研修会報告

令和5年度 第2回 被災児童保育ボランティア養成講座(報告)

日時

令和5年8月7日(月)13:00~16:00

場所

徳島市山城町東浜傍示1-1
ときわプラザ学習室(アスティとくしま2階)

参加者数

24名

「徳島で起こりうる自然災害と避難所における子どもへの対応」

講師:瀬戸 恵深さん(徳島ママ防災士の会 Switch代表)

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徳島で起こりうる自然災害を知り、備えや心構えを認識するとともに、避難所における子ども等への対応について、グループワークを交えながら学びました。

【徳島で起こりうる自然災害を知り、想像する】

1.自然災害とは?…台風、洪水、津波、地震、土砂災害、火山の噴火など。

■徳島の被害想定を知る。

  • 中央構造線 周期…およそ1000年の間隔で発生していた可能性がある。
    徳島で中央構造線・活断層が起きると→徳島県で約3,400人が亡くなる。(想定)
  • 南海トラフ地震 周期…おおむね100年~150年の間隔で繰り返し発生。
    前回の南海トラフ(1944年昭和東南海地震、1946年昭和南海地震)発生から70年以上が経過。
    次の南海トラフ地震の発生率は着実に高まっている。
    徳島で南海トラフ地震が起きて、津波がくると→徳島県で約31,000人が亡くなる。(想定)

■ハザードマップについて

自然災害の種類が数多くあるように、ハザードマップにも種類がある。
「地震」「津波」「洪水」「高潮」「土砂災害」「総合」など
ハザードマップを見るのは、「それぞれ見るのは面倒」「情報がたくさんあってややこしい」「どこを見たら良いか解らない」などの意見が多い。

国土交通省「重ねるハザードマップ」(手軽に見える)

  • パソコン、スマートフォンで活用できる。
  • 災害リスクを表示、非表示、重ねることもできる。
    • 自分の家、職場はどこだろう?
    • どの自然災害、どういった被害が想定されている?
    • 避難するにはどこ?
  • 避難場所
    身を守るために逃げる場所。津波避難場所・津波避難ビルなど。
  • 避難所
    身を守った後、自宅が被害にあった方が一時的に生活する場所。

※よく似ている用語だが、全く意味が違う。

2.災害時の行動「命を守るために避難」

普段からいくつかの選択を考えておく。
(雑談の中で、決めるのではなく、ふわっとした選択肢を持っておく。)
自宅や職場、自分の身の回りに起こりうる
□難は何?(台風・大雨・洪水・高潮・地震・津波など)
それから、命を守るために・・

  • どのタイミングで・・(高齢者等避難・避難指示・野生のカン)
  • どのような方法で・・(徒歩・車・自転車・ベビーカー等)
  • どこへ逃げる・・(避難所・津波ビル・知人宅・ホテル等)
  • 誰と逃げる・・(自分・親・子ども・生徒・友人・ペット等)

いくつか考えておくことが大切!

■避難のめやすとなる避難情報

  • 特別警報、気象警報、注意報 → 気象庁が発表
  • 避難情報 → 各自治体が発表
  • 災害時に、避難遅れにつながる、心理!・・知っておくことが逃げ遅れを防ぐ。
    • 正常性バイアス・・「これぐらいなら大丈夫。」
    • 同調性バイアス・・「皆と一緒だから大丈夫」
      集団の中にいるとついつい他人と同じ行動をとってしまう
      ↓周囲に率先して避難する人がいれば、より多くの人を避難に導くことも可能。
      「あの人が逃げているから、私も逃げよう。」につながる。
      率先避難者になりましょう!(東日本大震災:釜石の軌跡)
      あなたが逃げることで、周りの人の命を救うことにも繋がる。
  • 「避難三原則」東京大学大学院情報学環特任教授 片岡敏孝教授 提唱
    1. 想定にとらわれるな・・ハザードマップで安全と判断した場所であっても油断しない。
    2. 最善を尽くせ・・避難した場所に留まることに固執せず、より安全な場所に避難できるかを考える。
    3. 率先避難者たれ・・想定以上のことを判断しなければいけない事態が起こることを考えておく。

3.非常持出袋と備蓄

『非常持出袋』
災害時、生きるために持ち出すもの
※人それぞれ必要なものは異なる。自分に必要なものを準備しておくのがよい。

■「防災ポーチ」という名の「非常持出袋」

最低限必要と思われる防災グッズ、自分が安心できるものを「ポーチ」や「サブバック」にまとめ、普段使っている鞄やバックなどに入れたり、車に備えておいたりすのがオススメ。 (カロリーメイト等の食べ物、水、携帯ラジオ、救急セット、簡易トイレ、常備薬、歯磨き、除菌シート、保温シート、ライト、小銭、パーソナルカード等)

『備蓄』
最低でも3日~7日間、生き続けるために必要なもの 1週間備蓄セット×人数分
備蓄が食品ロスないならないように→フェーズフリー
いつもともしもの時間の壁(フェーズ)をとっぱらう食品を備えに取り入れる。

■ローリングストック法・・普段の食品を少し多めに買い置きし、賞味期限の古いものから消費し、消費した分を買い足す。
(乾物、レトルト、米、フリーズドライ、飲み物、好みのお菓子、乾麺等)
※自分や家族が好きで、よく食べるものをストック!
☆カセットコンロ・ガスボンベも備える。

・衛生状態を保つために「衛生用品」は必ず備蓄!

