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とくしま医師バンク通信ドクターカモンメールVoL.112(9月号)

1.「第1回徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会に参加して」
那賀町国民健康保険日野谷診療所森本潤先生
2.「平成29年度徳島県夏期地域医療研修参加体験記」
自治医科大学医学部5年山本真弘さん
3.トピックス
4.医師情報箱
5.みどころ・イベント情報
6.「地域包括ケア」の今を連続で学ぶ
美波町国民健康保険美波病院 院長本田壮一先生
7.編集後記
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1.「第1回徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会に参加して」
那賀町国民健康保険日野谷診療所森本潤先生

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那賀町国民健康保険日野谷診療所の森本潤と申します。
日本では高齢化が類をみない速度で進んでおり、近年地域包括ケアの構築が
急務と言われています。今回、地域医療に従事している自分自身が「地域包括
ケアとはどういうものか」というのをきちんと理解し、包括ケアを体現できる
ようにしたいと考え、この度、2017年8月27日(日)に行われた徳島県地域包括
ケアシステム学術集会に参加しましたので、簡単ではありますが、ご報告させ
て頂きます。

まず、地域包括ケアシステムとは一般的に地域事情や人材に差異があり、標
準モデルは作りにくいと言われており、その中で特に人材に大きく左右される
ために同じ思いを持った人材作りが重要です。同じ目的意識を持った人材を集
め、ボトムアップ方式できちんと地域住民のニーズを把握し、既成概念にとら
われず、目の前の小さな事を一つ一つずつ解決していく事が重要であると感じ
ました。そして、地域包括ケアシステムの構築自体が目的ではなく、地域包括
ケアを通じて地域住民の方に幸せを感じてもらい、ひいては町全体を活性化さ
せる事であると再認識しました。

その他、近年口腔内衛生と認知機能低下との関連が言われており、口腔内ケ
アの充実と地域包括ケアとの連携の必要性についても知る事が出来ました。今
年度、那賀町でも既存のクラウド型の要介護台帳であるみまもるくんシステム
への口腔システムの追加の試験的研究を行っており、実際に歯科の先生から口
腔ケアについての講義を聴講出来て理解を深める事が出来ました。

冒頭でも記載したように地域包括ケアという事が浸透してきている今だから
こそ、目の前にある課題を解決するためにコツコツと出来る小さな事を行う事
が、さらなる包括ケアシステムの充実には必要であると思います。この学会に
参加して、微力ではありますが、目の前の事に真摯に取り組み地域包括ケアの
発展に寄与できればと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻よろしくお願い申
し上げます。

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2.「平成29年度徳島県夏期地域医療研修参加体験記」
自治医科大学医学部5年山本真弘さん

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自治医科大学医学部5年の山本真弘と申します。私はこの度、那賀町での夏
期地域医療研修に参加させていただきました。1日目は特別養護老人ホームに
おける回診、2日目は日野谷診療所外来見学、上那賀病院での訪問診療といっ
たスケジュールで研修させていただきました。

今回の研修では、地域医療においては医師だけでなく看護師などの他職種と
の連携、福祉や保健などとの連携による地域包括ケアが重要であると感じまし
た。交通手段や高齢などの理由で医療を受ける機会が少なくなりがちな環境に
おいては、医師の診察だけでなく、患者さんの普段の生活状況を看護師など他
職種の方々と情報を共有したり、地域の保健サービスとの連携を迅速に行った
りすることで、患者さんにより良いケアが出来ると学びました。

また、訪問診療では外来診察にはない良さを発見することができました。患
者さんにとって特別な空間である診察室で聞く話と、普段生活している患者さ
んの家で聞く話とでは得られる情報が大きく異なると、先生方から教えていた
だきました。訪問診療は、患者さんの話の内容だけではなく、実際にお宅に訪
問することで普段の生活状況を把握することも出来、より深く患者さんを理解
することができる手段であると痛感しました。

今回の研修を通じて、地域で勤務されている先生方や他大学の皆さんと交流
できたことも貴重な体験となりました。先生方の働く姿やお話からは、将来地
域で働くうえでの心構えだけでなく、人として生きていく中で大切なことを数
多く教えていただいたように思います。大学での実習では学ぶことのできない
貴重な経験をさせていただき、充実した研修となりました。

最後になりましたが、今回の夏期研修においてご指導して下さいました那賀
町の先生方やスタッフの方々、地域住民の方々、お世話して下さいました県庁
の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
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3.トピックス

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■医師のキャリア形成に関する相談窓口
徳島県では徳島大学と連携し、地域医療を担う医師のキャリア形成支援と
本県の医師不足の状況等を把握・分析し、医師の地域偏在の解消や医師確保
の支援等を行うことを目的として「徳島県地域医療支援センター」を設置し
ております。
当センターでは、キャリア形成支援に係る相談窓口を設置していますの
で、お気軽にご相談ください。

■医師求人情報
9月20日(水)現在、「とくしま医師バンク」における徳島県内の公
的医療機関等からの医師求人情報は、常勤43件、非常勤16件です。

■医療勤務環境改善支援センター
県では、「徳島県医療勤務環境改善支援センター」を設置し、医療労務管
理アドバイザーや医業経営アドバイザーと連携し、県内の医療機関における
勤務環境改善の取組を総合的に支援しています。

