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労働相談Q&A

労働問題解決のための制度について(質問と回答)

質問

制度概要

実際に労働問題の当事者となった場合、どのような解決方法がありますか。いろいろと調べてみても、どの事案がどの制度に最適なのか分かりません。

回答

労働問題は、大きく分けると2種類あります。
一つは、賃金の未払い(残業代の未払いも含む)や法定労働時間等に関する争いのように、労働関係法令に関する紛争です。そして、もう一つが、納得のいかない解雇や労働条件の変更等に関する争いのように、民事において争われるべき紛争です。

労働関係法令違反に対する取り締まりは、労働基準監督署が行っていますので、賃金が支払われずに困っているような場合は、事業所がある地域を管轄する労働基準監督署へ申告することになります(例えば、事業所が徳島市にあれば、徳島労働基準監督署へ申告することになります)。

労基法上制限されている解雇以外で、納得のいかない解雇に関すること等、民事上の紛争になる場合は、他の機関を利用することになります。そうなると、民事訴訟が頭に浮かぶかもしれませんが、民事訴訟となると判決が出るまでに要する費用や時間が多大になりますので、数十万円程度の金額で争うには割に合いません。
そこで、民事訴訟を利用する前に、少ない費用で利用できて、かつ迅速な解決を図れる手段をとることになります。具体的には、都道府県労働委員会が実施している斡旋(あっせん)、裁判所の労働審判が挙げられます。

次項目以下では、これらの手続がどのようなものなのかを紹介していきます。

質問

労働委員会のあっせん

労働委員会の斡旋(あっせん)とは、どのような手続ですか。

回答

労働委員会のあっせんは、公益委員(弁護士、大学教授など)・労働者委員(労働団体役員など)・使用者委員(会社経営者・使用者団体役員など)の三者で構成される「あっせん員」が,紛争当事者双方の主張を聞き,合意点を探りながら話し合いによる解決を促す制度です。

無料で利用できますが、あっせんへの参加義務やあっせんの結果出された「あっせん案」を受諾する義務は労使双方にありません。ですから、当事者が出席しない場合や、合意が成立しない場合は打切りとなります。ただし、当事者間で合意が成立した場合は、合意内容について民法上の和解契約と同じ効力が発生します。ですから、相手が合意内容を履行しない場合は、裁判所へ訴えを提起し、確定判決を得た後で強制執行することも可能になります。

徳島県の場合、あっせんは、基本的に1回の手続で終了し、多くがあっせんの申請から1ヶ月以内で処理されています。

徳島県では、徳島県労働委員会において、あっせんを行っております。

質問

労働審判

裁判所の労働審判制度とはどのような手続なのでしょうか。通常の民事訴訟とはどこが違うのですか。

回答

労働審判制度は、裁判所において、労働問題に関する民事紛争を、原則3回以内の期日で迅速に解決することを目的として、平成18年4月からスタートしました。

労働審判は、裁判官と2名の労働審判員(労働者としての経験を有する者、使用者としての経験を有する者各1名)によって行われます。労働審判には出頭義務があり、正当な理由無く出頭しない場合は、5万円以下の過料が課されるだけでなく、通常の民事訴訟と同様、申立人の言い分どおりの労働審判が行われる可能性があります。
労働審判において、調停が成立した場合や、労働審判が確定した場合は裁判上の和解や確定判決と同様の効力を持つことになりますので、相手が履行しない場合は、裁判所に申し立てて、強制執行を行うことも可能になります。

労働審判の審理期間は、大半が6か月以内で終了しており、労働問題に関する民事訴訟の平均審理期間が約1年であることを考えても、短期間で済むようになっています。ただし、労働問題は、基本的に複雑なケースが多く、当事者の感情なども絡んでくるため、原則3回以内の期日で結論を出すには利用者にも迅速な対応が求められます。したがって、基本的には、弁護士に依頼するのが望ましいと言われています。