  • トイレの課題
    水や食料はある程度我慢できても、排泄を我慢することはできない。
    ☆安心して、トイレができる環境を整えることが大事!
  • 口腔衛生の課題
    睡眠不足などの不規則な生活になりがちで、感染症にかかるリスクも高い。
    ☆洗口液は歯垢除去に効果的。歯ブラシセットと共に非常持出袋に入れておくとよい。

4.子どもたちを取り巻く避難所の課題

  • 緊急時の子どもたちの状況
    • 恐怖や喪失の体験
    • 危険な状況からの避難
    • 住み慣れた家や地域からの移動
    • 避難先での不自由な生活

  • 子どもの権利の侵害
    • 安心・安全な生活環境
    • 心や体の健康的な発達
    • 遊びや学び
    • 人とのつながり

■子どもがストレスを受けた時の代表的な症状

  • 表情が少ない
  • 少しの刺激で過敏に反応する
  • ぼーっとしている
  • イライラして暴れたりする
  • 話をしなくなる
  • 急に反抗する・急に素直になる
  • 必要以上に怯えている
  • 突然人が変わったようになる
  • 突然興奮する
  • 現実でないことを言う
  • パニック状態になる
  • そわそわしている
  • 吐き気、腹痛、めまい、息苦しさ、頭痛、頻尿、おねしょ、不眠、からだの一部が動かない等の症状を強く訴える。

「病気になるのでは?」「治療が必要?」と不安になるが、一時的のこうした行動や様子を示すことが、実は自然で正常なこと、また、
〇地震や避難の絵を描く 〇災害を再現する「地震ごっこ」「津波ごっこ」
こういった行動も、遊びに使い、気持ちを整理したり表現したりするために必要なこと。やめさせたりぜず、見守る。
※ストレス症状やごっこ遊びが数週間続くようであれば、カウンセリングや絵画、運動、遊びを通したセラピーなど、専門家の助けを求める。

■周りの大人ができる接し方 ☆声かけ ☆スキンシップ ☆傾聴

  1. 安心感を与える
  2. 「日常」を取り戻すことを助ける
  3. 被災地の映像を繰り返し見せない
  4. 子どもは自ら回復する力があることを理解し見守る。

■支える上での留意点(子どもの気持ちを決めつけない。)

言ってはいけないことの例
「気持ちはわかるよ」「がんばって」「命があったんだからよかった」「そのうち楽になるよ」「あなたが生きていてよかった」「他にだれも死ななくてよかった」「あなたは家族もいるしよかった」

■避難所における子どもの居場所づくり

災害復興時に避難所にいる子どもたちの心の安定を図る。(玩具研究)

5.グループワーク:避難所運営ゲーム(HUGゲーム)

静岡県でうまれたもので、避難所(学校)を想定し。様々な人たちが避難してくる時に地域住民中心で避難所を開設し対処することを、疑似体験するゲーム。
カードに書かれたそれぞれがかかえた事情(乳幼児、妊婦、病気、障がい、高齢者、ペット、旅行者等)やイベント(配給物、報道関係等)を考慮して対処する。

(疑似体験後の感想)

  • ペットや病気などを分けることやそれ以外でも要望が多く困ったり迷ったりした。
  • 予想をはるかに超える難しさだった。知識がいると思う。
  • ゾクゾクと来るので、考えて考慮したが、十分とは思えない。

まとめ

  • 徳島は自然豊かな街。自然の恵みと自然の驚異とも向き合っていかなければならない。
  • 自分のいる場所は、どんな災害が起こりうるか、何に対して備えればよいか、知ることから始める。
  • いつ”もしも”が来ても、防災スイッチをONできるように心の準備をしておく。

参加者の感想等

  • 自分が生きていないと、自分の大切な人を守れない。当たり前のことに気付けてないことに気付いた。
  • 知らないことがたくさんあり、家族や職場でも、しっかり共有していきたいと強く思った。
  • 防災について再度見直す。防災ポーチを子どもと一緒に用意する。グループワークが久々だったのでいろいろな意見が聞けてよかった。
  • 避難所の運営の難しさを感じた。
  • とても分かりやすい講座だった。いつ起こりうるか分からない災害。今日帰ったら、すぐできる事をしていこうと思った。

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