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とくしま医師バンク通信ドクターカモンメールVoL.136(9月号)

目次

  1. 『台風15号の被害状況 と 夏期地域研修で感じた徳島県の地域医療』徳島県立中央病院 研修医 山本 翔子
  2. 『高校生地域医療現場体験ツアーに参加して』自治医科大学1年 石橋 奈々
  3. トピックス
  4. 医師情報箱
  5. みどころ・イベント情報
  6. 『徳島県地域包括ケアシステム学会は、もう第3回に』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  7. 編集後記

1.『台風15号の被害状況 と 夏期地域研修で感じた徳島県の地域医療』

徳島県立中央病院 研修医 山本 翔子

(1)台風15号の被害状況について

 皆さま、はじめまして。徳島県立中央病院、初期臨床研修医1年目の山本翔子と申します。今年3月に、自治医科大学を千葉県枠として卒業し、縁あって徳島県で働いております。そんな千葉県は、台風15号の甚大な被害にみまわれ、電気・水道・固定電話・携帯電話が数日間使えなくなった地域も多くあったそうです。各地よりDMATが応援でかけつけ、倒れた数千本の電柱工事のため、徳島の四国電力からも多くの職人が召集されたそうです。卒業生の先生が働く、南房総にある鴨川市の鴨川市立国保病院では、停電のなか自家発電で最低限の機能を維持し、エアコンなし、電子カルテも使えないため、外来は手書きの院内処方で対応したそうです。鴨川市立国保病院は、停電後6日後に電気が復旧したそうですが、9/17現在も千葉県内で6万5000軒が停電しており、孤立家庭への声かけ・支援物資の配布など支援態勢の継続が続けられております。鴨川市立国保病院は私が低学年の頃に、夏期地域研修でお世話になった病院であったにも関わらず、千葉県を遠く離れて、何もすることができないのを心苦しく思います。

(2)夏期地域研修で感じた徳島県の地域医療について

 令和元年度の夏期地域研修(8/22~8/24)に参加させていただき、自治医科大学、徳島大学、徳島県立総合看護学校の学生と県中のドクター、県庁の方々とともに、海部郡の牟岐町・海陽町の病院、診療所、福祉施設を見学させていただきました。徳島県の海陽町といえば、日本有数のサーフスポットがあることで有名ですが、自然が美しく、早朝の海はとても綺麗で太平洋がこんなに透き通っているなんて、知りませんでした。海部郡の牟岐町・海陽町には介護療養型医療施設がなく、医療依存度の高い高齢者は、介護老人保健施設で、中心静脈栄養や抗菌薬投与の医療行為を受けていました。急性期病院である海部病院をはじめとして、周辺の開業医、診療訪問を行っているドクターや、施設の看護師、施設職員の皆の協力のもと、地域医療包括ケアの現場を見ることができました。将来、徳島県の地域で働く身として地域住民だけでなく、地域で働く皆さまからも一緒に働いていて楽しい、さらに何でも相談しあえるようなフランクな関係を構築できるように、思いやりと優しさをもって仕事に励みたいと思います。稚拙な文章を読んでいただきありがとうございます。徳島県の医療に関わる皆様のご健勝とさらなるご活躍をお祈り申し上げます。

2.『高校生地域医療現場体験ツアーに参加して』

自治医科大学1年 石橋 奈々

 今年度自治医科大学に入学した石橋です。大学1年の上半期では、下半期の専門的な医学の勉強を迎えるための基礎的な勉強をしていました。本学では寮生活をしているため、友達と教え合いをしながら試験勉強に励むことができています。また、サークル活動ではJFC(軽音サークル)に所属したり、学祭の実行委員の活動など、大学生だからこそできることをして有意義に生活することができました。

 そして、自治医科大学に入学して3ヶ月、この度私は県が主催する高校生地域医療現場体験ツアー(7/29)に参加させていただきました。中でも印象に残っているのは木屋平診療所の藤原先生の講演を聞いたことと、参加していた高校生や地域の人々との意見交換でした。藤原先生の講演では、地域の唯一の医師として、地域の人々が幸せに過ごせる環境づくりを医療の立場からどうアプローチできるか、今後の地域医療はどうあるべきかなど、今後自分が地域医療に携わる身として考えなければならないことをたくさん教えていただきました。また、地域の人々との意見交換の中で、藤原先生が人々にとても頼りにされているということも感じました。私も将来地域に根ざす医療を実現するため、そして人々から信頼される医師になるため、今回の経験を糧にして、勉学に励もうと思います。

 最後になりましたが、今回のツアーでお世話になった先生方や、地域の皆さま、そして企画していただいた県庁の方々、本当にありがとうございました。この経験が無駄とならぬように今後の活動に活かしていきたいと思います。

3.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し,地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し,医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは,キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので,お気軽にご相談ください。

→徳島県地域医療支援センターHP
http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し,医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し,県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

