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畜産研究課 Livestock Research Division

DNAマーカー・QTLについて

DNAマーカーについて

ゲノムは約30塩基対からなっていますが、その中に遺伝子の暗号があります。ヒトの全ゲノムは解読されましたが、豚では何年かかるかわかりませんし、興味のないゲノム領域を調べても労力の無駄です。そこで、遺伝子を調べるために適当な間隔ごと目印となる特定の塩基配列、すなわちDNAマーカーと呼ばれる道具を用い、遺伝子あるいはその領域を決定します。また、育種選抜時にも遺伝子のモニタリング物質としてDNAマーカーを用いることにより、ルーチンとして簡易な判定が可能となります。

DNAマーカーは昔の街道にあった一里塚のようなものです。特定の家がどこにあるかを調べるためには、まず、どの一里塚の間に目的の家があるのかの情報を得ます。情報を得ると一里塚の間の家を一軒一軒調査して目的の家を見つけます。ここで一里塚がたくさんあるほうが、目的の家を探し出すのに有利ということが容易にわかります。多くのDNAマーカーがあるほうが遺伝子の決定が早くなります。

当研究課では豚の染色体にあたる19本の道路に一定間隔に配置した一里塚の地図にあたる連鎖地図といわれるものを作成しました。その地図を用いたQTL解析の結果、複数の興味深い一里塚が見えてきてそれらの利用を図っております。

量的形質遺伝子座(QTL)について

遺伝病・毛色等のいわゆる質的形質に対し、肉質・成長等は表現形質値が連続性を示すことから量的形質と呼ばれ、これらの発現には多くの遺伝子が関与していると考えられています。これらの量的形質の発現に関与する遺伝子は、量的形質遺伝子座(Quantitative Trait Loci]:QTL)と呼ばれています。

当研究課では、肉質について第3,5,6,14,15の各染色体にイノシシ由来の遺伝子が優れた効果を持つQTLを位置づけています。