【記事番号:2196】
憲法第28条では,労働者の団結する権利及び団体交渉,その他の団体行動をする権利が保障されています。
そして,労働組合法では,これらの保障を,実効的にするために,使用者が労働組合や労働者に対して行ってはならない行為を「不当労働行為」として禁止しています。
労働組合や労働者は,使用者が不当労働行為を行ったとみられるときは,労働委員会に不当労働行為の救済を申立てることができます。
不当労働行為がどのようなものかは,労働組合法第7条で定められていますが,その内容を簡単に説明しますと,次の(1)から(6)に当たるものを指します。詳しく知りたい方は,お気軽にお問い合わせください。
(1)不利益取扱い
労働組合の組合員であること,労働組合に加入したり労働組合を結成しようとしたこと,正当な組合活動をしたことを理由として,使用者がその労働者を解雇するなどの不利益な取扱いをすること
(2)黄犬契約
使用者が労働者を雇用する際,その労働者が労働組合に加入しないことや労働組合から脱退することを雇用条件にすること
(3)団体交渉拒否
使用者が雇用する労働者の代表者(労働組合)との団体交渉を正当な理由なく拒むことや,誠実な交渉をしないこと
(4)支配介入
使用者が労働組合を結成することや,労働組合を運営することに対して,妨害,干渉するなど,支配したり,介入すること
(5)経費援助
使用者が労働組合の運営に要する経費の支払いにつき経理上の援助をすること
(6)報復的不利益取扱い
労働委員会に不当労働行為の救済申立てなどをしたこと,労働委員会が行う調査,審問,あっせんなどにおいて証拠を提示したり発言したことを理由に,使用者がその労働者を解雇などの不利益な取り扱いをすること
労働委員会は,救済申立てがあれば,審査を開始します。
不当労働行為の審査には,調査と審問があり,公益委員(弁護士,公認会計士,特定社会保険労務士)の中から選ばれた1名又は数名(審査委員といいます。)が当たります。
また,労働者委員(労働組合の役員など)及び使用者委員(企業経営者,使用者団体役員など)の中から選ばれた各1名(参与委員といいます。)が審査に立ち会います。
審査の結果,不当労働行為があったと判断した場合には,使用者に対し,救済命令を出し,不当労働行為がなかったと判断した場合には,申立てを棄却します。
過去の事件では,和解により終結していることが少なくありません。当事者間で自主的に和解が成立する場合や,労働委員会が紛争の内容から判断して,審査の手続中に当事者に和解を勧めたり,和解案を提示したりすることがあります。
徳島県労働委員会事務局審査課審査担当
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