【記事番号:953】
レジオネラ属菌は、土壌、河川、湖沼などの自然環境に広く分布しており、アメーバなどの原生動物に寄生し、20℃~50℃で増殖しますが、最適の温度は36℃前後といわれています。
このレジオネラ属菌を含んだエアロゾル(目に見えない非常に小さな水滴)を吸い込んだり、レジオネラ属菌を含んだ水を誤って飲み込むことにより感染します。
レジオネラ肺炎(肺炎型)にかかると、悪寒、高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛などがおこり、呼吸器症状として痰の少ない咳、少量の粘性痰、胸痛・呼吸困難などが現れ、症状は日を追って重くなっていきます。腹痛、水溶性下痢、意識障害、歩行障害を伴う場合もあります。適切で強力な治療が行われないと死亡する可能性もあります。潜伏期間は、通常1週間前後です。
治療は、エリスロマイシン、リファンピシン、ニューキノロンなどの抗菌剤を使用する必要があります。
ポンティアック熱は、インフルエンザに似た発熱を主症状とし、肺炎は見られません。2~5日で自然治癒するといわれています。
レジオネラ属菌に汚染されたエアロゾルを、直接肺に吸い込まないように心がけることが必要です。
エアロゾルを発生しやすく、かつ肺に吸引する機会の多い循環式浴槽、打たせ湯、バブルジェット式浴槽、シャワー水などのほか、非加熱式加湿器、冷却塔の飛散水などの厳重な管理が必要です。
また、工事現場の砂塵を吸入して感染した事例もありますので、そのような場所では、マスクなどの着用が効果があるでしょう。
1999年4月に施行された、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(いわゆる感染症法)においては、診断した医師は1週間以内にその情報を最寄りの保健所に届けることが義務づけられております。