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4.医師情報箱

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■日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医生涯教育研修会
(中国・四国地方会)
主催:独立行政法人国立病院機構徳島病院
日時:9月30日(土)14:30~
場所:徳島県医師会館4階
内容:「脊髄損傷の再生医療とリハビリテーション」
講師:慶応大学医学部リハビリテーション医学教室非常勤講師
コペンハーゲン大学MR研究所研究員
田代祥一先生
内容:「廃用症候群の生理学的な背景とリハビリテーションのポイント」
講師:独立行政法人国立病院機構村山医療センター
副リハビリテーションセンター長 小川真司先生
内容:「運動器介護予防ー高知と宮城の取り組みー」
講師:高知大学病院リハビリテーション部准教授石田健司先生

■青藍会講演会
主催:徳島大学医学部医学科同窓会青藍会
日時:10月5日(木)18:30~
場所:徳島大学藤井節郎記念ホール
内容:「ICTとビッグデータ時代の医学研究」
講師:自治医科大学長永井良三先生

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5.みどころ・イベント情報

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6.「地域包括ケア」の今を連続で学ぶ
美波町国民健康保険 美波病院 院長本田壮一 先生

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近年の地域医療において、「地域包括ケアシステム(高齢者の尊厳の保持と
自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮
らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービ
スを提供する体制)」が注目されている。徳島市の阿波踊りの熱気が冷めやら
ぬ8月末に、2日連続で、このシステムの現状を学ぶ機会があったので、紹介す
る。

(1)「徳島県国保診療施設協議会(国診協)」の医師部会について
2017年8月26日(土曜)、徳島市にて「徳島県国保診療施設協議会(国診
協)」の医師部会が開催された。開設者や事務の両部会と合同で行われ、籾井
(もみい)眞二先生(大分県)の講演を拝聴した。題目は、「広域型地域包括
ケアシステムの構築」。安岐(あき)町国民健康保険病院が前身で、自治体の
合併で、国東(くにさき)市民病院(地方公営企業の全部適用)となった。
「地域住民に信頼され、愛される」病院として二次医療の完結を目指し、現在
208床とのこと。良質の医療を提供するに加え、地域包括医療・ケアを推進。
保健分野では人間ドック・住民検診・企業検診に取り組み、さらには慢性期、
リハビリ、介護を含む福祉の領域にも対応し、訪問診療、訪問看護、訪問リハ
ビリにも力を入れている。地域の多職種連携として「仏の里ネットワーク」を
構築しているのに感銘を受けた。また、籾井先生は、国診協の副会長としても
活躍されておられる。

(2)「第1回徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会」について
翌日の27日(日曜)には、大塚講堂(徳島大学の蔵本キャンパス)にて、
「徳島県地域包括ケアシステム学会」第1回学術集会が開催された。高齢者や
障がい者などのケアに関する日常的な問題、小児期からの健康の増進と疾病・
障がいの重度化予防、健常者や地域住民を含むまちづくりと連携の在り方につ
いて、多職種協働によるボトムアップ型の手法によって、医療・福祉・行政
サービスの充実を図ることを目的としている。学会長は永廣信治先生(徳島大
学病院長)が、実行委員長として白山靖彦先生(徳島大学)が務められた。参
加者は385名に及び、医師に加え、歯科医師・看護師・保健師・薬剤師・管理
栄養士・栄養士・柔道整復師・放射線技師・理学療法士・作業療法士・言語聴
覚士・社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・ケアマネジャー・行政職
員・企業の方々ととても多彩であった。県内の那賀町や鳴門市の先進的な取り
組みが紹介された。私どもも、「津波災害を考えた地域包括ケアの実践」と題
してポスター発表をおこなった。意見交換も活発に行うことができ、有意義な
夏の一日になった。

◇◇◇

前号で紹介したが、2018年10月5日(金)・6日(土)、アスティとくしま
で「第58回全国国保地域医療学会」が開催される(学会長:つるぎ町半田病院
の沖津修先生)。テーマは、「『地域包括ケア』で日本の未来を切りひらこう
~海・山・川の恵みの阿波の国での実践~」。今回の2つの集まりでの情報
も、是非紹介をと考えている。

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7.編集後記

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8月27日(日)に「第1回徳島県地域包括ケアシステム学会学術集会」
が、大塚講堂で開催されました。
この学術集会に参加しての感想を、今月の巻頭で、那賀町日野谷診療所の森
本先生にご寄稿いただき、また、美波病院院長の本田先生にも御報告いただき
ました。
このお二人の文章を読ませていただき、「地域包括ケアシステム」構築の重
要性をひしひしと感じることができました。今後、これまで以上に多職種との
連携の重要性が強くなってきており、中山間地域だけでなく、都市部の高齢者
の方々も含め、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる包括的
な支援・サービスを提供する体制の構築を推し進めなければならないという気
持ちが強くなりました。
また、5年生の山本さんに、地域医療の現場で実際に感じたことなどを御寄
稿いただき、地域医療に対する真剣な思いが伝わってきました。ありがとうご
ざいました。
話は変わりますが、この18日(月)にとうとう「コード・ブルー」が最終回
を迎えました。娘が毎週楽しみに、視聴しておりました。来年には、映画化さ
れるそうで、おそらく映画館まで足を運ぶことになりそうです。医療のことだ
けでなく、人として大切なことを学んでくれればいいのですが。
それでは、以上をもちまして「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメ
ール」第112号を終わらせて頂きます。今後とも御愛読よろしくお願いいたし
ます。

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次回の「とくしま医師バンク通信ドクターカモンメール」第113号は、
10 月18日(第3水曜日)の発行です。

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