文字サイズ

やさしいブラウザ・クラウド版はこちらからご利用下さい

労働相談Q&A

その他の労働問題(質問と回答)

質問

不当配転をはねかえそう!

私は、機械工場に勤務して8年になりますが、この春の人事異動で他県にある工場への転勤命令を受けました。命令先の工場は遠隔地にあり、現在の居住地からは通勤不可能です。また、転勤すると生活設計を変更せざるを得ません。今回の転勤命令を拒否したいと考えているのですが、問題はないでしょうか。

回答

労使間で特別な約束がない限り、労働者は使用者の配転・転勤命令に従わなければならないのが原則で、拒否すれば解雇ということもあります。しかし、使用者の命令が「権利の濫用」と認められる次のような場合には、その命令は違反となり、労働者はこれを拒否することができます。

(1)合理的理由がないもの:結婚・出産を理由とした配転など。
(2)労働者が著しく不利益になる場合:老いて病床にある両親の世話をしている場合や、労働者の日常生活に影響を及ぼす賃金の相当な減収となる配転など。
(3)業務上必要のない場合:必要ない配転であることを明らかにすることは、意外に難しいのですが、専門技術者などで特別な資格や技術がある、または労働契約で特に労働の種類・態様・場所について合意があるのに、まったく異なる職種に配転される場合など。
以上の3つの場合は、本人の同意なく一方的な配転命令はできません。

また、「不当労働行為に該当するもの(労働組合法第7条)」「国籍・思想・信条その他差別的待遇にあたるもの(労働基準法第3条)」は、本人の同意があっても、その配転命令は無効となります。

配転の他、昇進や昇級、及び待遇などの差別についても、合理的な理由が無い限り、上記のように「権利の濫用」となり当然無効ですので、改善を申し入れましょう。どうしても、改善してくれないのであれば、裁判等で争うことも考えて下さい。

質問

セクハラは断固粉砕せよ!!

私は、ある食品メーカーで一般事務をしています。直属の課長が性的な話しが好きで、周囲に人がいなくなると卑わいな話しをしたり、手や体を触ってきます。拒否しているのですが、いつも誰もいないときなので困っています。止めさせる方法はないものでしょうか。

回答

拒否の意思表示(これが重要)はしているようですから、次に課長の言動を記録しましょう。
その上で、課長に直接抗議するか、他者(別の上司、同僚、労働組合、公的機関、弁護士など)に相談するのかを決めることになります。 
セクシャル・ハラスメントとは、「相手方の意に反した、性的な性質の言動を行い、仕事を遂行する上で一定の不利益を与えたり、又はそれを繰り返すことによって就業環境を著しく悪化させること」を言い、個人の尊厳、名誉、プライバシーの侵害であり、性的自己決定権の侵害であり、働きやすい職場環境で働く労働権の侵害なのです。

また、男女雇用機会均等法では、事業主にセクシャル・ハラスメントに対する雇用管理上の配慮を義務づけています。 
セクシャル・ハラスメントの具体的な対応としては次のようなものがあります。

ア)相手に自分が嫌がっていることの意思表示を、まず行う。書面の提示もよい。

イ)日時、場所、具体的な言動の内容、周囲の状況(他に誰がいたか)などを記録する。その他、手紙などは残し、悪質な電話など録音する。

ウ)抗議するなら、

※相手に直接話をするか書面で伝える。
※上司に直接話をするか書面で伝える。
※会社に労働組合があれば、労働組合に相談する。
※弁護士または弁護士会の人権救済部門に相談する。

※徳島労働局雇用環境・均等室(電話088-652-2718)に相談する。

の中から、選択(複数でもよい)する。

エ)警察に被害届を出す(告訴するという方法もある)。

オ)裁判に訴え損害賠償を請求する。この場合にイ)のことが証拠として役に立つ。

質問

セクハラをしない、させない

そもそもセクハラって何ですか?
どんな場合にセクハラになるのですか?

回答

セクハラとは「職場において行われる性的な言動」をいいます。
「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所のことです。ですから、出張先や取引先の事務所であっても「職場」に該当します。その他にも、打ち合わせの飲食店、顧客の自宅なども職場にあたります。また、アフターファイブの宴会であっても、全員参加が慣例になっているなど、実質的に職場の延長線上のものであれば、やはり「職場」に該当します。

次に「性的な言動」についてお話しします。性的な言動の例としては、性的関係を要求する、身体への不必要な接触をする、性的な冗談を言う、食事やデートに執拗に誘う、性的な噂を流布する、性的な体験談を話したり聞いたりするなどが挙げられます。

セクハラは被害者が大きな精神的ショックを受けるだけでなく、行為者もまたそれまで築き上げてきた社会的評価・信用を全て失うことになります。
セクハラに係る判例を見てみますと、慰謝料が高額になるものも多く、また民事的責任とは別に、度を超えた身体への接触については強制わいせつ罪(刑法176条)に、性的な噂を流すことについては名誉毀損罪(刑法230条)に該当する可能性もあります。

もし、セクハラの被害を受けた場合は、

(1)相手に「No」とはっきり言う
(2)性的な言動を受けた年月日、場所、時間、行為者、性的な言動の内容などを詳しくメモする
(3)相談機関に相談する
などの対応を取ってください。

セクハラに関する相談については、徳島労働局の雇用均等室が専門的に取り扱っています。

徳島労働局雇用環境・均等室
電話番号:088ー652ー2718

質問

仕事中の交通事故の責任は?

私は、会社の仕事で配達中に交通事故を起こし、相手の運転手にケガを負わせ、車を破損させました。相手は、私だけでなく会社にまで責任を追及しています。会社は、私の起こした事故であるので、「自分で処理しろ」と言っており困っています。どうしたらいいのでしょうか。

回答

社員が営業活動中、交通事故を起こし、相手にケガをさせたり相手の車を破損させたりした場合は、事故を起こした社員が不法行為責任(民法第709条)として損害賠償責任を負うほかに、通常、会社も使用者責任(民法第715条)として損害賠償責任を負います。

問題となるのが、社員が会社の車でなく、マイカーで交通事故を起こし、相手にケガを負わせた場合です。裁判例では、会社が、社員のマイカーの業務使用を指示・許可もしくは黙認していた場合は、会社に損害賠償責任があるとされています。また、マイカーの業務使用を予見できなかったり、マイカー使用を禁止していた場合には、会社の損害賠償責任が否定されるとされています。

業務中の交通事故による物損事故の場合は、会社の車であれマイカーであれ、その社員が損害賠償責任を負うほかに、使用者責任(民法第715条)として会社も損害賠償責任を負います。
お尋ねの場合、上記の説明のように会社の車かマイカーかで異なりますが、会社にも一定の責任があるので、もう一度話し合って下さい。
※マイカーで通勤途上の事故の被害にあった場合は、通勤災害として災害給付を受けられます。