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  6. 編集後記

1.『海部病院でのCOVID-19診療』

徳島県立海部病院内科 前田 悠作

 徳島県立海部病院内科の前田悠作と申します。地域枠出身の一期生として2015年に徳島大学を卒業し、現在医師8年目を迎えており、2020年4月から海部病院で診療しております。
 海部病院は病床数110床の地域中核病院です。感染症専門医や呼吸器内科専門医は不在ですが、第二種感染症指定医療機関として、感染流行初期からCOVID-19患者の入院受け入れを行って参りました。COVID-19は今でこそかなり一般的な病気となりつつありますが、当初は5%が重症化し、若年の基礎疾患のない患者でも死亡例があると言われ、恐ろしい疾患という認識でした。専門医不在の中で、検査体制の確立や病棟の立ち上げ、治療、ワクチンの普及など、次々と出てくる課題に対して取り組むことは、自身も感染しないかという不安や世間の注目度の高さも相まって、大変ストレスフルな仕事でした。特に治療に関しては、専門医不在の分、誤った治療をしてはいけないと、厚労省の診療の手引きや、NIHのCOVID-19 Treatment Guidelinesや各文献にはしっかり目を通し、かなり気を遣って標準治療を実践してきたつもりです。
 大変な仕事ではありましたが、今思えば、一つの課題に向かって病院全体が一丸となって取り組むというのは、普段の診療ではなかなか味わえないことだと思いますし、また徳島県庁の入院調整本部や各医療機関、医師会の先生方と連携して仕事をするというのは、刺激的で面白みも感じられるものでした。本当に良い経験をさせていただきました。
 最後に、地域枠のことについて少し。
 地域枠出身者が僻地医療に従事することで、専門医取得や学位取得の面で遅れてしまうことはあるかもしれません。しかし、地域医療に取り組む中で、その場でしか味わえない経験を積むことは、必ず将来に活きてくるものと信じています。私自身、本来の専門である血液内科でまだ専門医が取得できておりませんが、海部病院での経験は専門医取得以上に大きな財産になったと感じていますし、COVID-19を通して培った人脈を今後に活かしてさらに頑張っていきたいと考えています。
 いろいろと駄文を失礼しました。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。

 →徳島県地域医療支援センターHP

 http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

 →徳島県医療勤務環境改善支援センターHP

 http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

 新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会等は中止,延期またはWEB開催となっている場合があります。

 個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。

4.みどころ・イベント情報

 新型コロナウイルス感染症の影響による、観光施設の休館・短縮営業、イベントの中止・延期等があります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/kyukan.html

「みんなで!とくしま応援割」対象地域の拡大について

「みんなで!とくしま応援割」については、下記のとおり期間延長および対象地域が拡大されています。

応援割利用期間:令和4年4月1日(金)~令和4年9月30日(金) ※対象地域により異なります。

 ※詳細はこちら

 https://www.awanavi.jp/topics/minna-ouen2.html

 既存予約の扱いなど、最新の実施状況についてはリンク先を御確認ください。

5.『第5回 徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 「徳島県地域包括ケアシステム学会」は、高齢者の「治し支える医療」をどう行うかを考える学会である。その第5回学術集会が、2022年8月28日(日)、徳島大学蔵本キャンパスの大塚講堂で開催され、ライブ配信された。大会長は多田敏子先生(精神看護学、徳島大学名誉教授)。テーマは、「必要な人に、必要な時に、必要なサービスを」。
 教育講演Iとして、私が「訪問診療の今とこれから」と題して解説した。「治し支える医療」の実践には、介護保険委員会(徳島県医師会)の活動や訪問看護、他の病院・診療所の連携が重要であることを示した。教育講演IIは、佐藤修斎先生(徳島市)。「訪問歯科診療の今とこれから」と題して、佐那河内村への訪問など、訪問歯科診療の実際を紹介された。
 次に、シンポジウム「地域の居場所づくり」が行われた。まず、村田友樹さん(阿南市の(株)ミライクル)。保育園から始め、シャッター街化していた阿南市の市街地に、地域子育て支援拠点事業とカフェを融合した施設である『CAFE and BARNuuN』をオープン。在留外国人の支援(外国人総合相談センターの開設)を考えているという。次に、山下麻梨さん(那賀町社会福祉協議会)。高齢化率60%に近い那賀町木頭地区での活動を示した。木頭学園のPTA会長から、数学塾(マミー塾)を始め、KITOWAKAISHIMEETING(20代から40代。おひとりさま会や女子会、ママ友会))に発展した。地域のマンパワーとして、楽しく地域づくりを行っている。両者とも工夫により、人口減の地域社会を活気づけていると感じた。
 特別講演は、「人生100年時代,住民の健康を支える専門職にもとめられること」と題して、社会疫学や社会的決定要因(SDH)を主な研究分野とする福田吉治教授(帝京大学)が講演された。私たち専門職は専門職として100年間をどう生きればよいのだろうか。『保健師の悩み解決ガイドブック』にしめされているが、 “あいまいなさ”が強み。「人生100年時代はマルチステージであり、アップデートが必要」と。知識や技術が急速に変化し、あっという間に時代に取り残されてしまう。私たち専門職も、学び直し、時に道を少し逸れてアップデートすることが必要とされていると話された。
 私どもは、「増加するがんの在宅医療をどう行うか?~地域医療連携室や訪問看護ステーションの活用~」という題で、ポスターを提示した。優秀ポスターには、高橋舞さんらの「介護予防事業に参加する高齢者のQOLとソーシャルキャピタル」が選ばれた。
 今回はコロナ禍のため短縮され、聴衆と顔を合わす機会がなかったが、有益な内容であった。

☆ 徳島県地域包括ケアシステム学会
https://www.toccs.jp/
9月30日まで、見逃し配信がある(HPに案内があり、是非ご視聴を)。
☆帝京大学大学院公衆衛生学研究科
http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~tsph/

6.編集後記

 いくぶん残暑も和らぎ、しのぎ良い日が多くなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 私は、9月から前任者に変わりドクターカモンメールを担当することとなりました。医療に関する知識が豊富なわけでもなく、まだまだわからないことばかりでございますが、県の医療体制の向上に尽力して参りますので、ドクターカモンメール共々よろしくお願いいたします。

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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第173号は、令和4年10月19日(第3水曜日)の発行予定です。

アドレスの変更・配信停止はこちら
https://www.pref.tokushima.lg.jp/dr-bank/mailmaga

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