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とくしま医師バンク通信ドクターカモンメールVoL.129(2月号)

目次

  1. 『在宅医となった今できること』(医)かさまつ在宅クリニック 笠松 哲司
  2. トピックス
  3. 医師情報箱
  4. 医学生情報箱
  5. みどころ・イベント情報
  6. 『超音波で全身を診る:領域横断的POCUS』美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一
  7. 編集後記

1.『在宅医となった今できること』

(医)かさまつ在宅クリニック 笠松 哲司

【平成とともに】私は平成元年、自治医科大学に入学しました。平成7年の卒業時には、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件が起きました。医師人生のスタートに起こったこれらの大きな出来事は、私の医師人生に影響を与えていることは言うまでもありません。大学卒業と同時に、徳島大学病院第二外科に入局させていただき、初期研修を徳島県立中央病院で、その後義務年限内は、主にへき地で“総合医”として仕事をしてきました。義務年限後の平成16年からは、“救急医”として徳島県立中央病院で再び勤務させていただきました。24時間救急医をしながらも、将来の医師像を常に考え続けてきました。

【往診がおもしろい】“在宅医”という仕事は、今までやってきた総合医、外科医、救急医というあらゆる経験が活かされます。自分の五感や経験が試される場面も在宅現場では多くあります。ひとりで全て解決できるのが理想ですが、現実的には難しいものです。いろんな職種の方々と力をあわせて、乗り越えていく。うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。それが、在宅医療のおもしろさだと思います。

【おひとりさま】超高齢社会において、一人暮らしの高齢者も増えてきました。どのような支援が必要なのかは、個々に違います。ICTやAI時代になっても顔をあわせて、多職種で支援の方法を話しあうことは、とても重要なことです。支援を必要としていない人なんて、誰もいないわけですから。

【人材育成】研修にきた学生に、在宅医療について問うと、終末期や看取りをする現場のイメージが強いようです。体が不自由で通院できないけれども、リハビリをしながら在宅療養をしている患者さんに提供する医療であることも学んでもらいます。医師として何年経過しようとも、患者さんやそのご家族から教わることは多くあることも知ってほしい。将来を担う若い医学生と患家に訪問しながら、自分にできることを見つけていく作業を、これからも続けていこうと思っています。平成の次の時代も。

2.トピックス

医師のキャリア形成に関する相談窓口

 徳島県では徳島大学と連携し,地域医療を担う医師のキャリア形成支援と本県の医師不足の状況等を把握・分析し,医師の地域偏在の解消や医師確保の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置しております。

 当センターでは,キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますので,お気軽にご相談ください。

→徳島県地域医療支援センターHP
http://www.t-cm.jp

医療勤務環境改善支援センター

 県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し,医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し,県内の医療機関における勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

→徳島県医療勤務環境改善支援センターHP
http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2015032500013/
 

3.医師情報箱

Heart Forum in 徳島

日 時:平成31年2月27日 (水) 19:00~20:45
場 所:ザ・グランドパレス徳島
演題1.「構造的心疾患合併AFへの抗凝固療法」
講 師:徳島赤十字病院 循環器内科 副部長 小倉 理代 先生 
演題2.「心不全パンデミック時代に期待される新たなカテーテル治療-MitraClip-」
講 師:帝京大学医学部附属病院 循環器内科 講師 片岡 明久 先生

平成30年度医師等研修会

日時:平成31年3月10日 (日) 10:00~12:00
場所:徳島大学病院 日亜メディカルホール
講演:「妊産婦のメンタルヘルスに関した現状と課題」
講師:三重大学名誉教授 日本周産期メンタルヘルス学会 理事長 岡野 禎治 先生

4.医学生情報箱

徳島県臨床研修病院合同説明会

日程:平成31年3月9日(土)14:00~17:00(予定)
場所:日亜メディカルホール(徳島大学病院西病棟11階)
対象:全国の医学部生(全学年)
内容:

