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労働相談Q&A

退職・解雇について(質問と回答)

質問

やめる(退職する)自由もあるのだ

私は、ある会社に営業社員として就職して2ヶ月になりますが、仕事の内容が自分に向いていないので、先日退職を申し出ました。しかし、会社側は「君を採用するのには費用もかかっているのだから、2ヶ月足らずで辞めてもらっては困る」と退職願を受け取ってもらえませんでした。もう少し働かなければならないのでしょうか。

回答

労働者には職業選択の自由があり、退職の自由があります。「辞めてもらっては困る」とのことですが、労働者側が雇用契約の解約を申し入れ(退職の申し出)た場合は、原則として解約申し入れ後2週間を経過したときに、雇用契約は終了つまり退職が成立します(民法第627条)。当然双方が合意すれば、すぐに辞めることができます。
このことを念頭に改めて会社に退職の申し出を行い、よく話し合って下さい。

*月給制の場合は、その月の前半(15日)までに退職を申し出たときはその月の末に、その月の後半に申し出たときは、次の月の末に退職となります。

質問

悪質な退職勧奨を見抜くには

私は、ある会社に勤めています。2週間ほど前にリストラの一環ということで、会社から退職勧奨を受けました。子供も小さいし、安定した収入も必要なので断りましたが、先日、会社から「会社の業績は相当深刻だ。退職願を出してもらわないと解雇しなければならない」と告げられました。どうしたらよいでしょうか。

回答

お尋ねの場合の退職勧奨が、解雇に相当する合理的な理由があるかどうかと、「退職願を提出しなければ解雇する」旨を告げた退職勧奨が脅迫となるかどうかということが問題となります。解雇に相当する合理的な理由(整理解雇4原則)については、6-(4)で説明しますので、ここでは説明を省きます。

「退職願を提出しなければ解雇する」と告げるだけでは、一般的に脅迫とはならないようです。裁判例では、個別的具体的な状況によって脅迫に当たるかどうかを判断しています。長時間にわたり一室において執拗に行われた退職勧奨を脅迫に該当するとした裁判例もあります。

退職勧奨は、あくまでも使用者による勧奨ですので、自発的な意思がない限り、安易に退職願を提出しないようにしましょう。

質問

えっ、解雇だって!

今、私の働いている会社の社長は気が短く、社員の行動が気に入らなければすぐに「もう一度同じことをすればクビ(解雇)にするぞ」と言います。
ところで、解雇には「普通解雇」と「懲戒解雇」があると聞いたのですが、その違いはどのようなものか。また、不当な解雇から身を守るには、どのように対処をすればよいのですか。

回答

解雇とは、使用者による一方的な労働契約の解約であり、労働者の承諾は要件ではないとされています。但し、解雇権濫用に当たる解雇は無効です。

解雇にも種類があり、社員の企業秩序違反行為(非行)に対する制裁罰としての解雇を「懲戒解雇」、それ以外の解雇を「普通解雇」といいます。

懲戒解雇は、企業秩序や職場規律違反の程度が悪質重大な場合の制裁罰であり、即時解雇も可能で、退職金も支払われなかったり、カットされる場合もあります。ただし、就業規則に、懲戒解雇に関する規定がない場合、又は就業規則に書かれてある懲戒解雇事由に該当しない場合は、懲戒解雇をすることはできません。

普通解雇の場合は、「労働者の労務提供の不能や労働能力または適格性の欠如・喪失」、「経営上の必要性がある場合」などが考えられますが、解雇理由が合理的なものか否か、また、その解雇理由が解雇に値するほどの著しいものか否かを検討して、解雇の有効、無効が判断されます(労働契約法第16条)。

不当な解雇から労働者を守る法律として、労働基準法、労働組合法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等があり、それぞれに解雇の禁止に関する規定が定められています。

法律上禁止されている解雇を通告されたり、その疑いがあると考えられる場合は、直ちに解雇の撤回を求め、使用者が応じなければ次の公的機関に申告や申し立てをしましょう。

質問

女性だけが“リストラ”の対象になったら?(「整理解雇」の4原則とは!)