→徳島県医療勤務環境改善支援センターHP
http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

4.医師情報箱

徳島生活習慣病予防フォーラム2019 ~Lipid & Diabetes Strategy~

日時:令和元年9月25日(水) 19:00~21:00
場所:ザ・グランドパレス徳島

演題:Opening Lecture「糖尿病治療の目標~徳島県の糖尿病対策から考える~」
講師:社会医療法人川島会 川島病院 糖尿病内科 部長 野間 喜彦 先生

演題:Lecture 1「現代人にマッチした脂質治療~スタチン/エゼチミブの配合剤に期待すること~」
講師:平光ハートクリニック 院長 平光 伸也 先生

演題:Lecture 2「循環器専門医から見た2型糖尿病治療戦略~大血管合併症予防の観点から~」
講師:徳島大学大学院 医歯薬学研究部 循環器内科学分野 教授 佐田 政隆 先生

第7回徳島市夜間休日急病診療所研修会

日時:令和元年10月7日(金) 19:30~21:00
場所:徳島市医師会館

演題:「徳島の救急医療体制について」
講師:徳島赤十字病院 救急部 部長 兼 高度救命救急センター センター長 福田 靖 先生
 

5.みどころ・イベント情報

【吉野川市】第2回みんなの文化祭開催!

日程:2019年10月5日(土曜日)、6日(日曜日)※雨天決行
場所:吉野川市美郷・種野小学校
TEL:0883-43-2888 みんなの文化祭実行委員会
https://www.awanavi.jp/topics/30484.html

 昨年大盛況だった「みんなの文化祭」が、皆様のご意見にお応えいたしまして今年は2日間開催されます!

 ブース数が昨年よりもさらに増えて、物販、飲食、ワークショップ・体験、展示、芸能など盛り沢山です!

 また合わせて10月6日美郷物産館の15周年記念イベントも物産館で開催されます。この秋の一番の美郷のイベントを楽しみに、皆様どうぞ美郷種野小学校までお越しください♪詳しくは美郷ほたる館HP<外部リンク>をご覧ください。

6.『徳島県地域包括ケアシステム学会は、もう第3回に』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 2019年8月25日(日曜)、第3回「徳島県地域包括ケアシステム学会(ToCCS)」が、大塚講堂(徳島大学蔵本キャンパス)で開催された。加藤真介先生(徳島大学病院リハビリテーション部、同副院長)が会長で、「包括ケアを支える個のちから」をテーマに開催され、参加者302名と盛況となった。まず、徳島県保健福祉部の鎌村好孝先生が、徳島発の試みについて。さらに、「個のちから」として、言語聴覚士の多田悦尚(阿南医療センター)や、ケアマネージャーの荻田靖子(徳島市医師会)、手川ヒロコ(NGO大きなエプロン)の諸氏の発表があった。さらに今回は、三好市の取り組みが紹介され、内田知行先生(三好市医師会)や、理学療法士の寺野誠(三加茂田中病院)、訪問看護の稲井芳枝(徳島県看護協会)の両氏が登壇された。私どもの南部圏域と同様に、三好郡は集落が散在し人口減となっており、その精力的な活動が参考になった。次にポスター発表。私どもは、昨年10月に徳島市で開催した第58回全国国保地域医療学会の経験を示した。「地域包括ケアで、日本の未来を切りひらこう」をメインテーマとし、「徳島の議論を全国へ」と題したシンポジウムを行った。このToCCSでも全国に応用できるような研究を進めたいものと考える。他に27題のポスターがあり、多職種連携の実践を学んだ。

 昼休みには、栄養管理と口腔ケアのランチョンセミナーを拝聴した。午後には、特別講演。演者は、矢田明子さん(島根県出雲市)。「地域で活躍するコミュニティーナース」と題して、元気いっぱいの発表を聴いた。看護師が街に出る意義は,健康意識(健康リテラシー)が低い住民にアプローチできるからと。専門職が地域にアウトリーチすることが重要であるというメッセージを頂いた。

 行事が重なり中座となったが、有益な学会であった。第4回は、鎌村先生(上述)が大会長で、2020年8月23日(日曜)に開催予定と聞いている。

☆徳島県地域包括ケアシステム学会
 ⇒https://www.toccs.jp/
☆徳島大学病院 リハビリテーション部⇒
http://www.utokushima-orthop.com/class/rehabilitation/

7.編集後記

 涼しい風が秋の訪れを感じさせる日々ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今夏、私は、県立中央病院と木屋平診療所を一日で訪れる「高校生地域医療現場体験ツアー」と、医学生を対象に祖谷・上勝・那賀・牟岐で行われた「夏期地域医療研修」の上勝地区での研修に、学生の引率者として参加しました。木屋平地区では藤原先生の御配慮により住民の方々と意見交換する機会を設けていいただき、住民の方々から見た医療というものを感じました。また、概念としてではなく実際に上勝町の地域包括ケアシステムを担っている方々にお会いし、意見を伺えたことは私にとっても良い機会となりました。それぞれの地域で異職種の方々が各々の専門分野を持ち寄って互いに補完しながら地域を支えられている様子を見て、改めて自分にできることは何か、と自問するばかりです。

 御寄稿くださった山本先生と石橋さん、本田先生の三名をはじめ、皆様の御協力によりまして今月号も無事発信することができ、厚く御礼申し上げます。山本先生の文章にもありましたが、台風15号の被害があった地域が少しでも早く復旧することを祈っております。

 それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第136号を終わらせていただきます。夏の疲れが出てくる季節ですので,お体を大切にお過ごしください。
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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第137号は、
10月16日(第3水曜日)の発行予定です。

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