○各臨床研修病院から、県内での臨床研修について説明
○各病院毎のブースで個別相談

備考:参加費は無料

問い合わせ先 
徳島県保健福祉部 医療政策課 地域医療・医師確保担当
TEL:088-621-2151

5.みどころ・イベント情報

6.『超音波で全身を診る:領域横断的POCUS』

美波町国民健康保険美波病院 院長 本田 壮一

 機器の進歩で、computed tomography (CT)やmagnetic resonance imaging (MRI)など画像診断の進歩は著しい。表題にあるPOCUSとは、「Point-of-Care(一当て)超音波」の略語である。

 2019年1月19日(土)・20日(日)、東京都文京区にある日本医科大学で、「Point-of-Care超音波研究会」が開催され出席した。第6回研究会の代表世話人は、徳島大学の山田博胤特任教授(地域循環器内科学)。表題のテーマで開催され、盛会となった。
初日の午前には、むくみのトリアージについての「領域横断シンポジウム」が開催された。(1)心不全などの体液量の増加や、(2)肝硬変による低アルブミン血症、(3)蜂窩織炎など感染による炎症が原因の浮腫を、よく見かける。問診・身体所見による鑑別診断に加え、医師自身がエコーを「一当て」することで、正確な診断に結びつくことを理解した。

 20日には、講義と実技(ライブ)の一日コースが企画されていた。基本知識・操作の概説から始まり、心臓・腹部だけでなく、肺や泌尿器、女性器、運動器、表在臓器(頸部)、腹部大動脈、下肢静脈、そして、超音波ガイド下の穿刺術、外傷の救急(eFAST: extended focused assessment with sonography for trauma)・ショックの鑑別(RUSH: rapid ultrasound in shock in the evaluation of the critically ill patient)と続いた。特に、肺エコー(focused lung ultrasound)は初めて聞く手技であった。エコーのアーチファクトを利用し、気胸・胸水貯留などの低酸素血症の鑑別を行うことを学んだ。救急医療の現場や在宅医療、夜間・休日などの時間外診療(当直体制でマンパワーが少ない)など検査の制限がある場面で有力なツールであり、さらに極めたいものと思った。

 徳島大学病院には、循環器内科(佐田政隆教授)などを中心に、超音波センター(山田博胤、楠瀬賢也の両先生ら)が、活発にエコー(超音波)の啓発を行っている。人手不足の地域医療において有益な検査手技で、この研究会やセミナーなどに今後も参加したいと思った。

☆徳島大学大学院 医歯薬学研究部 地域循環器内科学分野
http://square.umin.ac.jp/TOKUSHIM/Shokai-Kyoshitsuin.htm
☆第6回Point-of-Care超音波(POCUS)研究会
https://www.jichi.ac.jp/usr/cpc/clipatho/poc/kenkyukai/index.html
☆徳島大学病院超音波センター
https://www.tokushima-hosp.jp/info/circulatory_center.html?rank_code=center&belong_code=10

7.編集後記

 春の訪れが待ち遠しい昨今ですが、皆様は健やかにお過ごしでしょうか。

 先月に引き続き、「医学生情報箱」のコーナーでは、来たる3月9日(土)に開催されます徳島県臨床研修病院合同説明会について、ご案内させていただきました。この説明会は、県内(基幹型)臨床研修病院が一同に会し、各病院毎に全国の医学部生を対象に個別相談に応じるものです。本県での臨床研修に興味がある医学部生をはじめ、多数の方からの参加をお待ちしております。若手先輩医師からベテランドクターまで幅広い年代の先輩方から、有益なお話が聞けること請け合いです。読者のご子息をはじめ、ご親戚やお知り合いなど、医学部生がおられましたらぜひご案内をお願いします。

 おかげさまで、今月も皆様の御協力によりましてドクターカモンメールを無事発信することができました。御寄稿いただきました笠松先生と本田先生はじめ、皆様に厚く御礼申し上げます。

 それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第129号を終わらせていただきます。

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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第130号は、
3月20日(第3水曜日)の発行予定です。

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