会社の業績の悪化でリストラが行われ、私も人員整理の対象になりました。こういうことは認められるのですか。何か、打つ手はないのでしょうか(「整理解雇」の4原則とは?)。

回答

「不況」や「業績悪化」を理由とした企業のリストラが後を絶ちませんが、なかには不況に便乗した解雇や、ルールを無視した安易なものも多いようです。会社の業績が悪化していることは事実だとしても、それだけで人員整理が自由にできる訳ではありません。つまり、使用者が客観的かつ合理的な理由なく解雇権を行使した場合は、権利の濫用になり、その解雇は無効であるとされています。

こうした経営問題を理由とした解雇の当否は、裁判所の判例として、次の4原則(整理解雇4原則)が確立しており、一つでも欠けると、その解雇は無効とされます。

(1)解雇の必要性:会社の維持・存続を図るためにどうしても人員整理が必要で、かつ、最も有効な方法であること。

(2)解雇回避の努力:新規採用の中止、希望退職者の募集、一時帰休の実施、関連会社への出向など、会社が解雇回避のための努力をしたこと。

(3)整理基準と人選の合理性:どんな人を解雇の対象とするのかの基準が合理的かつ公平で、その運用も合理的であること。

(4)労働者との協議:解雇の必要性や規模・整理基準などについて十分説明し、労働者の納得を得る努力をしたこと。

この原則を一つ一つチェックし、自信をもって対応しましょう。
お尋ねの場合では、「整理解雇4原則」が守られているかどうか、具体的にどのような整理基準が示されたのか、よく吟味してみましょう。「合理的かつ公平な」基準によって、たまたま女性社員(の一部)が整理の対象となったというならともかく、あらかじめ女性社員だけを対象とするような整理基準であれば、明らかに不当だということになります。

質問

退職金は必ずもらえるとは限らない

私は、今の会社に勤めて10年になりますが、家庭の事情で退職せざるを得ない状況になりました。退職時には退職金がもらえると思うのですが、これまで会社から退職金に関する話を聞いたことがありません。
退職後のことを考えても何らかの退職金は必要ですし、10年も働いたのだから当然退職金はもらえると思うのですが、どうなんでしょうか。

回答

退職金について、使用者の労働者に対する支払いは、法律上何の規定も義務付けもありません。退職金が支払われるかどうかは、就業規則、労働契約、労働協約などにその根拠があるかどうかにかかっています。しかし、規定が無くとも、これまでに退職金が支払われていた慣行や「支払う」という個別的合意があれば、そのことが退職金を請求する根拠になると考えられます。
まず、早急に会社の就業規則などや慣行を確認し、根拠があると認められるのであれば請求すべきでしょう。

質問

不幸にして倒産したら、賃金はどうなるの?

今月2日、私の勤めていたスーパーが突然倒産しました。私の給料は、15日締めの25日払いとなっており、13日分の賃金が未払いになっています。
会社と連絡が取れず、給料を払ってもらうにはどうすればよいのでしょうか。また、退職金はどうなるのですか。

回答

労働基準法第24条により、事業主には従業員の労働の対象としての賃金を全額支払う義務があります。また、賃金は他の債権に優先して受け取る(先取特権)ことができます。
まず、このことを念頭に会社なり、その代理人と話し合ってみましょう。

それでだめな場合、賃金の未払い(不払い)で労働基準監督署への申告、簡易裁判所に「支払督促の申立」、60万円以下であれば「少額訴訟の提起」等を行う方法があります。

さらに、倒産で賃金が支払われない場合には、「賃金の支払いの確保等に関する法律」により、(独)労働者健康安全機構が倒産した会社に代わって、未払賃金を立替払いする制度(未払い賃金の総額の100分の80)がありますので、会社の所在地を管轄する労働基準監督署(外部リンク)に問い合わせてみましょう。

質問

失業給付を受けるための条件とは?

私は、ある会社に就職し1年2か月が経ちましたが、仕事になじめないので退職して、失業給付を受けながら自分にあった仕事を探そうと思います。私のような場合、失業給付として何日分、いくらぐらいが支給されるのでしょうか。また、手続きはどうしたらよいのでしょう。

回答

当然、雇用保険(強制加入)に加入していることが前提です。

失業給付が受けられる条件は、(1)離職する日の過去2年間に、11日以上働いた月が12か月以上(倒産・解雇等の場合は6か月)あること、(2)失業状態であること。この場合、仕事に就いていないことはもちろん、就職したいという積極的な気持ちを持ち、健康的、環境的にいつでも就職できるような状態にあること。だから、大けがをしたり、海外旅行に行って遊んでいるような人はもらえません。

失業給付を受ける場合、会社都合の退職(解雇)か自己都合による退職かで、受給開始日および給付日数が異なります。あなたの場合は、自己都合の退職となりますので、受給資格決定日から7日間の待期満了後、さらに3ヶ月経過(給付制限)した後から支給され、給付日数は90日です。また、一日分の給付金額は、原則として離職者の賃金日額の6~8割となります。

失業保険をもらうための手続きには、本人の住居地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)(外部リンク)に、「離職票(事業主から交付を受ける)」「雇用保険被保険者証」「住所や年齢を証明できるもの(住民票や運転免許証)」「写真」「印鑑」を持参してください。