初めまして、徳島県地域医療支援センター特任助教の大浦雅博と申します。私は2012年に徳島大学を卒業後、徳島赤十字病院で初期研修、内科レジデントとして後期研修を行い、2017年より徳島大学血液・内分泌代謝内科学に入局、昨年度よりセンターの業務に携わらせていただいております。今回は、当センターでの取り組みについて簡単に述べさせていただきたいと思います。
近年、全国的に医師の地域偏在・診療科偏在が問題とされています。徳島県におきましても、やはり医師の地域偏在に加え人口の高齢化などが深刻な問題です。当センターは、本県における医師不足の状況等の把握・分析を行い、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援及び、地域医療を担う医師のキャリア形成支援を目的として平成23年11月1日より設置されました。
実際の取り組みとしては、地域特別枠等の医師の配置調整の他、地域枠学生・医師への面談を通じたキャリア形成支援、研修プログラムの検討、地域医療関係者との意見調整などを行っています。また、地域への医療支援も行っており、私自身も本年3月まで町立海南病院で週1日勤務させていただいておりました。地域での診療を通して、地域におけるニーズや課題などを自身で確かめセンターで共有することが可能となり、より現場の状況に即した配置調整などを考えるきっかけとなります。何より、地域の方との交流や現場の医療スタッフと協力することで自身の見聞を広げ、医師としての幅を広げることにもつながり、非常に有意義な時間であると感じております。
徐々に地域枠医師が地域医療の現場で活躍するようになってきておりますが、まだまだ十分と言える状態ではありません。また、現在問題となっている新型コロナウイルス感染症については、地域医療としての対応も求められており、その観点からも今後、益々の地域医療の充実が必要と思われます。引き続き、地域のニーズに応え、地域枠医師のキャリア形成にも有意義な医師の配置調整を目指し、センターとしても、私個人としても一層努力して参りますので、ご指導・ご鞭撻の程をよろしくお願い申し上げます。
徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。
当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので、お気軽にご相談ください。
→徳島県地域医療支援センターHP
http://www.t-cm.jp
県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。
→徳島県医療勤務環境改善支援センターHP
http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、研修会等は多数中止または延期が決まっております。
個別の研修会等の詳細については各研修会担当者に御確認ください。
新型コロナウイルス(Covid-19)のパンデミックにより、三つの密(みつ。密閉・密集・密接)を避けることが望まれる(できる限り自宅にいる。外出は必要最小限の人数と回数で、外出時は適切な距離を保って)。そのため、3月より学会や研究会が、ほとんど中止や延期となっている。この国難を起こしている新興感染症の正しい情報を得ることのできた“web講演会”や情報を紹介する。
1)日本プライマリ・ケア連合学会は、3月11日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き」を公開した。かかりつけ医にとって、具体的な内容であった。
2)「若手医師セミナー」は、月1回の頻度で、臨床研修医やその指導医のための総合診療のウェブセミナー。年度末の3月31日(火曜)に、「コロナウイルス特別編」として、疫学部門(大東文化大の中島一敏先生)、臨床部門(国立国際医療研究センターの忽那賢志先生)、感染管理部門(聖路加国際病院の坂本史衣先生)の3名の演者による講演会が開催された。実際この感染症を多く診ておられる演者の講演で、参考になった。反響が大きく、青木眞先生のブログ(感染症の原則)に、たくさんのQ&Aが掲載されており一読を勧める。
3)日本内科学会緊急シンポジウム
4月の総会・講演会が8月に延期されたが、上記のシンポジウムが開催された(4月12日)。まず、3つの講演:1)疫学と今後の動向 (鈴木基先生、国立感染症研究所)、2)クラスター対策 (押谷仁先生、東北大学)、3)感染対策と治療(川名明彦先生、防衛医科大学校)。
パネルディスカッションとして、1)感染症医の立場から(舘田一博先生(以下、敬称略)、日本感染症学会)、2)呼吸器内科医の立場から(長谷川好規、日本呼吸器学会)、3)老年内科・高血圧治療の立場から(楽木宏実、日本老年医学会・日本高血圧学会)、4)リウマチ・膠原病内科医の立場から(竹内勤、日本リウマチ学会)と4者からお話いただいた。
最新情報とともに、内科学会やその関連学会から正しい情報を発信していくという力強いメッセージがあった。
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徳島県では、2月から累計245人の検査で3名が陽性となっている(4月12日現在)。増加が危惧されるが、正しい情報を入手し、適切な対応で、この感染症を収束に向かわせたいものである。
☆新型コロナウイルス感染症 診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き(日本プライマリ・ケア連合学会)
⇒http://primary-care.or.jp/imp_news/pdf/20200311.pdf
☆若手医師セミナー
⇒https://www.pfizerpro.jp/lp/wakate/
☆感染症診療の原則(青木眞先生)
⇒https://blog.goo.ne.jp/idconsult
☆第117回 日本内科学会講演会 緊急シンポジウム
(新型コロナウイルス感染症 ー疫学・対策から臨床・治療までー)
⇒https://www.naika.or.jp/info/urgencysymposium/
☆新型コロナウイルス感染症について(徳島県)
⇒https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kenko/kansensho/5034012#20
様々な新生活が始まる4月ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はこの4月から医療政策課に配属となり、前任者に代わりドクターカモンメールを担当することとなりました。まだまだわからないことばかりですが、県の医療体制の向上に向けて尽力して参りますので、ドクターカモンメール共々よろしくお願いいたします。
さて、今月号では徳島県地域医療支援センター特任助教の大浦先生と美波町国民健康保険美波病院長の本田先生に御寄稿いただき、無事配信を行うことができました。御寄稿いただきましたお二方にこの場をお借りして御礼申し上げます。
それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第143号を終わらせていただきます。新型コロナウイルス感染症について、日々状況が変化し慌ただしい日が続きますが、皆様どうぞお元気にお過ごしください。
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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第144号は、
5月20日(第3水曜日)の発行予定です。
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